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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】Less than TV(2003年2月号)- レーベル制作は最高に楽しい

レーベル制作は最高に楽しい

2003.02.01

1992年末にここ日本で、世界的に見ても極めて個性的なレーベルが誕生した。ZKレコーズのバックアップのもと、谷口 順(GOD'S GUTS, U.G MAN, We are the world, Screwithin)がディレクターとして携わったレスザンTVがそれである。BEYONDS(のちにfOULへ)、bloodthirsty butchers、GUITAR WOLF、DMBQ、ロマンポルシェ。、DEW UNDER、FRUITY(のちSCHOOL JACKETSを経てYOUR SONG IS GOODへ)......レスザンTVが輩出してきたバンドはいずれも鎬を削るかのように強烈な個性を「これでもか!」と残し、シーンにその名を刻んできた。20世紀に入り、レーベル機能停止を余儀なくされていたそのレスザンTVが遂に今年再始動するという話を聞きつけ、レーベルの主宰者である谷口氏を緊急直撃した。(interview:椎名宗之)

レーベル制作は最高に楽しい

──遂にレスザンTVとしての活動が再開されるわけですが、今回リリースされるオムニバス『TOMODACHI IJO KOIBITO MIMAN TV IKA』が出る噂は結構前からありましたよね。

谷口:そうですね。去年くらいからバンドには声を掛けてたんですよ。ECDの音源なんかは一年前にはもうもらってて、それからちょっとゴタゴタしてたというか。要するに、今までレスザンってレーベルを僕がやってるって言っても、実質的には何もしてなかったんですよ。文句を言うくらいのことしかしてこなかったんで。それでZKレコーズの井手(宣裕)さんから思いきり怒られまして(笑)、これは自分で(レーベルを)やれってことだなと受け止めて。それで今回はミュージックマインに協力してもらったんですけど、今回も自分ではほとんど何もしてないんですよね(笑)。ただ、ちゃんとレーベルをやろうとはいつも思ってて、周りの皆様にもいつもご迷惑を掛けっぱなしなので、しっかりやろうと思って始めたんです。始めざるを得なかったというか。

──必要に迫られた部分もあったんですか。

谷口:ええ。もうレスザンをなくすわけにはいかないので。レーベル自体はずっとあったんですよ。ただ、今までは制作の仕事を全く判ってなくて、今回一から勉強するつもりでやらせてもらったんですけど…制作、最高です(笑)。本当に楽しいですね。「今さらか!」って感じですけど。

──『TVVA』(ch-1)が1992年発表ですから、それから10年経ってようやく制作らしい仕事をされた、と(笑)。

谷口:そうですね。遅いですよね(笑)。

──じゃあ、これまでの谷口さんの仕事は、ご自身のアンテナに引っかかるバンドを見つけ出して「あとはよろしく!」みたいな感じだったんですか?

谷口:いや、もっとひどいですよ。前は制作って言っても「レコーディング行きましょう!」「アルバム、イイっすねぇ! ピクチャーにしましょう!」とか勝手に決めて、録音の上がったものを「ハイッ!」って井手さんに渡すだけでしたからね。そりゃ井手さんも怒りますよね(笑)。ただ、バンドのチョイスに関しては、自分のバンドのメンバーや友達から「こんな恰好いいバンドいたぞ」って情報をもらってライヴを観に行ってみたり、僕一人じゃなくてみんなでやってる感じなんですけどね。

──今回のオムニバスは、“2003年型『TVVA』”といった趣もありますね。

谷口:そうですね。そういう感じでやらせてもらいました。初心に戻ってというわけではないんですけど、曲順も『TVVA』のようにアルファベット順にしたり、ジャケットも自分が考えたようにしてみたり。最初はもっとバンド数も少ない、ド渋な感じにしようと思ってたんですよ。でも今回は「自分でレスザンをやるぞ!」ってことで、もっとパーッとしてたほうがいいかな、と。オムニバスを作るのはやっぱり楽しいですね。ある程度予測してそれぞれのバンドに振るんですよ。「このバンドは直球のハードコアで来るだろう」とか、「グッとテンポを落としたので来るんじゃないか?」とか、「絶対とんでもないものを持ってくるだろう」とか、そういうのでバランスを見てやってますね。それぞれの反応も様々で、「自分的にラヴソングであればOKなのか?」とか、「タイトルに“LOVE”って入ってないとダメなのか?」とか、「ポップでメロウなものじゃなきゃいけないのか?」とか、みんな結構面 白がってやってくれたり。そういうのが僕は好きというか、レスザンらしいかなと思って。

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