Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】DOMINO88(2004年5月号)- ドミノ、第2次初期衝動モード突入! ポップに突き抜けた最高傑作『SOULHOUSE』、堂々の完成!!

ドミノ、第2次初期衝動モード突入! ポップに突き抜けた最高傑作『SOULHOUSE』、堂々の完成!!

2004.05.01

音楽は湿布みたいなものでちょうどいい

──DOMINO88は、エンターテインメントだと思ってます?
 
Keyossie:思ってますね、それは。結構、ブチ抜きで思ってますよ。ドリフだって思ってますから。インディー界のドリフ。ライヴハウスのザ・ドリフターズですよ、DOMINO88は(笑)。なんかね、とにかく喜んでもらえないとイヤなんですよ。『凄い!』とかって思われるよりは、むしろ小バカにしてほしい。指さして笑って帰れって感じ。聴き入るな、笑え! って感じ。
 
──凄いっすね、その腹の括り方。
 
Keyossie:いやいや、そんなもんですよ。日々日常のなかでそれぞれいろいろあると思いますけど、そのなかで、湿布みたいなもんでいいんじゃないですか、音楽は。
 
──「あ、ちょっと気持ちいいな」くらいでちょうどいい?
 
Keyossie:そう。でも、朝起きると(湿布が)どっかに行っちゃってて忘れてる、みたいな。そんなんでいいと思うんですよ。少なくともDOMINOはそうでいい。ただ、曲のなかにはどうしても僕ら自身が出てますけどね。僕らの核を、裸にして詰め込んだ11曲なんで。
 
──そうですね。
 
Keyossie:そういう意味で『SOULHOUSE』っていうタイトルにしたわけで……っていうか、ぶっちゃけ、ここ(新大久保にあるスタジオ)から歩いて3分くらいのところにある韓国料理屋の名前なんですけど(笑)。レコーディングで煮詰まると、ついそこに行って酒を飲んでしまう自分がいるわけですよ。あと、チヂミがめちゃくちゃ美味っていう話もあるんですけど(笑)、そこが行きつけのお店になったことで、『SOULHOUSE』っていうワン・ワードが僕の心に凄く響いたわけです。で、『これだ!』って思って付けたタイトルですね。
 
──がっちり魂をさらけ出した、と。
 
Keyossie:まさに。で、『よし、さらけ出すぞ!』って言ったら、なぜか40本もツアー組んじゃって。『今年は攻めますよ!』なんて言ったもんだから、『じゃあ、ツアーやろう!』って話になって、引くに引けなくなっちゃって。まぁ、調子こくとどんどん話が膨らんじゃうわけですよ(笑)。
 
──いいじゃないですか。やりましょうよ、ツアー。
 
Keyossie:まぁねぇ(笑)。そういえば、ロフトでレコ発っていうのも、超久々で。ファースト・アルバム『FRIENDS OF LONG STANDING』以来ですよ。ロフトは一番好きなライヴハウスだから、嬉しいっす。
 
──ありがとうございます(笑)。
 
Keyossie:(歌舞伎町に)移ってから初めてやったのが、2000年なんですよ【註:2000年1月4日に行われた“走れ!青春!胸キュンナイト SPECIAL 2000”】。確か99年の4月ですよね、移ったの。2000年の一発目は、僕らとKEMURIなんです。僕の企画でKEMURIを呼んで。昔のロフトは1回しかやったことないんですけど、それも超感動でしたね。よく、昔のロフトにはライヴを観に行ってて。NOFXとかも観に行ったし。ハイスタも観たし。そういえばハイスタのチケットを取ろうと思ってロフトに並んだこともありました、ドラムのシンタロウと一緒に。で、ちょうど俺らの前でチケットが売り切れて(笑)。僕は東京にいたから『ま、いいか』って思ったんですけど、シンちゃんはまだ島根にいたから『悪いなぁ。ごめんね』って、なぜか謝って。いろいろ思い出がありますよ、ホント。あとね、俺は下北沢ロフトでバイトしてたんですよ。
 
──あ、ホント?
 
Keyossie:うん。そこで昔の出演バンドの記録を見て、『お、スピッツとウルフルズが一緒にやってる!』とか『ブルーハーツが出てる!』とか、いちいち感動して……なんかね、そのころの衝動が戻ってきてる感じがするんですよ。第2次初期衝動っていうか、一周して戻ってきて、また違う初期衝動を感じてて。バンドを始めたころはまだ子供だったんで勢いだけでやってましたけど、今回のアルバムは、勢いと筋力と知恵もつけた感覚があるんですよね。バンドのモチベーションも凄く高いし。ジャケットもね、インディー盤の1枚目をやってくれた、俺の昔からの仲間に頼んだんです。そいつ、フィギュアの造形士なんですけど。で、レコ発はロフトでしょ? いろんな意味で、第2次ステージの始まりなのかなっていう。そういう気分はありますね。
 
──(笑)何でいま、バンドに対するモチベーションが上がってるんでしょうね?
 
Keyossie:なんでですかね? 自分でもよくわかんないですけど…。96年結成なんですよ、実は。あ、違う、97年かな? まぁ、7年か8年くらいやってるわけですけど、いろんな意味で“1周した”って感じなんじゃないですか。あ、そういえばね、最近の僕らのライヴって、外人が出てるんですよ。23歳のオリビアっていう黒人なんですけど、僕とツイン・ヴォーカルで。日本語が片言しか喋れないから、ライヴ中は『俺が何を言っても、この言葉で返してくれ』って言ってあって、“ダッフンダ”しか言わないんですけどね。
 
──ハハハハハ!
 
Keyossie:そのコ、すげぇ声が小さいんですよ。しかも、超ノミの心臓。この前、ヘルマン(Hermann H. & The Pacemakers )と一緒にライヴやったときも、楽屋で居場所がなくなって、ずっとひとりで立ってて(笑)。それくらい、超ノミの心臓。かわいいでしょ? “ダッフンダ”しか言わないけど(笑)。ロフトにも出すので、観に来て下さい。
 

イヤイヤ走ってるマラソン・ランナーみたいなもんかな

──なんか話がどんどんズレてますが、まぁ、バンドの調子はいいわけですね?
 
Keyossie:そうですね(笑)。『SOULHOUSE』も、いい意味で成熟した感じが出てると思うし、なおかつ衝動的なところもあって。やりたいことをわかりやすい形でできてると思いますよ。
 
──スカ、歌謡曲、オールディーズなんかの要素をポップに表現するっていうのがDOMINO88の基本的な方向性だと思いますけど、それもレヴェル・アップしてて。
 
Keyossie:うん、結構できるようになったんじゃないかなぁ。どんなテイストでも、僕らのフィルターを通 して落とし込めるようになったとは思います。まぁ、まだまだですけどね。イチさん(MASTER LOW)とかには全然かなわないんで。
 
──(苦笑)でも「めんどくせぇな、バンドなんかやめてやる!」っていうのはないんでしょ?
 
Keyossie:や、いつも思ってます(笑)。だって、ホントにめんどくさいじゃないですか、バンドとかって。基本的には人と人なんで、いろんなことがあるし。『じゃあ、なんでレーベルとかやってるんだろう?』って話だけど(笑)。めんどくさいことが嫌いじゃないんでしょうね、きっと。イヤイヤ走ってるマラソン・ランナーみたいなもんかな。よくわかんないけど、走ってるうちに気持ちよくなってきちゃって(笑)。
 
──ハハハハハ。
 
Keyossie:でも、4、5、6年くらいやってると、めんどくささが取れてくるんですよね。いちいち細かいことを言わなくてもわかるようになってくるっていうのもあるし。あとは、何だろう、音楽の魔法みたいなこともありますよ、ここまで続けてこれたっていうのは。バラバラになりそうでも、音楽によってつながっちゃうんですよね。CDが出来ると、それが接着剤になったり。ライヴも、そうですよね。いろんなところに接着剤があって、気が付いたら離れられなくなるっていう。いまさらバッくれたら大変ですからねぇ、いろいろと。今回(の『Rooftop』)も表紙なんですよね? ヴォーカルがいなくなったらヤバイっすよね…。
 
──ヤバイっす。
 
Keyossie:そうっすよね、やっぱり(笑)。でも、バンドってどこも同じっていうか、ひどいもんですよ。レーベルをやってるから、若いバンドどもを相手にしてるじゃないですか? ホントに最低だって思いますね(笑)。この前もホーンの女の子同士がスタジオでケンカを始めちゃって。九州弁で怒鳴り合ってるんですよ、女の子が。ひどいもんですよ(笑)。そうかと思ったら、わけわかんないところにこだわるしね。スカのね、“チキッ”(ギターの裏打ち)があるでしょ。あれに意味を持たせたいって言い出したんですよ(笑)。そんな話を1時間くらいしてるっていう…。それに付き合うのも、大変っすよ。『“チキッ”に意味なんかねぇよ』と思いながら、『うーん、そうだねぇ』とか言って。
 
──(笑)昔の自分達を思いだしたりしない?
 
Keyossie:あ、それはありますね(笑)。僕らも、頭でっかちな時代を経て、いまがあるので。レーベルのバンドも、いい音が上がってきてますからねぇ。まぁ、いろんな人に“湿布”を提供できるようになればいいかな、と。『あんなものでも、ないと困るよね』って言われるくらいの存在になれればいいですよね。
 
──とりあえず素晴らしいアルバムも出来たし、40本のツアーもあるし、DOMINO88もガンガン行けそうですね。
 
Keyossie:…だとイイですけど。でも、ツアーはねぇ…(←まだ言ってる)
 
──(笑)でも、バンドは飽きないんでしょ?
 
Keyossie:うん、飽きないですね。飽きたらやめますから、確実に。飽きるときっていうのは、他に何か新しいものが見つかったときなんですよ。だからバンドより楽しいものがあったら、そっちに行くと思います。そんなもんじゃないかな。ダメかな?
 
──イヤ、正直でいいと思います。
 
Keyossie:でも、ここ何年かは音楽にハマってるので、当分は大丈夫だと思いますけどね。
 
──7月19日のロフトのライヴも楽しみにしてます。
 
Keyossie:その日はもう、打ち上げですよ! オールナイトで酒を飲もうと思います(笑)。
このアーティストの関連記事
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻