Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】THE STREET BEATS(2005年3月号)- 鳴りやむことのないロック

鳴りやむことのないロック

2005.03.01

昨年の盛大な20th アニバーサリーツアーを終え、新たな決意の元にTHE STREET BEATSが2001年の『RED HOT BLOOD』以来、実に三年五ヶ月ぶりとなるオリジナルフルアルバム『ETERNAL ROCK』を完成させた。ファンにとって、そして彼ら自身にとってもまさに待望の今作は、抑えきれない衝動が溢れんばかりに詰め込まれた、強力なロックンロール・アルバムだ。「終わらないロックンロール」と高らかに宣言し、THE STREET BEATSの新たなる前進が始まった。(interview:北村ヂン)

バンドのいい状態をそのまま詰め込めた

──昨年は20周年イヤーということで、色んな所を廻ったと思うんですけど、各地での反応とかはどうでしたか。
 
ATSUSHI:本当に20周年っていうのを祝ってくれている気持ちが伝わってきたツアーでしたね。特に広島では20周年っていうのをきっかけに、過去に在籍したメンバーとかビーツにまつわる人たちがみんな集まってきたんですよ。
 
YAMANE:過去のメンバー全員来てたもんね。
 
──それは仕込みではなくですか。
 
ATSUSHI:仕込みじゃないんですよ。今回ライブで来るからっていうことで、たまたま訪ねてきたとかで。オレとかYAMANEからすると、やっと過去のビーツのメンバー全員と会うことが出来ましたね。そういう出会いや再会、縁があったという事も含めて、本当いいツアーでしたね。
 
YAMANE:あと、今回初めて自分の生まれた町にもライブで行ったんですけど、親とか親戚とか来ててみんな喜んでました(笑)
 
──お客さんの方もベスト盤が出たこともあって、昔ファンだった人とかもたくさん来てくれたんじゃないですか。
 
SEIZI:そうだね。長くやってると、こっちが思ってる以上にオレたちの音楽を自分の青春時代と重ね合わせてくれてる人が多いんだっていうのを感じましたね。三十代とか四十代になって、最近はロックやライブハウスから遠のいた生活をしていた人が「ベスト盤を久々に買って、久しぶりにライブに行ったら全然変わってなくて嬉しかった」みたいな声を沢山もらったし。本当に長くやってきてよかったなって思いましたね。
 
OKI:そういった人たちがビーツのアニバーサリーって事で改めてライブハウスに足を運んでくれて、オレらが現役でやってる姿を観てもらって「自分と置き換えて感じるものがありました」とか言ってもらえたんで、逆にそれによって自分らも背中を押されるような感じで、一年通していい相乗効果を感じながら、感謝しつつ、充実した時を過ごせましたね。
 
──そんな20周年ツアーを終えて、2005年の第一歩が今回のアルバムになるわけですけど、タイトルの「ETERNAL ROCK」からして、これからの活動に向けての決意表明なのかなって思ったんですけど。
 
去年一年過ごした中で本当に感じたのは「大事なのはネクストだ」という事なんだよね。いい風が再び吹いて来たなって肌で感じてたのもあったし、周りからのアルバムへの期待感もひしひし感じてたんで、そこで次に何を提示できるかっていう所ですよね。
 
──ツアーを廻っててもニューアルバムを期待する声が大きかったんですか。
 
OKI:そうですね。そして、自分的にも去年の中盤頃にはそういう思いが高まっていたし、「やれるな」っていう気持ちもあったんで。今回、かなり早い時期から「ETERNAL ROCK」というテーマは出て来ていて。読んで字の如く「終わらないロック」「鳴りやむことのないロック」っていう意味なんだけど。さっき決意表明って言ってたけど、それをしておくべき時だなって強く感じたんだよね。
 
──去年の12月までツアーが続いていて、年が明けて三月には早くもニューアルバムが出て来たっていうのはまさに「鳴りやむことのないロック」っていう感じですよね。
 
OKI:このアルバムの制作は20周年のアニバーサリーを展開している最中から動き出してたんだけど、アーティストとしては20周年っていう祭りをリスナーに楽しんでもらいながら、常に半歩先というか、次を見せていきたいっていう気持ちはすごい強かったからね。
 
──アルバムのレコーディングっていうのはいつ頃やっていたんですか。
 
SEIZI:ツアーの合間ですね。秋のツアーに出る前に曲作りに入って、ツアーに行って、ドラムとベース録って、また残りのツアーに行って、ダビングやって…っていう感じで。
 
OKI:去年の後半は、ツアーとアルバムのレコーディングが同時進行していて、本当にバンドで生きさせてもらってるって実感した充実した時期でしたね。掛け値なしで24時間ロックで生きさせてもらってるなって本当に思ったし。それを最高の形で還元したいって思いも強かったですね。
 
──曲はどういう感じで作っていったんですか。
 
ATSUSHI:まずOKIさんとSEIZIが曲を作って来て、そこにオレとYAMANEが入ってリズムを乗せて行くっていう感じですね。
 
SEIZI:今回のアルバムに関しては、去年の夏頃からもうアルバムを作りたいなとは思ってて、曲を作り始めてたんだよね。だからツアーに出る頃には曲が出そろってたから、いつもよりは時間がたっぷり取れたんで、各自曲に対する理解度をいつも以上に深められたと思うね。だから実際のレコーディング作業自体はすごくスムーズで、そんなに時間はかからなかったな。
 
ATSUSHI:今回はOKIさんの「こうやりたいんだ」「こうしたいんだ」っていう方向性がすごくハッキリ見えてたんで、ある意味楽といえば楽だったし、逆にその音に近づけるためにしのぎを削った部分もあるし。だからレコーディングし終えた時に、その成果 が現れた時は嬉しかったですね。
 
──今回はプロデュースもOKIさん自身がやったんですよね。その辺で気を遣ったことってありますか。
 
OKI:今回、リズムのレコーディングでビクターの302っていうオレが一番好きなスタジオを使えたのね。そこは本当にライブな、いいドラムの音が録れるスタジオなんで、オーバーエフェクトもいらないし、部屋の鳴りで聴こえるアンビエントを加えるだけでカッコイイ音が録れるから、ほぼそれだけでドラムは形が作れましたね。最初に土台がガツンって行ければ、あとはギターのダビングでギターオーケストレーションとか、自分の好きなサウンドアレンジをドンドンやって行けるんで。
 
──意外とその辺は凝ってるんですね。
 
OKI:一本のギターにしか聞こえないんだけど、実は何回も重ねてたり、逆に二本くらいしか重ねてないんだけど、ものすごい広がりを感じたりとか。今回は本当にエンジニアのセンスがよかったんで、レコーディングはスムーズに行きましたね。デビューしてから一番スムーズだったくらいじゃないのかな。
 
──歌詞の面から見ると「LIFE」というキーワードからも、20周年を経たことによって次のステップへ向けてのテンションを上げつつ、ロックで生きてきたっていう自分たちの人生を見つめ直す良いタイミングでもあったのかなって思いますね。
 
OKI:そうですね。やっぱり人生の真ん中にあって、もはやロックがない生活なんて考えられないような生き方をしてきてるんで。それを照れる必要もないし、かといって誇示することもないんだけど、当たり前にロッカーとして生活している中で、なおかつこの先もこうやって「生きたい」と思ってるし「行きたい」とも思ってるから。それが「LIFE」だし「ROLL」っていう事ですよね。よく「通 過点に過ぎない」っていうような言い方をする人って多いんだけど、あれは一種の照れなんだと思うんだよね。確かにオレたちにとって20周年っていうのは通 過点なんだけど「単なる」ではないし、やっぱり大事に一つ一つ積み重ねて来た中での大きな一歩だと思うんだよ。振り返るっていう意味ではなく、顧みたり、そこからこの先につながる物は何なのか、そういう色んな物が見れた時期でもあると思うし、それが歌にも直結してると思いますね。「遙か来た道だけど、この先へ続く道」…っていう。
 
──やっぱり20周年っていうのはポイントとしては大きかったですか。
 
OKI:大きいと思いますよ。やっぱり生半可な20年ではなかったからね。
 
──そういう意味でも、今回のアルバムには本当にパンクと出会った初期衝動を歌った曲から、これからの事を歌った曲まで入ってますしね。
 
OKI:そうですね。「DEAR MY ROCK」なんかはそういうパンクとの出会いの歌ですよね。「親愛なるロックンロールよ」って、この歳になって初めて書けた詞だからね。なかなか若い時には照れて書けなかったと思いますよ。「ETERNAL ROCK」にしてもそうだし。今のバンドのテンションとか、メンバーやスタッフのチームワークを含めて、このやり方、自分たちのやり方でこの先もっとやって行けるっていう気持ちが表れていますね。
 
──曲にしても歌詞にしても本当に直球なんで、十代でこういう歌はなかなか作れないですよね。
 
OKI:十代の時には、オレもそうだったけど、十代で書くべき歌詞があると思うし。今のオレの年齢で書くべき歌詞もあると思うしね。自分として、男として、人として、思うところがあって、書き記しておきたいって思う事がその時々、それぞれにある。それでいいんじゃないかな。なおかつ、オレたちは特にエキセントリックな事を歌ってる訳じゃなくて、いわゆる普遍的な事を歌ってると思うから。年齢とか職業とか関係なく、人生に対してトライするっていう大前提は誰にでもあるものだからね。だから別 にたいそうな物として聴いて貰う必要もないし、でも人生においての何らかのヒントや手がかりになってくれたら嬉しいよね。オレ達も若い頃ロックからそういうのを感じた経験があるし、自分らの音楽にどっかの誰かが引っかかってくれたらなあって思いますね。
 
──ベスト盤「REBEL SONGS」に予告的に入ってた「拳を握って立つ男」にしてもそうですけど、今回は本当にこれから代表曲となっていくような曲が詰め込まれたアルバムですよね。
 
OKI:まさにそういうアルバムを作りたかったんですよ! ライブの中でも、かなり重要なポジションを占めていく曲が多いんじゃないかな。もちろん、これからバンドとお客さんとで曲を育てていくわけなんで、どの曲がレギュラーを獲っていくのか楽しみでもあるけど。
 
──ライブやりながら曲が育っていくんですね。
 
OKI:残る曲は残っていくし、残らない曲は残らないもんだから、それはわからないよね。よく「ライブの定番曲」とかいう言い方があるけど、そういう言い方は嫌いなんだよ。その曲をやるからには必然的な意味があるし、責任もあるし、ただ漠然とその曲をやってるわけじゃないんだから。
 
──「この曲さえやっておけば盛り上がる」みたいな気持ちじゃないってことですね。
 
OKI:そんな事思ってるヤツは本当にヘドが出るね。そんな気持ちでやってるから、例えばせっかくの名曲なのに「もういいや」とか言われちゃうんだよ。みんながよく知ってる曲だからこそ一回一回大事に気持ちを込めてプレイしなくちゃいけないと思うからね。
 
──20周年でツアーを廻って各地での反響への返答として、今回のアルバムが完成したわけですけど、またこれからこのアルバムを持ってツアーへ出るわけですが。
 
OKI:アルバムをもっと広げたいし、より強靱になってきてるバンドを見せつけたいしね。それこそ気分はルーキーなんで(笑)。去年20周年って事でさんざんいい思いをさせてもらったから、もう何年目とかはもう関係ないですよ。これからはこのアルバムとDVDを引っ提げて、ますますいいライブ、いい曲を作っていきたいと思っているんで。気持ち的には早くも次のアルバムに行きたいくらいの気持ちだからね(笑)
 
SEIZI:今回のアルバムは本当にカッコイイよって、それしか言いようがないよね。
 
ATSUSHI:本当にストリートビーツ直球ド真ん中のアルバムが出来たと思いますね。
 
YAMANE:今あるバンドのいい状態をそのまま詰め込めたと思うんで、ホントに多くの人に聴いてもらいたいですね。
 
OKI:今、こういうタイミングでアルバムを作らせてもらえてる幸運を感じつつ、それに報いるためにもこれからもやって行きますよ。日本にもこういうロックをやっているバンドがいるって言うことを改めて示して行きたいと思うよね。
このアーティストの関連記事
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻