Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】MOGA THE¥5×NAHT(2002年11月号)- "気がついたら隣りにいた"存在

“気がついたら隣りにいた”存在

2002.11.01

日本語詞へシフトした意識は全くない

──NAHTとしては、「或る狂騒」に続いて今回も日本語詞の曲「ムクロノオエツヨ」が収められていますが、日本語で唄うのは自然な流れだったんですか?

SEIKI:うん、全然自然です。生活に根差している言葉だからね。今こうして喋っているのも日本語だし、伝えやすいですよ。歌詞に関しては自分のなかではまだ明確な答えは出てないんだけど、英語詞で唄うか、日本語詞でやるかを断定してしまうのも面 白くないし、日本語詞へシフトしたっていう意識も自分には全然ないんで。

エスカルゴ:自然な流れやろ?

SEIKI:うん。出来た曲に見合う歌詞であれば、それでいいと思ってる。
坂口 今度のNAHTの曲は、過去の作品のイメージを軽く裏切ってくれたところはあるよね。ギターの音が結構ペラッとしてたりとか、今までのNAHTにはない感触の音作りになってる。NAHTって曲が5分以上あるようなイメージがあるんだけど、それが今回はかなりコンパクトにポンポンポンと並んでるし、新しいNAHTが垣間見えると思いますよ。

SEIKI:MOGAが4曲、俺たちが3曲っていう振り分けになったのも、“俺たちのほうが曲が長いだろうな”って最初に漠然と思ってたからなんです。それが思いのほか短くまとまったんだよね。

──今回の収録曲を聴くと、それぞれの単独音源への期待も膨らみますよ。 エスカルゴ ウチも年が明けたら(前作『未完全論』から)2年経つしなぁ…。

坂口:いついつまでにとか決めたりはしてないんですけど、曲がまとまった時点でレコーディングに入ろうとはしてます。時期ははっきり言えないけど…なるべく早くには出したいですね。

SEIKI:俺らも前のアルバム(『the spelling of my solution』)から2年のタームが空いちゃってるから、そろそろ限界だと思ってます。ライヴでやる曲にも飽きてきてるのもあるし…。

──でも、SHINERをゲストに迎えた〈learn it from lone〉でのセットリストは懐かしめの曲もあったり、逆に新鮮でしたけどね。

SEIKI:ええ。1曲目からファーストの曲をやったりとかね。

エスカルゴ:昔の曲も結構練習する?

SEIKI:する。凄いする。GEORGEが入ってから初めてやる曲とかもあるから。
エスカルゴ 「GEORGE、このリフ覚えとけ!」「こんなの覚えられるかいッ!」とかいうやり取りや?(笑)

GEORGE:いやいや(笑)。2人でギターの弾き分けとかしたりね。

──MOGAのリハーサルは結構キッチリやるんですか?

エスカルゴ:いやぁ~。

坂口:練習自体が余り好きじゃないし(笑)、それがリリースが遅いことの原因にもなってますねぇ。月に1、2回しかスタジオには入らないし…。 エスカルゴ でも、スタジオに入ったら結構長いんやけどな。5時間くらい平気でやったりとかな。

坂口:まぁ、間にご飯食べたりダラダラしてるけどね。

エスカルゴ:でも、曲作りはやっぱり一番時間をかけてるところやからな。だから次のアルバム発表は……再来年くらい?(笑) 長ッ!(笑) 俺、40歳になってるわ!

SEIKI:自虐的なギャグだね(笑)。

エスカルゴ:戒めやな(笑)。

PIZZA OF DEATHだからこそ実現したスプリット

06_2.jpg──アートワークも両バンドによる共作の産物なんですか?

坂口:ジャケットは、OUT OF TOUCHっていう名古屋の老舗ハードコア・バンドの一平ちゃんに僕が頼みました。彼はそれ以前にMANIAC HIGH SENCEというバンドでギターを弾いてて、そのバンドのジャケットも彼の手によるものだったんです。MANIAC HIGH SENCEのジャケットも、このスプリットみたいな絵柄なんですよ。で、事前に特に話し合いもせず、出来上がりを見せてもらったら凄く良かったので、このままで行こうと。出来上がってみると、両バンドにとっても新機軸な感じになって良かったと思ってます。

GEORGE:一平君のことは、僕も名古屋出身で昔から知ってたんですよ。一平君はアートワークで、僕は演奏でこのアルバムに参加してて…だからこれも“奇妙な運命の巡り会わせ”なんですよね。

──CDを包装紙に封入するアイディアもいいですね。

坂口:それはもう、SEIKI君のアイディア。

SEIKI:何かポストカードみたいな感じにしたかったんですよね。CDを手に取った時に嬉しくなるように。もちろん内容ありきの話なんだけど。あとは、最近の違法コピーに対する僕らなりのメッセージというか、安易にコピーできないようなことを付け加えておきたかったんですよ。

──コピーコントロールCDは音質にも影響が出てくるっていうし、厄介な問題ですよね。

SEIKI:うん。例えば、アナログ盤ってあの不便さが逆に良かったりするじゃないですか。いちいちA面 からB面にひっくり返さないといけないわけで、音楽はこっちもそうやって労力を使って聴くものだと思ってるから。コンピュータから勝手に配信されてくるような音楽に対して俺は思い入れが持てないし、凄くイヤですね。まぁ、テクノロジーの発達に対して抗(あらが)ってもしょうがないかもしれないけど。

エスカルゴ:レコード屋でCDを買う行為自体がエエのにな。

──そうですよね。自分の足を使ってブツを探し回るのが楽しいですよね。

GEORGE:うん、ドキドキを味わう、あの感じが楽しい。 エスカルゴ 俺なんかレコード買って、家まで待たれへんかったもん。聴かれへんのに途中で封をバリバリ開けて(笑)。

SEIKI:俺も似たようなクチだった(笑)。

──あと、輸入盤の封を開けた時にツーンとする独特のインクの匂いがたまらんかったですね。

エスカルゴ:ああ、あったあった! このスプリットも、よく嗅ぐとSEIKI君の匂いがしたりしてな(笑)。

SEIKI:別に俺の家でCDを梱包してるわけじゃないから(笑)。でも今回のスプリットは、そういう包装紙に入れるアイディアとか、一番最初の企画の段階から皆で持ってるアイディアを出し合って、できそうなことはなるべく理想に近づけようと努めましたね。レーベルも一丸となって頑張ってくれたし。PIZZA OF DEATHだからこそ実現したスプリットだと思いますよ。

坂口:あと、お互いのPV(「夕空のエレジー」「Feelings can change the same view」)をこのCDで観られるようにもなってるんです。

エスカルゴ:それは今の時代だからこそできることやな。そういうエエとこは吸収して。

坂口:こればかりはコピーじゃ観られないでしょうしね。僕らも余り地方へライヴに行けないから、ライヴになかなか足を運べない人は、これで動いてるMOGA、動いてるNAHTを観れていいんじゃないかと。

SEIKI:まぁ、このPVもあくまできっかけですよね。これを観て、是非ライヴに来てほしいですからね。ライヴはライヴの空気感があるから。

──シェルターの2マンが楽しみです。

06_4.jpgSEIKI:きっかけはいろんなところに転がってると思うんですよ。この音源も両バンドの縁があって、これを聴いてくれた人にも縁があると思うし、そういう縁のある人がライブに来てくれたら嬉しい。とにかく、ライヴは絶対ハズさない気持ちでいつも臨んでるから。

GEORGE:レコ発はこの作品の温度そのままにライヴをやるつもりなので、是非足を運んでほしいですね。

坂口:いい作品が出来たからね。レコ発は東名阪を回るのでよろしくお願いします。

エスカルゴ:NAHTは日本語詞の曲も出来たことだし、これからはファンも大合唱やな。ファンはSEIKI君に噛みつくくらいの勢いで。

SEIKI:俺、噛みつかれるんだ?(笑)

エスカルゴ:で、ステージに上がってSEIKI君にブン殴られてオシマイ(笑)。

SEIKI:イメージが悪くなるよ…(笑)。

このアーティストの関連記事
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻