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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】怒髪天(2004年5月号)- またまたイイもん出来ました! これぞ怒髪天流R&B──『リズム&ビートニク』!!

またまたイイもん出来ました! これぞ怒髪天流R&B──『リズム&ビートニク』!!

2004.05.01

我々はジャニーズ・シニアですから(笑)

増子:で、1曲ずつ解説だよね。まず〈俺様バカ一代〉。これは実は、もの凄く哀しい曲だから。切ないっちゅうかね。何をどうすればいいのか判らない時に“自分は自分でいいんだよ”という自己肯定。それをすればいいだけなんじゃないかな? って思う。ちゃんとして立派にならなきゃとか、そんなことにとらわれなくていい。そんな曲。 〈オオカミに捧ぐ〉、これは常に思ってることで。自分で何かを見つけた瞬間に、己をブタではなくオオカミだと自覚しよう、と。常に行き急がなきゃいけない、甘えちゃいけない。そういうふうに思って生きてきたんじゃないかと再確認する歌だね。 〈夕焼け町3丁目〉に集約されているものは、歌詞にもあるけど“それでもやるんだ”ってこと。いろんなことがうまく行かなかったり、辛いことも一杯あった、もうヤッバイかな……でも、それでもやる。それだけ。夕焼けなんてのはさ、単なる自然現象かもしれないけど、それを見た時にグッときちゃったりするじゃない? 疲れ切って灰になってしまった自分も、また燃えられる。まだ明日もちょっとは行けるかな、って……。シミ? 大丈夫?
 
清水:んゅ?(寝てた) 
 
増子:シミは寝るとだんだんクサイ臭いが出てくるからね。…ってどんな生き物だよ(笑)。で、〈明日への扉〉は、よく“俺はツイてない、あいつはツイている”なんて言うけど実は違う。誰にでも同じように扉は開かれているんだよ。でもそこでスネている奴は、開かれている扉を見ないようにしてるんだよね。そこを直視するためにはどうすればいいのか、そんなことを考えて作った。誰かに“よーいドン!”と言われるんじゃなくて、自分で数を数えて立ち向かうほうがいい。誰にでも平等にチャンスは巡って来る、そう思って作った歌だね。 〈また来いよ〉。これに関してはあまり言いたくないけど、まぁ、色々ありまして…。こういう歌は今までなるべく作らないようにしてたの。友達が死んだことで曲を作ったりするのは良くないって思ってたんだけど、でも良くないと思うことも良くないんじゃないか、って。反対の反対の反対なのだみたいな、バカボンのパパ状態。そこで無理して抑えることもないし、泣いてもらおうとも思ってないし。何より自分のために作った歌だしね。友達だって、親だって、兄弟だって、誰だっていつかは死んじゃうしさ。哀しいよ。そういう気持ちになることは俺だけじゃないだろうし、自分だけが最高に哀しいわけじゃない。そんなことが少しは緩和されるかな、と…。  …で、最後の〈青嵐 -アオアラシ-〉。これはキンキキッズかな(笑)。
 
──キンキかマッチ路線ですね。「情熱☆熱風せれなーで」みたいな。
 
増子:そこが判ってくれると凄く嬉しい。これメチャメチャいい曲よ。ジャニーズ系ですから。我々、ジャニーズ・シニアとしては(笑)。70年代後期から80年代歌謡のオマージュ満載だからね! 青春ロックですよ。なかなかこういう曲は作れないと思うよ。
 
──全編を通して“歌”を軸としてますよね。そこへギターもベースもドラムもすべてが向かっているというか、〈また来いよ〉にしてもアレンジに抑制が効いていて、その結果 、歌が凄く生きていると思うし。
 
増子:バンドでやりたい方向性は完全に固まってるからね。気づかないかもしれないけど、〈また来いよ〉は打ち込みなんだよ。
 
上原子:打ち込みというかループだね。坂さんに一回普通に叩いてもらって、そのトラックを2番から重ねてる。だから途中からドラムが2個になっているんです。
 
増子:ライヴでは坂さんがスイッチ押すだけとかね。“メカ詰克彦 登場!”ってな(笑)。うん、今回のアルバムを作ってみて思ったけど、シングル・コレクションっぽいなっていう。一つずつ世界感が完結出来るようなものが割と好きなんだよね。今度のはそれがより出来てるね。
 
清水:今回は特に、最初にポンッと出てきた時の感じを大事にしてて。そういう中でベースラインを最初に作ってたんですけど。1曲だけ、その〈また来いよ〉はちょっと違うやり方にしたかった。頭を重くしないで、ほぼメロディで、後はいつもと同じように。
 
──坂さんはどうですか?
 
坂詰:そうっすねぇ。新たに取り立ててチャレンジしたというのはなかったかもしれないですね。結果 的にドラムについて自分が知っていること以上にちょっと勉強したことがあったんで、それが少し出てたかなって。テヘヘヘ(照笑)。
 
上原子:ループを組んだのも冒険だったしね。
 
──それは誰が言い出しっぺだったんですか?
 
増子:友康? “やってみよう”って言ったのは。
 
清水:そう。“アレンジしよう”って言って。
 
増子:ある程度出来上がったものに“これちょっとやってみようよ”っていろいろアイデアを出すのは、大概、友康とシミの2人だから。
 
──その青写真は友康さんやシミさんの頭の中にカッチリあるものなんですか?
 
上原子:だいたいこんな感じになるだろうと想定をして作っていくんですけど、今回はレコーディングが始まってからギターを考えていて(笑)。1曲集中みたいな、そのメロディを生かすための楽曲作りを僕自身心がけているんですけど、今までだったら…例えば〈オオカミに捧ぐ〉のAメロのギターは最初メチャメチャ弾いてたんですよ。そうしたらシミが“邪魔だ”って(笑)。お~シミ、言ってくれるなぁ、と思ってたんだけど、後で聴いたらやっぱりそれが正解だった。〈また来いよ〉も、最初はサビで盛り上がるクイーンのような展開が頭にあったんです。そうしたらシミが“違う”って。“淡々と歌の力だけで行こう”と。ドラムとヴォーカルだけになったりとか、また歌だけになって…っていうのはシミのアイデアだから。
 
増子:意外とシミ、考えてるからね。
 
上原子:アイデアマンだから、シミは(笑)。
 
清水:あくまで歌モノだと思って自分はやっているだけで……。ベースはギターとドラムの間の楽器だから。いかに歌を聴かせるか、そこを邪魔しないようにするにはどうしたらいいか、いつもそう思ってて。
 
上原子:だから一丸となって、最終的に歌を生かすことが出来たなぁって今回は特に思うんですよね。
 
増子:じゃあ、最後に坂さん。
 
坂詰:僕はもう、みんなの発言通りで。いや、ホントホント! 勉強になります!
 
──坂さんはギャラさえ良ければ何でもいいですか?(笑)
 
坂詰:その通り!
 
増子:坂さんは今、サンバ・カーニバルに夢中だからね。何か浅草まで見に行って、いたく感銘を受けてきたらしいよ。そのうちステージもサンバの格好で出ていくから。尻に花刺してな。シーンッてなったら、シミに思いっきりケリを入れてもらって(笑)。一回やったほうがいいんじゃない?
 
坂詰:…いや、ヘタにやって人気が落ちたらヤだから。
 
一同:ハハハハハハ!
 
増子:毎回ライヴでそれをやったらロティカ喰えるよ。日本のロックの歴史に“ピエロの人か、サンバの人か”って刻まれるから!
 
──“おにぎりの人”から“サンバの人”という認知へ。
 
増子:そう、おにぎり。今回のジャケットでもちゃんと、坂さんおにぎり持ってるからね。最初さ、坂さんがデザイナーの人に『おにぎりにゴマを付けて下さい』って注文したら、『頭がゴマ塩みたいだから、かぶって見えなくなりますよ』ってオイ、ゴマとかゴマ塩とかどんな大人のやりとりなんだよ(笑)。子供に話してんじゃないんだから。
 
──(笑)。では最後に、今度のツアーとRooftop読者に一言。
 
増子:ライヴは、ホンットいいもん見せるから。だから絶対観に来て。いや、来ないと困るから! 特に6月9日のワンマンは。Rooftopは先月号の“おじさん”のところを“お兄さん”に変えておいて(笑)。誤植でしたって。いやぁでもね、俺一番読む雑誌って666のカタログとRooftopだから、本気で。隈なく読むよ。読むところたくさんあるじゃない? 『おじさんの眼』とか。
 
上原子:うん、読む読む。
 
増子:ということで、これからは“おじさん”と呼ばないでね。せめて“おじさま”と呼んで下さい(笑)。
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