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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】フジファブリック(2003年6月号)- どうなるのかな? って重ねていくのが凄い面白かった

どうなるのかな? って重ねていくのが凄い面白かった

2003.06.01

interview by 朝倉文江 (QUIP MAGAZINE)
photo by KISHIMARI

現時点で最高の音が詰まった2ndミニ・アルバム『アラモード』、遂にリリース!
──初めにメンバー紹介として、他者紹介をして下さい! まず、加藤さんについて教えて下さい。
 
金沢ダイスケ(key, cho):加藤君、意外とマニアックだよね。なんか皆の話にすぐ喰らい付いてくる感じが。何でも知ってる。
 
渡辺隆之(drs, cho):…加藤君は非常にジェントルマンな方で。
 
志村正彦(vo, g):ジェントルマンだね!
 
渡辺:見てくれもこう、ハンチング帽子からジェントルマンな風格を匂わす。例えばエレベーター乗る時でも「お先にどうぞ」みたいな。気配りが(笑)。
 
──はい、では渡辺さんについて。
 
加藤慎一(b, cho):2面性がある人ですね。
 
全員:わははは。
 
加藤:少年っぽくしてる部分もあれば、結構なんか落ち着いたりしてる部分も垣間見えたり…っていう。
 
渡辺:有り難うございます。
 
志村:……例えばもし、僕が女性だったら、この人とは結婚したくない(笑)。
 
渡辺:あははは。まぁ、バンドのヨゴレ担当ですね(笑)。
 
──(笑)では金沢さんについて。
 
渡辺:一番年上っちゃ年上なんですけど、4人のなかでは割とお茶目な方だと思います。
 
加藤:打ち上げの時とか(笑)。
 
志村:あ、打ち上げの時ね~(笑)。打ち上げ番長。
 
──では志村さんについて。
 
渡辺:え~とですね、非常に自己中心的な(笑)。
 
全員:わはははは(笑)。
 
渡辺:リーダーっていうところもあるんですけど、ど~でもいい話をされて僕が聞いてないと怒るんですよね(笑)。
 
──(笑)アニキ系ですか?
 
加藤:アニキ系…じゃあない。
 
全員:ははは(笑)。
 
渡辺:良い所は、割と見えない所での思いやりが凄い、男らしい。言わないけど、「やってるよ俺」みたいな。
 
志村:仁義!
 
全員:ははは(笑)。
 
──今回待望のセカンドですが、まずタイトルの『アラモード』とは?
 
志村:「アラモード」は“現代的な”とか、そういう意味があるんですよ。前回は色々やった中で、今回は自分たちの中で現代的なというか、コレがやりたいんだっていう。
 
──今回のレコーディングで大変だったことは?
 
渡辺:アルバムの1曲目の「花屋の娘」ですけど、今までになくテンポが早いワケですよ。これを叩くのが僕はとてもとても大変で。
 
全員:ははは(笑)。
 
渡辺:何度も何度も叩いた。他の曲は割とすぐいけたんですけど、コレだけは。スタジオの中でパンツ一丁で叩いてましたね。辛く(笑)。
 
──では面白かったこと、楽しかったことは?
 
志村:休憩中に食ったマクドナルドが楽しかった。
 
金沢:あ、初日に俺、熱を出したんだ。39度くらい。その朦朧とした中で録ったのが「お月様 のっぺらぼう」で、直ってから入れ替えようと思ったんですけど、どうやってもこの感じが出せなかったんで。
 
──熱で大変だったけど結果オーライですね。楽しかったことは?
 
渡辺:前回はある音を録っただけなんですけど、今回は録ってから色々やる作業とか、ミックスとか結構…。
 
志村:ミックスは楽しかった!
 
渡辺:そう、あとコーラス・ワークを結構入れるって志村が言って、僕らは音を聴かされてなかったので、いきなり現場で音を入れていくわけですよ。それがどうなるのかな? って重ねていくのが凄い面白かったですね、音楽的に。
 
──金沢さんと加藤さんは今回フジとして初のレコーディングでしたよね? 何か考えていたことなどは?
 
金沢:とりあえずシンプルにやろうと思って。そのシンプルさの中でいかに演奏と歌とのミックス、歌を持ち上げるか、というように。鍵盤だけで4つも重なってる曲とかもあります。
 
加藤:思ったことはやっぱ、こう、入って初めてのレコーディングなんでちゃんとやろう、っていうことです。
 
──今回の曲はいつ頃の?
 
志村:元々ある曲もあるけど、レコーディングがありますってことで…アレンジし直してアルバム用にしたいなと思ったのは「お月様 のっぺらぼう」ですね。コレは今回用に急ピッチで(笑)。
 
渡辺:これはどんどん変わっていきましたね。
 
僕らの音楽はちゃんと集中して聴いてほしい
──一言ずつ曲のコメントをお願いします。
 
■花屋の娘
 
志村:あまり何も考えず、ノリや疾走感みたいなものを大切にして演った曲です。
 
■追ってけ 追ってけ
 
渡辺:これは非常にお茶目な…。お茶目な感じだよね。
 
志村:3~4年前からある曲です。
 
■お月様 のっぺらぼう
 
加藤:これは割とスペーシーな。ループな感じなんですけど。生ループが醍醐味です。
 
志村:あと、これはコーラスを頑張りましたね。
 
■消えるな太陽
 
金沢:前までやっていたものとアレンジとかもだいぶ変わってて。どうですか?
 
■環状七号線
 
志村:やっぱコーラスが凄く気持ち良い、そういうことがやりたかった。
 
■笑ってサヨナラ
 
志村:これは本当にこのまんまですね。これは新メンバーになってからの曲ですね。
 
──今回の歌詞で特に思い入れがあるのは?
 
志村:1曲目の「花屋の娘」ですね。これはなんか勝手に、とある女子を見て、その人が気になって妄想して…今まで割と格好つける感じの「悲しくったってさ」とか強がるのがあったんですけど、それとは別 に「はかない」って言ってるのも別の軸でありつつ、あんまり考えずに、気持ち悪いとか、人間の誰しもある、人には見せられない恥ずかしい部分というか、そういうのもやってしまおうと。もっと気持ち悪いのもたくさんあります(笑)。
 
──では、このアルバムを作り上げた感想をお一人ずつ。
 
加藤:凄い、いいと思います。前作とは全然違いますけど、凄くいいと思います。
 
渡辺:前作もそうだったんですけど、今回も色んな曲が入ってて、楽しく聴いて頂けたら、嬉しいななんて思います。アラモードな仕上がりになってます。
 
金沢:この録った時点でのできる限りのことというか、その時点での最高の音になってると思います。なので、これは名盤ですね。
 
志村:CDを作るっていうのは、音楽をやり始めた時点で、自分が買いたいCDを作るっていうのが大前提で。しかも2枚目となると前回よりは確実に、“自分が家で何回も聴きたくなるようなやつを作ろう”って曲を作ってレコーディングしたので、今回は前作に増して自分が好きなアルバムが出来たな、というのを聴いてもらいたいですね。自分が自信を持って勧めるこのアルバムを聴いてもらえれば。俺は音楽冥利に尽きるなと。
 
──音楽には色んな楽しみ方があると思いますけど、志村さんはどんなふうに?
 
志村:家で、1人で、聴くもの。家で1人でしか聴かないですね。喫茶店でBGMとしてジャズがかかってたらそれは気分に浸れて良いんですけど、自分たちがやるのはあからさまにバンドというか、雰囲気作りの音楽はあんまりやりたくないですね。ジャズは凄い好きなんですけど、自分たちがジャズをやろうとしたら、雰囲気ものとして聴かれるんではなくて、1曲で疲れるような重いやつを。
 
──聴いてる人を巻き込むくらいの。
 
志村:はい。それを聴いて…ポッキーとか食べながら雑誌とか読まれたら僕は憤慨です(笑)。
 
全員:わはははは。
 
──(笑)ちなみに皆さん、ご自分の家では?
 
志村:ふとんの上に胡座をかいて、スピーカーを耳の高さにして気合いを入れて聴く。音楽を聴く時はTVとか見ないで。だからドラマが充実してる曜日は音楽は聴かない。
 
全員:わははは(笑)。
 
渡辺:僕は部屋の電気を消して聴いたり。お風呂に入りながら聴いたり、ウォークマンで聴いて街を歩いてみたり。あ、去年はある曲にヤられて、1人で原チャリで鎌倉、茅ヶ崎まで行きましたね。
 
──ある曲とは?
 
渡辺:サザンオールスターズの「真夏の果実」です。あれに去年はヤられてて。海まで行っちゃって。海パンじゃないのに海に突っ込んじゃいましたね(笑)。
 
全員:わははは(笑)。
 
金沢:僕は色んな聴き方をしますね。自分はボサノヴァを聴くんですけど、それは耳を80%くらいボサノヴァに傾けながら掃除をします。そうすると掃除をしてるんだけどお洒落なことをしてる気が。シチュエーション好きですね。
 
加藤:僕はジャンルによったりします。深いのを聴く時は深くなって。
 
志村:そう、そういうこと。深くっていうか。雰囲気ものじゃなくて僕らの音楽はちゃんと集中して聴いてほしいですね。
 
──では最後にメッセージを。
 
志村:アルバム是非買って頂きたいです(笑)。ライヴにも是非来て頂きたいですね。
 
 
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