刑務所出てからの自分のテーマは「とにかく脳を開こう」
吉田豪(以下:豪) はい、というわけで角川さん、ロフトプラスワン初登場ですね!
角川春樹(以下:角) 今日は吉田豪の顔を立てて来ました。
豪 ありがとうございます!
角 二度と来ません(笑)。
豪 そういうわけで本当に最初で最後だから、皆さん、目に焼き付けておいた方がいいですよ! でも、ホントに来てくれると思わなかったです。
角 秘書も「え、出るんですか!」って驚いてたけど、しょうがねぇだろ、義理なんだから(笑)。
豪 講演とかも義理でしかやらないらしいですから、ホント有難いです。ただ、ボクは角川さんと会うの久しぶりなんですよね。ご無沙汰してますけど、お元気ですか?
角 見りゃ分かるじゃねぇか(笑)。
豪 分かった上で聞いてます(笑)。「刀は、いまどれぐらい振ってますか?」って質問も来てますけど。
角 あの〜、自分が振ってるのは「木剣」で、2.5キロあるものなんだけど、普通の国体に出るような選手で500回振るのが精一杯かなぁ。俺は3万3100回振ってる(あっさりと)。
豪 会う度に回数が増えてますよね(笑)。
角 一昨年からそれくらいだね。
豪 それって時間はどれくらい掛かるものなんですか?
角 朝の8時から、夕方の5時くらいまで(あっさりと)。
豪 えぇ!? つまり半日潰れるわけですか?
角 いや、1日だよ(あっさりと)。だって、その間にメシも食うし、トイレも行くし。
豪 それ、仕事と両立しづらいですよね?
角 もう、その場合は仕事も止めて、自分の神社があるから、そこに篭って、とにかく3万3100回やるまでは止めない。
豪 それだけやると肉体的にはどうなるんですか?
角 普通、スポーツをやる場合、筋肉を強化するという目的があるじゃないか。俺の場合、そんなの関係ないんだよね。筋肉を使ってる気がないんで、ほっとけば5万回でもやっちゃうと思うよ(あっさりと)。
豪 一回、角川さんが倒れた時に、筋肉が勝手に強化されてたって話もありましたよね?
角 そうだね、色々不思議なことがあるもんで、例えば、なぜ俺が「木剣」を振り始めたかという話をすると、これは自分のテーマでもあるんだけど、なぜ人間の脳細胞は10%以下しか使われていないのだろうか、と。なぜ脳はフィルターされているのか、という疑問を刑務所の中でずっと考えていて、刑務所出てからの自分のテーマは「とにかく脳を開こう」と。でも、脳を開くって方法がないじゃないか。
豪 サッパリわからないですよね。
木剣を振っていたら、試合をしたくなって、じゃあちょっと道場破りでもするかと
角 そこにずっと挑み続けていたんだけど全然ダメで、あるとき自分の神社の中に奥社ってあるんだけど、そこからちょっと離れた不動堂で拝んでたんだよ。尼さんと一緒に。その時、自分は100〜200メートルほど離れた不動堂に居ながら、意識だけは奥社で祈っている、というのを自分でイメージ出来たんだよね。そのとき「脳細胞を開く」ことを祈願したら、自分はそれを受理された、受け入れられたと感じたんだよ。で、神社から出て酒を1〜2杯飲んだら、目が回って天井がグルグル回るわ地面もグラグラするわ、何なんだと思って、そのまま倒れるように寝てしまった。で、次の日、まぁなんとか朝の神事を終わらせて、昨日一緒だった尼さんと、知り合いでヨガをやってる人が俺の所に来て。
豪 白石慈恵さんと成瀬雅春さんですね。
角 そうだ。彼らが「角川さん、話があります」と言われてね。「あなたの脳は、ヒンドゥーで言うと『ブラフマ結節』で、脳の中で閉じている『宇宙』の存在が開くようになった」「これから体の中の細胞が変わりますよ」って言うわけだよ。最初、何を言ってるのか分からなかったけど、一週間も経たない内に、寝ているだけなのにどんどん胸が厚くなるんだよね。なんだこれは、と。で、知り合いの芝居を見に行った時も、すごく気持ち悪くなって目がグルグル回って。とにかく会場を出て家に戻っても吐くわ目はグルグル回るわで、もう酷どうなるんだろうと思った。で、その日はそれで終わったんだけど、次の日になったら急に「木剣を振りたい」という気持ちが湧いてきて……。
豪 キツい状況のはずなのに(笑)。
角 そう、突然ね。「大本教」という神道の教団があって、そこで武道を教えている知り合いが、佐々木小次郎が使っていた木剣のレプリカを持っていて。それを10年前に一本もらって、それを渡す時に彼が、「先生、いつか突然、これを振りたい時がくるでしょう。その時、先生を守ってくれるよう祈りを込めました」って言うんだよな。で、実際に振りたくなった。で、それを振っていたら、試合をしたくなって、じゃあちょっと道場破りでもするかと(あっさりと)。
豪 ちょっと待って下さいよ! いきなり、あの角川春樹が木剣片手に道場破りに来るわけですか(笑)。
角 木剣を振り出してから、振っても振っても自分がくたばらないわけ。身体も急に大きくなって、なんでなんだろう? と思って、「脳を開く」と言った尼さんの所に会いに行った。そしたら角川さん、この一、二ヶ月の間に武神の所に行きませんでしたか?」と言うわけ。自分の神社は別にして、行ったかなぁ〜と思ってたら、亀ヶ岡八幡宮というとてもいい神社があって、そこで健康を祈ってたんだよね。すると、尼さんの顔が蒼白になって、「その神です」と。「その神が角川さんの肉体を作らせている。なぜなら、脳を開く時に、もの凄い衝撃があって、角川さんが何回も倒れているのは、その衝撃に耐えうる体を作るためです」と。確かに倒れる度に強くなる。
豪 だから道場破りをしたくなったんですね。
角 そうだ。その後、とある武道家の所へ戦いに行ったんだけど、見たら分かるわけ、単なる相手の裏を取って吹っ飛ばしてるだけじゃねぇかって。じゃあ、裏の裏を取ったら倒れるわけねぇだろ、と。で、実際に向こうがやってみても、俺はビクともしない。じゃあ、今度は俺が挑戦させてもらおうと思って、木剣を抜いたら、誰も居なくなっちゃった(あっさりと)。逃げられちゃったんだよね。その後、色んな武道家とやったけど、大体、剣を構えた瞬間に、とても敵いませんと全員に言われるわけ。
豪 一時期「Kー1」に出ようって話もあったじゃないですか?
角 あったあった。石井(和義)とやろうかって話もあったんだけど。石井が刑務所から出てきた時に一緒にメシを食うことになって、その時に、「ところで石井、俺とお前が戦うって話をマスコミが作ってるぞ」って。
豪 角川さんが作ったんじゃないですか(笑)。
角 そんなことねぇよ! そういう風に書かれただけで。そしたら石井が「会長、背中触らせて頂いていいですか?」って言うから、「いいよ」って、背広を脱いだんだよ。そしたら「背筋を触ってわかりました、勝てません」。で、終わり。戦うことはなかった(あっさりと)。
豪 不戦勝ですか?
角 いや、リングに上がってないからね(笑)。
豪 お客さんからの質問でもきてますよ。「角川さんと、角川さんの弟さん、もしくは、石井さんとの対戦を希望します!」って(笑)。
角 俺も希望するよ(笑)。
豪 弟さんとは有刺鉄線マッチでやりたいって言ってましたよね(笑)。
角 いまでもやりたいよ! まぁ、これは別の話だけど、前田日明が、俺の親しい人間にちょっと恐い思いをさせたことがあって、それを聞いていたから、以前、前田を紹介された時に、出会い頭で木剣を投げてやったんだ(あっさりと)。
豪 え! あの前田日明にですか?
角 うん(あっさりと)。投げたらズシっとくるじゃない、2.5キロあるから。で、「おぉ、お前が前田か!」って言ったら、「はい」って。それ以来、大人しくって。
豪 基本、角川さんは不戦勝なんですね(笑)
角 まぁ、有刺鉄線までいかないうちに終わったよ(笑)
(以下、次号に続く)