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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】THE HONG KONG KNIFE(2002年2月号)- 渾身の4thアルバム「DYNAMITE CANDY」堂々の完成!

渾身の4thアルバム「DYNAMITE CANDY」堂々の完成!

2002.02.20

 THE HONG KONG KNIFE待望の新作『DYNAMITE CANDY』が完成した。尋常じゃないボルテージを保ったまま一気に爆走する純度100%のR&Rでありながら、同時に限りなくポップというTHE HONG KONG KNIFEらしさは本作でも不変! というわけで、鋭さを格段に増したナイフの如きこの絶対の自信作を引っ提げ、メンバー勢揃いのおろしたてインタビュー敢行だよ全員集合!(text:椎名宗之)

この20年間というものが音に滲み出てる

──まず、新作が完成しての手応えみたいなところからお訊きしたいんですが。

JOE:ALCOHOL 今までにない手応えっていうか…今まではずっとコンセプトを決めてアルバムを作ってきたんですけど、今回は特にそういうのは決めずに。最初はクルクルパーなアルバムを作りたかったんですけど、まぁいい具合にまたいつもの俺らみたいになった感じですかね。

LITTLE JOHNNIE:でも、レコーディングが終わってみて通しで聴いてみると、何となくテーマみたいなものが見えますけどね。

EDDIE:ALCOHOL ま、でも人それぞれ感じることは違うから。

JOHNNIE:この間、小学校時代に埋めたタイムカプセルをJOEと掘り起こしたんですけど、この20年間というものが音に滲み出てると思いますね(笑)。

──実際のレコーディングはどれくらいかかったんですか?

JOE:例によって“13”日。今回は年末年始を挟んで間隔が空いちゃったけど、そのおかげでじっくり作業を詰め直すことができたんで良かったですね。(レコーディングが)なかなか終わらなくて体的にはキツかったですけど…なんせまだ頭が去年のままですから(笑)。

──今回のアルバムは一曲一曲がよく練られてて、緻密な作りだなと感じたんですが。

JOE:曲作りに関しては、メンバー間で話し合ったことは一度もなくて、すべてアイコンタクトなんですよ。

JOHNNIE:本当にそうだよね。曲なんか、11月末の段階で半分くらいしか出来てなかったもんね。「大丈夫かな~」なんて思ったんだけど(笑)。でもJOEが「大丈夫!」って言うだけあって、やっぱり大丈夫でした。

EDDIE:それは全然心配してなかった。

──じゃ、難産でもなく、割とすんなりと。

JOE:俺的にはいつもと一緒ですね。いつもレコーディングの前まではかなり悩むんですけど、今回入院とかして、いろいろあったんで…。その分ちょっと、ズレ込んでしまったんで。

EDDIE:JOEのいない期間が結構いい方向に動いたのかもしれない(笑)。3人でリハ詰めたなかからJOHNNIEのライトハンドが生まれたし。(一同ここで爆笑)でも、JOEがいないのはたまにでいいですね。

ピッタリの場所を探してるところ

──今回のアルバムで特に心掛けたところは?

EDDIE:ノリとかテンションみたいなところですね。その時々の瞬発力を大事にしたかった。今回はもう、やるしかなかったんで、テンションを高めるだけ高めてました。俺とNISSHYのリズム・パートは一番最初に曲を理解してないと、上に乗ってくるセクションに物凄い迷惑かけちゃうんで。それを一曲一曲追求して形にする作業は徹夜状態で作ってましたから。…まぁ楽しかったですね。いい仕事してる気がして。

NISSHY:僕はですね、全体像が見えてなかったっていうのもあるんですけど、フィルとか余計なものを極力排除して、ノリや勢いを重視しましたね。あと音も割とこだわったつもりです。

JOHNNIE:仕上がったアルバムはなるべくいいものにしたいんで、レコーディングの音録りの時もそうなんですけど、録った以降のTDとかいろいろ考えましたね。でもそれは毎回気を付けてることなんで、今回は特に「病気にならないように!」ってことかな。(と、JOEを見る)

JOE:(苦笑)何かまだ、まだ終わった気がしてないから。昨日マスタリングが終わったばっかだし。カーステとかウォークマンとか、外を歩きながら聴いて良くないとダメだと思ってるんですよ。ロフトから出してもらった『HEARTBREAK JET SALOON』が渋谷の街のサウンドトラックで、「December's Children」が新宿で、「今回はどこのサウンドトラックになるかな?」って皆で言ってたんです。今そのピッタリの場所を探してるところです。だから聴く人にも確かめてみてほしいですね。

──『BLACK LEATHER DISCHORD』が集大成的な作品で、今度のアルバムによって新たな一章のスタートを切った感じですか

JOE:気持ち的には、余りそういうのはないですよ。俺のなかでは、今までずっと使ってきたナイフが切れなくなってきたのが、研いで切れ味を増した感覚はあります。そういう感じがこのアルバムには出てると思う。去年、3rdが出た時から次のアルバムのために曲を考えていて、そん時描いてたのとは大きく懸け離れたけど…最初はもっとドロンドロンしたものというか、9分くらいある曲をやろうかな、とか。でもそんなのやんなくて良かったな、って思いましたね(笑)。若返ったから。

──“原点回帰”ってキーワードですかね?

JOHNNIE:“原点回帰”っていうか、自分的には、ロックが養殖された牛みたいな感じなのを、敢えて水牛とかバッファローみたいな形に戻したっていうイメージですね。

JOE:牛、ですか……。

一同:(爆笑)

──基本的な姿勢は変わらなくても、螺旋階段のように上へ上へと高みに昇っていくような。

JOE:うん、そうありたいですね。

──タイトル・トラックの歌詞に出てくる“GSJ”とは?

JOE:長年使ってる“グレッチ・シルヴァー・ジェット”っていうギターの歌なんです。ライヴでもレコーディングでも、もうこれしか使えないから。あと今回、中学校の時の同級生が一曲(「PIRATE JACK」)作ってて。地元で細々とバンドやってる奴なんだけど、そいつの曲に俺が詞をつけて。カヴァー以外で他人の曲をやるのは今回初めてなんです。地元で頑張ってるのを見て、一緒にやりたいと思ったんですね。ちょっとでも知られたらいいなと思って。昔から仲良くて、実は彼から曲をプレゼントされたことは今まで何回もあるんですよ。「カッコつけた野郎だな」とか思ってたんだけど(笑)、この曲は光ってたから、これならいいなと思って。

──今回のカヴァーはキュアーの「Love Cats」ですね。

JOE:自分らがカヴァーしてる曲をよくよく考えるとですね、全部おかしいんですよ。デヴィッド・ボウイの「Modern Love」とか、YMO、ブラック・キャッツ、セックス・ピストルズ…。今回も一見おかしいよね、俺らがキュアーをやるって。クラッシュか何かの間違いなんじゃないか? って。

JOHNNIE:人前ではやったことないけど、デュラン・デュランとかもやってたよね(笑)。

──ジャケットの作業はこれからだそうですけど、どんな感じに仕上がる予定ですか?

JOE:思いっきりポップでかわいらしい感じで…でもそれが爆弾だったりするような。笑いながら人を殺すみたいなジャケットです(笑)。

EDDIE:ジャケも凄くカッコいいんで、ジャケと中味とライヴ、全部セットで楽しんでほしいですね。

あとは素晴らしいライヴをやるだけ

──3月に〈STILL ALIVE TOUR〉が始まりますが、新曲中心のライヴになりますか?

JOE:いや、“ベリー・ベスト”感覚で。新曲もやるし、カヴァーもやるだろうし。出し尽くしたいと思います!

EDDIE:やるしかないからね。その日までにできることはすべてやって。

JOHNNIE:これからライヴ・モードにチェンジするんで期待してほしいですね。

JOE:ちょっと心配なんで、今は体力作りに励んでます。アルコールも控えて(笑)。何かを手に入れないと呑む気がしないっていうか…皆が呑んでると「いいな~」とか思うんですけどね。酒を止められてるわけでもないんで、別に呑んでもいいんだけど。

JOHNNIE:その分、EDDIEが呑んでるから(笑)。

JOE:全盛期は一番呑んでたのは俺かもしれないけど、今はこの人(JOHNNIE)でしょ、やっぱ。

JOHNNIE:うーん、判んねぇな。昔はそれこそウォッカ一本呑んでたけどね。最近は酒呑むと疲れちゃうんですよね(笑)。

JOE:ま、俺もそのうちまた酒呑みますんで。それをいつにするかが問題で(笑)。

──お決まりですが、今年の抱負なんぞをひとつ。

EDDIE:素晴らしいアルバムが出来たんで、あとは素晴らしいライヴをやるだけです!

NISSHY:もっとドラムが巧くなりたいです!

JOHNNIE:健康には気をつけたいですね。去年みたいにライヴを飛ばしたりしないように(笑)。だって健康管理に気を付けないと皆倒れちゃうかもしれないじゃない!

JOE:前向きなんで! 素晴らしいアルバムを作ったんで、素晴らしい青春を送ってほしいですね! 精神病棟なんかに入れられるような青春じゃなくて。

JOHNNIE:笑えねぇ~(笑)。

JOE:笑顔が爽やかな青春を、このアルバムと共に送ってくれれば何も言うことナシです!

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