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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】LOUDNESS(2002年12月号)-この4人でやる音楽だからこそ楽しい

この4人でやる音楽だからこそ楽しい

2002.12.01

キャリア初となる奇跡のライヴハウス公演が実現!! 1981年の結成以降、積極的に欧米へと進出し、日本を代表する存在として、今なお世界的にその名を轟かしているLOUDNESS。数度のメンバー・チェンジもあったが、2000年10月には二井原 実(vo)、高崎 晃(g)、山下昌良(b)、樋口宗孝(ds)というオリジナル・ラインナップが再び集結。全国ツアーはソールド・アウトが連発し、各方面 で大きな話題となった。そんな彼らが何と12月19日に新宿ロフトに登場する。しかも54-71との共演というから興味津々だ。(interview:土屋京輔)

この4人でやる音楽だからこそ楽しい

06_7.jpg──2000年10月にオリジナル・メンバーが再び集結して、早くも2年ですね。

二井原:うん、アルバムも3枚出てね。ついこの間のような感じもするけど(笑)。

──とはいえ、現在の4人で活動していた80年代の頃とは違った、新しいLOUDNESSといった認知もされてきていると思うんですよ。

二井原:サウンドはモダンな感じの音作りになっているし、曲作りにしても方法論にしても全部、いわゆる80年代的なヘヴィ・メタルという様式美はなくなりましたね。ぼくが脱退して10年の間に、メイン・ソングライターの高崎 晃(g)には様々な歴史があったから、こういう形になったんだと思うんだけど、ぼくはこの4人でやる音楽が楽しいんですね。結果 としてモダンなものであったり、ヘヴィ・メタルであったりするけど、独特のサウンドになる。ただ、ジャンル的なものは個人的にはそんなに気にはしてないんですよ。80年代にぼくらが作ったヘヴィ・メタル然としたアルバムを望んでいた人の期待とは違うものかもしれないけどね。ファンのために曲を書くという面 はあるけど、それよりもメンバーそれぞれがやりたいこと、目指しているところが最終的には音となってでき上がってくる。実際にスタジオの中で、「随分、高崎も変わったんだなぁ」って思うところもありますよ。でも、彼にしても樋口(宗孝/ds)にしても山下(昌良/b)にしても、基本的なアプローチというか、音楽を作る姿勢は昔と全然変わってないし、曲の作り方も昔と同じようにスタジオで高崎がギターを弾いて、ジャムりながら進めていく。ただね、アイデアはまだまだたくさん出てくるんで、次のアルバムはまた全然違う感じになるかもわからないし。予測不可能なバンドなんですよ。

──アイデアが次々と出てくるというのは、2年間で3枚というペースもそうですが、アルバムの内容を見てもわかります。最初の『SPIRITUAL CANOE~輪廻転生~』では“復活”を宣言する意味でも、80年代的要素も盛り込みながら今のLOUDNESSを表現し、2枚目の『PANDEMONIUM~降臨幻術~』はその“今”をより強烈に発していた。最新作の『BIOSPHERE~新世界~』はその延長線上でありつつ、印象は大きく違いますよね。

二井原:うん。今回は曲作りの方法が変わったこともあるよね。『BIOSPHERE』は半分以上が山下と樋口が書いた曲がメインになってて、高崎がギターを弾くことに専念するといったような。非常に新鮮で、面 白かったですけどね。

──むしろその作り方のほうが、再び4人が集まった意味が新たに見出せるような気もします。

二井原:そうだね。それに『BIOSPHERE』を作ったことで、高崎はまた新たなインスピレーションが沸いたみたいで、明日にでも次のアルバムのレコーディングに入りたいぐらいの勢いで盛り上がってますよ(笑)。でもね、凄い音を出しますよ。LOUDNESS脱退以降、ぼくもいろんなギタリストと一緒にやってきたけど、フレーズから何からズバ抜けた存在感があるなぁって、改めて思いますね。高崎 晃というのは天才肌のギタリストだな、アーティストだなと実感させられますよ。

──10月25日に行なわれた渋谷公会堂でのライヴでは、ここ3作からの楽曲が占める割合も高くなってましたよね。セット・リストを考えるのも相当な苦労があると思いますが?

06_1.jpg二井原:バンドの歴史が20年を超えると、2daysとかにしないと難しいですね。たとえばクラシック・デーと最近の姿という分け方をするとか。みんなが聴きたい曲だけをやっても、かなり長丁場になるしね。でも、ハード・ロックで、あの音圧でしょ(LOUDNESSの音の大きさは有名)。3時間ぐらいになると聴いてるほうもやってるほうもしんどいよね。となると、10数曲の中で何を演奏するかだけど、新しい曲と昔の曲のバランスが難しい。だいたい“外せない曲”だけで10何曲ってあるからねぇ(笑)。でも、それだけだとワン・パターンになってしまう。アルバムを30枚とか出してるアーティストはもっと大変でしょうね(笑)。

──ただ、オーディエンスの反応を見ていると、今のLOUDNESSに随分と馴れてきたなという印象がありましたね。

二井原:そうですね。もっとライヴをやれば、さらに反応はよくなると思うんだけど。『SPIRITUAL CANOE~輪廻転生~』が出たときに「非常に違和感がある」と言ってた人が、今やあのアルバムが普通 に思えてきていたりするからね(笑)。

──当初は新曲をやると微動だにしないといった様子もありましたよね(笑)。

二井原:今はそういうのもなくなってきてるよね。熟成するんでしょうね。時間がかかるよなぁ、やっぱり。それと中野サンプラザとかでこの4人での再結成のライヴをやったときは、さすがに年齢が上の人が多かったけど、若い人も増えてきましたよね。去年、ANNIHILATOR(カナダのスラッシュ・メタル・バンド)と一緒にツアーをしたときは、若いお客さんにもこういった音楽を好きな人がたくさんいるんだなぁと思ったし。

日本の若手バンドに刺激されますよ

06_3.jpg──若年層という点で思い出すのが、たとえば、去年は国内でもトリビュート・アルバム『ROCK'N ROLL CRAZY NIGHT』が出ましたし、ここ数年、ヨーロッパのバンドなどがLOUDNESSの楽曲をカヴァーするケースも増えてきました。LOUDNESSの音楽的な影響力を、具体的な形で改めて実感させられますよね。

二井原:どうなんだろう。自分たちではわからないけど、世代的にLOUDNESSを聴いて育った人が前線でバンドをやっているという例は確かに多いですね。「学生時代にLOUDNESSを観た」っていうアーティストが来日したときに対談したり、コンサートに呼んでもらって楽屋でそういった話を聞かされたりはしますね。メールも世界中から届くんだけど、ファンというよりもミュージシャンから来たりする。ありがたいことですよね。20年以上バンドが続いているからこそだと思うんだけどね。振り返ってみると、欧米の観客は毎晩凄まじいものがあった。日本も凄かったけどね。ライヴの本数が多かったこともありますよね。大きなコンサートにも呼ばれたりもしたし。あの時代のうねり、MOTLEY CRUEとかと共に、そのメインストリームの真っただ中にいたということだったんだろうけどね。

──現在も海外からフェスティヴァルへの出演依頼は来てますよね。実現はしませんでしたが、今年はドイツの“ヴァッケン・オープン・エアー”に出演する話も具体的に進んでいましたし。

二井原:うん。ぼくらがヨーロッパとかでやっていたときに観ていた人たちが、今、イヴェントを主催していたりする。オリジナルのLOUDNESSが再び始まったと聞けば、興味が出てくるんでしょうね。ただ、オファーはたくさん来るんだけど、やっぱりお金のかかることだからね。ヨーロッパって、大阪に行くぐらいの予算では行けないから。どうせ行くのであれば、その機会に他のところも廻ってこようと考えるんだけど、向こうにもマネジメントを構えてというようにやっていかないと、なかなか難しいよね。

──かつてはアメリカにもオフィスがありましたよね。

二井原:そうだね。ちゃんとインターナショナルな窓口があったからね。今はないから、最終的な詰めで上手くまとまらない。国内でも今年はもっとたくさんやる予定だったんだよね。ただ、マネジメントやレコード会社が変わったことで、今回はアルバムが出てから1回しかライヴをやっていないけど。でもね、今度はロフトでやるでしょ。すごく楽しみですよ。オリジナル・メンバーでのLOUDNESSが、こういう規模の会場で演奏することってあまりなかったんじゃないかなぁ。普段は照明とかに凝ったりするバンドでしょ(笑)。魅せるというコンセプトで来たからね。

──そうですね。記憶に間違いがなければ、このメンバーで、いわゆるライヴハウスに登場したことは公にはないと思います。

06_2.jpg二井原:うん、日本ではないと思う。ファンクラブのイヴェントとか、プレス用のコンヴェンションとか以外はないよね。

──ロフトでLOUDNESSが観られるなんて、最初に話を聞いたときはびっくりしましたよ。LOUDDASS(有名なLOUDNESSのカヴァー・バンド)なら、ここで観たことあるんですけどね(笑)。

二井原:ははは! それはまた凄いなぁ(笑)。でも、12月19日はどんなことになるか、面 白そうですよね。バンドとファンの距離も近いから、凄まじいものがあると思うんですけどね。でも、勝手にステージに上がってくるような人がいたら、俺なんか気が小さいからびっくりして歌えなくなるかもしれないけど(笑)。

──ははは(笑)。当日は54-71との対決といった形態ですから、そういった意味でも新鮮ですし。

二井原:今年の3月にLOUDNESSがクラブチッタ川崎で“LOUD'N FEST”というイヴェントをやったけど(他にBAT CAVE、YKZ、Cloud Nineが出演)、あのときが初めてじゃないかな、コア寄りな感じの今のモダンと言われるような日本のロック・バンドを実際に観たのは。彼らはすごくカッコよかったですね。ぼくらが刺激されますよ。ステージでのアティテュードとかね。逆にエネルギーをもらう感じですよ。

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