プロインタビュアー・吉田豪による対談連載! 今回は、3/31にLOFT9 Shibuyaにて行われた水野しずさんとのトークライブ【後編】をお送りします。「ミスiD」の話題から、様々な方向へんと話題が転がっていく、水野しずワールドをお楽しみください!(構成:石崎典夫・木俣恵太)
ミスiDを受けた理由は「●●だから」
吉田豪:ミスiDについては、何か思うこととかあったりするんですか?
水野しず:あ、最近のですか?
豪:最近のでも、何でも。
水野:最近思ったことは、これ自分の話になっちゃって恐縮なんですけど、インタビューとか取材とかで、「なんでミスiD受けたんですか」っていう質問は絶対されるし、まあ、それは自分の経歴を見たら、必ず質問として入ってくるところだと思うんで......。
豪:調べればすぐ出るでしょ? っていうね。
水野:まあ、いいんですけど。それはポイントとして聞いておきたいところだと思うんで。ただ、それは何だろうと思って。なんて返すのが、最も適切なんだろうってことをずーっと考え続けて、すごい長文で答えたりとか、角度を変えて解釈したりとか、いろんな考え方をして、ちょっと前に答えに辿り着いたんですけど、答えは、本当に一言、五文字で言うと「ひまだから」っていう。
豪:ダハハハハ!
水野:でも、みんなそうだと思うんですけど、「ひまだから」と、あともう一つ、サブで補うとすれば「失うものがない」っていう。それが多いと思うんですけどね。まあ、それをライターの人に言うと、あんま書くことなくなるからあれですけど......。
豪:だって、あの時、水野さんが受けたのは意外でしたからね。
水野:そうなんですね。
豪:全然、受ける必要もないぐらいの知名度がある人が、なんでわざわざ、っていう。
水野:あぁ。でも、なんか面白くなかったですか? 当時は。当時は、って言うと語弊がありますけど。
豪:出てくれて助かった感はありましたよ、面白くしてくれる人が来たっていう。
水野:別に最近は面白くないということではなくて、ちょっと時間が経ってしまったので、あんまり近くで見てないから、どういうことが起こってるのかとか、どういう面白いことがあるのかっていうのを全然知らないだけなんですけど。
豪:受けたことで変わったことっていうのは、やっぱり大きかったですか?
水野:そうですね......。あのー、うーん......。いや、全然話すことはあるんですけど、あのー、あんまり、全然話すことはあるんですけど、あんまり、その話を一生懸命するだけのテンションが上がらない、というか......。
豪:ダハハハハ! じゃあ、大丈夫ですよ(笑)。
水野:いや、すごい楽しかったんで、いいんですけど。
豪:テンション上がらないことは、しないでいいですよ。
水野:なんか、思い出して語るほどの意欲がわかない......(笑)。なんかありますか? 思い出話とか。
豪:え!? 水野さんの時の?
水野:いや、ちょっと面倒臭くなっちゃったんで、ちょっとあれば、聞いておこうかなぁと(笑)。
豪:でも、水野さんの時っていうか、水野さんがミスiDに与えた影響は大きいな、とは、すごい思ってますよ。
水野:うーん。結果的には、もしかしたらちょっと悪いことしちゃったのかもしれないですよね。
豪:水野さん的なことをやろうとする人が増えたりとか。それがいいかどうかは置いといて、って感じですけどね。
水野:今でもよく分からない事の一つなんですけど、自分は本当に、すごくシンプルに、「若い女」っていうことで、それが評価に繋がる、みたいな、ただそこにいる人間を切り落として断面にしたような価値を、自分がその構造に当てはまるとは、とても思えなかったから、そうなっただけで......す(しばし沈黙ののち照れ笑いし、テーブルに肘をついて頭を抱える)。
豪:ハハハ! 以上ですか?
最近の小林Pについて
水野:(沈黙のまま、爪をいじり始める)......あ、豪さんの思い出話はないんですか?(と言って、手元に置いてあった黄色いノートをパラパラめくり始める)
豪:なんかあるかなぁ。(観客からの質問用紙を手にとって)今ちょうど、ミスiD絡みの質問が来てるんで、それ読んでもいいですかね。
水野:(なおもノートを繰りながら)あ、いいですよ。
豪:はい。「豪さんも度々ツイッターで、小林Pのイベントの仕切りの悪さを呟いていますが、なんでそんなに表に出たがるのでしょう? 司会進行も下手、トークもつまらないし、ミスiDクリスマスパーティーの件からも、気遣いのできる人には思えません」。
水野:(突然、繰っていたノートを閉じて)あぁ。
豪:「......ミスiDのイベントはすべて豪さんに任せて、プロデューサーらしく、雲の上から見ていればいいのに、と思います。女の子にがっつきたい、半ヲタなのでしょうか?」
水野:でも、最近すごいホントに、忙しすぎて魂の抜け具合めちゃくちゃ加速がかかってるっていうか。
豪:ダハハハハ!
水野:昔はあそこまでじゃなかったんですよ。ほんとに最近、死に体というか、気絶したまま喋ってるのかなって感じなんですけど。
豪:うんうん。
水野:結構「あ、もうこれ、人前に出してはまずいのかな」っていうレベルですよね。
豪:見切り発車ぶりに、確かに拍車がかかってますね。
水野:トークとかの回し方なんですけど、疲れすぎて「よく分かんない所を掘って適当に流す」みたいなのを、ずっと繰り返しているから、どんどん場の鮮度が下がっていくんですけど、誰も歯止めをかけずにその空気がずっと続くから、「どうしようこれ」みたいな気持ちになっちゃうんですよね。
豪:しかも、それでいながら時間も守れないから、どんどんとそれで長くなっていく、っていう怖ろしい......。この前、Naked LOFTのイベント見ながら仕事してたんですけど、結構衝撃受けましたね。本当に何も考えないで、イベントを組んでいたっていう......。
水野:どんなイベントだったんですか?
豪:ひな祭り企画だったんですけど、事前に振ってたのが「みんなにひな祭りの思い出を聞く」っていう一切盛り上がる訳のないやつで(笑)。
水野:ははは!
豪:どうする気なんだろう、みたいな(笑)。ひな祭りで面白い話って、なかなかしづらいじゃないですか、そのテーマで。水野さん、なんかあります?
水野:ひな壇飾りの後ろが結構小さいお部屋みたいになるから、そのスペースで、隠れて物を食べたり、ゲームボーイするのは楽しかったね!
豪:相当、人格形成に影響しそうな気がしますけどね。
水野:まあ、それは瑣末なことなんですけど。
SASUKE・山田勝己への熱き思い
豪:まだ大丈夫ですか? 水野さん、すごいSASUKEの山田さん好きじゃないですか?
水野:(手元のメニューを見ながら)好きですね! あのーすみません......カルーアミルクください!......山田さん好きです。なんか、山田勝己さんは、自己を重ね合わせるタイプの「好き」みたいな感じなんですけど。
豪:山田さんに自己を重ね合わせている?
水野:そうですね。山田さんだけではなくて、エスパーの人とか。
豪:エスパーの人?
水野:うん。何でしょう? 職業、エスパータレントの方とか、クイズ王の方とか、大食いチャンピオンの方とか、SASUKEの方とか、そういう方に対しては、すごくシンパシーを感じますね。
豪:それは何なんですかね? 職業がちょっと特殊な方というか? それだけで食べれるのかどうか分かんない側の......。
水野:うーん、なんかハイリスク・ローリターンだし、まあ、ローリターンというか、ほぼリターンはないに等しいのかも知れないんですけど。
豪:うーん。
水野:しかも、それは「テレビっていう形態でしか伝わらない悲しさ」みたいなのがすごく含まれていて、自分を戯画化することでしか、自分の感情を他人に伝えることができない。本当に素直に、思ったことを伝えようとしても、その文法では決して他者に伝わることがない。それはエスパーも大食いも、そうじゃないですか。
豪:うん。
水野:そのままの文法で他人にそれを伝えようとしても、SASUKE的なものとか、エスパー的なものとか、大食い的なものって、誰も理解のしようがない、コミットのしようがない、接続しようがないものじゃないですか。だからそれが、テレビっていうコメディーの世界で戯画化されることによって、「大食いチャンピオン」とか「ミスターSASUKE」とか「職業はエスパー」とか、そういう風に言われて伝えることができる、っていう点に対して、主に共感する部分がありますね。
豪:自分もそっち側?
水野:特に山田さんは、そのために仕事をやめてる方なので。「仕事は無職、筋肉は24時間営業中」(笑)。そういう部分では、まあ、シンパシーとは違うんですけど、山田さんのそういう痛みに対して、感じ入る部分はすごくありますね。山田さんは最近「黒虎」っていう集団を育ててるんですけど、「黒虎」の人は全員1stステージで脱落して(笑)。
豪:ハハハハ!
水野:で、それを見て山田勝己さんが号泣しながら、「俺の作った看板が大きすぎたんや! プレッシャーの無いところでやらせてやりたかった! 何がミスターSASUKEじゃ」みたいなことを言って。もうその面白さが宿命的に悲しいなぁ、って思って。切ない......。
豪:結構ね、世間的にはみんな笑って見てる感じだと思うんですけど、水野さんはそこに切なさとかを見てる?
水野:うーん。いやでも、面白い感じのほうが大きいかも知れないですけどね。「仕事は無職、筋肉は24時間営業中」っていうナレーションをつけられたときに、山田勝己さんの奥さんが、泣きながら笑ってて(笑)、それぐらいの感じだな、と思って。
豪:ハハハハ!
水野:奥さんの実家の鉄工所に就職したんで。そこもクビになるんですけど(笑)。
豪:SASUKEは相当好きなんですね?
水野:うーん。全部が、って訳じゃないですけどね。例えば、改善点があるとすれば、賞金の100万円。これはもう、無しにすべき。
豪:えぇ!
水野:いやもう、純度を高めるべきだと思うんですよ。リターンを徹底的になくすことによって。
豪:ダハハ!
水野:だって、大体誰も、100万円が欲しくてやってる人なんていないと思うし、あれでクリアして「100万円です」って言われたら、「馬鹿にすんな!」って......自分だったら、そうなりますけどね。
豪:うーん。どうせだったらもっと高くするか、もう無しにするか、っていう。100万という中途半端さがもう......。
水野:ほんとにね、そこがダメなんです。
豪:そこで一生食えるぐらいのお金がボンともらえるとか?
水野:あ、そうですね。うん、ホントにそう。
豪:テレビは結構お好きなんですか?
水野:最近はそんなに見てないんですけど、洗濯物を畳んでる時に、隣の人が音楽を作ってる人で、もうほんとに、自分の好みじゃないというか、好きじゃない曲がちょっとだけ聞こえてきて、パッてテレビをつけたら、トーク番組をやってたんですよ。山里さんとか、色んなお笑いの方が5人ぐらい出てる。
豪:はいはい。
水野:で、トークテーマで、パッて「女」って出て......(堪えきれず思い出し笑い)「女」って出たのに対してナレーションで、「美のシンボルとして、古来より人類を惹きつける、それは......女」って言ってて(笑)。すごい面白かったんですけど、ちょっとついていけなくて、テレビ消しちゃった(笑)。
豪:ハハハハハ!
水野:何言ってんだろうな、って(笑)。昔、「キャット」っていう映画があって、それのキャッチコピーが、「ペットとして人気の猫」だったんですけど(笑)。
豪:ダハハハハ!
水野:それと同じ様なことを言ってる、と思って! それをトークしなきゃいけない芸人さんも大変なお仕事だな、って思ったんですけど。
テレビに出て「悲しい」と感じたこと
豪:テレビとか呼ばれるようになって、何かやりづらいなぁとか思うことってあります?
水野:あのー、それはほんとにしょうがないことなんですけど、前回カリスマサイドとして、中村インディアさんという方と、私。さんっていうダンサーの方と3人で出た時は、すーごい大変で。
豪:あの、テレ東のやつですよね?
水野:はい。別に全然、お二人が悪いっていうことないですし......。
豪:最初に水野さんが単独で出て評判がよくて......。
水野:あ、そうですそうです。
豪:で、ユニットでも出よう、みたいな感じになって。
水野:なんか、「もう一回1人だとあれだから、誰か身近な人がいないですか?」って言われてて、その時宣伝をしたかったので、それでお願いしたんですけど......。
豪:うん。
水野:ほんとに、最初だと絶対分からないし、ほんとにしょうがないことだと思うんですよ。言われたところで、実際に何か起こるまでは分からないから。ただ、「シンプルな格好をしよう」っていうことを、ずっとお願いしたのに、インドの服の派手な飾りをつけている人と、なんかゴスロリの人になってしまって(笑)。お、お二人に悪気はないのは、分かっているけど、どうしてこうなってしまったんだぁ、と思って。
豪:ハハハ! まずそこで情報過多になって。
水野:もう入った時、ちょっとテレ東が引っ越したから、場所が分かんないからちょっと迷って、タクシーで移動して戻って行ったら、自分だけ入り時間が10分ぐらい遅くなって、メイクルームに入った瞬間に「あぁ! もうこれはダメだ!」と思って。局のメイクさんが3人がかりくらいで、宝石みたいなのを額に貼り付けていたり(笑)。
豪:ハハハハ!
水野:全然あの、誰が悪いとかではないんですけど。
豪:オンエアは、ちゃんとそれなりになってましたけどね。
水野:うん。
豪:現場が結構な事故っぽくなっていたというのは、噂では聞いてました。
水野:あぁ、そうですそうです。あと、自分の力不足で......。
豪:単独のやつは、面白かったですよ。
水野:(深呼吸をして)いやぁほんとに、思い出すと、めまいがしますね......。
豪:テレビ出ることにちょっと迷いとかは、未だにないんですか?
水野:なんだろう......。前はすごい嫌だったんですけど、嫌というか、えーと......できるはずの無いことというか。でも、どうでもよくなってきました、色んなことが。そういうこだわりとか。
豪:一回、僕のやってた番組にも出てもらったじゃないですか。
水野:あ、でもそれはほんとに、何にも演出とかないし、今日と全然変わらないし、そもそも誰も見ない......。
豪:ダハハハハ! 意外と見てましたよ!!(笑)
水野:そうかねぇ~(笑)。
豪:意外と好評だったんですよ!(笑)
水野:だって謎の時間に放映して、ほんとにCMがすごい謎のCMしかやってない。なんかシャボン玉追いかけるアイドルの人、みたいな。「何のためにこのスポンサーはお金を払っているんだ?」という......。そんなことは嘘ですけど(笑)。
豪:ハハハハ! でも、「あれで水野さんがようやく分かった」みたいな声が結構ありましたね。
水野:あぁ~、でも確かに豪さんの番組に呼んで頂いた時の話は、未だに結構「豪さんの番組で見ました」っていうのは言われます。
豪:一番大変だったのは、その3人の時ですか?
水野:そうですね......。いや、ほんとにそう。なんか責任を感じてしまって。もちろん、確認は何回も取ったんですけど「一回これが世に出てしまうと、二度と取り返しはつかないし、承諾してしまった後でも、少しでも嫌な気持ちになったりとか、やっぱりよく分からないとかだったら、全然やめるでも、まったく問題はないから、少しでも気になるところがあったら言ってください」っていうのはすごく何回も確認して。でも何回確認しても「いや、大丈夫、やる!」っていうことだったから、でも、やってみないと分からないことってあるじゃないですか。
豪:うん。
水野:だからそのギャップに2人も結構苦しんだみたいで......。罠じゃないですか、だって。「シンプルな服装のほうがいいよ」って言ったって、それがどういう意図なのかって分からないし、テレビだったら分かりやすくしてあげたほうがいいんじゃないかとか、自分の属性を服装に表したほうが、親切なんじゃないか、って普通に思うじゃないですか。だから、そのすれ違いがすごい悲しくて、「悲しい!」と思って。
豪:うん。
水野:なんか、よくない言葉だけど、自分が誘った人が「イタい人」っていう風な見られ方を、されちゃう可能性について、すごい悲しいというか、それが自分のことだったら別に......。今さらな話じゃん、「イタい」とか(笑)。うん、なんか、そんな何も想定できない状態で、そういうことが起こってしまうのは、すごい悲しいと思って。
豪:水野さん自身が色々言われることもあったりする訳ですか? やっぱりそうやって、人目に付くことをすることで。
水野:うーん。言っている人は、いるのかなぁ? どうなんだろう? 悩みとしては「怖い人だと思われる」っていうのが悩みかな。あんまり怖くないと思うんですけど。
豪:だからこそ、気さくを前面に出したいとか?
水野:(急に笑い出して)この前歩いてて、フルーツ屋さんの看板かなんかで、「本当に本物」っていう看板があって、これは自分のようだ、って思って(笑)。
豪:ダハハハハ!
水野:フリでしかないぞ、と思って(笑)。
「インターネットの優しい人」と思われたい
豪:怖いと思われるのは何なんですかね?
水野:うーん。やっぱりさっきの美容師のLINEみたいなのが怖いのかなぁ。それが悩みだから、どうすれば怖い人に思われなくなるかが知りたいんですけど、なんかいいアイデアないですか?
豪:怖くはないですけど、みんなが曖昧にさせてるようなものを、はっきりさせたがる人だなとは思いますよね。
水野:でもそれが、十分に、十二分に、マックスに怖いって言う方も、多分大勢いらっしゃると思うんですよ。なぜなら、そういう方々は、この世の理を支えるための柱を日頃一生懸命支えていらっしゃる方々だから......怖いでしょう?
豪:うんうん。
水野:それを取り除く、何かいい方法はないか?(と言いながら、観客を指差す。そして手を挙げて)アイデアを......!
豪:挙手!? 突然!?(笑)
水野:無い? 何か言ってみなさいよ(笑)。
豪:まず、水野さんを怖いと思ってるか? からいきます?
水野:あぁ~。でも来る人は、知っているから、そんなに......。でも、どうなんだろう? いるかも、もしかしたら。私のことが怖いと思う人?
豪:手、挙げづらいでしょうけどね(笑)。
水野:だって、怖いと思っているということだもんね、その人は。
豪:直接言われたりすることは無いですよね?
水野:いや、言われるんですよ、なんか。
豪:「もっと怖い人だと思ってました」みたいな?
水野:そうそう。お仕事とかで一緒になる時に「あ、なんかこんな......気さくって本当だったんですね!」みたいな(笑)。
豪:ハハハハハ!
水野:何か裏の意味がある怖いこと、とかじゃなくて、本当にそういうことだったんですね、シンプルだったんですね、みたいな。
豪:僕とかが怖がられるのは分かるじゃないですか。それこそ、こういう顔でこういう髪して椅子持った写真で、みたいな。
水野:あぁ。
豪:だから「会ってみたら、意外と優しいんですね」みたいに言われるのは分かりますね。
水野:そっか、なんか「ヤクザとかも友達がいっぱいいる」みたいな(笑)。
豪:「アウトローのインタビューよくしてるし」みたいな。
水野:それだったら別にね、ギャップで「いい人」って思われやすいし全然いいんだけど......。
豪:困ることも多々ありますか?
水野:あ、私ですか? 怖いと思われて? ......うーん、なんか、こういう例え方はちょっと大げさかもしれませんけど、なんか「泣いた赤鬼」みたいな気持ちになっちゃうっていうか。
豪:なるほど。
水野:鬼じゃないですよ......。鬼、なんですけど......。
豪:ダハハハハ! 怖い鬼ではないですよ、っていうね(笑)。
水野:うん。でもそっか、青鬼が「鬼じゃない」って言ったらそれは嘘になっちゃいますもんね。鬼は鬼だもん、みたいな。
豪:うんうん。「鬼にもいい鬼と悪い鬼がいまして」みたいな。
水野:いやでも、全然そんなことないんだけどなぁ......。なんとなく「あんまりよく知らないけど、インターネットの怖い人」って思われるのとか、悲しいなぁと思って。
豪:うーん。
水野:どうせ思われるなら、「あ、インターネットの優しい人だ」って思われたいなぁ。
豪:でも難しいですよね、その「インターネットの優しい人活動」って(笑)。
水野:......(にこやかに沈黙)。
豪:「インターネットの面白い人」的な扱いはもっとされる気がしますけどね。
水野:いや、ちょっと最近のツイッターに自分はほんとについていけなくて。ちょっと前に、サブアカウントで(と言いつつスマホを開く)。
豪:サブアカウントも最高ですよね。
水野:あ! すごい。返信返って来てる!
豪:え、LINE?
水野:さっきの美容師さんから。(※水野しず編【前編】参照)
豪:おお!
水野:でもほんとにシンプルな返信ですけど、(申し訳なさそうな口調を作って)「大変申し訳ありません。今後こういったことが無いよう、気をつけてまいります。今回は、ご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありませんでした」だってぇ~(笑)。
豪:ハハハハ! これで何かが変われば良いですね。
水野:でも、彼若いしさぁ、人生で一番傷ついた可能性がある(笑)。
豪:ダハハハハ!
水野:だってそんなこと言われないじゃん。
豪:でしょうね。そこまで言う人いないですよ(笑)。
水野:しかも街に立ってるのも、別に自分の意思じゃなくて、店に言われてやってるだけだしさ。ブロイラーだから(笑)。
豪:ダハハハハ! 出ましたブロイラー!
水野:踏んだり蹴ったりとはこのことだよ(笑)。
豪:ハハハ! そういうのは、ちゃんと返信してあげるんですか?
水野:まあ、これ以上追い詰めるようなことは......。だって、この後さらにLINE来たら、ほんとに気の毒じゃないですか、相手の立場からすると。
豪:うん。
水野:だから、これで無視するのが......。
豪:なるほど。
水野:あ、なんかね、ツイッターのサブアカウントで「昔のアルバイトの人から、唐突にディズニーツムツムの招待とかが送られてくると、あの時の優しさは、その場しのぎの場当たり的な芝居だったんだと思ってすごく安心する」ってツイートしたんですよ。多分皆さん、うっすらなんとなく分かってくれると思うんですけど。
豪:はいはい、分かります、分かります。
水野:それに対するリプライで「え! めっちゃ分かる! ディズニーツムツム、どういう感情で送ってくるのか理解できなくて、返信しないです。人間怖い!」って返ってきて、こうなってしまったから、私はもうツイッターがあんまりできないんだと思って(笑)。
豪:ハハハ!
水野:しかもこれ、メインアカウントじゃなくて、サブアカでこれなんですよ。よっぽどの人しかフォローしてないので。
豪:はいはい、水野さんのことを分かる人しかね。
水野:あ、この話、伝わってないですかね?
豪:まあ、その人が言ってる発言自体は、分かるわけじゃないですか。
水野:そうそう、全然それでいいんですけど、ほんとにコミュニケーションが成立してないし、全部言わないとダメなんだなぁって。汲み取ってもらうこともできないし。
豪:うんうん。
水野:すべてを誘導して、すべてを言って、感情がどういうルートで流れていくのかっていうのを「ホワイトサイクロン」みたいに全部......。「ホワイトサイクロン」っていうのは名古屋にある、あの大きいジェットコースターなんですけど(笑)。
豪:そうなんですね! 全然例えが分からなかった(笑)。
水野:すいません、ジェットコースターといえば「ホワイトサイクロン」なんです。もう壊されたけど。じゃあ、あの、ウォ...ウォーターマウンテン、なんでしたっけ? ディズニーランドの......。
豪:ビッグサンダー?
水野:あ、スプラッシュマウンテン! スプラッシュマウンテンのように......あ、これ、あれですね。「ホワイトサイクロン」がいけなかった訳ではなくて、ジェットコースターに例えたこと自体が。
豪:間違ってた?(笑)
水野:じゃあ、流しそうめんのように......。
豪:うん。
水野:(困ったような笑顔で、吉田豪に)あのー、助けてください。
豪:ダハハハハハ! だって面白いんですよ! こういうのが!! なるべく自分であがいて欲しいと思いながら、最小限の助けだけでいきたいなぁと思ってたんです(笑)。
水野:今日の豪さん、なんか無口ですよね(笑)。
豪:ダハハハ! こういう感じは、僕が楽しんでる証拠ですよ(笑)。僕がいっぱい喋んなきゃいけない時は、僕が困ってる時というか。僕がそんなに喋んないで成立するイベントだから、そんなに喋ってないんですよ。