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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】THE PARKINSONS(2003年1月号)- "Let's party in Japan!!"

"Let's party in Japan!!"

2003.01.01

去年の〈フジロック〉で初来日を果たし、いわくつきのパーキンソンズ・ライヴを観せた彼らは、日本のパンク・ロック・ファンの目にはどう映っただろう。その後、Hundred Reasons、The Jeevasと共に行なった赤坂BLITZの〈フジロック・アフター・ザ・パーティ〉で、トップ・バッターとして登場したパーキンソンズ。この風変わりな異国の未知のバンドは、微動だにしない観客をものともせず、自慢のストレートなパンク・ロックを叩きつけ、ヴォーカルのアルが2階席の柵によじ登った終盤の頃には、他の2バンド目当てのファンをも巻き込み、場内を興奮と熱気に落とし込んだ。このどちらのライヴも見逃した人、知らないから観ていない人も多いはず。遂にパーキンソンズ、日本で20ヶ所以上1ヵ月に及ぶツアー決定! ライヴ上で何が起こるか判らない、それはパーキンソンズ本人たちですら判らない。そこに彼らのライヴの醍醐味と楽しさがある。 「日本にまた行けるのは楽しみだし、その準備もバッチリできてる! その後にアメリカにも行けたらいいなと思ってるけど」(ヴィクトール/guitar) 着々と日本でのライヴへの準備を進めて、やる気十分のパーキンソンズ。ぜひ今回はお見逃しなく。(interview&text:前田 亜里&Michael Lara)

どのライヴもすべて違うものになるんだ

前回の来日からメンバー交代もあったので、改めてメンバー紹介をしよう。ポルトガル出身のアル(vo)、ヴィクトール(g)、ペドロ(b)、そしてクリスが抜けて新しく加わったのが、 ニック(ds)。
「クリスはもうメンバーじゃないんだ。僕らは友達のニックを新しいドラムに迎えた。みんな上手くいってるよ。ニックは、今までGUN CLUBやJESUS & MARY CHAINでドラムをやっていたんだ。だから、そんな彼がドラムに入ってくれて、嬉しいよ。ニックとは長年の友達でもあるし、みんながお互いを尊重し合って、ものすごくいい効果 が生まれていると思う。タイミングもバッチリだったしね」(ヴィクトール)
 実際、クリスの脱退の理由は明らかではないけれど、バンドにとっては新メンバー、ニックの加入がプラスになっているのは確かなようだ。メンバー間の関係だけでなく、サウンド面 においても大きな変化があったらしい。
「ニックがドラムになったことで、もっとヘヴィになってるよ。よりヘヴィでコンパクト。彼もすごく乗ってるしね。全体的にももっと自由な感じになってる。それはすごい変化だ。いまに判るよ」(ヴィクトール)
 パーキンソンズは、アルバム『A Long Way to Nowhere』が今年の初めに日本でもリリースされている。ダイレクトに伝わってくる、どパンクのサウンドはスピード感と爆音の連打。30分たらずの超短アルバムは、何度もリピートしてしまいたくなるほどの中毒性あり。イギリスではSUM 41のオープニング・アクトを務めたこともあり、UKメジャー音楽誌『NME』にはその年、「本年最高のライヴ」と大絶賛されたバンドでもある。もちろん「本年最低のライヴ」とこき下ろすものも多い中、クレイジーに暴れまくるエキサイティングなライヴは口コミで広がり、着々と動員数を増やしていった。今を時めくあのSUM 41を縮みあがらせたほどの暴れっぷり。ライヴ・ハウスから締め出され、出入り禁止も数え切れないほどだ。裸あり、乱痴気騒ぎあり、目を覆いたくなるような過激なパフォーマンスも少なくない(日本ではそこは少し控えめかもしれないけど)。それでも、彼らが消えずに日本にまた来られるほどの活躍を続けていられるのは、彼らのその純粋なパンク・ロックと、人並みはずれたライヴの熱狂ぶりで観る者を興奮の絶頂にまで押しやるパワーが、人々を惹き付けて離さないからだろう。

「シンプルに、レッツ・パーティ! ハッピーな人たちがいて、音楽がある。いい音楽があるっていうのが重要なんだ。いい音楽があって、楽しい人たちがいる。そこで何が起こるか判るだろ? パーティだよ。それは日本でも同じだ。日本でもパーティだっ!」(ヴィクトール)
 これが、彼らのジャパン・ツアーへの意気込みだ。〈フジロック〉や、その後の赤坂BLITZで観せたライヴとはまた違うものが期待できそうだ。「どのライヴもすべて違うものになるんだ。今まで同じセットを演奏しようとしたこともない。ライヴで何が起きるかなんて俺たちにも判らないしね(笑)。時には間違いを犯すこともあるけど、でもそれもOKなんだ」とヴィクトールが言うとおり、本人たちも予想のつかないライヴは、観てのお楽しみというところだろう。 「日本全国、21日間のツアー。新しい街ばかりで、東京以外の日本を見ることができるね。基本的には、1組か2組のサポート・バンドがつくと思うよ。誰かは判らないけど、地元のバンドだろうね。でも、全然心配はしてないよ。きっとすごくいいバンドがつくだろうから」(アル/vocal)
 アルは異国の地である日本で、しかも21日間ツアーの過酷なスケジュールの中、あのステージ上のエネルギーをどう保つのだろう。「違った文化の中に行く不安はあるけど、何も(スケジュール的に)問題ないよ。ちゃんとした食事があれば、だけどね。でも、どちらも問題ないよ。オリエンタル・フードはよく食べてるし、日本の人たちはとても親切だからね」とアル。とても日本には好意的のようだ。

ギグはオーディエンスがつくる

パーキンソンズの信念は、“ギグはオーディエンスがつくる”というところだ。もっとも貴重なものは、「それぞれの場所(土地やライヴ会場)で出会う人々。今回も日本でそれをとても楽しみにしているよ。それに、僕らと一緒にプレイするバンドとの出会いもね。僕たちが楽しむのと同じくらい、みんなにも楽しんでほしい」(アル)
 観客を楽しませる最高のエンターテイナーであり、興奮のるつぼに叩き込み、刺激と過激とストレートなパンク・ロックが彼らパーキンソンズの魅力だということは、彼らのライヴを観たことのある人であれば太鼓判を押すところだろう。

 彼らはクリスマスにかけて母国ポルトガルでライヴを行なう予定だ。その後は新作に向けての曲作りに専念する。オリジナリティを守り、楽しさを追求し、本能の赴くままにプレイして観客を常に楽しませる。“nothing to lose”の精神は今後も変わることはないようだ。
「日本にも行きたいし、アメリカにだって行ってみたい。そこに何も問題はないし、今の僕たちはすべて得るものばかりなんだ!」(アル)
「他のバンドからは、羨望のまなざしで見られてるよ。“お前ら本当にラッキーだよな”ってね。本当に僕たちもラッキーだと思ってる。日本の公共の場でライヴができるとしたら、皇居でやってみたいな(笑)。すごくキレイな所だしね。タイムズ・スクエアでやるより、全然いいだろうね」(ヴィクトール)

 さて、日本のパンク・ロック・ファンはどう彼らに応える? 一旦ステージに上がったパーキンソンズは、恐れるものは何もなく、彼らのすべてをぶつけて容赦しないだろう。パーキンソンズの音楽で、ジッとしていられる人はいないはず。クレイジーなパフォーマンスに対して、観ているこちらも本能の赴くまま、彼らのサウンドに操られるままに暴れる、それこそが彼らの求める最高のリアクションだ。このバンド、ぜひ一度観てもらいたい。ただし、泣きのメロディやらかっこいいヴィジュアルなんかは、期待しないように。彼らにあるものは、ワイルドなパンク・ロックだけだから。
  パーキンソンズのライヴの、何がそんなにイギリスで話題沸騰になるのか、それはCDを聴いただけじゃ判らない。いくら言葉で説明しても伝わらない。実際にライヴを自分の目で目撃しなければ、彼らのカッコよさは判らない。絶対観て損はさせないパーキンソンズのブチギレ・ライヴにご期待あれ。

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