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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】近藤智洋 (PEALOUT)×増子直純 (怒髪天)×RYOJI (POTSHOT)(2004年6月号)- ルースターズ・リスペクター特別大座談会!

ルースターズ・リスペクター特別大座談会!

2004.06.01

 ルースターズ! ルースターズ! ルースターズ!  あああっっ......、もう完全にどうかしてきてる。そう、ルースターズのフジのラストライブが決まってからというもの、オレはもう完全に学生時代に戻ってしまっており、1日中ルースターズのことでアタマが一杯になってしまってる。でも30~40代のオレらの同世代から追体験の10~20代の若いリスナーまで、すべての世代のルースターズ・ファン達の中でそんなオレと同じように今インセイン状態になってる人はきっと多いと思う。要するにルースターズとはそういうバンドなのである。ビートルズみたいに活動しなくなってからどんだけ長い年月が経とうとも、いつだってこうやって世代を超えてオレ達ファンをドキドキさせることができるのだ。  そんな現在ルースターズ史上空前の盛り上がりの中、7月のフジ・ラストライブ後、CD27枚、DVD5枚、計32枚という壮絶なルースターズのパーフェクト・ボックスが9月に発売される。そして11月にはあの大ヒットしたルースターズ・トリビュート・アルバム『リスペクタブル・ルースターズ』の第2弾も発売される予定である。今オレ達ルースターズ・ファンはみんな飯も食わず遊びにも行かず貯金をしている。仲間達よ、頑張ろう。  そういうわけで、我が新宿ロフトでも7月26日にこのラストライブを盛り上げるため、ルースターズを愛して止まないリスぺクター達を集めたラストライブ前夜祭的なライブ&DJのイベント"ザ・ルースターズ ラストライブ前夜祭~RESPECTABLE SHOW~"を開催することになった。今回はそのイベントに参加して頂くルースターズを愛して止まないミュージシャン達であるPEALOUTの近藤さん、怒髪天の増子さん、POTSHOTのRYOJIさんにルースターズをテーマに特別 座談会として盛り上がって頂きました。(interview:シンスケ"C.M.C"横山/ロフトプラスワン店長)

ルースターズ嫌いな人っていないでしょ?

──では一人一人訊いていきたいんですが、ルースターズと出会ったキッカケは?
 
近藤:高校生の時、ファーストをレンタル屋で借りたのが最初で、オレは当時ビートルズとか洋楽ばっかり聴いてて、邦楽ではRC(サクセション)を聴き始めた頃だったかな? それでファースト聴いたんだけど、正直最初は全然判らなくて、“キャロルみたいだなぁ…”とか思って(笑)、そういうのは自分の趣味ではない部分だったから凄い違和感があって。でもそんな風に気持ち悪いながらも何かずっと気になってて、何となく毎日聴いてたら聴けば聴くほどどんどん良くなってきて、気が付いたら凄いハマッてた。
 
増子:オレもやっぱファーストだね。当時のオレの周りはヤンキーかローラーしかいないような環境で(笑)、オレもブラックキャッツとかオールディーズもんとか凄い好きだったんだけど、ルースターズもストーンズとかロックンロールのカバー多いじゃん? だからイメージ的にはルースターズって最初、そんなヤンキーとローラーのちょうど中間みたいな感じだったんだよね。でもいわゆるパンク・バンドではないし、まぁロックンロール・バンドなんだけど、音や佇まいがもっと凄い暴力的っていうか、何て言ったらイイか判らないけど表現できない感じ? そこがカッコイイなぁと思って、オレには最初からすぐガツンときたけどね。 
 
RYOJI:自分は学生の時とかがちょうどあのバンド・ブームの頃で、オレもそういうのをよく聴いてたんですけど、そのバンド・ブームのミュージシャン達がみんなお手本にしてたのはRCやルースターズとかって言ってたんで、それを知って遡って聴いていった感じです。リアルタイムで意識した時はもう解散ライブとかの頃でした。
 
──確かにオレ、増子さん、近藤さんとかのリアルタイムの世代には、RC、ルースターズ、ARB、モッズ、アナーキー、ロッカーズとかその辺のバンドはみんな絶対的な存在ですよね。
 
スタッフ:そう言えば意外な感じがしたんですけど、近藤さんは実は福岡の人なんですよね?
 
増子:えっ、そうなの!?
 
RYOJI:じゃあ、めんたいロックの血筋じゃないですか!? ってことは、世代的に言うとUP-BEATの次? アンジーの下くらいってことですかねぇ?(笑) そうか、PEALOUTは実はめんたいロックだったという驚愕の事実が今日判明しました!
 
近藤:いやいや、PEALOUTで福岡出身はオレだけだから、三分の一だけね(笑)。
 

どんどん変化しても出したもんが全部ちゃんとイイってとこが凄い

──(笑)。でもそういうバンド達の中でもルースターズってレコードが出るたびに毎回イイ意味でファンを裏切るというか、とにかく変化を恐れないバンドでしたよね?
 
増子:そう。ルースターズって何が凄いって、バンドとしての成長の早さが信じられないくらい異常に早いんだよ。もうアルバム出すたびに何歩先もどんどん進んでいっちゃう感じだったよな。
 
近藤:そうそう。デビューしてから大江さんがいた時期って実はほんの4年くらいなんだけど、そん中であんだけ変化していくって凄い。そう言えば、この前花田さんに会った時に“PEALOUTって何年やってるの?”って訊かれて、“10年ですよ”って答えたら、“へ~凄いねぇ、オレなんかバンド10年もやったことないなぁ”なんて言ってた(笑)。確かに花田さんがボーカルになった時代を足しても8年くらいだもんね。
 
増子:そう、しかもそれが正しい変化の仕方っていうか、ちゃんといつも納得できる変化をしてくれてるんだよね。でもそういうバンドって意外といないんだよ。“ええっ!? そっち行っちゃうのかよ!? そっち行っちゃったら終わりじゃないかよ!?”ってバンドがほとんどじゃない? そんな中、ルースターズって最後までガンガン正しい変化をしていったバンドだよね」 RYOJI「やっぱそうやって変化して出したものがちゃんとイイっていうのが、ルースターズの大事なポイントですよね。
 

ルースターズの歌詞って口ずさんでるだけで気持ちよくなってきて、どんどんテンションが上がる

──ルースターズに一番影響を受けた部分ってどんなとこです?
 
近藤:やっぱ大江さんのあのライブのテンションとか、あとギターの弾き方やステップとかステージでの動きも凄くカッコよくてね。それと音楽的なことで言ったら、オレやっぱ歌詞が凄いと思った。言葉にちゃんとビートがあって、そのビートそのものに対しての日本語の乗せ方もどんどんカッコよくなっていってて、その頃は自分がその歌詞を思い出して口ずさむだけですぐ気持ちよくなれて、テンションが上がってきてどんどんロールしていけて、そこがホント凄いなぁと思った。
 
RYOJI:自分は消化の仕方っていうんですかね。例えばファーストはやっぱストーンズだったり、途中からニューウェーブ色が強くなったりしていく中で、“この曲はあの曲をパクッてるんだろうな?”とかが聴いてて判るんだけど、でもそれが全然カッコイイというか、抜群のセンスの良さが光ってて、全く下品な感じがしなくて品があるんですよね。そういう影響を受けた音楽の消化の仕方とかセンスの良さみたいな部分は凄く影響を受けたし、勉強になりましたね」 増子「ルースターズもそうだけど、当時オレが好きだったバンド達って今じゃあり得ないくらいみんなリリースのスパンが凄く短いんだよね。だからオレはそこに影響を受けて、怒髪天のリリースのスパンを短くしてるんだけど(笑)。
 
──(笑)。ちなみに、みなさんルースターズで一番好きなアルバムって何ですか?
 
増子:オレ、一番好きなアルバムは『DIS.』なんだけど…」 
 
全員:へぇ~~~!!!!」(凄い意外!! というどよめき)
 
増子:いや、『DIS.』最高だよ! ハズレ曲一切なし。何か聴いてるとフランスの映画とか観てるみたいな気分になるもん。あの独特のダンディズム感とかね。
 
RYOJI:オレとか追体験の世代が後からその頃の流れを見てみると、『DIS.』とかの頃から曲調もスピードもゆるくなって、歌詞も内向的な感じになって早い曲もないし、当時のファンは不満に思ったんじゃないかなと思いましたけどね。
 
増子:いや、そこが良かったんだよ。特に〈風の中に消えた〉とか、もう超~~名曲だよ!! 酒呑んでる時にあれ聴くたびに泣けてくるもん。あれとあと中島みゆきの〈ファイト〉はいつ聴いても飯とか酒が涙でしょっぱくなるもん。
 
全員:(大爆笑)
 
RYOJI:そこ、同列なんだ(笑)。
 
近藤:でも確かに、オレ弾き語りとかでルースターズのカバーとかよくやるんだけど、この前調べたら実は『DIS.』の中からのカバーが一番多かったな。オレは一番好きなのってアルバムじゃなくて、〈ニュールンベルグでささやいて〉から〈C.M.C〉のあの12インチ2枚かな。で、その2枚の楽曲に限らずだけど、ルースターズのたくさんあるいろんなライブ音源とか聴くたびにいつも驚くんだけど、同じ曲でも毎回全部アレンジが違うんだよね(笑)。
 
RYOJI:〈ニュールンベルグ~〉なんか、最後もうスピードが倍くらいになってるライブ・テイクとかありますもんね(笑)。
 
近藤:バンドやってるとみんな同意見だと思うけど、ライブで曲のアレンジ変えるのって実は凄い大変なことじゃない? で、推理するに、きっとルースターズって初期とかライブ一杯やってるから、同じ曲で同じことを何回もやりたくないあまりに誰かが突然違うことを始めちゃって、それにみんながどんどんノッてったとか、そういう感じだったんじゃないかと思うんだよね。まぁ、メンバー全員がイイ意味で飽きっぽくて、どんどん新しいことを取り入れていく非常にせっかちな感じがルースターズっぽいと思うけどね。
 
RYOJI:でもそれはやっぱメンバー全員がそれに付いていける腕があったってことなんでしょうね。僕は一番好きなアルバムは『~a-GOGO』ですね。ちょっとポップで、でも激しさも荒っぽさもちゃんとあるっていう。〈Fade Away〉とか、もうイントロ聴いただけで鼻血出ますね(笑)。あの疾走感というか、池畑さんのハイハットとかもう壮絶で、あんな早い曲どこにもないっすよ。
 
増子:前に池畑さんから聞いた面白い話があって。最初の頃のレコーディングの時に、スタッフが“明日からドンカマ(レコーディング等でテンポを合わせて演奏するために使うメトロノームのような機材)を入れてみよう”みたいな話をしたんだって。で、それを聞いた後メンバー同士で“明日から何か誰か入るらしいよ?”とか話してたんだって。要するにみんなドンカマを知らなくて、ドンカマを人の名前だと思ってたんだって(笑)。
 
全員:(大爆笑)
 
 増子:それで次の日来たら機材だったんで、全員ズッコケたとか言ってたけど(笑)。でも、それでいざドンカマ入れて叩いたらもう池畑さんリズムが見事にジャストだったらしくて、すぐ“ドンカマ要らない”って言われたんだって。やっぱそこが驚異的だよねぇ。
 
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