Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】PEALOUT(2004年8月号)- 終わらないロックンロール

終わらないロックンロール

2004.08.01

ピールアウトから新作『ROLLS NEVER END』が届いた。 『WILL』から約2年振りとなる今回の作品は、絶え間なく続いたライブの臨場感と、徹底してラウドなサウンドでこの世の緩さを吹き飛ばす勢いを感じさ せてくれる。 2ヶ月連続ピールアウトインタビュー、今月はアルバムプロデューサーでもある、 PEALOUTのオカザキ氏(g,ba)からアルバムの話を中心にじっくり伺うことにした。(interview:和田富士子)

次にやりたいことが明確だった

──前回ルーフトップでインタビューさせて頂いたのが、去年の9月号で。シェルターのワンマン前だったんですよ。ちょうど1年振りです。
 
オカザキ:リリースもないのに嬉しかったですよ。去年はライブイヤーと決めて、全く(音源を)作る気がなくて。とりあえずライブを入れるだけ入れるという。
 
──それで、今年がレコーディングイヤー。
 
オカザキ:そうですね、もう去年の秋くらいからかな? なんとなく曲を書き始めてて、ライブでも新曲をやっていたんで、それにどんどん足していくという感じで。実際、構想を練ったのは今年ですね。
 
──前作『WILL』が出たのが2年前、その間1枚も出していなかったのは意外でしたね。
 
オカザキ:本当は今年の春くらいに出したかったんだけど、今思えば2年空いたなって。ただライブはもう抜ける月がないくらいずっと続けていたんで。連続試合出場 みたいな感じでしたよ。
 
──で、今年に入ってレコーディングと。じゃ今回のアルバム『ROLLS NEVER END』に収録されているのは、その2年の間に作られた曲なんですね。
 
オカザキ:うん。でも、実際にライブで試していたのは4曲くらいかな? 本当はライブで全部やってからとも思ったんだけど、去年ステージに集中した分、次に何をや りたいかっていうのが明確になってて。ライブあってのバンドだと確認したけど、ライブ用に書くっていうよりもそこで得た気持ちとかテンションとか、空気 だったり景色だったりを曲にしたいっていうのがあったんで、実際、曲作りには時間がかかってしまったんですけど。今回はうるさいというか速いというか ……。
 
──速い! ですよね。もう速いっていうか!!(興奮)
 
オカザキ:(笑)。ツービートは僕にとってはエイトビートと同じように10代から馴染んでいるもので。たまたまピールアウトで10年経って、あぁこういうのをも う一回やろうかなっていう部分はあったんだけど、USハードコアを焼き直ししている訳ではなくて、どっちかというとルースターズの初期とか。近藤が歌う とやっぱりそういうエッセンスが足されるから。アメリカものを意識したとしても、そうならないところは強みだと思っているんですけどね。
 
──速い曲はテンション的にすごいものを感じたんですよ。で、Webサイトのレコーディング風景を拝見すると、F1並みって(笑)。
 
オカザキ:あれね(笑)。実はF1見ながら録ってたんですよ。僕がF1好きで佐藤琢磨がちょうどいい感じだったんで。レコーディングが夜中になっちゃって、本当 はモニターに音録りしている近藤を映してなきゃいけないのに、コントロールルームではF1みながら声だけで“もう一回いってみようか”とか。やっぱり F1より高いテンションでいって欲しいから。でもブースとは目を合わせないでずっと画面見てた(笑)。
 
──ちなみにその曲は?
 
オカザキ:「響音狂鳴」っていう曲ですね。
 
──やはり(笑)。F1でしたよ。「響音狂鳴」って言葉は、前回のツアーやワンマンのタイトルにもなっているんですけど……かっこいいですよね。
 
オカザキ:これ、ピールアウトってバンド名を漢字にしただけなんですよ。音を鳴り響かせるっていう意味で。最初“響音狂鳴隊”ってしてたんですが、それはちょっとかっこ悪かったんで(笑)「響音狂鳴」にしたんです。でも僕もまさか近藤がこのタイトルを付けてくるとは思わなかった。この曲は歌詞カードを見ても面 白いんですね。今日は歌入れっていう日、大きな紙に「響音狂鳴」とか書いてあって。すげーと思って歌詞カードみたら、ほとんど漢字に見えたんですよ。 “お、中国進出か? 俺ら”と思いましたよ(笑)。まぁ意味は多分通じると思うし、テンション的にいいし、面白いなぁって。
 
──で、聴いてると英語に聴こえたり(笑)。すごく気になった言葉だったんですよね。
 
オカザキ:去年から出てきた言葉なんで、アルバムタイトルでも良かったんだけど。僕らのロックってやっぱり鳴っているイメージがあるし、聴いている人の気持ちも 鳴っていて欲しいというのは常にあるので、一つのキーワードとして打ち出したい言葉ではありますね。
 
──レコーディングにはズボンズのピロさんがいらっしゃったそうで。それ以外は3人でがっちりと。
 
オカザキ:そうですね。今までいろんな人とやってきて、一回自分らだけでアルバム作ってみるかっていう意見もあって。で、レコーディングしながら 「ROLLS」っていう曲だけは、サンバリズムが基盤になっている曲なのでどうしてもコンガが欲しくなったんですね。そしたら彼が来てくれて。で、この 間の6月のクアトロでもライブで入ってもらって(笑)。それ以外は3人ですね。
 
──じゃ、ほんとに初のセルフ作品なんですね。
 
オカザキ:そうですね、初期のインディーズの頃はそういうのもあったんだけど。これが素っ裸のピールアウトかもしれない。まぁ、3人で出来る自信があったのか な。『WILL』が終わってこれだけ時間が経って、ライブを沢山やってきたっていうところで。プリミティブなところでいくと、手を加えるところが少なく なってくるんですね。
 
──『サージェント・ペパーズ~』にいって“ホワイトアルバム”にいってフリ戻しがあるっていうような感じですかね。
 
オカザキ:それに近いのかなぁ、っていうとおこがましいんですけど。まぁ、「原始進化」~「WILL」でいろいろやって、今作で好き勝手やっているっていう。で もわからないですよ、次また全然違っててドラムがないかも知れないし(笑)。どっか飛び出すっていう気持ちは取っておかないと「ニュールンベルグでささやいて」みたいな曲が出来ないじゃないですか? そういう気持ちは残しておかないとやっぱりバンドは面白くないですよ。 
 
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