“マッチの物真似をする鶴太郎の真似”みたいな回りくどさ
──皆さんが“HEAVY ROCKS”と聞いて思い浮かべるバンドは? 僕は月並ですが初期ブラック・サバスとかなんですけど。
ATSUO:よくそう言われますけど、僕自身は全然知らなかったんですよ。周りから「サバスっぽい」って言われるようになってからやっと聴いてみたくらいで。2人は当然知ってたでしょ?
WATA:私は高校生の時にハマりました。
TAKESHI:何年か前にサバスのベスト盤をATSUOに貸したら、全然興味を示さなかった(笑)。ATSUOとは音楽的嗜好がまるっきり違って、お互いジャンルの端と端から段々と近づいてきて真ん中で出会ったという。だから、人に言われるほど僕らはサバスっぽい感じではないんですよ。
──元々、皆さんのストライク・ゾーンのバンドってどの辺なんですか?
TAKESHI:僕はニュー・ウェイヴから入って、もろにハードコア・パンクですね。
WATA:私はサイケから70年代のちょっと古いロックが好きです。
ATSUO:僕は基本的にいいものなら何でも聴くというスタイルを貫いてます。客観的に見ると、一定のジャンルに属してない、中途半端なバンドが好きですね。何か行き場がないような。
──そもそもBORIS自体がカテゴライズの難しいバンドですよね。
TAKESHI:CD屋だとどう置かれてるの?
WATA:“ラウド・ロック”のコーナーにBAREBONESが入ってて、ウチらはどこかなと探したら、“J-POP”の棚に入ってた(笑)。
ATSUO:そこでも僕らは行き場がない(笑)。
──確かに他にないですもんね。曲も恐ろしく構成が複雑だし。
ATSUO:譜面上は凄く簡単なことしかやってないんですけどね。ただ、リハではかなり作り込みはしてます。
TAKESHI:譜面的な作り込みっていうよりは、どう唄い廻していくかとか、“節”の部分には時間をかけますね。
WATA:“間”とか、溜め具合とかね。
──皆さんが影響を受けたフェイヴァリットなミュージシャンは?
WATA:フェイヴァリット…う~んと、名前を覚えるのは余り得意じゃないんですけど、ピンク・フロイドの……
──デイヴ・ギルモア?
WATA:そう。あと、プリティ・シングスの……
──ブライアン・ペンドルトン?
WATA:そう。あと、ファンカデリックの初期の……
TAKESHI:エディ・ヘイゼル?
WATA:そう(笑)。というか、「Maggot Brain」しか聴いたことないんですけどね(笑)。CDはジャケ買いしてよく失敗するんですけど、たまにいい曲と出会っても、曲名もアルバムのタイトル名も覚えられないんです(笑)。
──ATSUOさんは?
ATSUO:メルヴィンズが大好きなんで、デイル・クローヴァーは本当に凄いなと。ドラム・スタイルは全然違うんですけどね。僕、ツェッペリンもよく知らないんですよ。たまに「ボンゾっぽい」とか言われるんですけど、絶対聴かないようにしてます。
──TAKESHIさんはどうですか?
TAKESHI:僕、殆どギターなんですよ。最近やっとベースに目覚めたというか…。最初にベーシストでいいなと思ったのは、『ウッドストック』でジミヘンのバックで弾いてたビリー・コックスかな。あとはやっぱりジョン・エントウィッスル(ザ・フー)ですね。モーターヘッドのレミーも恰好いいけど、“ベーシスト”というよりは“レミー”だから(笑)。
──ジャック・ブルース(クリーム)なんかはどうですか?
TAKESHI:あの人はインテリな感じがしてダメですね。もっと壊れてるほうが面白い。
──『HEAVY ROCKS』と同じ日に、MERZBOWとの共作アルバム『megatone』もリリースされますね。
ATSUO:いわゆるアンビエントと呼ばれるようなものもやってます。これとは別 に、MERZBOWの音源をリミックスするアルバムが海外から出るんですけど、それにも参加してます。『megatone』には、ビートルズの「I Am The Warlus」をカヴァーしたスプーキー・トゥースのカヴァーなんかもやってます。
──(笑)最高ですね、そのねじれ具合。
TAKESHI:マッチ(近藤真彦)の物真似をする片岡鶴太郎の真似、みたいな。非常に回りくどい(笑)。
WATA:スプーキー・トゥースの「I Am The Warlus」は恰好いいですよね。原曲を聴くと凄く軽く感じる。
──5月19日には新宿ロフトで『HEAVY ROCKS』のリリース・パーティーが馴染みの深い豪華な面 子と盛大に開かれますね。
TAKESHI:“ヘヴィ・ロック・フェスティヴァル”ですね。ロフトはフー・マンチュのサポート以来です。よろしくお願いします!