ついにMILK CROWNのニューアルバム「空の上」が3/27に発売されました。暗中模索の末にたどり着いた今回のアルバムは、何かから吹っ切れた感のある、今までのMILK CROWNにはない作品となっています。このアルバムの制作中にギター&ボーカルの大須賀が感じたこととは・・・。そして、5/1に新宿ロフトで行われるワンマンについての意気込みを伺ってきました。 (interview:やまだともこ)
生活感というか生きてる感がにじみ出ているのがけっこう人間ぽくていいと思うんで。
──まず、どうやってバンドは結成されたんですか?
大須賀: 94年に楽器屋さんでメンバー募集の貼紙を見て入りました。でも、ギターがオーストラリアに行ってしまったり、ベースが実家に帰ってしまったりで、当時のメンバーは僕だけしか残っていなくて、今は新しいベースとドラムが加入して、サポートでギターは安江暁が手伝ってくれています。
──何度もメンバーチェンジをしているのにMILK CROWNにこだわる理由は?
大須賀: 正直、前ギターの戸谷が正式なギターとして決まったにも関わらず脱退してしまった時に、1回リセットしてっていうのも実は考えましたよ。それが今回のレコーディングをする前なんですけどね。バンド名を変えるとかではなくて、職業として音楽をやることの大事さも考えました。まわりがMILK CROWNに対してどう考えてるかみたいなところもあったけど、でもバンドじゃないとできないこともあるし。がんばってみようかなと。
──そんなこんながあった中でできあがった「空の上」が3/27に発売されるわけですが、まずタイトルの「空の上」というのは…
大須賀: 僕が好きなアルバムが、その中の核となる曲がタイトルになったりしているのが多かったので、今回は12曲目に入っている「空の上」。世界観とかじゃなくて、純粋にいいタイトルだなと思ってつけたんです。「空の上」は天国のイメージもあるし、今までいろいろあって逃避っていう意味も若干あるかもしれないですね。いろんな意味がリンクしてます。
──制作期間はどれくらいでした?
大須賀: 去年の4月ぐらいからレコーディング始めて、秋ぐらいまでやってました。発売日を考えると丸1年ぐらい経ちますね。
──1年も経つと、その時と今の気持ちは変わってたりするとかあると思うんですけど…
大須賀: アルバムを作る前にやるやらないの話しとかあって、そういうのからリセットして、やるっていうモードに入れたときに10曲ぐらい一気に書いたので、曲作りの時ってあんまり覚えてないです。今までのMILK CROWNのこういう方向性に行くべきなんじゃないかとか何も考えずに作ったから、見事に曲の世界観もバラバラになったし。
──作ってみてどうでしたか?
大須賀: 今回、初めて自分達の手作りレコーディングを試したんですよ。僕らのデビューするきっかけとなった、ハイライン(※下北沢ハイラインレコーズ)から出したデモテープを作ってる時を思い出して、自分達でスタジオ借りて。でもちゃんと世に出すものだからエンジニアの人にセオリーみたいなのは一応教わりましたね。あんまり下手なの出してもいけないしっていうのと、もっとこういう世界観の音調ができないかな、空気感なんですけど、どう録るのかっていうのを試行錯誤して大変でした。おもしろかったですけど。
──今回のアルバムではラップにも挑戦されてますが…
大須賀: 語り系のやつでかっこいいバンドが友達にいて、そういうのにインスパイアされて僕らもやってみたいなと思って挑戦したんですけど、どうだったでしょうか。結局MILK CROWNになっちゃってるんですけどね(笑)。
──ポップな曲があったり、HIP HOPな曲があったりアルバムに強弱がついていて面 白いものに仕上がっていると思います。
大須賀: そうですね。でも曲調は変わっても、詩の内容だけは変わらないんですよね。エグい感じというか、そういうのが好きなんですよ。どうでもいいことを歌いたいってこともあるんですけど、まじめに考えちゃうんですよね。歌いたいなと思った時にそういう表現したいなって思うんですよ。そうすると、どうしてもこうなっちゃうんですよ。
──それに民族的な曲もあって。
大須賀: ツェッペリンとか好きなんで、大陸系の民族音楽が好きですけど。民族的と言われたのは初めてです。でも民族的な音楽に聞こえたら大成功かな。生活感というか生きてる感がにじみ出ているのがけっこう人間ぽくていいと思うんで。
──そういうのを含めるとどのジャンルを好きな人でも聞ける作品だと思います。
大須賀: そうですね。聞いてる人にはいろんな気分を味わえていいんじゃないかと。初めて聞く人はちょっとつかみどころがないかもしれないですけど、いろんな曲を楽しんでくれたらいいですね。いろんな曲を出して、いろんな世界観を出して。自分で聞いててあがいてるなって思うんですよ、曲の世界観があまりにも違うんで。それにテンションの持っていき方とか、曲に対する気持ちの入れ方が難しいんで、そのへんを統一したほうがいいのかなとも思うんですけど。思うのは、『MILK CROWNっぽい』っていう方程式があって、また『MILK CROWNらしいアルバム』ができたとか、そういうのがあったらラクなのかなっていうのはあるんですけど、いろいろやってみたいんですよね。
──レコ発ツアーはこのアルバムの曲がほとんどになると思うんですけど。
大須賀: はい。
──ワンマンではないのでこの中から何曲か選んでの演奏ということになるのですが、曲順を考えるのは大変じゃないですか?
大須賀: すごい大変ですね。前半、中盤、後半にわけて世界観の区別はしてますけど、それでもつながりががらっと変わるってのは絶対ある。でも、それがMILK CROWNだっていう感じになってますけどね。いい意味で裏切りたいです。
──東京は、ロフトでワンマンを行う意気込みを聞かせて下さい。
大須賀: 短いステージでは表現できない、いろんな世界観の違いをたっぷり見せられるから、よりMILK CROWNが発揮できるライブになるんじゃないかな? ぜひ見に来て欲しいです。ロフトがいっぱいになるぐらい。アルバムは全曲やる予定なんでアルバム聞いてワンマン来て下さい。ホントにMILK CROWNはいろんな人が聞けると思う。いろんなジャンルを好きな人でも聞ける音楽ですしね。あとは…黄色い声援が欲しいです(笑)。