柴犬を思わせる顔立ちと、ゴールデンレトリバーさながらに大きく動いてお話しする姿が印象的なしずる・池田一真さん。そんな池田さんの、コントで見せる的確な演技の秘訣から好きな音楽に至るまで徒然と伺いました。PANORAMA FAMILYのカメラがとらえた、"元気っ子"だけじゃない瞬間も必見です。(撮影/PANORAMA FAMILY 文・構成/山脇唯)
「ほんとなの?」って思っちゃうんですよ。
池田:どっちに座ったらいいですか?
(PANORAMA FAMILY:あ、じゃあ、こっち側に。)
山脇:パーソナルな、普通のことをお話ししていただけたらなーという企画です。なので、リラックスしてください。
池田:あ、はい。なんか「いくぞ!」って感じになっちゃってすみません。
(PANORAMA FAMILY:喋ってる間、撮って大丈夫ですか?)
池田:大丈夫です。
山脇:まず何から喋っていいか……。そのTシャツは、何ですか?
池田:これは、あの、タクシードライバー。あの、えー、ロバート・デ・ニーロ。
山脇:何かのイベントの時にも着てましたよね?
池田:これもう、なんの、どんなイベントでも着てます。
山脇:あ、『ギャグラリー』の時に着てました?
池田:着てます着てます。これ6着くらい持ってます、家に。
山脇:6着も持ってるんですか? どうして?
池田:あのーえー なんか、舞台に立つときって、きれいな格好じゃないと……だめじゃないですか……(笑)
(カメラのシャッター音が気になる様子の池田さん)
池田:あ、ちょっとなんか……(笑)。すいません、笑っちゃうんですよ。
山脇:インタビューに答えてるな、っていう感じが?
池田:ほんとっすか、って思っちゃうんですよ。「ほんとなの?」って思っちゃうんですよ。
山脇:えっ、何がですか?
池田:よくあるじゃないですか、ドッキリとかで、取材形式のインタビュー。本当に? って思っちゃうんですよ。よくあるシチュエーションじゃないですか。
山脇:急にこのインタビューが決まったのも怪しいし。
池田:いやいや、そうね、まずそうですね、なんか。
山脇:マネージャーさんが場所をきっちり押さえてくださってるのも怪しいですよね。「池田さん 取材」って貼り紙までして。
池田:そうですね、で、そのー、「俺に白羽の矢を立てる?」ていうのもなんかちょっと、色々気になるところではあるんですけど。
山脇:そっちに座れって言ったのも……隠し撮りのカメラがあるからかもしれないですもんね(笑)。
池田:向こう側に。でも大丈夫です。(この企画にサルゴリラの)児玉が出てるって聞いて、ありえるな、って。
山脇:そうそうそうですよ。そうですよ、っていうのもあれですけど。
池田:このTシャツは、あれです。舞台に立つときにきれいな格好じゃないと上の人が言ってくるって聞いて。
山脇:コントの人もですか? 漫才師の方だと「スーツ着ろよ」って言われるとか……。
池田:あるらしいんですけど。「きれいな格好って難しいな」って思って、だから「あ、これ衣装にしちゃえば言い訳つくんだろうな」って思ってこれを着るようになりました。
山脇:好きなんですか? ロバート・デ・ニーロが。
池田:いやっあのー、べつに……
山脇:えっ好きじゃない……?
池田:好きじゃないことはないんですけど、本当に、みんなと同じような認識ですね。
山脇:太ったり痩せたりするんだなー、くらいの?
池田:デニーロアプローチであったりとか、『レイジング・ブル』『タクシードライバー』あと……
山脇:なんでしたっけ 家族がいっぱい出てくる……?
池田:そう、なんでしたっけ、ありましたね。殺し屋のね。
山脇:あ、『ゴッドファーザー』か。お父さんか。
池田:そう、『ゴッドファーザー』。そんくらいの、認識っす。
山脇:そっか、銃がお好きだから、そういうのも好きなのかなって思って。
池田:まあ、そうっすねえ、銃がいっぱい出てくるじゃないですか。それこそ『ヒート』は、映画の中で実弾使ってたりするらしいんですよ。銃撃戦があるんすよね、警察と……
山脇:悪い奴らと。
池田:そう、悪い奴らとの銃撃戦の時に、本当に実弾使ってたとか。そういうのは好きっすね、はい。
もしかしたら、気難しいって思われてんのかなって思うんスよ、俺。
山脇:去年の夏、中目黒でやった池田さん作・演出のしずる単独ライブを観にいかせてもらって。
池田:あ、キンケロ。
山脇:はい。キンケロシアター、楽しませていただきました。あの中のネタで、お侍さんが不動産屋の……不動産でしたよね?
池田:不動産の、きたない奴、ていう。
山脇:あのコントが本当に大好きで。
池田:あれはねー。でもねー、こんなこと言ったら観にきてくれた人に申し訳ない
んですけど、その、やっぱり噛んだり飛んだり……噛むっていうのがすごいあるんですよね、あの台詞、自分でつくったんですけど。
山脇:「ござるよ」とか言うから。
池田:そうそうそう、むつかしいんですよ、台詞が。俺もなんでこんな台詞作ったんだろうって思うんですけど。そうですね、ありましたねー。
山脇:2015年に吉祥寺、2016年に阿佐ヶ谷、2017年に中目黒と単独ライブを見せていただいてて。しずるはお二方どちらもネタをお書きになるので、今は、冬に村上純さん作・演出、夏に池田さん作・演出の単独ライブと、それぞれ、1人が作・演出体制になってますが、吉祥寺のときは、まだ2人体制でしたっけ……?
池田:吉祥寺は1人体制です。あのときからです、それぞれで書くようになったの。
山脇:この前、文筆家のせきしろさんと「池田さんの書くコントはいい漫画みたいで面白いね」って。コロコロコミック感があるね、って話になったんですよ。
池田:せきしろさんがねー、嬉しいこと言ってくれるんすよ。なんかこう、なんていうんですかね、他の人はわかんないですよ。でも僕はやっぱ、せきしろさんに褒められるのが嬉しいんですよ。わざわざ「あのネタ面白かった」とか言ってくれたりしたときは「もうちょい続けていいんだな」って思うんす。やっぱ嬉しいですね、そうとう。
山脇:こないだ、せきしろさんに(この企画のゲストが)「次、誰なの?」 って聞かれて「池田さんです」っていって、そういう話になりまして。
池田:ありがたいです、ほんとうに。
山脇:「池田とあんま喋ったことないな」とも言ってました。
池田:せきしろさんですか?
山脇:はい。
池田:そうなんす、多分ねー、あのー、もしかしたら、気難しいって思われてんのかなって思うんスよ、俺。
山脇:パブリックイメージが……?
池田:そうっす、そうっす。僕の中では、自分は、誰とでも仲良くできる……いったら”元気っ子”みたいな認識だと思ってるんです。
山脇:セルフイメージは、元気っ子。
池田:そう、そうなんですよ。
山脇:そうですよねえ。元気ですよねえ。
池田:稀代の。
山脇:稀代の元気っ子。
池田:そう、稀代の元気っ子なんですよ。でもねえ、ネタとか作ってたりする部分で、もしかしたら「池田、これやらせたら、笑顔ではやるけど実は『なんだこれ』って思ってんじゃねえか」って思われてるんじゃないかな、って思うんスよ。だから、あんまね……。うーん。
だからね、こう……哲学的なことで、この人と一致したい、みたいな。
池田:山脇さんも、ありません? 「この人好き」とか「この音楽好き」とか言うのって、ちょっと言いづらかったりしません?
山脇:私、そういうの若いとき全然言えなくて、言えば良かったな、って思ってます。飲み会にたまたま憧れの人がきたとき、すぐ隣に行って「好きなんですよ」って言うのは、ダセェ奴のすることだと思ってて、気持ちを抱えたままでいたりとか。
池田:その「ダセェ」っていうのめっちゃくちゃわかります。
山脇:そういうことは、うん……
池田:だからね、こう……哲学的なことで、この人と一致したい、みたいな。その、なんか、思想的なもので。
山脇:わかります、そうですね。
池田:だから「好き」って言っちゃうと、それ誰でもできるじゃん、みたいな。
山脇:ああー。
池田:だから「僕の中のお笑いって……」みたいな話をして、「あ、僕もあるんだよ」みたいなとこで一致したときに「もうマブダチじゃん」って。……みたいなのがほしい、というかね、なんかね。
山脇:ちょっとそれは……そういうのが気難しいんじゃないですか、そのこだわりが(笑)。
池田:そうか、そうだ、俺も今言ってて……そうすね(笑)。ほんと面倒くさいんです。
池田:あのねー、山脇さんに一回やってほしいんですよ、俺を。
山脇:私に、池田さんを、体験してほしいんですか?
池田:ほんっとつらいんですよ、大変なんすよ。
山脇:元気っ子なのに?
池田:稀代の元気っ子なのに。
山脇:何がつらいんですか。
池田:あのね……なんかね……ないことを想像しちゃったり、とか。
山脇:心配性なのかな……?
池田:そうですね、もしかしたら心配性なのかもしんないですね。
山脇:血液型は?
池田:Aです。
山脇:あ、やっぱり。
池田:え?
山脇:心配性の人多くないですか、A型。
池田:え、いや、そんな、そんなあります?
山脇:じゃあ、星座は?
池田:星座? 山羊座です。
山脇:山羊座? ほー!
池田:いや、絶対ないですよ。山羊座のA型で「池田だ」ってならないですよ。
山脇:山羊座ですかー。
池田:なんか、あると思うんですよね。
山脇:色々考えちゃうんですか?
池田:なんか、はい。
「これ、僕……面白いと思ってるんですよ」っていうのを、しかも、自ら演じるっていうのが、やっぱ恥ずかしい仕事だと思うんですよ、俺。
山脇:なんか、キュッて考えちゃうんですかね。
池田:そう、っすねー。
山脇:でも、だから、ものが作れるんじゃないですか? 稀代の元気っ子なだけだったら作品はつくらないんじゃないでしょうか。
池田:ははは、そうっすねえー。
山脇:書くぞ! とはならないんじゃないかなあ。
池田:そうっすねー。なんすかねー。でも結構恥ずかしい行為じゃないですか。
山脇:作品をつくったりするのは?
池田:はい。なんか……「これ、僕……面白いと思ってるんですよ」っていうのを、しかも、自ら演じるっていうのが、やっぱ恥ずかしい仕事だと思うんですよ、俺。
山脇:ええ、だから、すごいな、って思いますよ、単独ライブやる人って。
池田:単独をなんですごいと思うかっていうと、やっぱり、何の恥ずかしげもなく、自分の考えたものをお金をとって見せるっていう恥ずかしさ……?
山脇:すごいことだなーって。
池田:すごいっすよねえ、大胆というか……ねえ、大胆すよねえ!
山脇:だから尊敬しますよ。私、自分の作ったものやらないですもん。俳優って、台本あって、演出家の人がいて。「演出家が『こういうのやりたい』って言うから、やってるんですよー」っていう言い訳の中でやってるっていう。
池田:そうっすよねえ、でもねえ、そっちの方が……いい、っていうか、いいって言い方したらあれですけど。
池田:昔、精神的に病んだ芸人さんがいて、精神科医に診てもらったんですって。その人が「舞台に立つのが怖い」って言ったら、精神科医が「あなた普通ですよ。舞台上で平然とやっていける人がちょっと変なんですよ」って。俺、ルミネの通常公演みたいのも、単独もそうっすけど、いまだに結構緊張するんですよ。だからそれ聞いて「俺、普通のひとじゃん」って思えたのがめちゃくちゃ嬉しかったんですよ。
山脇:へえー。
池田:やっぱ変わってるって言われるの恥ずかしいじゃないですか。ま、ちょっと嬉しい時もあるんですけど、でも、やっぱ普通が一番じゃないですか。普通が良くないですか? そんなことないですか。
山脇:まあ、普通がいい、かなあ、とは思いますけど……。
もう14年やってきてますけど、いつ緊張しなくなるんだろって思ってたんですよ
山脇:緊張するんですか?
池田:します。めちゃくちゃ緊張します。だから、たまに、向いてないんじゃないかなって思う時もあったんですよ、緊張しすぎて。今、もう14年やってきてますけど、いつ緊張しなくなるんだろって思ってたんですよ、でもずっと緊張するんで、「あ、ま、ちょっと、向いてないぞ」みたいのもあったんですけど。もう14年もやってきちゃって、ある程度のお金、生活費はもらえるようになったんで、もらえなくなったら辞めようかなっていう感じですね、今は。
山脇:あ、一緒です。
池田:あ、そうですか?
山脇:人から「出てください」って言われなくなったら辞めようかなー、言われるうちはやろうかなーって。
池田:自分から「出たい」とか言うときはないんですか。
山脇:あんまオーディションとか受からないんですよ。合わないとこにいってんのかな……だから今は「出て」っていわれるやつしか出てないです。
池田:じゃ「出たい」っていうものは、出ないっていうか、出れないっていう感じですか?
山脇:はい。……もしかしたら、こんなものは「出たい」って言って出るものじゃないのか、って。言われて出るのが、正しくない? と思って……若いとき全然オーディション通らないから、もういいかって思って、そうこうしてるうちに、こんな感じです。
池田:求められてる方が気持ちいいですもんね、やっぱ。でも、求められてるってことは、いいじゃないですか。よくないですか。羨ましいですよ。
山脇:いや、そんな。池田さんのほうが羨ましいですよ、14年も立派にやられていて。
山脇:もう、ずっと芸人一本道ですか? 高校卒業しての養成所、NSCですか?
池田:いや、実はね、俺、高校の時とか、ずっとラジオ聴いてて。ラジオでよく「パーソナリティー」っていう言葉を聴いてたんですよ。で、俺、それが何なのかわかんなかったんですよ。
山脇:はい。
池田:でも「この”パーソナリティー”っていうのになりたいな」て思ったんですよ。で、高校卒業するときに、NSCお笑いコース8期生の代だったんですけど、他にも俳優コースとか色々バーッとあって、そのなかに『アナウンス・パーソナリティーコース1期』っていうのが開設されたんですよ。で、「うぉ! これ、パーソナリティーだ! きたきた!」「これ、いこう」と思って、お笑いコースの前にアナウンス・パーソナリティーコース受けてるんですよ。でもそれが噂だと、定員が二桁いなかったらしくて、コースごと潰れたらしいんですよ。で、落とされて。それで、1年いろいろバイトとかして、で、その次の年のお笑いコース9期生に入った、っていう。
山脇:わー、そうなんですね。そして9期に。
池田:そうなんですよ。だからもともとは、ラジオやりたかったっていう。
「あーもう、恥ずかしい生き物なんだな」って思っちゃうんです。
山脇:じゃあ、どうしてそんなにお芝居が上手なんですか? 池田さんって上手ですよね、お芝居。
池田:いや……、多分ね……、多分ですよ……すっごい自分に自信があるんだと思います……。
山脇:ひえー!
池田:多分……
山脇:そうなんだー!
池田:いや、俺、そうだと思いますよ。
山脇:演技の神髄!
池田:やっぱ、俺ねー。これね、山脇さん、わかんないですけど、俳優とか女優って……演技うまいって、相当ナルシストだと思うんですよ。
山脇:はっはっは!
池田:はい。で、俺は、そうはなりたくない、と思ってたんですよ。
山脇:はい。
池田:でもね、たまに家にいて、「俺は絶対あいつらと一緒じゃない。俺はそんな恥ずかしい人間じゃない。しっかり、自分の立場をわきまえて、身分相応の生活を営んでるんだ」みたいなのを思ってたんですけど。でもなんかこう「演技が上手い」って言ってくれる人もいるんですよ。その度に「やめてくれ」って思うんですよ。「俺は一応最大限の力を振り絞ってるだけで、上手いとかじゃないんだ、あいつらと一緒にしないでくれ」って思ってたんですよ。
山脇:あいつらって誰のことですか?
池田:その、俳優陣。だって、聞きますよ。俳優って、プライベートでは「俺と飲めて嬉しいだろ?」「 俺と寝てぇんだろ?」みたいな。
山脇:ああ~偏見~。
池田:「 喋るな、ベッドの上で喋れ」みたいな。 アメリカ人じゃないですけど。「口ひらくんだったらその前に股ひらけ」みたいな。
山脇:ウィットに富んだ(笑)。
池田:そう、ウィットに富んだような発言をしてる、と思ってたんすよ。だから俺は、そういう奴と一緒じゃない、とか思ってたんですけど。でも、こう元を辿っていったら、それは、そいつらと一緒になりたくないっていう身の保全で作った皮の部分っていうか。その奥底のコアな部分では「絶対に俺が一番演技が上手い」みたいな、すっげえ硬いやつがあるんじゃないか、って思ったら、「あーもう、恥ずかしい生き物なんだな」って思っちゃうんです。だから、本来、俺はそういう奴なんじゃないかって。そうとう自信が……、思いたくないですよ、でも究明していったら、多分あるんじゃないかなって、だから、それが嫌なんですよ。
山脇:勉強になりました。演技に大事なのは自信なのか、って。なーんであんなに上手なのかなー、って2015年の吉祥寺の単独から思ってたんですよ。
池田:いや、ただ、でもね俺ね、わかんないっすよ。これが別に答えかわかんないですけど。一応、自分で作ったから、言ったら当て書きじゃないですけど、俺がやりたいっていうのをやってるんで、その中では自分の思ったような芝居がやれてるから、だからよく見えるんだなっていうふうに思うんです。
池田:だから、他人が作ったものとかは、だめなんです、できないんです。
山脇:ドラマとか出てらっしゃるのに?
池田:ふだん褒めてくれる同期の芸人とかも、僕がドラマ出させてもらってるの観て「むーちゃくちゃ下手だね!」「 死んでるじゃん!」みたいなことを言うんですよ。
山脇:えーなんでだろう。
池田:僕もね、あれなんすよ、一言一句間違えずにやろうとするんすよ。
山脇:与えられた台詞だからちゃんとやろう、みたいな?
池田:その人がすごい恥ずかしい思いして作ったんだから、その恥ずかしさをそのまま出してあげなきゃ、って。恥を忍んでやってるわけですから、一言一句間違えずにやろうって思うと硬くなっちゃうんです。
山脇:自分たちが書いたものの時には、それはないんですか?
池田:村上が作ったのは、他の人が作ったのと同じような感じです。一言一句、間違えずにやろうと思ってます。
山脇:でも、上手でしたよ、村上さんが書いた、2月の単独。浅野忠信か窪塚洋介か、みたいな「コインらんどりー」ってコントでの渋い演技とか。
池田:あれはもう、村上が。
山脇:全編通して、すごく良かったです。
池田:そうっすね、はい。確かにそうっすね、だから、まだ村上とは気が合ってるってことっすかね。他の人が書くのだとへたくそになっちゃう、けど、村上のでも上手く見えるんだったら、まあ、他人の中で一番気が合う、ってことなんすかね。
「これ山じゃない?」って言われても「や、山登りたかったし」
山脇:いいですね。そういう人と、コンビを組めてるわけだから。
池田:まあ、そう、っすねえ、でも、わけて作ってますからね、単独。
山脇:単独の作・演出をわけてやるようになって何年かたちますけど、いかがですか。
池田:すごくいいです。
山脇:あ、ほんとうですか。
池田:はい。やっぱもう14年やってきて「あ、気ィ合わないな、この人とは」と思ったんで。
山脇:あれ、あれ、矛盾が。さっきの話と。
池田:あ、そっか、そうすね。気が合わないっていうよりは……
山脇:ソリ?
池田:あ、ソリかな!? いや、ソリが合わないっていったらあれじゃないですか、そしたら。
山脇:なんだろう、ははは。
池田:でもソリは、合ってないと思います、やっぱり。だから、分けたときに、すごく「いいなぁ」とは思いましたね。うん。
山脇:なんだろ、船長は1人の方が、船が進みやすい、みたいなことですかね。
池田:まあ、そう、ですね。船頭多くして、でしたっけ。
山脇:あっちいくぞ、こっちいくぞーって。
池田:もしかしたら、山登ってたかもしれないですね。お互いが書いてたときは。
山脇:1人の判断でいくよ、って決まってると、わりと相手も言うこと聞きやすくなるのかな?
池田:まーそうっすね。でも、自分が1人で舵取ってて、果たして本当に海行ってんのかって話ですけどね。もしかしたら山行ってんのかもしんないですから、そこはちょっと責任とれないですよ、村上に申し訳ないですけど。「これ山じゃない?」って言われても「や、山登りたかったし」みたいな、童貞っぽい言い訳をしちゃうと思うんで。
山脇:いやぁ、でもお話聞いてると、お互いのことがすごいわかってらっしゃるんだな、理解されてるんだなって、随所でなんか感じますよ。
池田:いやいや、そんなことない、そんなことない。わかったような、ですよ。
RIP SLYME初めて観て、「おい、おま、おい……見つけたぞ!」みたいな。
山脇:音楽は何が好きですか?
池田:僕は高校の時からエレファントカシマシ聴いてて。その頃、SPACE SHOWER TVがあって。で、あと、M-ONって……
山脇:ああ、M-ON、MUSIC ON TV。
池田:ありましたよね。僕、ドラマとかバラエティとか、観てはいたんですけど、そんなに毎週観る、みたいのなかったんで、家帰ってM-ONをすごい観てたんですよ。そのときに、M-ONがやたらNUMBER GIRLをおしてて。
山脇:あー、時代だなあ。
池田:NUMBER GIRLって、持ってたら、ちょっとこう、なんか、おしゃれ……
山脇:わかります、エムオンとかスペシャから知った音楽を聴いてる方がかっこいい感じ、ありましたよね。
池田:はい、ありましたよね!
山脇:ミュージックステーションじゃなくて、そっちから得た知識の方が。
池田:そう、ミュージックステーションじゃないんですよ。そこじゃないんですよ。
池田:これはもう、村上にも言ってんですけど、俺、M-ONが音楽の先駆け……パイオニアじゃないですけど、M-ONが新しい音楽の登竜門みたいに思ってたんですよ。
山脇:ええ。
池田:だから「M-ONで音楽を仕入れた俺は、最前線だ」っていうのがあったんですよ。そこで、俺、RIP SLYME初めて観て、「おい、おま、おい……見つけたぞ!」みたいな。それで俺、村上に「RIP SLYMEは俺が見つけた」っていってるんです。最初のアルバムも持ってるし。
山脇:ひゃー。
池田:で、NUMBER GIRLも買ったりして。NUMBER GIRLがすごいよくて、そっから……あとBlurとかも。
山脇:Blur!
池田: Blurとか、おしゃれ(笑)で、買って……Blurなんかもう一曲も覚えてないし。
山脇:私も、名前だけです。おさえなきゃとおもって知ってた感じで……
池田:そう、おさえなきゃ。慌てておさえなきゃ、っていう。そうなんすよ。
山脇:話題に出てきた時にだけ、ぽかんとならないようにだけ、してた。「ああ」って。
池田:だから、ガレージロックっていうのがきたら「Blurね」っていう。「ね、うん、うん」みたいな。そっからもう話さない。「Blur知ってんの?」「ん、うん」で、なんか、どっか行く、みたいな。そういうので音楽聴いてましたね。
俺、恥を忍んで言ったんですから。「Blur」つったんですよ。
山脇:池田さんは1984年生まれですよね?
池田:はい。
山脇:ラブレターズの溜口さんとかと同じ学年ですか?
池田:え、そうっすか?
山脇:あれ? 84年の世代だったはず。
池田:もしかしたら僕が早生まれなので……
山脇:池田さん、83年の学年か。じゃあ1月生まれの山羊座ですね。1月前半ですか。
池田:そうです。17日。山脇さん、おいくつですか。
山脇:81年の8月なので、36歳、今年37歳の学年です。
池田:あ、3つ上。じゃ、村上と同い年ですか?
山脇: 村上さんも早生まれだから、生まれ年が一緒で、学年が私の方が一個下ですね。
池田:そうなんですね、同世代。じゃあ、音楽って何聴いてました?
山脇:あ、でもいや……そんな感じ、ですよ。
池田:言わないのずるいですよ!
山脇:いやいやいや……
池田:それはダメです。
山脇:いやいやいやいや。
池田:俺、恥を忍んで言ったんですから。「Blur」つったんですよ、馬鹿じゃないの。
山脇:私は……高校生の時にお洒落な美容院があって、そこで「これなんですか」って聞いて買いに言ったのが……
池田:だっせえ!
山脇:それで教わったのが……
池田:なんですか。
山脇:……BRAHMANです。
池田: いやいや、いいじゃないですか、BRAHMAN!
山脇:しかも、うちの高校でそれを聴いてるのは私だけだと思ってたので、それをみんなに知らせたくて……
池田:わー、わかります。
山脇:体育祭の応援曲にしました……。
池田: SEE OFF?
山脇:TONGFARRです……
池田:えー、 SEE OFF以外わかんないな。うわー。BRAHMANね。
(PANORAMA FAMILY:TONGFARR、多分SEE OFFと同じアルバムですよ。)
池田:あれっすよね、その頃って正直、ちょっと叫ばれると好きになんなきゃだめだみたいな。「ヴォ!」とか言われると、「これ、いっとかなきゃ」っていうのがすごいあったんすよね。なんすかね、あれ。
山脇:今は音楽はどんなものを?
池田:最近は、あのー、僕はすごい友達だと思ってて、相手もそう思ってくれてたら嬉しいんですけど、トリプルファイヤーの吉田さんと仲良くさせてもらってるというか。
山脇:へえ!
池田:はい。トリプルファイヤーは、僕、音楽やってないんで評価するのもおこがましいんですけど、やっぱ、なんか聴いてて笑っちゃいますね。
山脇:吉田さんて、大喜利とかされてましたよね。
池田:はい。なんていうんすかね、こう普通に喋ってて、喋れる人というか……ですね。でもまあ、面白い人なんですよ。僕個人の意見としては、面白い人だな、っていう。
山脇:なんでそんな、ガードをしながら話すんですか。
池田:周りからしたら「どこが?」って言われるかもしれないから。
山脇:池田さんはもしかしたら、すごい、臆病なんですね。少しガードがかたい方……ですか?
池田:ほんとに……怒られたりするのが極端に嫌いなんで……だから「あ、いや、個人の意見、って言ったじゃないですか」みたいな。先に言っとく、っていうのがありますね。
山脇:過去に、すっごい怒られて嫌な思いしたとかですか?
池田:いや、ないんすけど。
山脇:池田さん、姉弟構成は、おねえちゃん、おねえちゃんですよね。
池田:そうです。姉2人で。
ものすごい恥ずかしい話っすけど、俺、唯一、憧れてるのが親父で。
池田:でもね、やっぱ親父がね、怖かったんですよ。暴力とかじゃないんですよ、別に。……すーげえ無視された思い出があるんですよ。
山脇:どういう……?
池田:親父は「そんなことない」って思ってるんですけど、なんか、異様に無視された思い出あるんですよ。
山脇:無視するってあります? 親が子を?
池田:なんか、学校で覚えてきたこととかを、俺が親父に言うと「…………」って、こうやって(※無視を実演する)。
山脇:えー?
池田:ものすごい恥ずかしい話っすけど、俺、唯一、憧れてるのが親父で。親父と母ちゃんに憧れてるんで。
山脇:それはいいことだ。
池田:なんでかっていうと、俺、親父のこと頭良いと思ってるんですよ、すごく。で、その親父に「え? おお、何だそれ」みたいに言わせたかったんですよ、多分。
山脇:はい。
池田:だから「こんなこと習ってきたんだけどさ」って言った時に……多分、親父は、俺の発言を、知らないんですよ。知らないって言えないんですよ。だから無視するんですよ。
山脇:コメントしようがなくて。
池田:わかんないですけどね、親父にきいたら「いや、無視なんかしてないよ」っていうかもしれないすけど。でも無視されてたんですよ、無視してたんですよ、絶対。っていうのが多分あるんでしょうね。あんのかなあ、わかんないっすけど。
山脇:ええー。
池田:いまだに怖いです。友達には絶対になれないです、親父とは。
山脇:お友達感覚の親子にはなれない。
池田:なれないっすね、やっぱ。
山脇:お父様、ライブを観にこられたりしますか?
池田:します。しますけど。
山脇:この前、お母様いらしてましたよね。
池田:はい、きてました。
山脇:単独に親御さんいらしてるのってほほ笑ましくっていいなって。お母様同士も仲良くて。
池田:単独ライブって、「この人に観てもらいたい」って、関係者の人を招待できるじゃないですか。村上は、雑誌の人とか芸能人とかが結構きたりして、楽屋で行列できるんですけど。俺は、(指を折りながら)親、彼女、で、”土井”っていう幼馴染みのやつなんですけど。これくらいなんすよ。
山脇:いいじゃないですか。
池田:昔……、そんな昔じゃないですけど、ルミネで単独やったときに、まー、村上の方は行列できたんですよ。言っていいかわかんないですけど、Perfumeとか斉藤和義さんとか、あと知らないアダルト女優みたいのがばーって並んでて「すげえな」とか思ってたら、「池田さん、あの……ご挨拶したいって方がいます」って言われて見たら、土井で。
山脇:ええ。
池田:土井がニコニコして「おい、お前、観たぞ、おい。これよ、北海道でじゃがポックル買ってきたぞ」って、俺、じゃがポックルもらって。俺は、本当に土井が来てくれたのが嬉しくて、もう、なんなんだろうと思って。
山脇:いいなあ。
池田:「おいお前、グッズのTシャツよこせ、Lを」「サインを、書け」みたいなこと言ってくるんスよ。「いいだろ? 写真ぐらい。村上呼べや」「いやいや今あいさつしてるから」「なんっだおまえは~」みたいな。
山脇:土井さん、いいひとですねえ。いいなあ。
土井は手放さないですよ、土井は誰にも渡さないですよ、俺は。
池田:土井はね~ほんとにもう心を打つんですよね~。ほんとに小中高と一緒だったんで。
山脇:小中、で、一緒の高校入ったってことですか?
池田:そうっす、はい。土井は本当に野球うまくて。俺はその頃、友達の作り方難しいな、っていうのがあって。え、むずくないですか? ゼロからの友達の作り方って。
山脇:あ、はい。
池田:土井は、けっこうゼロからつくるんですよ。でも高校の時って「何がきっかけだったんだい?」って聞けないじゃないですか。だから俺「土井を手放したらもうだめだ」てすごい思って。土井が他の奴と仲良くしてるのが許せなくて!
山脇:ははは!
池田:土井は手放さないですよ、土井は誰にも渡さないですよ、俺は。
山脇:土井さん、ご結婚は?
池田:まだしてないです。でも彼女と観にきてくれたりします。
山脇:えー。
池田:平塚から。
山脇:あら!
池田:また遠いのもいいじゃないですか~。
山脇:わざわざ来てくれる感じがしますねえ。
池田:そうなんすよ、ほんとに。彼女と来てくれるんですけど、土井は電車の中で俺のこと話してるんだと思うんす、多分。「池田は野球部のときさあ、裸になってグラウンド駆け回ってさあ」とか言ってると思うんですよ、俺は。
山脇:彼女さんも、2人の絆のなかには入れないな、って思っちゃいますねえ。
池田:まあ、そうかもしんないっすね。深すぎますもん。土井殺した奴いたら、俺そいつ殺しますもん。
山脇:すごいですねえ。20年くらいのおつきあいですか?
池田:小1からだから……。
山脇:あら、もうすぐ30年になっちゃう。
池田:そうっすね。長いっすね~。
だからもっと称えるべきなんですよ。汗と涙とかじゃなく、こいつらは選ばれた奴なんだ、って。
山脇:野球やってたんですね。
池田:そうです。
山脇:やってそうな感じです。
池田:野球ですか?
山脇:甲子園にいそうなお顔をされてるから。
池田:野球部にいそうって言われます。だからキャップかぶりたくないんすよ、あんまり。かぶると野球部員っぽくなるんです。でも、野球はもう2度とやりたくないです。
山脇:なんでですか?
池田:だって、すごい人いっぱいいすぎません?
山脇:別に今やるくらいはいいじゃないですか。
池田:いや、嫌っすね。トラウマまでいかないですけど、小4から、中 高と9年間やってきましたけど、あんなに才能のスポーツないなって思っちゃったんですよ。
山脇:あら。
池田:調べたんですけど、甲子園に行ける確率って、春夏、別々の学校が出るとして、47都道府県だから、47、47で94かな。で、レギュラーとリリーフ入れて10人。970人が甲子園出られるんですよ。それを日本全国の高校球児で割ると、0.005%、だったかな。
山脇:えー!
池田:すごくないですか。
山脇:なのに連続で出る子もいるんですもんねえ!
池田:そこなんですよ、そうなんですよ! だからもっと称えるべきなんですよ。汗と涙とかじゃなく、こいつらは選ばれた奴なんだ、って。夏におじさんとかが「もっとやれよー」とか、評価できる人間じゃないんです、あの人たち。それはオリンピックもそうです。
「本当に両親に申し訳ないな、あんな金使わせて」と思って。
池田:野球の用品にお金がいくらかかるかって、想像つかないじゃないですか。
山脇:バットとかグローブとか? はい。
池田:……むっちゃくちゃ高いんですよ。0.005%の確率なのに、そんなお金を使わせてしまった、親にすっごい申し訳ない、っていうのがあって。高校野球最後の夏の大会が終わった時に、むなしいな~と思って、泣けなかったんですよ。「本当に両親に申し訳ないな、あんな金使わせて」と思って泣けなくて。終わったあと、家で寝てたら、共働きだった母親が帰ってきて、俺の部屋きて「お疲れ様」って。それ言われたときに「ほんとごめん」と思って、泣いちゃったんです。「とんでもない金を使わせた」って。
山脇:そんな泣くほど高いんですか。想像がつかない。
池田:多分ね、高校球児のあるあるなんですけど、かっこいいものをほしがるんですよ。グローブでも位があるんですよ。同じMIZUNOでも、ビューリーグとか色々。一番上がMIZUNO PROっていうんですけど、これが一個3、4万するんすよ。なおかつスパイクの刃、削れる。刃、替える。トレーニングシューズもこだわりがあったり、アンダーシャツも、もうエトセトラあるんですよ、すーごい種類が。
山脇:ぴちっとしたのから、ダボッとしたのも。
池田:全部一緒なんですよ、俺からしたら。でもやっぱり欲しい。そうなってくるともう、すごい大枚はたいているというか。だから、それは申し訳ない……もう、野球はそれ思い出しちゃうんで、先輩に誘われても「ちっと、すいません」って嘘ついて。
山脇:えー、いまだに、そんな。
山脇:先輩からの叱責がきつかったとか、エラーの思い出が残って、とか、そういうのじゃなく、親にお金を遣わせた、っていう面で野球が嫌だっていうひとは初めてですよ。
池田:でもこれは、単純に元高校球児1人が、今日、話す機会を与えられたってだけで、多分いると思うんですよね。だから、プロ野球選手ってオラオラなイメージあるじゃないですか。でもそれは当然なんですよ。
山脇:0.005%で選ばれて。池田さんの年齢だと、寺原君の世代ですか?
池田:そうっす、そうっす。日南学園でしたっけ?
山脇:はい。あと、関西創価の野間口君とか?
池田:え、詳しいんですか?
山脇:私、20歳くらいのとき甲子園ギャルだったんですね。
池田:はははは!
山脇:私が行ってた頃、ちょうど池田さん高3くらいだと思うんですけど。
池田::え、甲子園観に行ってたんですか?
山脇:行って、開会式リハの時に球児と番号交換して、オフの日にバッティングセンターいったりしてたんですよ。あの子たち、選ばれた子たちだったんですね。メスとして何かが働いてたんですね、私も。
池田:よりいい種子を、本能的に。やっぱそうだと思うんですよ。そりゃ女子アナとか、そういう人たちとやりたいって思うと思います。やっぱそりゃ。
山脇:そんなすごい確率なんですもんねー。
池田:俺もちょっとやりたいですもん、プロ野球選手と。やれるんだったらやりたいですもん。それくらいの、やっぱ。
山脇:選ばれた、生き物、っていう。
「好き」って言っちゃうと、ネアカに思われちゃうし。みんなやっぱサブカルのアンダーグラウンドって思われたいっすよ。
池田:野球で活躍してたら。お笑いでももっと大胆にいけたのかもしれないですよね。
山脇:何を言ってるんですか。
池田:俺……やっぱあると思うんですよ。
山脇:芸の世界でも、スポーツやってた方、けっこういらっしゃいますもんね。
池田:とにかく明るい安村さんは、北海道代表で甲子園いってるんですよ。それで、あれだけ偉そうじゃない人って珍しいな、って、僕のイメージですけど。
山脇:あら、そうなんですね。やっぱ他の皆さんは、ちょっとオラオラ……?
池田:だからやっぱ、その、そういう人は、あれが自然なんだろうな……っていうのは……(小声になる)
山脇:甲子園に行くような高校は体育会系が色濃いし、それで勝ってきてるから疑問を感じずに、それがしみつくっていうのはありますよね……
池田:自分が正しい、自分がルールだっていう。
山脇:それで勝つし、勝ったっていう成功体験があるし。
池田:だからこそ……脆いんですよね。
山脇:うわあ、それ私なにもいえない。
池田:下ちょっと崩すだけでね、って……
山脇:すごい悪い顔してますよ!
池田:いやー。と、思いますね。だから良かったんすよ、俺は、はい。
山脇:このあと、お写真撮るんですけどね、お写真は好きですか。
池田:やっ、えー…あ……すいません。あんま好きじゃないですね。
山脇:「好きです!」っていう人、いないです。みなさん「恥ずかしい」っておっしゃいます。
池田:本当は……わかんないですよね、好きかもしんないし。
山脇:ははは。
池田:いや俺そう思いますよ。「好き」って言っちゃうと、ネアカに思われちゃうし。みんなやっぱサブカルのアンダーグラウンドって思われたいっすよ。ポップじゃないっていうふうに思われたいんスよ。
山脇:ああー!
池田:俺も、あのね、鏡って好きじゃないんですよ。
山脇:ほー。そうなんだ。
池田:でも、あんまり……これもね、これもいやなんすよね。「俺、全部わかったうえで言ってるよ」て感じあるじゃないですか、言ったら。だから、いやなんすよ、だから俺、好きなんですよ、写真は。やっぱ、俺は、はい。
山脇:ははは。
「俺を否定するってことは、お前は下北沢を否定してるんだぞ、それはできないだろ」って。
山脇:お洋服はどのへんで買われたりするんですか?
池田:服は、それはやっぱ、下北沢っすよ。そりゃーやっぱ。最近、シャツ着てるんですけど、下北の古着屋で「これ着てたら”下北だ”って思われるのください」って言うんですよ。
山脇:どういうことですか?
池田:選んでくれるんですよ。そしたらねえ、だって、下北沢って、いいんでしょ?
山脇:やー、私に聞かないで(笑)。私、30代も半ばだからですかね、下北沢でお洋服買うっていうのは、今はあんまないですねえ。見ても古着屋さんくらいかなあ。
池田:じゃ、どこで買うんすか? ネットっすか?
山脇:え、新宿とか。それこそルミネで買ったりもしますし。
池田:僕はもう、下北沢。近いんで。歩いて行けちゃうんで。
山脇:近いのはいいですね。なんだろうなあ、溜口さんもすごい下北沢信仰があって「服を買ってるとこさえ見られたい」みたいな。下北沢で服を買ってるって思われたいって言ってました。
池田:こういったら何ですけど「俺を否定するってことは、お前は下北沢を否定してるんだぞ、それはできないだろ」って。やっぱ下北沢がナンバーワンっすから。下北沢、吉祥寺がナンバーワンっすから。
山脇:あっほんとですか?
池田:やっぱり、そりゃ。
山脇:その感覚、結構前で止まってないですか。
池田:だって、もう原宿じゃないっしょ。原宿、渋谷の時代じゃないでしょ。
山脇:それ、2000年代初期の感じじゃないですか。
池田:そこはもう、古着っすよ。やっぱ古着っしょ、やっぱ。
山脇:(笑)ありがとうございます。すごいたくさん、笑いました。
池田:こんなんでいいんですか、話したことないからすごい話しちゃいました。
池田一真(しずる)
1984年1月17日生まれ。埼玉県出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。A型。山羊座。身長172cm、体重62kg。東京NSC9期生。同期の村上純と2003年にお笑いコンビ・しずるを結成。2009年、2010年、2012年、2016年キングオブコントのファイナリスト。好物は果物、サラミ、甘いもの、。2010年1月に板尾創路主演ドラマ『連続ドラマ小説 木下部長とボク』(読売テレビ)僕元公司役として出演、俳優デビュー。しずるとして年2回の単独公演を行うほか、2018年3月『しずる池田がフル回転』(ルミネtheよしもと)など、精力的に活動。4月11日(水)には北沢タウンホール・小劇場B1(下北沢)にて、しずる・リクエストライブ「このしずるがすごい!」が開催される。
山脇唯
1981年8月3日生まれ。俳優。ヨーロッパ企画退団後はフリーとして舞台を中心に活動。2013年より「すいているのに相席」に参加、“ユーモア女優“の称号をバッファロー吾郎A、せきしろ両氏より賜る。NHK Eテレ「デザインあ」、NTTdocomo、Tokyo FM、東京ガス、他、ラジオCMを中心に声の出演も多数。2018年1月29日に座・高円寺2で行われた『アイアム映画祭』にて清水崇賞を受賞。4月19~29日に20歳の国『青春超特急』(サンモールスタジオ)に出演する。
PANORAMA FAMILY
2006年頃結成。2009年1月、3MCから1MCへ。以降はゴメス1人のユニットとなる。 渋谷Organ.b第1火曜日mixx beautyを中心に、年間60本ペースで精力的にライブを行う。remix、客演、ビールケースの上から幕張メッセ(countdown japan fes 3年連続出演)まで、大中小規模なイベントに参戦する他、トラック、楽曲提供など活動は多岐に渡る。レぺゼン宮城県女川町スタイル。2014年から写真家として活動。SLIDELUCK TOKYOの第一回ファイナリストに選出される。雑誌STUDIO VOICEでとりあげられる。2016年3月写真集「fastplant」発売するも即SOLD。2017年12/4~12/17に個展『PARANOIA SLAPPYS』を行い、同タイトルを冠した写真集を発売。