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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】一方通行9→17(2003年2月号)- このマキシは"「心に残るうた」を歌っていこう"という僕らの決意表明なんです

このマキシは“「心に残るうた」を歌っていこう”という僕らの決意表明なんです

2003.02.01

LYCOS JAPANとLOFT PROJECTが昨年共同開催した〈SPANKY PROJECT 001~ネットライヴオーディション〉で栄えあるグランプリに輝き、来たる2月5日にはデビュー・マキシシングル『SAMURAI-ROAD』を発表する一方通 行9→17〈いっぽうつうこうくじごじ〉。CDリリースに先駆けて下北沢シェルターで行われたレコ発ワンマンも大成功を収め、今日もこの不器用な若きサムライ3人衆は"心に残るうた"だけを武器にただガムシャラに突っ走る!(interview:椎名宗之)

このマキシは“「心に残るうた」を歌っていこう”という僕らの決意表明なんです

──まず、バンド結成の経緯から教えて下さい。

福島: テツヤ君がインターネットでバンドのメンバー募集をしてて、僕らがそれに引っかかりました(笑)。

山川: 結成からまだ一年なんですよ。

福島: 結成当初は単純に“楽しくバンド活動ができれば”くらいの感覚だったんですけど、日を増すごとに真剣になっていきましたね。

山川: 「人間、ここまで変わるのか!?」ってくらい、この一年で変わったよね。

福島: そうだね。 アレンジにしても、最初の頃は3人で曲を書いてたんですけど、どんなアレンジをしようが曲を書いた人間の好きなようにやらせて、後の2人がいい意味で合わせていくというか。バンド・サウンドを統一するというよりは、3人の個性を活かすことを最優先に考えてました。だからある意味、無責任でしたね(笑)。

阿部:うん、ノリでレコーディングしたりとかしてね。

──結成から割とすぐに自主制作盤(『確信犯的存在証明』)を作ってますよね。

福島: 当時は一回スタジオに入ったらすぐに一曲出来上がる感じだったんで。何せ無責任でしたから(笑)。曲がどんどん溜まっていったので「一枚作ろう」と。

──それにしてもインパクトの強いバンド名ですよね。一度聞いたらなかなか忘れないと思いますが。

福島: 意味の判らない英語の羅列みたいなのは避けたかったんです。じゃあ日本語が良かろうと。語呂とか響きの良さとかを考慮しつつ、いくつか四文字熟語を挙げていって、そのなかに“一方通 行”っていうのがあったんです。“9→17”っていうのはバイトのシフトですね(笑)。それを繋げて、勢いで。

阿部:他に候補としてあったのは“二段階右折”(笑)。

福島: でも「それじゃ右へしか進めないじゃん!」って。

──一年経ってみてどうですか、バンドとして在りたい姿と現状とでは大きな開きがありますか?

福島: 技術的にはまだまだですね。鳴らしたい音と今の自分たちの技量にはやっぱりギャップがあるんで、何とかしたいと思ってます。

山川: ライヴの回数を重ねたり、オーディションを受ける機会があるにつれて、プロとしてお客さんから見た目を凄く気にするようになったんですよ。最初は3人で書いてたレパートリーも、フクちゃんの書いた歌がこの先の一方通 行の路線として核となる部分だから彼に任せよう、とか。僕は一番大きな変化ってそこだと思うんですよね。

──デビュー・マキシとなる『SAMURAI-ROAD』に収められた曲はどれも“和”のテイストに溢れてますね。

福島: 元々は英語の歌詞を唄うバンドをやってたんですけど、それだと歌にソウルが込められてない感じがしたんですよ。取って付けたような言葉のような気がして。やっぱり自分だけの言葉で表現していきたいですからね。

──タイトル・トラックは、ライヴでも締めになることの多い曲ですね。

福島: そうですね。この曲が出来て意識的に変わりましたね。今まで見えてなかったものが見えたというか。サビの広がりが自分でも気に入ってます。

山川: 「ここで愛を。/ここに愛を。」って、凄く耳に残るサビだと思うんですよ。この曲に限らず、聴く人の耳に残ることが凄く大事だと思うんですよね。曲の一部分でもいいから、強いインパクトを与えたいんです。
阿部:そうだね。ライヴでやってて特に気持ちが入りやすい曲ですね。

──「神-KAMIKAZE-風」は「SAMURAI-ROAD」の世界観と共通するものがありますよね。

福島: ええ、コインの裏表って感じはありますね。この曲はサビの伸びやかな部分をレコーディングの時にちゃんと出したかった。歌詞云々の前に、まず「“神風”って何だ!?」ってところからインパクトがあると思います(笑)。

山川: そう、それがこの曲の引っかかりみたいなものですね。

阿部:これは割とレコーディングが迫ってた頃に形として固まってきて、ライヴでもやるようになったんですよ。この曲はマキシのなかに入れたいとずっと思ってました。

──最後の「心に残るうた」は自主制作盤にも収められていましたが、本当に名バラードだと思いますよ。

福島: ありがとうございます。これは3人で最初に演奏した曲なんですよ。

山川: フクちゃんがこの曲をスタジオへ持ってきた時、タイトルを見て“ナメた歌作ってくるな、こいつ”って思ったんですよ(笑)。

福島: あ、それ初めて聞きました(笑)。

──余りにストレートすぎた?

山川: ええ。でも実際演奏してみて「やっぱり残っちゃったよ」っていう(笑)。そんな力が込められた歌だと思いますね。聴いてる人にも絶対に共感できる部分があると思うし。

阿部:うん、僕自身も凄く好きな曲だし、長く聴ける曲だと思いますよ。

福島: “長く聴き続けられる曲を作る”っていうのは常に意識的にありますね。だからこれは“「心に残るうた」を歌っていこう”という、一方通 行の決意表明のような曲です。僕らの曲を聴いて前向きになろうと思ってくれたら嬉しいですね。ライヴでもこのCDでも、そこが一番伝えたいところかな。

山川: ライヴを観てくれたり、CDを聴いてくれる人には「やればできるんだよ!」っていうのが伝わればいいなと思いますね。僕ら3人はカリスマ性があるわけでもないし、特別 な才能を持っているわけでもない。ネガティヴになる時だってあるし、普通 の人と何も変わらないと思うんですよ。僕らもこの一年でここまで来ることができたんだから。

──一方通行9→17のライヴは毎回毎回が全力投球で、前のめり気味に疾走する姿が観る側に強烈な印象を与えると思うんですが。

福島: まだまだですよ。もっともっと直していかなくちゃいけない部分が山ほどあるんで。

山川: 満足だと思ったらそこで終わってしまうし、自分の不甲斐なさを感じてもキリがない。だから一回一回のライヴを大切にしていくしかないですね。

福島: ライヴは僕らの想いをダイレクトに伝えられる場所だし、観てくれているお客さんとの一体感を大事にしたいといつも思ってます。

阿部:今まで自分たちが培ったものをライヴですべて出し切るというか、観に来てくれた人には絶対満足させるつもりでやってるよね。

山川: うん。僕らのライヴを観てくれた人が「今日はいい一日だったな」と感じるようなライヴにしたいし、さらには「明日はもっといい日にするぞ」と思ってくれたら嬉しいですね。

──今後の一方通行9→17のヴィジョンは?

阿部:一言で言ってしまえば、常に進化し続けるバンドでありたいですね。今日よりは明日のほうがいいし、明日よりはその先のほうが良くなっているような。

福島: それを前提として、できる限りいろんな人たちに僕らの音楽を聴いてほしいし、ライヴももっとたくさんの人たちに観てもらいたい。それを近い目標として頑張っていきたいですね。

山川: ライヴもレコーディングも、こういうインタビューも、バンドとしてひとつひとつを楽しみたいですね。いろんなことを経験していくと新鮮な気持ちが薄れてしまいがちですけど、何に対しても楽しむつもりでやっていきたいです。

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