ちょっと上の世代が懐かしめる世界を表現したかった(武藤昭平/勝手にしやがれ)
COBRA:勝手にしやがれの2nd. ALBUMが出たんだよね。聴いたよ。なぁんかやっといい音で出来上がったんじゃない?!
武藤:あはは(笑)。そうかも知れないですね。そうそう、今回は勝手にしやがれっていうバンドをライブで見たときの印象と、実際スタジオでの印象にあんまりギャップなく出来たんじゃないかなって思っているんですけどね。
COBRA:やっぱり、前回の3バンド(V.A./9 oclo'ck jump)で収録されていた奴と比べてみてもさ、前回のは時間と一緒に音も凝縮されて詰まっている感じがしたんだよ。今回はさ、今の勝手にしやがれというか、しっくり来ているなって判るよ。
武藤:ありがとうございます。やっぱり、エンジニアさんとかね、ファーストのときからの人で今回も一緒に仕事をしてね。ファーストの時は割と仕事的なスタンスだったと思うんですよ。だけど今回に至るまでに彼も勝手のことを気に入ってくれたみたいで、ライブにも足を運んでくれたりして。勝手のことをより深く知ってもらったこともあるんですよ。音に関して、バンドサイドからとやかくうるさく注文付けるというよりは、彼の方が今の勝手よりももっといい音を作りたいっていう気分になってくれたということも、レコーディングがすんなりいった大きな要因だと思いますね。
COBRA:そうかぁ。レコーディングはそのことにつきるよね。いくらいい音源持ってきても、他人的に仕事をやられちゃうとさ死んじゃうよね。スタッフをどのくらい巻き込めるかっていうのは、ないがしろにしちゃいけないことなんだよね。借りてきた猫状態でやって、いい音が録れるわけないもんな。
武藤:メンバーのテンションは今までも良かったんですよ。でもやっぱり、音作りの面では、バンドはプロフェッショナルじゃないでしょ。演奏の面ではある意味プロフェッショナルになるように努力できても。今回の作品をよくよく細かく聴いてみると、声も割れているし、ホーンセクションも割れているし、レベルはばかでかいしなんですよ。だけど、それは作品を通して聴いてみると、決してノイズじゃないんですよ。いい形での迫力になっているんですね。空気感っていってもいいかもしれない。
COBRA:うん。勝手にしやがれの世界がうまく表現出来ていると思うよ。
武藤:JAZZを基本にしたPUNKバンドっぽい音に仕上がっているんですよね。
COBRA:確かに。俺がココボンゴとかで回すときにさ、よくかけてるよ。ココボンゴでなんか、最高に合うんだよな。雰囲気がさ。
武藤:ココボンゴはジャケット写真でも使わせてもらってますから。それは嬉しいですね。
COBRA:最後の曲、「KZTN」なんかいいよ。ちょうど30代以上のオヤジ達も反応してくるんだよね。
武藤:俺も30超えてますしね(笑)。俺たちの世代のちょっと上の世代が懐かしめる世界を表現したかったんですよ。「傷だらけの天使」にしたって、俺がガキの頃に憧れた世界だったですし。もっと20代中盤とかそれより下の世代が、そういう世界があったこととかこの曲がどういう背景で作られているのかっていうのをもっともっと、気がついてくれればなって思うんですよ。そんな願望もありつつなんですよ。
COBRA:JUSTな「傷だらけの天使」をかけている人はたくさんいるんだけど、やっぱりこの勝手の「KZTN」は違うぞ!! って思わせられるんだよな。
武藤:あそこまでJAZZYなものがないからかもしれないですね。「傷だらけの天使」のオリジナルはロックナンバーだったじゃないですか。だから、あえてJAZZのアプローチだったんですよ。
焼き直しじゃなくて、今の勝手にしやがれで新しいものを生み出したい(武藤昭平/勝手にしやがれ)
COBRA:それはそうと、ブライアンセッツァーが再来日の噂があるね。
武藤:みたいですね。今回はどんな編成で来るのか?! っていうのもありますけどね。
COBRA:日本は移動が大変だから。まぁ、アメリカのSWINGブームもなんとなく何にも残さないで、終わっちゃったのか?! っていう感じもするけど。定着するのかって勢いだけで萎んじゃったよな。
武藤:結局、アメリカブームは焼き直しで終わっちゃったからっていうのが大きいんじゃないですかね。進化させたバンドがいなかったんじゃないですかね。唯一ロイヤル・クラウン・レビューには期待していたんですよ。SWINGなんだけどJAZZだったりROCKのアプローチもしていたじゃないですか。でもメンバーがいなくなっちゃったみたいですしね。うちらにしても、最初の頃は、NEO SWINGだとかいわれはしたんですが、最近ではSWINGだとかそうじゃないとかはあんまり気にしなくなっちゃったんですよ。2nd.だってSWINGYな曲一辺倒じゃなくなったし。
COBRA:まぁ、勝手にしやがれみたいなバンドはまずいないんだよな。BE BOPのバンドはいるだろうけど、ロックからBE BOPに流れているバンドはいないよ。そこがツボなんだろうとおもうよ。
武藤:そうだと思いますね。ロックが下地にあるということからなのか、いろんな人が気にかけてくれていて。ジャンルにこだわらなくてもいいんじゃないかなって思うんですよ。MAD3のレコーディングにうちのホーン隊が参加させてもらったり、曲の解説をBLUE BEAT PALYERSのマークさんがかいてくれたり。
COBRA:まぁな。周りが遅いっていうのがあるよな。ついていけないんじゃないか。去年出たスカパラのチバ(ミッシェルガン・エレファント)のヴォーカルの曲だってそうじゃん。すげえかっこよかったじゃん。本人達にはジャンルの壁がどうのっていう気持ちはないんだろうけど、周りはいちいちビックリしたよな。
武藤:なんか、そういうふうにして知らなかった人に、うちらの音楽も広まっていけるのはすげぇ楽しいことですよね。焼き直しじゃなくて、今の勝手にしやがれで新しいものを生み出していきたいって思っているんですよ。
4月4日のレコ発は何が何でも狂わなきゃだよな。(DJ COBRA)
COBRA:レコ発はロフトでやるんだってね。
武藤:そうですね。3バンドゲストに呼んで。あとはちょこちょこ考えていますよ。
COBRA:そうか、それは楽しみだね。なんかさ、今回の勝手にしやがれのアルバムといい、状況といいさ、絶対にコアなファン層が出来るんじゃないかな。レコ発は狂わなきゃだよな。
武藤:そうなんですよね。去年まではじわじわなんですよね。勝手にしやがれって噂にはなってきていると思うんですよ。機は熟したというか。だから実体を見せつけてやんないとっていう感じでしょうね。いろんな人も巻き込んでいってやりたいですね。
COBRA:そうだね。ということで、俺もDJで参加させてもらいます。