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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】REVEL FAMILIA(2002年3月号)-レベル・ミュージックの起点は怒りにあると思うんですよ。

レベル・ミュージックの起点は怒りにあると思うんですよ。

2002.04.01

 耐え難い怒りを内包した反逆児たちの新たなる挑戦 よりストレートに、よりハードに――。元DRY & HEAVYのベーシスト、"HEAVY"こと秋本武士と、新進気鋭の REMIXER&TRACK MAKERであるGOTH-TRADがタッグを組んで生まれたREBEL FAMILIAが初の音源を発表、ついにその全貌を表す。 真のレベル・ミュージックを追求すべく生まれたユニットだけに、"怒り"を起点としたそのサウンドは、 ベースの音圧とグルーヴが強化されたダブのひとつの理想形に仕上がった。 毒にも薬にもならない音楽が跋扈する今の音楽シーンにおいて、彼らの存在は実に貴重である。 (interview:椎名宗之)

GOTH-TRADの発する音に、レゲエ以上にレゲエを感じた

 
──すでに色々なところでお話しされてるとは思うんですが、改めてREBEL FAMILIAが結成に至る経緯を教えて頂けますか。
 
秋本: そもそもダブっていうのはレゲエから生まれて、ジャマイカのキング・ダビーやリー・ペリーとかが作った音楽ですけども、俺は初めてダブを聴いた時にもの凄いショックを受けたんですよ。音の自由さというか、当時の世界中のミュージシャンで誰も思い付かなかったようなやり方で音をブッ壊していくという…。日本でも最近はダブが注目されてますけど、ダブがこの世に生まれた時の衝撃が確実に薄れているし、様式美化されたものに成り下がっていると思うんです。で、「今の時代に対してのダブってどういうものだろう?」とずっと考えていて、そんな時にGOTH-TRADのライヴをあるイヴェントで観て…それは、自分が作ったトラックをその場でダブ・ミックスしながらのライヴだったんですけど、凄いショックを受けて。初めて自分がダブに触れた時の感覚を思い出したんです。で、早速彼を誘って…。
 
──GOTH-TRADさんの作り出す音が、秋本さんが初めてダブを聴いて持ち得た初期衝動を思い起こさせたわけですね。
 
秋本: そうですね。ダブっていうのはレゲエからしか絶対に生まれ得なかった音楽だと思うんですよね。レゲエっていうのは本当に自由な音楽だし、歌にしたって、すべてのパートのミュージシャンが凄く自由で何事にもとらわれていない。GOTH-TRADはレゲエとかダブを全然聴いたことがなかったんですけど、そういうあらゆるものから自由だという、俺が思うダブの衝動を自然と身に付けていたんです。GOTH-TRADの発する音に、俺はレゲエ以上にレゲエを感じたんですよ。
 
──REBEL FAMILIAというユニット名には、やはりレベル・ミュージックに根差した音楽を標榜していこうという意味が込められているんですか?
 
秋本: レゲエやダブというのは、70年代後半にジャマイカはもちろんですけど、海外だとイギリスのパンクの連中がまず最初に飛び付いたわけです。パンクとは全く音の質感が違うにも関わらず、なぜ彼らが真っ先にレゲエやダブに反応したのかといえば、スピリットの部分、つまりは衝動なんです。その音に込められた気持ちの部分に凄くシンパシーを感じたんだと思うんです。“レベル・ミュージック”…直訳すれば“反逆の音楽”でありたいっていうのが、まずあるんですよ。ボブ・マーリーの曲にもありますけどね。例えばジャマイカだったら、ルード・ボーイと呼ばれる不良というかアウトサイダーが世の中の不条理や欺瞞に対して敏感に反応しましたよね。そういう、彼らが感じた同じレベルの感情を絶えず持ち続けたいという気持ちを込めて、“REBEL FAMILIA”と名付けたんです。
 

その時々の感情を余すところなく出していきたい 

 
──GOTH-TRADさんはREBEL FAMILIAに参加して如何ですか? 
 
GOTH-TRAD: レゲエとかダブとかのルーツ・ミュージックはそれまで聴いたことがなくて、正直、最初はベースを当ててやってみないと判らないところがありましたけど、スタジオに入ってやってみたら凄くしっくりきて。これだったらやっていけそうだと。曲を作る時点で、打ち込みではあるけれど、独りで作るのとはまた違う良さが凄いあるんですよ。僕も以前ユニットを組んでたことがあるんですけど、そこでも曲は結局僕が独りで作るだけだったんです。だけど、今回初めて秋本君とやり始めて、凄い意味のある時間を共有できたというか、精神的に感じてることも一致してたんですよ。 
 
──化学反応が起こったというか。
 
秋本: そうですね。やっぱり、レベル・ミュージックの起点は怒りにあると思うんですよ。GOTH-TRADのライヴを観た時にも「こいつ怒ってんなぁ」って凄く思ったし(笑)。最初に彼にコンタクトを取って話をした時も、音から受ける印象のまんまの奴で…。だから、お互いが辿ってきた音楽的な道程は全く違っても、これは間違いなく合うと思いましたからね。 
 
──その結果として生まれたのが、今回リリースされる「stand alone」ですね。
 
秋本: アルバムを1枚作ったくらいのエネルギーは使いましたね(笑)。GOTH-TRADが作ったトラックにダブ・ミックスしながら、それに俺が当てるっていう、一発録りでレコーディングしたんですよ。毎回ストーリーとかグルーヴとかが違ってくるから、GOTH-TRADのミックスに俺が応えたり、俺のベースにGOTH-TRADが応えたり、テイクごとにその辺が微妙に違ってくるんです。 
 
──なるほど。だからサンプリングを基調としながらも、きちんと体温が伝わってくる生の音に仕上がっているわけですね。
 
GOTH-TRAD: 音楽をやっていく上で、それがないと何も伝わらないし。だからシーケンスを組む時にも、完璧に組むことは絶対にしない。その場の感情とかイメージを全部出して、それをそのままCDに刻み込まないと意味がないと思う。スタジオに篭ってプロ・トゥールズで完璧な音を構築すること自体は否定しないけど、僕はもっと感情的なものを出していきたいと思ってますから。
 
──ライヴが楽しみな仕上がりになってますよね。4月28日に行われるレコ発ライヴは、Shing02さんやHIKARUさんなど、錚々たる顔触れがゲスト参加しますけれども。
 
秋本: 有り難いですよね。これは音楽をやり始めた時から感じてきたことなんですけど…最初はピュアな気持ちで音楽に取り組んでいたのに、産業化されたシステムに取り込まれて、気が付いたら全く違う地平線へ行ってしまうというか、諦めから音楽をやっていく状況がありますよね。いろんな規制ががんじがらめにあるなかで、プライドを保って純粋に音楽を続けていくことに、なんでこんなに苦しまなければならないんだろうって思うんです。でも、徐々にだけど時代の雰囲気が変わってきてると思うし、このイヴェントに出てくれる俺らの仲間…何事にも取り込まれない強さを持ってる仲間同士のピュアな気持ちと繋がりがあれば、今は何でも起こせる気がしてますね。
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