細木数子にカッときて「殺すぞ!」って(笑)
豪 お客さんからなんですが、「最近、何か天災は止められましたか? 今後、何か大きな地震など予知されていますか?」という気になる質問ですけど。
角 俺が一昨年の秋に「笑う警官」という映画を撮っていた間、台風を全て撥ね飛ばしたんだよね。
豪 映画の撮影に邪魔だからですか?
角 そう。最近でも、豪雨が東京だけ避けてるんだよな。で、この前、俺が神社に行く用事があって東京を離れたら、案の定、大雨が降った。だから、その起こすとか止めるとかじゃなくて、もう俺が居るだけで天災は止まってしまうんでね。
豪 角川さんが東京に居れば安全だと。
角 まぁ、そうだな。
豪 「2012年に地球が滅亡するらしいのですが、角川さんのお力で何とかなりませんか?」って、質問も来てますけど(笑)。
角 最近そう言われてるけど、俺は別に実感も無いし察知もしていない。まぁ、要するにマヤの暦の話だろ? 人間が絶滅するわけでもあるまいし、前のノストラダムスが外れたように、また外れるだろうな。そんなものに興味が無いし、俺が居る限り何も起こらないよ。
豪 有難い言葉です。それ位、力強く言ってもらえるとスッキリしますよ!
角 あぁ、大丈夫、俺が居ればな。
豪 角川さんが何かの仕事で、モンゴルとか行っちゃうと大変なことになりますね?
角 そうだね。日付まである程度、特定されるからな。だけど、俺の居る所には、そんなの関係ないことでね。だから予言っていうのは、俺が居ないことを前提にしないと当たらないんじゃない?(笑)
豪 角川さんが昨年、出された「生涯不良」って対談集でも、凄い気持ちのいい発言があって、『ニセモノばかりだよね、江原啓之、細木数子、全てニセモノだ! 一目瞭然じゃないか!』って、スッキリしますよね(笑)。
角 当たり前じゃないか! 皆、顔つき悪いだろ?(笑)
豪 細木数子に対して『殺すぞ!』って書いてあったのが、また衝撃を受けたんですけど(笑)。
角 これはな、モンゴル行った時に「赤い滝」っていう、昔、そこで瞑想した時に、チンギス・ハーンはここで死んで、ここに埋められてるっていうイメージが湧いた「聖地」があって、そこに雨が降らなくて、滝つぼが池になっちゃってると。それが5月28日だったかな、もうモンゴルでは夏だよね、ウチらは映画を撮っていて、雨が降らないばっかりに、ドンドン砂漠化していった。で、モンゴルの高官に頼まれて、自分が雨、風、雪、霰(あられ)、雷、ふるいと祝詞をあげたら……地震以外は、全て起こしたんだよね。
豪 全て起こした?
角 起こした。でも、今度は雪が降ったもんだから、自分たちを乗っけてきた飛行機が飛ばないんだよ。で、大変な思いをして、首都のウランバートルまで戻ったら、相撲の興行か何かで、朝昇龍にくっ付いて細木が来ていた。で、降っていた雪を、細木が「私が降らした」って言い出したから、それでカッときて「殺すぞ!」って(笑)。
豪 殺しても皆さん、角川さんを支持すると思いますよ(笑)。角川さんの逸話といえば、avexのMAX松浦さんのインポを治したって話もありましたよね?
角 あぁ、あった。アイツ、精神的インポだったんだよな。で、「角川さん、全然やる気ないんだけど、直してくれないかなぁ〜」って言うから「分かった、今日から大丈夫だよ」って言ったら、その日の内に遊びに行っちゃって、その後、子供2人作ったからね。
豪 何をするんですか、角川さんの治療って。
角 いや、「分かった」で終わりだよ。
豪 え? それでいいんですか?
角 うん。
豪 何か手をかざしたりとか……。
角 しないしない。「分かった、大丈夫」と。
豪 でも前に、手塚治虫さんの病気を治した時もありましたよね?
角 そうそう。あれは、尿道結石でな……って、こんな話ばっかりしてていいのかよ! 俺は別に超能者じゃねぇんだから(笑)。まぁ、ついでだから言うけど、テレビ見てたら彼の顔が黄色く見えたから「コイツ死ぬな」と思って、ちょうどその時、角川書店の「テレビジョン」で漫画を描いてたから、その編集長に「おい、手塚さん、死ぬぞ。縁があれば直してあげるよ」って言ったら、編集長がセッティングして、手塚さんと会った。で、最初、雑談をしながら、「手塚さん、あなた死にますよね?」って聞いたら、向こうも「えぇ、そう思います」って。
豪 えぇ!?
角 で、「どうしたらいいですか?」って聞くから、「握手すればいいんですよ」って、握手をして、その後にもう一回、会ったんだよ。で、手塚さんには尿道結石が3つあって1個出したんだけど、もう死ぬような思いをしたらしいんだよね。ところがあとの2つは、俺と握手した数日後に調べてもらったら、突然、消滅していたと。で、「じゃあ、あなたは私に恩返しをしなきゃいけないよね」って、「はい、何でもやります」って言うから、じゃあウチが出してる「野生時代」で「火の鳥」を連載しろと。で、「火の鳥・太陽編」を連載させて、なおかつ単行本も文庫版も売れて、お礼にウチの神社に行くって言うから、招待状3回出したけど、3回とも来なかった。人間との約束を破ることも問題あるけど、神との約束を破ったら、どれほど恐いかってことだよね……。
豪 前に聞いた話で角川さんが「手塚さん、火の鳥、見たことないんだよなぁ〜」って発言が印象的で。
角 そうなんだよね。だから、ちょっと違うんだよな、色も形も。
豪 角川さんは見てるんですよね?
角 モチロン、何度も見てるよ。
角川春樹が本当に伝えたいこととは?
豪 でも、これだけ健康だと、自分の「死」とかって考えます?
角 全然、考えない! 例えば「晩年」という言葉があるけれども、「晩年」になってみないとその「意識」は芽生えないわけで。どんな生命にでも死はあるけども、しかし、本当に「死」とは何なんだろう? もう自分で刷り込まれているんじゃないか? という気がしてしょうがないんだよね。
豪 じゃあ、刷り込まなければ大丈夫なんじゃないかと。
角 そう、脳が開けば、刷り込みようがないから、関係ないんじゃないかと思っているけどね。今日、皆さんに伝えておこうかと思ったのがね、人間は、今、起きている問題があると、そこでヘコんじゃう。例えば、リストラされたら自殺しちゃう奴もいるしさ、色んな問題が人間には取り囲んでいて、個人であろうが、会社であろうが、それに頭一杯になっちゃって、にっちもさっちもいかなくなる。ところが時間というものは、これは概念なんだけども、時間が過去から現在、現在から未来に流れているというのは、これは、仏教もそうだよね、因縁因果、だから悪いことはしちゃいけませんよとか言うわけだね。それからハイデッカー(ドイツの哲学者)の「存在と時間」の中では、人間というものは、現在というものがあって、その現在から見て、ここから過去も未来も派生するんだ、という考え方なんだよね、根本は。でも、俺はそう思わなかった。刑務所に居る時に、俺は「過去に生きている」と思った。なぜ、過去に生きているのかというと、当然、未来から見れば、例えば今の現在は過去だよね、だから自分は過去に生きているんであって、今、現在は過去になるな、と思った。だから、今、起きている問題というのが、未来から見れば、全て過去のものであると。時間というものは、過去から現在、現在から未来、あるいは、現在を中心として、未来と過去が派生するという考え方ではなくて、未来から現在、現在から過去へ流れていく時間軸を考えるべきだと。この考え方だとね、どんなことでも…
豪 大したことがないと思える。
角 そう。全て解決できることである。これは刑務所に居た時の実感だったからな。これが一番大きなことであって、つまり人間は「過去の奴隷」ではない、ということが言いたいわけ。で、もうひとつは、散々、書いていることなんだけど、自分という存在は、実は自分が選んで生まれてきたということを認識しているわけだよね。何のために生まれてきたか? これはほんと、ギリシャ時代から哲学の中でも、自然科学の中でも、宗教の中においても、人間はどこから来て、どこに行くのか、という問題点は絶えず問うてきたよね。それは実は簡単なことで、全部、自分の「人生ゲーム」を楽しむために生まれてきたと。もうこれ以外に無いんだよね、実は。思ったより人間、自分とは、重要な存在であるということだけはハッキリしているんだよね。これは俺だけの問題ではなく。だから時間軸の問題点、過去から現在、現在から未来に時間が流れているというのは立証出来ないから。勿論、俺の言っていることも立証できないよ。だけど、時間軸を初めから過去から未来、現在から過去に流れているというのは、刷り込み現象でしかないじゃないか。だから、人間が死ぬというのも、一種の刷り込みじゃないかと思っているわけだよね。
豪 そこから開放された方が楽になれるのではないか、と。
角 そのとおり。つまり、常に今、我々は、「過去」に生きているんだと。で、もうひとつは、人間は自分が楽しむために生まれたんだ、ということを認識すると、本当に人生は楽になるよ。俺が言えるのは、この2つだけだね。
豪 今日は色々と勉強になりました。角川春樹さん、有難うございました!