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トップコラム山脇唯「2SEE MORE」「2SEE MORE #23」ゲスト:浜辺のウルフ

SEE MORE #23」ゲスト:浜辺のウルフ

「2SEE MORE #23」ゲスト:浜辺のウルフ

2018.09.10

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 来る10月、ハロウィンの渋谷で単独公演を行う浜辺のウルフさんと、11月に高円寺で単独公演を予定している山脇唯の、十数年越しの初対談。関西で知り合い、お互い流転の人生を経てまた東京で再会、それぞれ所属も変わった2人の、四方山話をお届けします。上京した2人らしく(?)原宿での撮影となったPANORAMA FAMILYの写真にもご注目を。(撮影/PANORAMA FAMILY 文・構成/山脇唯)
 

山脇さんがヨーロッパ企画入る何個か前から、僕もう全部観に行ってます。

 
山脇:今日はイベント『チャリンチャリン大喜利』のあとにいらしていただいて、お疲れのところ、ありがとうございます。
ウルフ:ははは。
山脇:ウルフさんと久しぶりにお会いしたのが、バッファロー吾郎A先生の大喜利イベント『百個体組手』で。
ウルフ:そうですね。ネイキッドロフトで。
山脇:実は、今までお越しいただいたゲストの中で、ウルフさんとのつきあいが1番古いんですよ。
ウルフ:いやいや、つきあいなんて。僕が一方的にヨーロッパ企画を観てただけで……。
山脇:2004年の『インテル入ってない』とか観てもらってたり、しますよね?
ウルフ:山脇さんがヨーロッパ企画入る何個か前から、全部観に行ってます。1番最初は、『サッカー』っていう、売込隊ビームと一緒にやってたのを観て「わー面白いなー」って。それで、ホームページで『冬のユリゲラー』のVHSを酒井善史さん(ヨーロッパ企画)に注文して。
 
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山脇:コメディがお好きだったんですか?
ウルフ:もともと三谷幸喜さんとかも好きでしたし、『サッカー』の頃が、自分も集団で活動してた時期で、それで演劇とかを色々観に行ってたときに、初めて観て。
山脇:集団っていうのは、コント集団1.2.3.ですよね?
ウルフ:え? 1.2.3.をなんで知ってるんですか?
山脇:『インテル入ってない』で共演した黒木正浩さん……、今度、佐藤貴史さんの単独ライブにも出る、あの黒木さんが、もともとコント集団1.2.3.でウルフさんと一緒だったって。
ウルフ:もともとコンビでやってて、集団でやろう、ってなったときに、最初4人ぐらいでやろかって言ってて。「でも裏方含めたら4人じゃ少ないよなー」ってホームページかなんかで募集したら、黒木が「NSCの後輩です」ってきて。黒木、よしもとの大阪NSCの21期なんですよ。
山脇:大阪の21期っていうと……
ウルフ:レギュラーとか天津とか、あのへんです。
山脇:レギュラーの松本さん、『サマータイムマシン・ブルース・ワンスモア』のとき、お隣の席でした。
ウルフ:へー。観てんねや、ヨーロッパ企画。
山脇:ウルフさんは大阪18期ですよね?
ウルフ:よく知ってますね。18期って、同期が本当にいなくて。まだ吉本にいる同期だと滋賀のファミリーレストラン。
山脇:え、ファミリーレストラン、滋賀にいるんですか?
ウルフ:滋賀県住みます芸人で。僕らも愛媛に住みます芸人やったんですけど。あと同期やと、風藤松原とか「惚れてまうやろ~」の惚れてまわないほう、とかあのくらいです。
 
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山脇:『インテル~』から観てくれてるひとって少ないから、長いつきあいですよ。
ウルフ:それをつきあいって言ってもらえるんなら。僕ただ観てるだけなんで。
山脇:でも、ちょいちょい楽屋来てくださってましたよね?
ウルフ:あれ、どうなんですかね。ほんと楽屋行くの申し訳なくて。
山脇:どうしてですか?
ウルフ:めちゃくちゃ疲れてはるやないですか。そこに行ったら、皆さん「あーどうもー」って笑顔で接してくださるから、なんか申し訳なくて。
山脇:や、いらっしゃらなかったら「あれ、つまんなかったのかな……」って心配しますよ。
ウルフ:ここ2.3年、公演は観に行ってるんですけど楽屋は行ってないんですよ。今度『サマータイムマシン・ブルース・ワンスモア』も行くんですけど……楽屋は行かないかな……申し訳ないから……。
山脇:私、今回は昼、夜と観にいって、夜公演は関係者が多かったみたいで、楽屋前に長蛇の列ができてて。「こんな中にあたしがいてもねェ……」って途中で帰りそうになりました。
ウルフ:なんでですか、1番行っていいじゃないですか。
山脇:いや、今はみんなの営業の時間なんだ、邪魔しちゃいけない、って。
ウルフ:それも仕事のうち、みたいな。
山脇:そういうのはちょっとあります。
 
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昔はやっぱ「財布なんか楽屋に置いておけ」って文化じゃないですか。

 
ウルフ:たまに楽屋行ったら、山脇さんとか笑顔で迎えてくれはったのは……
山脇:あ、あの頃私たち営業担当じゃなかったから。
ウルフ:えっ、悲しいなあ。
山脇:テレビとか映画の関係者は、やっぱり男性陣がお話するので。私ともう1人の西村さんなんかは、誰か知ってる人が楽屋に来てくれないとつまんないな、っていう……。
ウルフ:そういう感じなんすね。行っても全員に挨拶するのもねえ。皆さんそれぞれ色々な方と挨拶してるのに……って。
山脇:私たちはあの頃、ただただ楽しく「あ、ウルフさんだ~」ってなってましたよ。西村さんと「ウルフさんって極悪連合なのに、私服だと神戸っぽいファッションしてるよね」って。
ウルフ:神戸っぽいファッション?  大阪と神戸でそんなちゃいます?
山脇:お店でいうとBshopっぽい感じ。京都だと藤井大丸。「ウルフさんが芸人の中で一番おしゃれなんじゃない?」とまで言ってました。
ウルフ:めちゃめちゃいじってるやないですか。
山脇:いやいや。当時、大阪の芸人さんってみんなウォレットチェーンのイメージだったんですよ。
ウルフ:あれはもう、バッファローさんが走りで。
山脇:そうなんですか! 知らなかった!
ウルフ:そうですねえ。あの財布にチェーンつけたまま舞台に出るって……昔はやっぱ「財布なんか楽屋に置いておけ」って文化じゃないですか。
山脇:スーツで。
ウルフ:それが、あのいかつい感じというか、千原兄弟さんとか、私服のままで舞台いくっていうのが……。僕らが出だした頃は、その影響をもろに受けて、アメ村でそれっぽいのを買って、ラフな感じで出てましたけどね。
 
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『極悪』って単語はいれちゃだめ、『連合』って単語もいれちゃだめで、どっちも合わさったら、もうとんでもない、と。

 
山脇:極悪連合のときはハードな感じの……あれは衣装ですか?
ウルフ:あれは衣装です。もともと、まんなかに『悪』って書いたTシャツを着てて、「それじゃ素人くさいからなんか考えろ」って言われて、たまたま楽屋にあったゼブラ柄のジャケットを羽織って出て。
山脇:そういう、衣装とかイメージのマネジメントって結構されるんですか?
ウルフ:苦手ですけど、そのときは演出家の方がいて、その人が服好きな人やったからアドバイスしてもらって、良くも悪くもちょっとかっこよくなったというか。
山脇:当時のトリオ名『極悪連合』、売り出しにくいという理由で改名を余儀なくされたっていうのは……
ウルフ:余儀なくされたんですよ(笑)。色々あったんですけど……
山脇:悪いものとの関係を示唆する感じが、だめで?
ウルフ:『極悪』って単語はいれちゃだめ、『連合』って単語もいれちゃだめで、どっちも合わさったら、もうとんでもない、と。それで「もう今日中に変えろ」って言われて。色々候補を揚げられるんですけど、『悪ガキ合唱団』とか……
山脇:かわいくしてみたんですね。
ウルフ:「それはさすがに……」とか思ってて。たむらけんじさんに相談したら、ケンコバさんの元のコンビ名”モストデンジャラスコンビ”が今宙ぶらりんやから、「襲名したら?」って言ってもらって。
山脇:あらー!
ウルフ:めっちゃラッキーでした。
山脇:いい話~!
ウルフ:いい話ですか?
 

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山脇:私はでも、「極悪連合」のイメージが強いかもしれないです、やっぱり。自分が関西にいたときだから。
ウルフ:1度『月刊コント』で一緒になりましたもんね。『月刊コント』出るってなったら、西村さんと山脇さんと一緒で。「久馬さんが、俺がヨーロッパ企画好きなん知ってて、あわせてくれたんやでこれは~」とか勝手に言うてました。
山脇:ははは。あのとき、ほかは誰が一緒でしたっけ?
ウルフ:えーとねえ。打ち上げで、山脇さんと西村さんと僕と天竺鼠の瀬下が一緒のテーブルで。
山脇:あ~、じゃ小藪さんも出てた回だ。
ウルフ:そうですね。
山脇:あのとき、芸人さんと一緒の打ち上げ怖いって思ってて、私と西村さんはウルフさんをすごく頼ってました。瀬下さんも優しかったし。家族みたいなテーブルでしたよね。
ウルフ:僕は、女の人2人だけやのに、ずっと同じテーブルで、皆さんに申し訳ないな、席替えせなあかんのかな、とか思ってました。
山脇:いやいや、私たちお愛想できないから、いっそ、端っこにいたほうがよかったんですよ。
 
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服はチョップリンの西野さんの言うこと聞いてるんですよ。

 
山脇:芦屋のご出身ですよね? だから神戸っぽいのかな、って。ボーダーをよく着てらっしゃいますよね。
ウルフ:そうなんです。ダサい奴ってすぐボーダーを着るらしくて。
山脇:いやいやいや。
ウルフ:いや本当に。でも、神戸っぽいかわかんないですけど、服はチョップリンの西野さんの言うこと聞いてるんですよ。
山脇:えっ?
ウルフ:西野さんか、夙川アトムの言うことを。ふたりとも地元の友達で。西野さんが芦屋で、夙川アトムは夙川なんですけど。(身につけている物を指しながら)これ、西野さんのおさがりで、これも西野さんと同じやつで、これも西野さんのおさがり。だからもう、西野さんが着てたやつを着てるんです。
山脇:だから、芦屋っぽいんですかね。
ウルフ:そうですかね。芦屋っぽいとか、そういうのがあるんだとしたら。たまに自分で「これいいな」って思ったときも、写メ撮って、西野さんに送って「これ大丈夫ですか」って。
山脇:え、どんぐらいの先輩後輩なんですか?
ウルフ:えっとね、歳は西野さんの方が上で、芸歴は僕のほうが上で。だからお互い敬語なんですけど。1人で服買ったら絶対失敗するから、西野さんに写メ撮って見せるか、西野さんがこっち来たときとかに、服屋まわって、
「ウルフさん、これやったらウルフさん似合いますよ」とか言われたやつを、じゃあ買います、って。
山脇:ええ? なんでそんなに2人は惹かれあってるんですか?
ウルフ:いや惹かれあってるっていうか、服に関して、僕はすごく何もわからんから。
山脇:西野さんを信頼してる?
ウルフ:そうです。おしゃれのおの字もわかんないっすもん。
山脇:西野さん、いっときめっちゃ共演したことがあって。
ウルフ:プラン9・チョップリン・ヨーロッパ企画の3組でね、番組やられてたりしてましたよね。
山脇:その頃、大阪のCO2っていう映画の企画で、小林さん主演の『都会の夢』って作品があったんですけど、西野さんも刑事役で出てて、私も出てたりとか。でも、最近全然お会いしてないので、元気かなあって。
ウルフ:チョップリンさん、大阪なのでね。元気です。
 
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「いや、そういうことじゃないんです、辞めて、東京行きたいんです」みたいなことを

 
山脇:聞いてもいいですか?
ウルフ:なんでも聞いてください。
山脇:トリオをお辞めになられたタイミングで、吉本も辞めて。どういう経緯で今……っていうのを。
ウルフ:もともと住みます芸人という企画が始まって。
山脇:それで、愛媛へ。
ウルフ:僕は行きたくなかったんですけど、もう2人が「絶対行こう」って言って、トリオだと多数決になっちゃうから、行って。最初は、住みます芸人、1年間、って言う話やったんで、「まあ1年くらい愛媛の空気吸うか」ってなって。そうしたら、途中から1年っていう縛りがなくなって、どうするってなった時に、2人が「一生愛媛におりたい」って。
山脇:え、一生?
ウルフ:愛媛でやりたい、って。言うたら、大阪戻っても仕事もないやろうし、愛媛で食えるんやったら愛媛の方がええんちゃうか、みたいなことを。
山脇:席取りがあんまりない、みたいな。
ウルフ:地方の番組とかもあるし。僕は嫌やったから、それで解散して。2人はトリオからコンビになって、住みます芸人のまんまで。僕1人で帰ってきて、そのタイミングで、baseよしもとに『芸歴10年以上の人は出られない』っていう決まりができて。僕10年以上だったんで「帰っても出るとこないな~」ってなって、また、たむけんさんに「こうこうこうなって、吉本辞めるかどうか迷ってるんです」って相談して。たむけんさんが、「絶対吉本じゃないほうがええんちゃう」って言ってくれて、喋ってるその場でサンドウィッチマンの伊達さんに電話してくれて。
山脇:え!
 
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ウルフ:「どっか行きたい事務所あんの?」って聞かれて、当時グレープカンパニーは年齢制限がなかったから「年齢制限ないみたいなんで、行けたらいいなって思ってます~」って言ったら、ばって電話で伊達さんに「可愛がってる後輩が、こうこうこうで、オーディションだけでも受けられるようにしてあげられへんか、入る入らないは別にして」って。で、伊達さんが「あ、わかりました」って。それで。裏口入学じゃないですけど、はい。
山脇:ほえええ~! 住みます芸人やbaseのシステムが変わったり、システムに翻弄されながらも、先輩の愛とコネクションで!
ウルフ:そんな、そんな。ただたむけんさんが、本当に面倒見がよくって。自分もそこそこ芸歴上やから、相談できる先輩がたむけんさんくらいしかいなくて。僕らも本当にお世話になってたんで。
山脇:いい先輩がいるって、いいですよ、いい。そんな方法があったのかぁ。
ウルフ:そんなつもりはなかったんですよ、ただ、相談して。僕より会社の事情もよく知ってはるしね。どうしたほうがいいですかね、って。
山脇:辞めてすぐよそにどうのこうの、とかっていうのはないんですか。
ウルフ:あったんですよ。会社は「辞めるのはアカン」って感じで、「東京はいかしたるわ」「特別に東京吉本に所属させたるわ」って。「いや、そういうことじゃないんです、辞めて、東京行きたいんです」みたいなことを、その時の支配人の方と話して。その社員の方も、話がわかるというか、熱い方やったんで「ほんまはあかんけど、個人の意見としては、自分の人生やし好きにやったほうがええと思うで」って言ってくれて。すいません、って。
山脇:何歳くらいのときですか?
ウルフ:それね、35歳かな。だからね、辞めるとかも考えましたけど。
 
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正直悪い気はしないんです、今までモテたことないから。

 
山脇:芸人のロリィタ族さんと2017年にご結婚もされて。
ウルフ:そうです。
山脇:ごめんなさい、ちょっと調べちゃって。
ウルフ:いいですよ(笑)、悪いことじゃないですから。
山脇:奥様の記事で……「今までつきあってきた人の中で一番好き、かっこいい、優しい」みたいなのを読みました。
ウルフ:それはまあ、なんていうんすか、公的な発言でしょ、まあ言うたら。元彼全員芸人あるあるみたいな芸風でやってた芸人やから、今の結婚相手が一番いいですって、まとまり良く喋ってるだけと思いますけど。
山脇:いやいや、それは嘘は言わないでしょ。
ウルフ:まあね。
山脇:よくぞ、結婚まで至りました、ねえ。
ウルフ:それはね、すごいむこうのペースというか。ぐいぐい。
山脇:結婚、したかったんですか?
ウルフ:むこうは結婚したい、するつもりで。前の彼氏と別れて傷心してるときに、『本気で口説きたい男芸人ライブ』みたいなのを主宰して、第一回のゲストで僕が呼ばれて。
山脇:ゲストが何人も来るイベントじゃなくて、1対1なんですか?
ウルフ:そうです、そうです。
山脇:なんですか、そのライブは。
ウルフ:ほんまに面識なかったんですよ。チャリンチャリン大喜利で2回くらい会っただけの。で、DMで「こういうライブしたいんですけど」って。まあ、ライブだから「出ますよ」って。
山脇:そのときから、もうすでに告白が始まってるみたいですね……
 
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ウルフ:ライブ終わってから、打ち上げとかで……まあ、ああいう芸風ですから「やらせてくれ、やらせてくれ」言うてきて……「いやいや」みたいな。
山脇:それは、悪い気はしないんですか?
ウルフ:あのねえ……正直悪い気はしないんです、今までモテたことないから。もちろん2人きりじゃないですよ。打ち上げで、お手伝いの後輩の人とかもいて。
山脇:はい。
ウルフ:やったらすぐ喋る、みたいな芸風でやってたんですね。「今までやった男芸人は全部喋ります」みたいな。実名も出して。
山脇:ええ!
ウルフ:でも「今はサービス月間で、やっても誰にも言わないんで、やりましょうよ」みたいなね、大人なトークしてくるから、もう怖くなって。
山脇:すごいですねえ。
ウルフ:「いやいや、そんな僕なんか、僕なんかどうこうどうこう……」で終わったんですけど、すごいLINEでワーッと。
山脇:それ、悪い気しないんですか?
ウルフ:……悪い気しないんです。
山脇:ははは!
ウルフ:今思えば……悪い気はしないというか。でも、断ってますよ。だから、困ってます。こっちは断ってるんですよ。LINEで「きょう家行っていいですか?」とかね、「 仕事が遅くてタクシー帰りなんでそのまま家行っていいですか?」みたいな、冗談っぽい、遊び人みたいなメールしてくるんですよ。こっちもドキドキしながら「もう勘弁してくださいよ」みたいな。断ってるんですけど……むこうからしたら、全然断れてなかったらしいんですね。やっぱ嬉しいのが……
山脇:にじみ出てしまってた?
ウルフ:はい。
山脇:返事してる時点でそうですよね。ほんとうにいやだったら無視すればいいんですもんね。
ウルフ:ほんでもう、むこうがまた、浮き沈みが激しいというか……「本当につきあう気ないんだったらもういいです、メールしてこないでください」みたいな。「刺しそうです」「もう喋ります」とかバンバンきて。「わあわあ~もう終わったわ~」とか思って。「LINEもブロックしてください」でブロックしたら、ツイッターのDMで「やっぱり~やっぱり~」とかね。すーごい揺さぶられて。なんだかんだで「もう連絡とるのやめましょう」ってなって、しばらく連絡とるのやめてたら「あれ……? なんか寂しいな……」ってほんとすいません。気持ち悪いですよね。
山脇:ほえ~~すごいなあとしか……
 
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一緒に住むのはさすがに早いでしょ、とか言いながら見たら、結構安くていい物件なんですよ(笑)。

 
ウルフ:なんだかんだでつきあうことになって、ほんだらもう「今のマンションの契約更新いつですか?」 とか言われて。その1ヶ月後くらいだったんで「あー何月で終わります」とかいうたら、「はい、決まりましたね、じゃあ」って2人用の物件がバーっておくられてきて。いやいや一緒に住むのはさすがに早いでしょ、とか言いながら見たら、結構安くていい物件なんですよ(笑)。
山脇:あらあら。
ウルフ:それで、住むことになって。むこうは、つきあってすぐ別れての繰り返しの人だったから「同棲して2年ぐらい続いたら、結婚もちょっと考えてくださいね」とかなって「そうですね」って。僕もええ歳ですし……その時でも僕「2年か、短いな」とか思ってたんですけど。まあ、目安、2年別れんかったら考えましょうってなって。
山脇:まあ、2年くらいがちょうどいい説も。
ウルフ:次の日から「どうせ結婚するのに、その2年ってなんなの」ってむこうが言い出して。僕、収入とかもないから、親御さんに娘さんくださいなんて、よう言う気ないしとか言うてたら「私が説得したらいいの? なんなの?」で次の日「お父さんが家に来てって言ってるから」って。
 
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山脇:攻める攻める。奥様おいくつですか?
ウルフ:31歳です。
山脇:え、結構、若いっちゃ若いですよね……
ウルフ:10個下ですから。
山脇:あ、でも結婚しようってエネルギーが1番高まる時期かなぁ。30歳だし、って。
ウルフ:別れてつきあって繰り返して、もう次は結婚やって思ったらしいんですよ。こっちは全然したくなかったんですけど。
山脇:でも、そこで「結婚はしたくない」って別れちゃうパターン、よく聞きますけど、ちゃんとご結婚されたの、すごいですよね。
ウルフ:僕がねえ、気が弱い……じゃないですけど、今までモテてないのが、いきなりそんだけ押されたら、「これも、ええきっかけか」と思って。自分だけやったら、いつまでたってもせえへんから、こういうタイミングかあと思って。
山脇:なるほど。……全然モテてなかったんですか?
ウルフ:いやまあ、そりゃそうです。
山脇:中、高、大……大学は?
ウルフ:行ってましたけど、モテるどころか、友達1人もいなかったんで。
山脇:お友達いらっしゃらなかった?
ウルフ:大学はほんまにそうなんです。
山脇:どちらの大学へ?
ウルフ:近畿大学なんですけど、高校くらいから、親には言わないけど「お笑いやりたいな」と思ってて。NSCの願書を取り寄せてたら、それが親に見つかって、一人っ子やし、高校卒業して吉本なんてあかん、ってなって。せめて大学行ってからとか、行きながらNSC通うとか、とにかく戻れるようにして、とか言われて、とりあえず行ったんです、大学。
山脇:不本意というか、仮面の気持ちで大学に通ってた、と。
ウルフ:そうです。だから、全然楽しくないです。
山脇:ジャンルは、何を学ばれてたんですか?
ウルフ:商経学部、経営学科。それも何個か受けて、そこしか受からなかったから、行った、っていうだけで。
 
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大丈夫でしたか? だらだら馴れ初めを話してしまって……

 
山脇:ご結婚にあたって、収入のことってどう折り合いをつけていったんですか?
ウルフ:別々です、今はまったく。家賃も半々で、自分の分は自分で。だからそういう意味では、一人暮らしの時より楽になって。
山脇:それがいいですよね! 収入面がネックで結婚できない……ってのをよく聞くので。
ウルフ:むこうも芸人やから、お金がないことに関しては寛大でした。
山脇:よく男性陣の話聞いてたら、女性の前で見栄張っちゃうらしくて、絶対おごらなきゃ! って。奢れないときは会えないから、会わない、って。
ウルフ:わかりますよ、その気持ちは。僕も、女性じゃないですけど、あんま仲良うない後輩とか、絶対おごらなあかんから。金なかったら、誘うのもなあ……って気持ちに近いんでしょうね。
山脇:おそらく。こっちとしては、ないなら、ないって言ってくれたって、好きな人だったらデートに行きますけどね、って思うんですけど。
ウルフ:育ちがいいんですかね、そういう人は。
山脇:かっこつけたいんですよ、女の子の前で。
ウルフ:あとあとしんどいから、言っちゃいますけどねえ。
山脇:ねえ。
 
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ウルフ:今の話とか大丈夫でしたか? だらだら馴れ初めを話してしまって……
山脇:いやいや聞きたいじゃないですか。
ウルフ:それならいいんですけど。
山脇:でも、奥様の今までの芸風から、元彼のことを全部知ってしまうっていうのは、それはお気持ち的には平気でした?
ウルフ:僕はわりと平気で。直近の元彼がローズヒップファニーファニーのナゲットって奴だったんですけど、僕、昔から友だちなんですよね。毎年、一緒にクロマニヨンズのライブ行ってて。
山脇:あら。
ウルフ:なんならナゲットとロリィタ族が別れかけの時に、話聞いて「お前もっと謝ってなんとかせえよ」とか言うてたくらいの。
山脇:えー。
ウルフ:それが、なんだかんだで、むこうがぐいぐいきたときに、ナゲットに「ロリィタ族がウルフさん狙ってるって噂聞いてるんで気をつけてください」言われて、「アホかお前。そんなん、なびくわけないやろ、なめんなよ」とか言うてたのに……つきあって……
山脇:でも、それはいいですね、同性の目を気にして、冷たくなる男の人、結構いるじゃないですか。コミュニティでの立場を優先する人。そうじゃなかったってことだから、それがきっと、一番優しいってことなんだと思います。
ウルフ:それが優しいにつながるかわかんないですけど。
山脇:クロマニヨンズ好きなんですか?
ウルフ:好きですよ(笑)。絶対バカにしてるでしょ。
山脇:なぜそう思うんですか。
ウルフ:この前もカラオケでなに歌う、みたいな話した時に、「ブルーハーツ」とかいったら鼻で笑ってましたよ。
山脇:鼻で笑ってはないですよ、「熱いなあ」と思うだけですよ。
ウルフ:熱いのいやでしょ?
山脇:いやいや、いいんですよ。
ウルフ:他にもいろいろ、いっぱい聴きますよ。ただ、ライブとかになると、ああいうね、激しい方が楽しいから「観に行こ」って思いますけど。
 
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「悪ないやん」っていう芸風やったから、自分的にはそんな変わってないんすけどねえ。

 
山脇:音楽、ほかは何を聴くんですか?
ウルフ:ほんまに、全部聴きます。全部聴くっていうか。
山脇:全部?  本当のことを教えてください。
ウルフ:いやいや、今から本当のこと言おうと、ね。いっちゃん最初はブルーハーツですよね。ブルーハーツ好きになったときに「ロッキンオンジャパン」とか読んで。単純やから「ロッキンオンで褒めてるやつは全部いい」とか思うわけで。だから、全部、あれもこれもって聴いて、洋楽とかも聴くようになって。フェスに行って、フェスで見たやつは思い入れあるから全部好きになって。
山脇:なりますよね。フェスって全部良い曲に聴こえる。
ウルフ:それで、結局全部聴くようになって。スピッツとかくるりとか優しいのも好きですし、テクノとかピコピコした、ボーカルないのも聴きますし。全ジャンル聴く。
山脇:神戸だと、神戸っ子はこれ、みたいのありますか。京都っ子はくるり……みたいなのだと。
ウルフ:神戸っ子は、わりとみんなガガガSPとか。僕、芦屋出身で隣り西宮で、KING BROTHERSっていう西宮出身のバンドがいて。たまたまファミレスで会ったり、っていうのがあったので、地域的なんでいうと、そのへんは思い入れありますけど。
山脇:フェスだと、京都のボロフェスタとかは行ってました?
ウルフ:あ、ボロフェスタ、出してもらいましたよ僕ら。どこでしたっけ。松田くん(※当時、ヨーロッパ企画若手でボロフェスタスタッフだった松田直樹)に呼んでもらって、極悪連合のときに出してもらいました。あれもステキなね。
山脇:いいですよね。KBSホールになってからですか? 西武講堂の頃?
ウルフ:あ、そこじゃないですね、場所の名前はよくわかんないんですけど……小さいとこでした。
山脇:……nano?
ウルフ:あ、nanoかなあ! nanoや!すいません、でかい声だして。nano!って。
 
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山脇:お笑いはどういうのが好きだったんですか?
ウルフ:僕らの世代はみんなそうなんでしょうけど、ダウンタウンさんの番組とかもう全部録画して。そのうち二丁目のテレビとか、天然素材のとかも全部観て。そういう、大阪の吉本のお笑いからですね。バッファロー吾郎さんもずっと観てました。
山脇:今まで、極悪連合、モストデンジャラストリオ、とずっと、悪いやつでやってこられて、で、いざピンでやられてるのを拝見したら、あ、今は悪くないんだ……って。
ウルフ:(笑)悪いやつやってたときも「悪ないやん」っていう芸風やったから、自分的にはそんな変わってないんすけどねえ。
山脇:悪ぶってるよー、っていう。
ウルフ:はい。悪くないやつがちょけてる的な。こんな、説明するのも恥ずかしいんですけど……もし本気で悪いと思ってる方がいたら、夢を壊すようで申し訳ないです。
 

身の丈がわからないから聞いてるんですよ。

 
山脇:ウルフさんに対して、あの「悪」のイメージがあって、初めてピンのネタをみたら、舞台上でもボーダー着て立ってる……って、びっくりしました。
ウルフ:どうびっくりしたんですか。
山脇:あ、今はこういう、飾らない感じなんだあ、って。
ウルフ:飾らないというかね、ボーダーは気づいたらチョイスしちゃうんですよね。
山脇:なんでなんですか? 安心?
ウルフ:安心というかね、ダサい奴って、ほんまにそうらしいんですよ。いつか、ヨーロッパ企画の方たちと話した時も、その話になって。あの人らもボーダー着るやないですか。
山脇:みんなボーダー着てました。今もなのかな。
ウルフ:上田さんに聞いたら、「やっぱり、女の子人気もないとあかんから、ちょっと小綺麗な格好しようと思ったら、僕らおしゃれとかあんまりわからないので、「合わせよう」ってことじゃなく、自然とみんながボーダーを手にとってたんです」みたいな話をしてて。ああ、一緒です、って。
山脇:みんな、ギャラ出るタイミングが一緒で、それで新しい服買いにいって、次の会議でみんな新品のボーダーを着てるみたいなことは、よく。
 
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ウルフ:ボーダーのええ歳のひとみたら「こいつなんでボーダー着てんねん」とか思う感じですか?
山脇:ええ?
ウルフ:僕41歳ですからね。ボーダー着てる場合ちゃいますよね。色変わるだけで毎回ボーダーで。
山脇:でもボーダーには年齢制限ないですから。ピカソも着てるし。
ウルフ:まあまあ、ないでしょうけど。
山脇:若い子ってどうなんですかね。私たちの時、ボーダーといえばフレンチな……ねえ。オリーブ少女的な。だから今でもボーダーならギリ大丈夫、って思ってますけど。
ウルフ:ギリなんすね。
山脇:ボーダーは安心だよ、みたいな。間違ってないよ、みたいな安心感。
ウルフ:変な英語のロゴとかよりは、ノーメッセージのほうが。
山脇:今の子はボーダーをどう見てるんだろう。
ウルフ:昔はコーネリアスが着て、とかねえ。ありましたけど。
山脇:今は若い男の子でおしゃれっていうとK-POPっぽいおしゃれになってるのかなぁ。
ウルフ:あ、なるほど、そっちか。男の人のどんな服装やったら好き、とかあります?
山脇:え?
ウルフ:こっちは『清潔感があればいい』って習ってるんですよ。
山脇:概ね合ってますよ。
ウルフ:だから、無印とかで買ったり。そういうのも女の人に全部バレてそうでね。
山脇:いやいや。
ウルフ:短パンとかいっちゃんダメって聞きますよ。
山脇:や、別に……「短いなぁ」とは思いましたけど。
ウルフ:バカにされる覚悟で短パンで来ました。
山脇:なんだろう。身の丈に合ってればいい、ってのもよく言いますよね。
ウルフ:身の丈がわからないから聞いてるんですよ。
山脇:ええ? 
ウルフ:白シャツ着ときゃええんかとかも思いますね。舞台衣装でも、極悪連合のときは「悪」でしたけど、普通のコントのときは限りなく私服に近いから、白のカッターか黒のカッターか着て、ちょっとスタイリッシュにしといたらええんか、とか思いつつ……それも恥ずかしいから、もうボーダーで出てまう、みたいな。
山脇:それであの。
ウルフ:僕、身の丈にあってるの、何ですかね。
山脇:今の、それだと思いますよ。
ウルフ:ほんまですか?
山脇:ボーダーの印象がずっと。神戸っぽい。
ウルフ:神戸か。マリンでね。港町やから。
山脇:そうですよ、神戸。
 
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芸人って、あんまりおしゃれすぎると、世間のストライクからはみ出る感じがあって。

 
山脇:わたし、たまーにラブレターズ溜口さんの服装が、キュートすぎてハラハラするんですよね。
ウルフ:何着ても可愛いじゃないですか。実際女性人気もあるし。
山脇:……それも解せない……可愛い、ってことなんでしょうか。
ウルフ:きっと、どまんなか、ってことなんじゃないですか。それが山脇さんにはちょっと……
山脇:いやいや、なんだろうなあ。
ウルフ:あんま、名前出すのもあれですけど、僕からしたら、GAG宮戸のほうがダサいやんって思いますよ。宮戸は、やっぱね、自分がプレーヤーやから、お客さんの前で常にポップな服を着なあかん、清潔感、明るさを、っていう意識があって服を選んでるんでしょうけど、その結果が、やっぱりダサいなぁ、って……。ああいうのは、どうですか。山脇さんからしたら。
山脇:前に話した時、自分で服買わないって言ってましたよ。もう何年も、もらった服を着てるって。
ウルフ:いや、そう言っときゃ、っていうあれでしょう。絶対買ってますよ。そんな全部もらいもんで賄えないでしょ。
山脇:えっ。そうなのかなあ。
ウルフ:芸人って、あんまりおしゃれすぎると、世間のストライクからはみ出る感じがあって。GAGの福井とか坂本とかって、めっちゃおしゃれで。最初の方めっちゃおしゃれやったのに、劇場とかに出るようになってから、多分わざとなんですけど、どんどんダサなっていくんですよね。
山脇:えっ、それはなんでなんですか。
ウルフ:言うたら、「茶色とかじゃなく、芸人なんやから赤を着ろや」とか、そういう。
山脇:街中でおしゃれにキラッと輝くより、舞台上でバーンと目立つ方がいい、ってことですかね。
ウルフ:そうです。「白ってなんやねん」「水玉を着ろ、お前」みたいな、そういうノリがちょっとあるんですよ、劇場やと。もしかしたら、それでみんな、わざと。
山脇:ああ~。足し引き考えて、引き算していいバランスにするよりも、足してけ、足してけ、と。
ウルフ:そうそう。「どんどん調味料かけて食えや! なんや素材の味て!」 みたいなね。そういうことがあるんじゃないかと。
山脇:上質な素材でどうこうっていうのではなく、とにかく目立つというか個性を光らせよう、ってなると、おしゃれとは遠のいていくのかな……でも、確かに福井さんっておしゃれな印象あります。
ウルフ:福井はねえ、芸人になる前は古着とかめちゃくちゃ好きで、高い古着とか着るタイプやったって言うてた気がするんですよ。けどやっぱ、どんどんね、中高生のお客さんになじむように、って。
 

自分に近い人を笑わしたいな、と自然と思うように。

 
山脇:中高生のお客さんからの人気って大事なんですか?
ウルフ:吉本のときは、めちゃめちゃ大事やと思いますね。客票で全部決まりますし。そこをつかまないと。今はもう全然ね、気にしてないですけど。
山脇:女性人気と男性人気だと、どっちがよりほしい、とかいうのはありますか?
ウルフ:僕ですか? 結婚したのもあるかもしれないですけど、どっちかといったら男性人気、というか、自分に近い人を笑わしたいな、と自然と思うように。
山脇:ほうー。
 
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ウルフ:今まで、というか最近まで、言うても事務所ライブとかやと若い女の子とか多いから、世代的なギャップがあるじゃないですか。『誰でも知ってるヒット曲』でワードを選ばなあかんときに、長渕剛でいってもあかんな、じゃあ誰やねん、とかそういうところで悩みもあったりしたんですけど。せきしろさんとかに「ネタよかったよ」って言ってもらったら……せきしろさんのネタで、僕ら世代の芸能人の名前がばんばん出てそのまま、とか観てたら、「自分に近い人を笑わせたらええか」って。開き直りじゃないですけど、それはすごい最近ありましたね。
山脇:確かに、こないだ『すいているのに相席'18決断』で出てきた宮崎美子さんとか、若い子も、あんまりピンときてなくても「なんか面白いんだろうな」って雰囲気で笑っちゃう。『宮崎美子さんが日本初の女性ラッパーって言われる』とか、知ってく喜びもありますよね。世代が違う人が、へたに寄せてくるよりも、「知らないだろうけど、こういうのがあって面白いんだ!」って言ってくれた方が。
ウルフ:無理して寄せても、多分バレるんですよね。思ってないこと言っても、「わ、おっさんくさ」って余計なりそうやから。
山脇:瞬間にズレますもんね。
ウルフ:そうするとサッと離れていく。
山脇:若い人たちの流行とか文化ってすごいスピードで動いていくから。この前、渋谷でごはん食べてるときに店員の若い男の子同士の会話が聞こえたんですけど、「俺もうさあ、服着て計ってワンチャン51kg」って言ってて、何言ってるんだと思って。
ウルフ:どういう意味ですか。もうわからんな……。服着て計ってワンチャン……早口で言ったらかっこいいですけどねえ。
山脇:ねえ。だから私たちはもう「ゲロゲロ~」とか言ってたほうがいいんですよ。
ウルフ:往年の宮沢りえさんとか。
山脇:「ぶっとび~!」ってね。
ウルフ:ああ、そっちの方がね。いいですよね。
(PANORAMA FAMILY:宮崎美子のラップ気になるな~。)
山脇:みりんのタイアップの曲を、せきしろさんのコントの中で聴かせてもらって。
ウルフ:せきしろさんはねえ、本当に、子どもの心をそのまま持っている人ですからねえ。
山脇:こういうおもちゃがある、こういう曲があるから、コントに書こう、って思うんですかね。
ウルフ:『すいているのに相席』を観にいっても、楽屋にせきしろさんのおもちゃがいっぱいありますもんね。
 
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山脇:A先生の『百個体組手』で再会してから、めちゃくちゃ色んなところでウルフさんと会うようになって。A先生とは……?
ウルフ:もともとお世話になってたんですけど……東京きてからは、あの『百個体組手』って、客も参加できるライブやったんで、しれっと行って、しれっと参戦希望の紙に浜辺のウルフって書いて、そしたら抽選で当たらんと、そのまましれっと帰って。そうしたら「お前、来てたんか」ってメールくれて。そこから、また。
山脇:優しいんですよね。A先生。
ウルフ:本当に先輩に助けられてます。
山脇:せきしろさんとは、電車が一緒で仲良くなったんでしたっけ?
ウルフ:いや、仲良くなってからの、電車で一緒に、ですよ。僕が電車ですごいガツガツいったわけでは。そんなことはないんですよ。
山脇:「帰り道が一緒だと仲良くなるね」って。
ウルフ:ちょうどいいんですよ。飲んだ帰り道のほろ酔いの感じでね。普通やったら緊張して「こんなこと聞いたら失礼かな」「これは野暮すぎるな」とかが、電車やと簡単に……「ルノアール読んだんですけど~」とか言えるっていう。あれはいいですねえ。
 

せきしろさんと、あとヨーロッパ企画の上田さん、ファミ通町内会のナッツさんが僕にネタを書いてくれて

 
山脇:今後も、きっと何かのライブで一緒になりそうな気がしています。
ウルフ:僕は普通に観にいきますし。この前のA先生の朗読のやつも、めちゃめちゃ面白かったです、すごいコメディエンヌで。あれって、自分の言い方なんですか? 朗読の間のやりとりとかは。
山脇:「ベリベリベリベリ……ブルーベリー」は、A先生の演出で「ベリベリは低めにいって、ブルーベリーは明るく元気良く」っていうのがあったので、もうその通りに。
ウルフ:なるほどなるほど、僕の勝手なあれですけど、うまいこと言わされてる感じで言うんですよね、山脇さんが。その微妙な感じが面白くて。
山脇:言わされてるんで、意気揚々とやっちゃいけないという、さじ加減が。
ウルフ:絶妙な。台本に書いてあるから、やってます、っていう。
山脇:では、そろそろ締めなんですけれども。お伝えしたい予定、告知などありますか?  
ウルフ:明日、大喜利のやつが。
山脇:でも明日じゃ告知にならないですよ(笑)。この記事9月に出るので。
ウルフ:あ、じゃあ……せきしろさんと、あとヨーロッパ企画の上田さん、ファミ通町内会のナッツさんが僕にネタを書いてくれて、10月30日、31日と公演をやることになって。
山脇:えっ! ライバルだ!(笑)
ウルフ:なんかあるんですか?
山脇:私も、11月に単独公演を……
ウルフ:そうなんですか? え? 単独?
山脇:まったく1人じゃないですけど、ゲストで色々出てもらうことにはなるんですけど、でも単独だから……ライバルだ!
ウルフ:(笑)でもまったく一緒の日じゃないでしょ?
山脇:じゃ、ないですけど。 
ウルフ:じゃあ、観に行こう。
山脇:嬉しい。引き続きよろしくお願いします。
 
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浜辺のウルフ(はまべのうるふ)
1977年2月12日生まれ。兵庫県出身。A型。グレープカンパニー所属のピン芸人。趣味は音楽鑑賞と読書、特技は節約と流れ作業の工場あるあるトーク。大阪NSC18期生で、極悪連合として2005年より活動。2010年にモストデンジャラストリオに改名し、2011年「地元住みます芸人」として愛媛県に移住。2012年にトリオを脱退。上京し現事務所に移籍。2017年7月には芸歴20年を記念し単独公演「ウルフフェスティバル」を開催した。同年秋、ロリィタ族と結婚。秋には第一子が生まれる予定。空耳俳優としての活動も。2018年10月30、31日にせきしろ・上田誠(ヨーロッパ企画)・ナッツ(ファミ通町内会)と豪華脚本陣を迎え、浜辺のウルフ単独公演『狼になりたい』を渋谷サラヴァ東京で行う。
 
山脇唯
1981年8月3日生まれ。俳優。ヨーロッパ企画退団後はフリーとして舞台を中心に活動。2013年より「すいているのに相席」に参加、“ユーモア女優“の称号をバッファロー吾郎A、せきしろ両氏より賜る。NHK Eテレ「デザインあ」、NTTdocomo、Tokyo FM、東京ガス、他、ラジオCMを中心に声の出演も多数。2018年10月21日ポンポコパーティクラブマーケット、11月11日には座・高円寺にて「山脇唯単独公演『放課後なんかいらん』」、『12月浮世企画『SHIP(仮)』(作・演出/今城文恵)と年内は活動目白押し。
 
PANORAMA FAMILY
2006年頃結成。2009年1月、3MCから1MCへ。以降はゴメス1人のユニットとなる。 渋谷Organ.b第1火曜日mixx beautyを中心に、年間60本ペースで精力的にライブを行う。remix、客演、ビールケースの上から幕張メッセ(countdown japan fes 3年連続出演)まで、大中小規模なイベントに参戦する他、トラック、楽曲提供など活動は多岐に渡る。レぺゼン宮城県女川町スタイル。2014年から写真家として活動。SLIDELUCK TOKYOの第一回ファイナリストに選出される。雑誌STUDIO VOICEでとりあげられる。2016年3月写真集「fastplant」発売するも即SOLD。
2017年12/4~12/17に個展『PARANOIA SLAPPYS』を行い、同タイトルを冠した写真集を発売。新作photo zine『Don't mind others, your dance is awesome/周りばっかり気にすんな、お前のやり方で大丈夫だから』発売中。
 

COLUMN LIST連載コラム一覧

  • 特派員日誌
  • PANTA(頭脳警察)乱破者控『青春無頼帖』
  • おじさんの眼
  • ロフトレーベルインフォメーション
  • イノマー<オナニーマシーン>の『自慰伝(序章)』
  • ISHIYA 異次元の常識
  • 鈴木邦男(文筆家・元一水会顧問)の右顧左眄
  • レズ風俗キャストゆうの 「寝る前に、すこし話そうよ」
  • 月刊牧村
  • 「LOFTと私」五辺宏明
  • 絵恋ちゃんの ああ えらそうに コラムが書きたい
  • おくはらしおり(阿佐ヶ谷ロフトA)のホントシオリ
  • 石丸元章「半径168センチの大問題」
  • THE BACK HORN 岡峰光舟の歴史のふし穴
  • 煩悩放出 〜せきしろの考えたこと〜
  •  朗読詩人 成宮アイコの「されど、望もう」
  • 今野亜美のスナック亜美
  • 山脇唯「2SEE MORE」
  • 大島薫の「マイセルフ、ユアセルフ。」
  • 能町みね子 新中野の森 アーティストプロジェクト
  • 能町みね子 中野の森BAND
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