ストレートで歯切れの良い"ノットリ節"健在！ 地元・名古屋では"巨人・大鵬・卵焼き"ならぬ "中日・ノットリ・味噌煮込み"（by DJ ISHIKAWA）なる確固たる地位を築き上げた我らがNOT REBOUNDがまたまたやってくれた。前作『NICE TO MEET YOU』がどこか夕暮れ時を喚起させる切なさを称えた作品だったのに対し、通 算4作目となるフル・アルバム『Happy?』は喩えるなら"新しい朝"（彼ら流に言えば"朝勃ち"？）。どの曲も瑞々しく躍動感に溢れた"ノットリ節"の真骨頂が存分に味わえる快作に仕上がっている。というわけでRooftop隠語解放区ページの始まりです。（interview：椎名宗之）

気張らずにやったからこそいいものができた

──今度の新作、ポップでストレートで歯切れの良い、いわゆる“ノットリ節”が復活した印象を受けたんですが、ご本人たちとしてはどんな具合ですか？

カタギリ：ブッた斬った感はありますね。

マツバラ：狙い通りと言えば狙い通り。そういうふうに聴いてほしくて作ったアルバムですから。

──RYDERSのトリビュート盤、マキシ・シングルの「ふられ気分でPUNK'n'ROLL」からさほど間を空けずのリリースだし、バンドが今かなりいい状態にあるんじゃないかと。

カタギリ：まぁ、アルバムとしては1年8ヵ月振りなんですけどね。でも「ふられ気分で～」の曲は1曲も入ってないし、今度のアルバムを作り終えても曲のストックが残ったくらいなんで、まだまだいいペースで行けそうですね。

──頭から7曲目くらいまでは畳み掛けるように爽快なナンバーが続いて、最後のほうにリスナーへ問い掛けるようなヘヴィな内容の曲が並んでますよね。

マツバラ：問い掛けではありますよね、全体的なイメージが。

カタギリ：でも多分、こっちが問い掛けてみても答えにくい質問ではあるでしょうね。明確な答えは返ってこなさそうな。曲順は今回、ISHIKAWAさんが全部聴きながら決めていったんですよ。僕らは一杯一杯だったんで（笑）。並べてみたら凄い良かったんですけどね。ISHIKAWAさんは歌詞の内容を考えて、後半にああいう曲を持っていこうとしてくれたみたいで。最初からあんなヘヴィなテーマの曲だったら、ちょっと困っちゃうしね。

──一番最後の「正義のバクダン」なんて、曲名からしてタイムリーだし。

カタギリ：社会に対する憤りというよりは、“何でこんなになっちゃったんだろう？”っていう、自分でも疑問みたいなところが大きいんですよね。聴く人がどう捉えるかを考えずに作ったんで、その人の受け止め方次第なんですけど。ヘヴィと取るか、日常的な問題として受け止めてくれるのかは。

マツバラ：いろんな人がいますからねぇ。

カタギリ：アホか、と思う人もいるかもしれないしね（笑）。だから、別にどんな取られ方をしても構わない。

──今回はどうでしたか、ISHIKAWAプロデューサーの手腕は。

カタギリ：「もう終わろうよォ」ってやたら言っとったな（笑）。レコーディングは大体昼から始まって3時間でオシマイ。そっから夜の2時まで呑んだりとかして。呑み屋が開くまでスタジオで呑んで（笑）。

──それでよくこれだけいいアルバムに仕上がりましたね。

カタギリ：多分、そんだけ気を抜いてたからこそできたと思うんですよ。リズム録りの時、俺とドラムのクロちゃんだけすっごい焦って終わらせたんです。そしたら時間的な余裕がかなりできたんですよ。

マツバラ：スタジオも家から近かったし。ウンコしに帰れるくらいの距離（笑）。名古屋で録ったのは凄い久しぶりだったし、今までで一番気楽でしたね。

カタギリ：こいつ（マツバラ）なんか歌録りの前にギター録り終えて、会社の新年会に行きましたからね。「あと頼む！」なんて言って（笑）。

マツバラ：楽しかったっすね。前の時も楽しかったけど、「頑張ろうぜ！ よくやったぜ！」みたいな体育会系のノリだった。今回は「終わった、終わった！ 呑み行こう！」っていう感じで。

──やっぱり、1曲1曲の抜けが格段にいいですよね。だから、今思うとこの間の「ふられ気分で～」でのハッチャケっぷりが割とポイントだったのかな、と。

カタギリ：そうだと思いますよ。あれでいい意味で手の抜き方が判ったというか。抜いていいところと、ちゃんとやらなくちゃいけないところの区別 がやっとできたような気がする。だからこそ気楽にやれた。あそこで開き直りを覚えたから、重いテーマの曲も開き直ってしまえばやれちゃうし。

マツバラ：確かに今回は余りテンパった感じがなかったよね。俺がアルペジオに手こずったぐらいかな（笑）。

カタギリ：前は限界までやってましたからね。それこそ夜中の2時3時まで録りに使ったりして。でも、今考えたら効率が凄く悪いんですよね。かえって時間が掛かっていいものができない。今度のはサラッと録れたから、聴く時もサラッといけちゃう。

──しかも、呑みながらの録りだとリラックスしまくりでしょう？（笑）

カタギリ：普通、「明日は歌録りだから酒やめとけよ」とか言うのがプロデューサーでしょ？ 「何だオマエら、もう帰るのかッ!? 俺を置いて帰る気かッ!?」くらいの勢いでしたもん（笑）。