ただ映画を観て、ざっくりと「スターになりたい」みたいな気持ちで。
山脇:本当に久しぶりにお会いして。色々と聞いていこうと思うんですけれども。
まちゃあき:そうだねえ、こんな話すんのも……、したことないか。
山脇:そう、いまやエグスプロージョンのまちゃあきさん、っていう……ダンスの人になってるじゃないですか。
まちゃあき:いまやね。
山脇:でも、スタートは……
まちゃあき:違いますよっていうね。
山脇:じつは……
まちゃあき:役者で(笑)。
山脇:私たちは、役者を志す若者として、19歳、17年前に出会ってる、っていうところです。
まちゃあき:そうそう。
山脇:同じ専門学校で芝居を学ぶ同級生として2年間を過ごし、卒業後まったく会わずにいて、今、こうして36歳になり、お話を……って、改まるとすごい変な感じがするんですけど。
まちゃあき:まあねえ、もう、敬語も気持ち悪いしなあ。
山脇:あまりに会っていなかったので、どう喋ってたかを、覚えてないんだよね。19、20歳の自分なんて他人ですよ。
まちゃあき:お互いにパワフルタイプやったやん。「いえーい!」 って感じやったで。めっちゃ元気やった。
山脇:まあ、そういう熱に浮かされてたんだよね……。東京で頑張ろうと思って。
まちゃあき:あの時の俺なんてなんもわからん。ただ映画を観て、ざっくりと「スターになりたい」みたいな気持ちで。
山脇:2人ともアクターズコース、ステージ/スクリーンアクト科で入学して。「憧れの俳優は誰ですか」って聞かれて、なんて答えてた?
まちゃあき:いしだ壱成とユアン・マクレガー。めっちゃ恥ずかしいな、今こうやって言うと。
山脇:私もクリスティーナ・リッチって答えてたから……。あと同級生が「ウィノナ・ライダーみたいな女優になりたい」ってずっと言ってたの覚えてる。
まちゃあき:うわ、もう覚えてない。
山脇:そのあとすぐにウィノナ・ライダーが万引きしちゃって、オーディションで言いにくくなったっていう。
まちゃあき:ははは。そういうのあるよね。
山脇:あの学校へは、高校を卒業して……下関から上京して?
まちゃあき:そう。
山脇:どうして芝居の専門学校に行こうと?
まちゃあき:高校の時に……ずっと目立ちたがり屋だった、ていうのは、なんとなくわかるでしょ?
山脇:文化祭でバンドをやるタイプの。それで告白とかされて、みたいな。
まちゃあき:そうそうそう。モテてたなー(笑)。
山脇:「To Be Continuedに似てる」っていわれてモテてたんだよね。
まちゃあき:そう、岡田浩暉さんに似てるってめっちゃ言われてた。
山脇:当時それでモテてたってのも……時代だよね。
まちゃあき:時代だな。せつないな、それはそれで。
まちゃあき:目立ちたいから芸能人になりたい、っていう感覚はどっかあって。でも一応進学校だったから、大学いく、みたいになってたんだけど、なんか違うなって思ってたの。東京に対する憧れはずっとあって。どうしようかなって思いつつ、雑誌の「smart」を読んでたら、後ろの方に広告がめっちゃあって。
山脇:宝島社の雑誌の後ろのほう、専門学校の広告がいっぱいあったね。
まちゃあき:で、芸能人になりたいなあ、ここ行こう、って。
山脇:色々なコースがある学校で、アクト科を選んだのは?
まちゃあき:音楽を元々やってたから、バンド科か? と思ったんだけど、氷室京介が大好きだから……「氷室は超えられない」と思って。
山脇:あら、意外、知らなかった。
まちゃあき:むっちゃ好きやった。で、「俺は氷室を超えられないな」って。じゃあ音楽以外で……タレントコースは、悪意はないんやけど「タレントってなんか中途半端やな」って思ってしまって、当時。
山脇:マルチタレントコース、っていう名称もちょっとそういう感じだったからね。
まちゃあき:そう、専門職じゃないな、って。モデル科なんてもってのほかだし……当時なりに「役者って全部に通じるな」って思って、映画も好きだったからアクト科を選んで。『素人も大歓迎』って書いてあって、入ってみたら山脇唯みたいな経験者もおって。
山脇:いけすかない経験者が。
まちゃあき:いけすかなくはないけど(笑)「経験者です!」っていうのがバンバン出てた。
山脇:子供の頃からやってたから……「私できるんです」みたいな?
まちゃあき:めっちゃ悪くいうとね(笑)。でも俺は経験がなかったから、すげえって思ってたよ。「ほんま演劇を知ってる人もくるんや」ってびっくりして。俺、山脇唯はアクト科の首席と思ってるもん。
山脇:まあ……確かに、卒業式で答辞を読んだりはしてました。
まちゃあき:あの時もさ、これは性格だと思うんやけど、「絶対1番になってやる」っていうのがあったやん。
山脇:そりゃ1番でいたいって思ってたよ。
まちゃあき:それがもう、こぼれまくってて。
山脇:すみませんねえ……。嫌な奴だったと思うよ。
まちゃあき:いや、大事やで。
山脇:全員蹴落とそうと思ってた。
まちゃあき:それがこぼれまくってた(笑)。ダンスの選抜チームも選ばれて、一緒に踊ったやん。
山脇:イベントに出たんだよね。あれは、渋谷?
まちゃあき:nestじゃない? あれ一回か、一緒に出たの。なんでもできるなって印象やったよ。
山脇:私のことはいいんですよ。でも、ありがとう。
ダンスやるってのも、まだなんかちょっと恥ずかしかったりしたし。
山脇:まちゃあきさんは、役者を志して上京するも……学生時代から徐々に”ダンスの人”になっていったな、っていう印象があって。あの時ってどんな感じだったのかな、って。
まちゃあき:芝居を授業でやってみて……好きなんだけど「芝居が好き」って言わなきゃいけない空気感を、俺は感じてて。それになじめなかったなー、無理してたなーと思って。クラスの皆も好きだから、なじみたいな、ってやってたんだけど、「こうやんなきゃ」ってなってて、つまんなくなっていってて。
山脇:ああー。
まちゃあき:めっちゃ覚えてるのがね、今となっては素晴らしい方だと思ってるけど……高橋いさをさんの授業で。
山脇:演技実習の授業?
まちゃあき:そう、『バンク・バン・レッスン』っていう台本をやる授業で、自分なりに台詞読んでやってみたら「それは、違いますねえ」って。それが、めっちゃ腹たったの。素人だったから「俺はこう思ってやってんねん!」って。その時に「納得いかないようにやるのが役者なんや」って思って。今考えたらね、演出家がいて、そのイメージに合わせて登場人物になるのが役者の仕事だったりするじゃない。当時は、それが合わなくて。「俺が創る」っていうのが強かったんよ。だから、ひょっとしたらアーティスティックな方が向いてるのかなって。
山脇:それで……
まちゃあき:ウマが合ったのがダンス。だから役者のコースだったけど、授業も行かなくなり……
山脇:それは覚えてますよ。「来ないねえ」ってなってた。
まちゃあき:進級できなかったからね。俺、反省文10枚書かされて、それで進級できる、みたいな。
山脇:あー、そんなことが。そうかー……。
山脇:確か、専門学校1年目の文化祭から、ダンスはしてたよね?
まちゃあき:その時は、アクト科の同期と「文化祭出ようぜ~」ってなって。ダンス自体はなんとなく好きだったから「目立ちたいから出よう」って。でも振りが作れないから、友達にレイブのビデオを借りたのよ。これで研究しよう、って観てたら……すげえ好きな、尊敬してるダンサーの方がいるんだけど、その人が踊ってて、それを観て衝撃が走って。
山脇:ほお。
まちゃあき:芝居にはなかった衝撃が走ったんよ。そこから「ダンスやっぱ好きやなー」と思ってやってたけど……当時、学校にはダンスをメインでやってる奴がいて、俺なんか”スーパー三番煎じの男””第三の男”みたいになってて、劣等感しかなかったから。ダンスやるってのも、まだなんかちょっと恥ずかしかったりしたし。
山脇:そんな思ってたのは全然知らなかった。ただただ楽しそうに見えてたよ。
まちゃあき:アクト科の皆も大好きだったから、裏切りたくないって気持ちもあって……授業も出んかったし、形的にはもう裏切ってたんやけど。
山脇:まあまあ、それは。
とにかく「エンターテイメントをやりたい」と思ってたから、これは誰も通ったことない道だな、って。
まちゃあき:で、進級した時に……真面目な話、じいちゃんが死んだんよ。「ああ、これ実家に帰らなあかんのかな」って、おかんに「帰るわ」っていったら「あんた帰ってこんでいいよ」。なんでなん、て聞いたら、じいちゃんの遺言が「夢叶えるまで帰ってくるな」って。「うわ、格好良すぎるな、じいちゃん」って。
山脇:ええ。
まちゃあき:その時、はじめて我に帰って。え、俺、今何してんやろ。どうすんの、俺、って。で、「じゃあ、本気で夢を叶えにいくか」みたいになって。「芝居とダンス、どっちを選ぶ?」って自分に問いかけて。
山脇:ほお。
まちゃあき:芝居ってさ、 スターがいる世界やん。ライバルもめっちゃ多くて、でも突き抜ける場所がある、もう既に一個の世界ができあがってるのが芝居だなって思って。でも、ダンスは、当時まだまだ流行ってなかったし、全然誰もいない中で。
山脇:そうか、当時はまだ、ダンスってそんなに。
まちゃあき:とにかく「エンターテイメントをやりたい」と思ってたから、これは誰も通ったことない道だな、って。じゃあ、誰もやったことのない道でオンリーワンになるか、って。自分の中でかっこつけて「難しい方を選ぼう」って。勿論どっちも難しい道なんだけど、「誰も行ったことないところを作ろう」って。あの頃、学校のエントランスで俺がむっちゃ踊ってたの覚えてる?
山脇:踊ってたね!
まちゃあき:その決断があってから、真面目にエントランスでやりだしたの。
山脇:へえー!
まちゃあき:そんな経緯があったのよ。
山脇:真面目に考えてたんだね……。
まちゃあき:真面目よ、俺、たぶん。
山脇:そう考えると、私は何も考えてなかったよ。自分で頭を使ってなかった。成績良くして、学内オーディションに受かればいいと思ってた。
まちゃあき:そこは、できてたから、すごいじゃない。
山脇:全然よ。挫折も味わって。
まちゃあき:驚いたんよ。俺、『サマータイムマシン・ブルース』が好きすぎて。そこからヨーロッパ企画が大好きで、自分の中で”尊敬する劇団”と思ってたら、パッと見たら『ヨーロッパ企画/山脇唯』って。山脇唯おるやん! って。なんなんやこの女、やりよるな、と。
山脇:でもね、その頃わたしはタワレコであなた方のDVDが売られてるのみて「お!」と思ってたよ。
まちゃあき:そっか、『スーパーチャンプル』(日本テレビ系)の頃かー。あれがやっとファーストステップ踏めた、みたいなときやなあ。
山脇:専門学校を卒業してすぐに、あのダンスチームを組んだの?
まちゃあき:そう、21歳の時。
単純に、もともと俺の持ってる本質がおふざけだから。
山脇:もともと、ちょっとふざけることが好きだったところがあるじゃないですか。
まちゃあき:すごい好きなのよ。
山脇:ダンスにも、その、ふざけるじゃないけど、面白みが必ずあって。『スーパーチャンプル』に出た時も、そこで注目を浴びてった感じがあるのかな、って思ってて。
まちゃあき:そう……かもしれんね。そこを楽しんでもらってたのかなあ、っていうのはあるかもしれんね。
山脇:なんでああいうスタイルにたどり着いたんですか?
まちゃあき:ダンスをエンターテイメントにしたかったっていうのと、単純に、もともと俺の持ってる本質がおふざけだから。それがたまたまマッチしただけっていうか。
山脇:「あのダンス面白いなあ」っていう。
まちゃあき:当時、ダンス界は「踊るなら音楽はヒップホップで」ってのしかなかった時代で。俺は自分がゲーム大好きやったから、ゲーム音楽で踊ればええやんとか思ってて。ダンス、パフォーマンス、 演じること、音楽、色々で楽しんでほしいな、とも思ってたから……まあそしたら、ああいう形になったっていうだけかなあ。好きなものが色々合わさっていって。
山脇:私が観たなかで、記憶にあるのが……専門学校2年目の文化祭で、学校の中の小さなステージで、みんなが踊ってたら最終的にそこはトイレだったよ、みたいなダンスをやってたじゃないですか。クラシック音楽に合わせて。
まちゃあき:あったあったあった。タッタララタッタ、タッタッター♫でしょ。
山脇:そう、あのとき既に、今やってることの元になる表現をやってたような気がする。
まちゃあき:そうかも、そうかも。あの頃からああいうのが好きだったから……まあ、あれは当時マルチタレントコースにいた”もっこす”っていう、パントマイムが得意な友達がメンバー集めてくれて「やらない?」って言ってくれたから、もっこすのおかげ。
山脇:もっこす、いたねえ。覚えてる。人吉市出身なんだよね、もっこす。
まちゃあき:もっこす(笑)。あのとき、パントマイムもやりつつ、コントっぽいこともやってたもんなあ。
山脇:結局、そういうのがあって今があるんだなって思いません?
まちゃあき:めっちゃ思う。人生で余計なことってないなって思わん? 全部が全部。
山脇:役に立つっていうか。
それもやっぱ、ダンスと音楽と、お笑いと、俺の好きな歴史っていう、やってきたこと、好きなことが全部入ってて。
まちゃあき:ありがたいことに『本能寺の変』で、皆さんに知っていただけるきっかけができたんだけど。それもやっぱ、ダンスと音楽と、お笑いと、俺の好きな歴史っていう、やってきたこと、好きなことが全部入ってて。俺を作る要素を丸裸にして出したら、ああして支持してもらえたから、あーほんと全部大事やわって思った。
山脇:ね、ほんとにね。
まちゃあき:アクト科だったから、学校で先輩の劇団とか観てたけど、やっぱり”演出”ってめっちゃ役に立ってるもん。
山脇:演出っていうと?
まちゃあき:学校の中で学生がやってることだから、言い方は失礼だけど、あの程度っちゃあの程度じゃん。だけどさ、音楽をフェードイン、フェードアウトするとか……最初に音楽がかかって、で、ちょっと音が下がって台詞入るとか、芝居ではよくある演出だったりするじゃん。でも、ダンスだと当時あんまりなかったから、そういう音源の使い方を、ダンスの中にいれたりしてさ。俺、ダンス界で初めてだったんじゃないかってちょっと自負しているというか。役に立ってんねん、全部。
山脇:アクト科から入ったのは間違いじゃなかった。
まちゃあき:間違いない、間違いない。あと、かけがえのない友達ができたしね。
山脇:そうね(笑)。
まちゃあき:ほんまそうよ。いまだ「テキサスピザ」の3人で会うもんね。
山脇:え? テキサスピザって、バンドだっけ。
まちゃあき:そう、アクト科の炭谷と重見と3人バンド、テキサスピザ。
山脇:そういやバンドもやってたんだもんね。ノリノリだったじゃないですか。
まちゃあき:ノリノリだったね、学生時代。
山脇:学年で1、2を争う可愛い子とつきあったりみたいな感じの。
まちゃあき:やめてください、そんなの。
山脇:そういう色恋沙汰も、私は「気に入らないねえ」と思ってたけどね。何しに学校きてるの! って。
まちゃあき:ハハハ! 色恋は、あったなあ(笑)。
山脇:いい青春時代でしたね。
周りにもっと高い山がめっちゃあって。”ここじゃなかった感”がめっちゃ強くて。
山脇:ダンスチームを組んで、『スーパーチャンプル』に出てからは、どういう流れ?
まちゃあき:『スーパーチャンプル』に出られて、初代殿堂入りとかもして、一応人気者になれた、とは思っていて。
山脇:当時は何歳?
まちゃあき:25歳、かなあ。ダンサーで、オンリーワンで、スターになる気満々で、人気も出て、人だかりなんかもできたりして「あ、ここから、芸能界への道がリアルに開かれるんだな」と思ってたんだよ。でもね……全然だったんだよね。
山脇:え?
まちゃあき:勿論、お仕事はいただけるんだけど、言ってもやっぱり知名度が低い、と。『エンタの神様』もやってた頃で、女子高生がバーッているようなイベントに俺らチャンプルダンサーを呼んでくれて、そこに芸人もいて……っていうときに。
山脇:ええ。
まちゃあき:もう、如実だったよ。表に出た時の歓声が全然違う。「やっぱゴールデンの力すげえな」って。俺らなんて、深夜番組の、たかだか1番組のスターだから。その時に、自分が思ってるエンターテイメントの天井をみたの。あと、自分が信じて登ってきた山が意外と小さかったな、っていう。
山脇:それは……到達しないとわからない気持ちだね。
まちゃあき:あえて、”天辺まで行かせてもらった”って言い方をすると、天辺まできた、と思って見渡したら、周りにもっと高い山がめっちゃあって。”ここじゃなかった感”がめっちゃ強くて。「あ、俺、結局”ダンサー”や。もっと離れんとあかんな」っていう……もっともっとやらんと、って。
山脇:ああー。
まちゃあき:結局、響いてない。俺が”面白い”って思ってることは、”ダンス界で面白い”ってだけのことであって、一般の人からは「変なことしてても格好良かったですね」っていう……俺としては気に入らない返事がきたりとか。だから全然伝わってへん、作家脳が未熟やったんやな、ってめっちゃ思って。「もっと広い世界を見んとあかんな」っていうときに、ちょうど吉本と仕事してて、「うちにこないか」って言ってもらって、これは願っても無いチャンスだ、と。
山脇:ほお。
まちゃあき:日本で1番おもしろい人達が集まる事務所だから、そこで、人を楽しませるってことをもっと真面目に勉強しよう、って思って、吉本に入ったんよ。
山脇:なんか……すっごい考えて生きてるのね~……。
まちゃあき:考えてるのよ。
山脇:貴方のこと、ただのお馬鹿だと思ってたよ……授業も来ないし「あのひと楽しいことしかしないのね」って……。すっごい色々考えてんだねえ~!
まちゃあき:(笑)でも「 楽しいことだけやりたい」ってのは根本よ。それはずっと根本にあるけどね。
山脇:そんなに色々思ってたのかあ~、って初めて知った。
……29歳にしてバイトを始めるっていう。
まちゃあき:で、そこから、まあ地獄っていうか……
山脇:地獄? HELL?
まちゃあき:1つの番組の中で人気者になれたけど、その番組が終わって。ファンが減っていく、っていうのは、勿論そういうもんだろう、って思ってて。それは”今”じゃなくなるってことだから。やっぱり”今”が1番強いじゃん。
山脇:”今”やってるもの、観られるものがね。
まちゃあき:イベントに来てくれてたファンの方々も徐々に減っていく。それは「そういうもんだ。しゃあないしゃあない、次のステージ行くぞ」とは思ってたんだけど。25歳で『スーパーチャンプル』に出て、『本能寺の変』が34歳のときだから、いってもその間が10年くらいある訳よ。
山脇:まあ。
まちゃあき:『スーパーチャンプル』の番組が終わって3年くらいで、その流行も無くなって、ダンスイベントも少なくなっていって。収入が減ってくるわけですよ。……29歳にしてバイトを始めるっていう。
山脇:うわあ! 私も劇団辞めたらいっきに収入なくなってビビって30歳過ぎてバイトしまくったよ。
まちゃあき:みんなあるんやな、そういうこと。
山脇:あるよ、あるある。自分だけじゃないんだ。
まちゃあき:でも、もう痛い奴じゃん。自称ダンサーで、当時ロン毛で、29歳で入ってくるバイトって。一応ずっとダンスで飯食えてたから、何もわかんないし。もう1から勉強しようと思って、あえて居酒屋を選んで。
山脇:大変な……。
まちゃあき:もう、恥ずかしいよ。何もわからんから、めっちゃ恥ずかしくて。まずレジの打ち方もわからんし、領収書とかもよくわからん、みたいなとこから、バイト先でイジメられて、めっちゃ惨めになって。
山脇:うわー。
まちゃあき:料理場に入ってたんだけど、先輩からイジメくらって、何も教えてもらえない。せめて元気よくいよう、って「いらっしゃいませえ!!」ってめっちゃ声だしてたら「うるせえよ!」。もう、ただただ無言で、無表情でサラダを作りつづける、サラダマシーンみたいになって。
山脇:つらい……
まちゃあき:そこから、バイト先でも見ててくれる人がいて、「お前うちの店こいよ」って言ってもらって、お世話になって。そこで居場所ができていったね。
山脇:いや~、一緒一緒、一緒ですよ。
まちゃあき:一緒? みんな色々あるんだなー。
山脇:一回山を登った感あるとさ……なんかね。私も、小劇場でヨーロッパ企画いてて、ちょっといったな、みたいなのあったけど。いざ1人になるとね。
まちゃあき:そうなんや。
山脇:で? だったから何? っていう時がね。今は、周りの皆さんのおかげで、色々やれてますけども。ありがたいことに。
「あ、こんな形なんや」とか思った。
まちゃあき:いつからコントとか、そっち路線なの?
山脇:東京にきたのが30歳で、31歳のときに、A先生とせきしろさんがコント公演に誘ってくれて。『すいているのに相席』っていう……ザ・ギースとA先生と、高橋さん、私、ていう5人のユニットコントに出て、そこから。
まちゃあき:めっちゃええメンツやなーと思ってた。せきしろさんもめっちゃ面白いし。
山脇:そうなんだよ。ヨーロッパの上田さんも書いてくれてたり。
まちゃあき:ええ仕事してんなーと思ってみてたよ、ずっと。
山脇:それを言ったら私も『本能寺の変』の時は驚きましたよ。「わ!」って。
まちゃあき:あれも、やっと、っていうか……なんだろうな。「あ、こんな形なんや」とか思った。
山脇:こんな形っていうのは?
まちゃあき:ずっと”ダンスロマン”を自分のなかで持ってて。『チャンプル』の時とか、自分がやりたいエンターテイメントをバーッてやってて。で、「違うな」と気づいて、吉本に入って勉強しよう、って思ったわけじゃん。そこから作り方が変わっていって。
山脇:どういう風に?
まちゃあき:20代は、自分のロマンを突き詰めていって、自分の懐を深く掘っていく作業だったんだよ。で、吉本に入って、30歳くらいからは、それを横に広げる作業になっていって。深く掘った分、その穴を横に広げてったらでっかくなるな、っていうのが自分の中で感覚としてあったんだけど、それが実を結べたのが『本能寺の変』で。
山脇:なるほどなるほど。
楽しみたいからこそ、突き詰めていったんだけど……「それは、やめよう」って。
まちゃあき:『本能寺』も、ダンス作品としては、俺の熱量ってのはほとんどないから。「みんなに踊ってほしい」っていうことだから、凝りに凝った振付でもないし、振りとしては簡単だし。それが、歌と相まって支持していただけたから、「あ、やっぱこういうことやったんかな」って思ったっていうか。
山脇:「こういうこと」というと?
まちゃあき:俺、よく”エンターテイメントコア”って言葉を使うんだけど。
山脇:コア?
まちゃあき:なんにしてもさ、コアなジャンルって売れづらい、ってあるじゃん。
山脇:ああ、通好みっていうか。
まちゃあき:そうそう、演劇でもよくあるな、と思うんだけど。俺が語るのは失礼かもしれないけど、すげえコアな演出で、演劇人が観たら「うわー!」ってなるけど、普通の人が観たら「よーわからんなあ」で終わる、とかあるじゃん。
山脇:素晴らしい作品なんだけども、という。
まちゃあき:ダンスもそれがめちゃくちゃあって。ダンスを突き詰めてくとコンテンポラリー、表現の世界、ってなってくけど、普通の人がパッてみたらよくわからん、と。「テーマは宇宙で踊ってます」「宇宙……?」ってなったりするものだな、と思って。もちろん、芸術作品としては素晴らしいんだけど。それを俺はエンターテイメントでもやっちゃってるな、って思ったんだよ。
山脇:ほおー。
まちゃあき:自分がエンターテイメントが好きだから、突き詰めるあまり、エンターテイメントを求めるあまり、エンターテイメントじゃなくなってる、と。
山脇:わかる人にしかわからなくなりつつあるな、って?
まちゃあき:そうそうそう、変なとこで自分が気持ち良くなってるなっていう。楽しみたいからこそ、突き詰めていったんだけど……「それは、やめよう」って。コアなことはできる、でも、ポップもできなきゃ。幅も絶対に大事だな、と思って。毎年ライブツアーもやってるんだけど、それもやりつつ、”ポップな作品”っていう意味で『本能寺の変』とか、ああいう、みんなで踊れるダンスっていうのも大事にしていって。
山脇:そういうことかー。
まちゃあき:振付師としても名を上げていきたいから、そういう意味では「あ、いい作品が出来たな」と。結局それを支持していただいて。
山脇:企業や行政とコラボレーションしているんだものね、すごいよね。
まちゃあき:学生時代、馬鹿だと思ってた人が、『選挙権』とかやってるからね。
山脇:わかるの? って。
まちゃあき:わかるわい!
山脇:でもさ、年を取らないとポップな方向になかなかいけない、っていうのもあるよね。
まちゃあき:ある!
山脇:若いときって、やっぱりわかる人にだけわかってほしい、突き詰めたいっていうか。万人にわかるものをやりたくない、わかる人にだけ褒められたほうがかっこいいっていう……
まちゃあき:そうだね。でも、その時期があってよかったな、って思うよね。最初っからポップにいきすぎても……それが天性の感覚で上手くいってる方もいらっしゃるけど、変なことになってる人もたくさんいるな、って思ったりもして。失礼かもしれないけど。
山脇:いや、だから、どっちにしろ壁に当たるときはくるってことですかね。両方ないと、バランスが。
まちゃあき:そう思うな~。後輩には言うなあ。「やりたいことを、まずいっぱいやれば」って。
山脇:そうね、自ずと道が。
一番の目標はお客さんに喜んでほしいってことだから、それだったらなんでもやるよ、って。
山脇:34歳で『本能寺の変』があって。去年CDを出したんだよね? ……すごいね(笑)。
まちゃあき:半笑いで言うなよ !(笑)
山脇:歌ってる映像を観ちゃいまして。
まちゃあき:恥ずかしいでしょ。
山脇:学生時代にもバンドで歌ってたのは知ってるから「歌も好きだったよね、曲も作れるよね」って思いつつ、面白かったです。
まちゃあき:恥ずいよね。知り合いがあんなしてたらね。
山脇:いや、でもいいよね。あんな、大きいステージで熱唱したりできる人生って、なかなかないじゃない。
まちゃあき:ありがたいよ。ほんと好きなことやらせてもらってるから、ずっと。
山脇:ねえ。
まちゃあき:ずるいよね。”芸人”って言われたりもするけど、本職はダンサーだし。ミュージシャン的なこともやらせてもらったりするし。よく言われるのが「結局なんなの?」って。俺の中にその答えがなくて、一応ダンサーですっていうけど。
山脇:カテゴライズしにくいのかな。
まちゃあき:したがるよね、みんな、見方がわからんのやろなーって思う。
山脇:だからカテゴライズしたいんだね。どう見たらいいのかな、って。
まちゃあき:不思議よ。『本能寺の変』とか、コメント欄をチェックするんだけど、「おもんない」とか書かれたりするんよ。まあ、それは「歴史を伝えたいだけだから」とか、返しは色々あるから別にいいんだけど。「おもんない、この芸人消えろ」とかに、レスで「この人たち芸人じゃないんです、ダンサーです」ってあって「なんだダンサーか。ダンサーなら、ありだ」って。それで評価が変わるんや、変なのーって。不思議な国だなーって思ったなあ。
山脇:ダンサーにしちゃ面白い、ダンサーならいいよ、になるのかな。
まちゃあき:俺のやりたいエンターテイメントがそうなだけであって。だって、ミュージシャンだったら、歌って作詞作曲もする人がいて。それは”シンガーソングライター”って1本の柱がどーんてあるわけじゃん。
山脇:はい。全部やる人がね。
まちゃあき:俺もそうなの。ソンガーソングライティングコメディックダンサー。ただそれだけってしか思ってないから。
山脇:CD出すのも、ライブするのも、ペンギンと踊るもの、一緒のこと。一個、ってことよね、やってることは。
まちゃあき:そうそうそう。一番の目標はお客さんに喜んでほしいってことだから、それだったらなんでもやるよ、って。
パフォーマンスを作っていく度に”自分”っていうものが浮き彫りになってくるっていうか……。
山脇:そう考えたら、学生の時から変わらないんだね……。
まちゃあき:変わってない、変わってない。
山脇:別の科の人とも交流してたし、ダンスだけでなくバンドもやってたし。そういうマルチなところが、演劇一本だった私からしたら、なんなの? ってのがあったんだな、って今思い出した。「彼は何になるの?」って。
まちゃあき:昔から「あいつ何がしたいの?」っていうことかもしれんな。
山脇:そんなにね、みんな何でも自由に色々できないもんですよ。
まちゃあき:そうなの?
山脇:なにか1つ、なにか1本極めなきゃって思ってしまってるところがある。
まちゃあき:なるほどね。でも俺にとっては、でかい1本やもん。
山脇:色んなことが、”俺の一本”に含まれてるだけなんだね。
まちゃあき:全部そう。もちろんダンス一本だったときもあったけど、そこにも付随してくるものがあって……音楽も俺が作ってたし。だから「俺ってやっぱこうなんや」っていうのは、ダンスに気づかされた、ダンスが教えてくれたことよね。パフォーマンスを作っていく度に”自分”っていうものが浮き彫りになってくるっていうか……。
山脇:ほお。
まちゃあき:……なんか今それっぽいこと言ってるな。アーティスティックなこと言ってる、俺。
山脇:すごく文字にしやすい感じのことを言ってるな、って思って聞いていたよ。リード文にしたい感じの。”浮き彫り”って。
まちゃあき:もちろんダンスを嫌いになったりしたし。1度うまくいって、でも結局バイトすることになって。ダンス不信っていうか、「ダンスに裏切られた」って気持ちになったこともあったし。「しょうもないのう、ダンス界」って思ったりしたしさ。でも救ってくれたのもダンスだから、ダンスに対しては「このー!」「もう!」「また~!」(照れながら肘でこづく仕草)みたいなね、結局。
俺、好きなことはめちゃくちゃやるタイプなんよ。
山脇:今、ちなみに音楽は何が一番好きですか。
まちゃあき:めっちゃ色々聴く。もともとBOØWY好きだったから、ジャパニーズロックっていうか……今ではポップスって言われてしまうかもしれないけども。ロック、バンドが好きやなっていうのがあるし。ダンスやってるから、EDMっていうか電子音的なのも好きやし。かといってクラシックも聴くし。本当なんでも聴く。雑食。音楽雑食。
山脇:音楽は、どうやって作れるように? DTMって授業で習ってた?
まちゃあき:習ってない。でも、もともとギターやってたからコードがわかるし、パソコンに鍵盤があるから、単純にド、って弾けば、ド、って出るから……操作の仕方さえ覚えたら、それは。
山脇:作れるの? 曲。
まちゃあき:うん、できた。
山脇:すごいねえ、才能があったんだねえ!
まちゃあき:いやいや(笑)、俺、好きなことはめちゃくちゃやるタイプなんよ。だから学校でもずっと踊ってたし、踊ってなければ教務室でMDせっせと作って、とか。一日中ダンスのことを考えてたし、はまったらめっちゃやるんだと思う。
山脇:ダンス始めたのって学校入ってからでしょう?
まちゃあき:入ってから。
山脇:あれもね。私はその伸び率が気に入らなかったよ。
まちゃあき:なんでよ(笑)!
山脇:こっちは小学校からダンスやってたのに! 男の子はそこから始めてもどんどんうまくなるんだな! っていう。
まちゃあき:ジャンル的にね。もともと不思議な動きとか好きやったから、そこは、まあ、女子には、ないところかもね。ひょっとしたら。
やっぱりまだ「本能寺の人」って言われるから、そこを大事にしながら、違う一面もあるよって
山脇:これからどんな感じで? っていう話をしたくて。ライブツアーが12月にあるんですよね。
まちゃあき:そう。ツアーは毎年やってるから、一番は、ライブを大きくしていきたいなー、っていうのがある。やっぱりライブ人間だから、人を呼べるアーティストでいたいなーっていう……そこが原点かなあ。楽しんでくれる人が多くなれば多くなるほど、俺も楽しくなるし。
山脇:なるほどー。
まちゃあき:○○目指しますとかういうのが苦手なのよ。だからこういうの言うの難しいな……。「日本武道館目指します」とかよくあるけど、「武道館ってゴールじゃないから」って思っちゃうタイプだから、半分ボケで「サハラ砂漠に1億人集めます」とかを、よく言ってるんだけど。
山脇:あら、民族大移動。
まちゃあき:それくらい、誰もやったことないことがやりたいなあ、っていう意味で。自分にハッパをかけるというか、それは言ってるけど、ねえ。
山脇:全国ツアーは、もともとずっとやってたんだよね。
まちゃあき:本能寺の前からずっとやってて、続けてて。で、お客さんも来てくれるようになって。
山脇:うん。
まちゃあき:やっぱりまだ「本能寺の人」って言われるから、そこを大事にしながら、違う一面もあるよっていうのを、これからは自然にみんなにアピールしていかなきゃな、とは思ってて。結局、どこに行っても「学ラン着てなきゃわかんない」みたいな感じにもなってるから。
山脇:そうかー。
まちゃあき:それはそれでいいと俺は思ってて。ツアーでは学ランなんて着ないし。まあ、自然と、でいいかな、って。いきり立ってやることよりも、まっすぐ積み重ねていくことの大事さ、じゃないけど。そういう風になってはきたな。「大人にはなれたのかな」みたいな。
山脇:ああー。
まちゃあき:20代はがっついてたから。「売れる!」「上の奴殺すぞ!」みたいな感覚で。
山脇:怖い!
まちゃあき:そんくらいの意気込みね。
山脇:「てっぺんとるぞ、大将の首をとるぞ」ってことね。
まちゃあき:そういう感覚では、なくなってきたな。勿論その気持ちはあるんだけど、昔みたいに怖い感じじゃなくて、展望っていうか、考えかたが、明るくはなったね。
山脇:それが年を重ねるってことですかな。
まちゃあき:かもね。考えることをやめたら終わりだなってやっぱ思うから。
山脇:本当にすごく考えてるよね……。私、何も考えてないから、反省した。考えるわ、これから。
まちゃあき:だとしたら、天性でうまくいってるってことやん。考えすぎも良くないで! 策に溺れるで!
山脇:いやー、これからどうしていこうかな? と思ってる所です。
まちゃあき:今は劇団には入ってないの? フリー?
山脇:そう。
まちゃあき:お芝居とかも出てるの?
山脇:出てるけど……その山をただ登ってていいのか、ってのがちょっとあって。
まちゃあき:そうなんや。違うこともやっていかな、ってこと?
山脇:いわゆる小劇場俳優ルートを歩むのが、それは私にとって一番楽しいことかな? って気持ちもあって。
まちゃあき:売れっ子になりたいっていう気持ちはあるの?
山脇:あのね……YOUさんになりたいって気持ちがずっとあるんですよ。小劇場界のYOUさんになりたいってずっと言ってる。
まちゃあき:いいね、それ。じゃあなおさら芝居も頑張って、その上で魅力的な人間ですよっていうのを出していって。
山脇:好きなことなのでね、楽しい続け方、頑張り方をしていきたいすね。
まちゃあき:17年前は学生だった俺たちが、今こんな話をしてるとはね。
山脇:いやあ、そうですねえ。あの頃も、こうなってるなんて想像もしてなかったわけだし……。
まちゃあき:俺、学ラン着て踊ってるなんて思ってなかったもん。
山脇:私もコントやってるとは思ってなかった、自分が芸人さんと。
それはすごく思うのよ、創る仕事だな、って。
山脇:どんなツアーになりますか? 今回は。
まちゃあき:どんな? こういうのめっちゃ苦手なんだよな……
山脇:毎年テーマは決めて?
まちゃあき:うん。一応、今回のツアータイトルが「Question?」ていう名前だから、そういう作品もあるし。
山脇:クエスチョンっぽい作品?
まちゃあき:でも意外とそこはイメージだから、そこまで意識してなかったりも、する。……どんなライブになりますか? ……なんだろうな。楽しいことしかやってないな、俺。今、いいこと言おうかなーと思ったけど、全然何も出てこなかった。
山脇:今までやってきた、色々なレパートリーを組み合わせて構成するの?
まちゃあき:そう、歌もあるし、チャンプル時代みたいなダンスのパフォーマンスもあるし、みたいな感じなのよ。なんて言えばいいんだろう……?
山脇:楽しいですよ、みたいな。
まちゃあき:そうね、楽しいですよ(笑)。
山脇:楽しめるライブですよって。
まちゃあき:よくあるじゃん「笑いあり! 涙あり!」みたいな。あれって自分でよう言わんっていうか……。もちろん楽しんでいただきたい、っていうのはあって。
山脇:奥ゆかしい。
まちゃあき:お客さんの層がめっちゃ広くて、『2歳から92歳まで』みたいな。それがキャッチフレーズだったりするんだけど、ほんま色々来てくれて。笑ってくれて、楽しんでくれてるな、っていうのが嬉しいし。歌って、皆が踊ったりして汗掻いたりしてるのを見ると「やってよかったなあ」と思うから。なんだろうな……スカッとするライブになるんじゃないかと思います。
山脇:冬にスカッとして。
まちゃあき:ストレス全部置いていってください、みたいな。そんなライブになるんじゃないでしょうか。
山脇:東名阪ツアー。すごいね、ほんとに。よう頑張りました。
まちゃあき:いえいえ(笑)、ありがとうございます。まだまだ、本当、まだまだ、ここから。またバイトするかもしれんし。
山脇:いやー。
まちゃあき:そうならんようにね。
山脇:ならんように、バランスとっていきたいね。食えながら、やっていきたいね。
まちゃあき:そうね、結局自分がね、エンジンとめたらあかんな、っていうね。
山脇:そうすなー。思考停止したらいかんですな。
まちゃあき:考え続けんと、産み続けんと。後輩に小言のように言うのが、「この仕事は、やる仕事じゃない。創る仕事やから、それを絶対怠るな」って。それはすごく思うのよ、創る仕事だな、って。
これを知らんのってもったいない! と思って。それが、ポップの素晴らしさとの出会いだったりするのよ。
山脇:その、創作の源はどこにあるんですか?
まちゃあき:うーん。日常だけどねえ。色んな物は観るようにしてるよ。興味ないものを逆に観たりするとか。
山脇:へー。
まちゃあき:もともと映画が好きで。でもレンタルとかで観てたら、やっぱり偏ってくるよね。サスペンスが好きだから、気づいたらそのコーナーにある作品もう全部観たな、観るもんないな、ってなって。「よーし決めた、自分が絶対に観ないようなもの観よう」って。
山脇:すごいね、それは。
まちゃあき:でも映画好きだからさ、ありがちな、映画をこう……斜めに観がちっていうか「これオチが甘いな」とか。
山脇:1番つまんない奴がいうダメ出しだよ、「オチがいまいち」は。
まちゃあき:そうそうそう、そんな時期もあってさ。それを見直したのが、ほんまにつまらんのを観ようって、関ジャニ∞の『エイトレンジャー』っていう映画を借りて。
山脇:結構前の映画だよね。
まちゃあき:そう。当時の、尖ってた青年・俺の認識では、女がキャーキャー言うようなアイドル映画なんやろうなあ、って。で、普通なら絶対に観ないから「よし、こいつを観てやろう」で観たんよ。そしたらもう、号泣してさ、これを知らんのってもったいない! と思って。それが、ポップの素晴らしさとの出会いだったりするのよ。
山脇:いい話だ。
まちゃあき:友情的な映画だったんだけど、わかりやすさってやっぱ大事なんだな、って。関ジャニ∞のことも誤解してたな、って思ったりもして。そこから、なんでも見るようになったっていうか。だから、なんでも色々観る。常に観る。移動中もYoutubeずっと観てるし。俺、1ヶ月で30ギガ使うんやで。すごくない?
山脇:自分が何ギガ使ってるかわからないんだけど、それは一般的ではないの?
まちゃあき:一般的ではない、と思う。最大のプランを使い切るから。
山脇:観るのが、好きなんだね。
まちゃあき:好きなんだろうね、テレビっ子だったし、やっぱ。
B-boyだったもんね、あのときね(笑)
山脇:最後にひとつ。普段、洋服はどこで買ってますか?
まちゃあき:えーとね、俺ね、けっこう無頓着だからねー。今すごい好きなのがね……TOMORROW LANDだっけ? あそこがね、自分的には合うな、って思ってる。
山脇:今日、10何年ぶりかに会って「あら、シュッとしてるな!」って思ったよ。
こんな服着てなかったよね。
まちゃあき:着てない、着てない。
山脇:学生の頃、胸にでっかく『GAP』って書いてあるトレーナーばっかり着てたイメージしかないから……。
まちゃあき:あの頃、男だけで住んでて、野蛮な生活送ってたから、服は毎日一緒やったんよ。恥ずかしいね。
山脇:ずぶずぶのニット帽にだぶっだぶのトレーナー着て。
まちゃあき:B-boyだったもんね、あのときね(笑)。ダンス始めたばっかりだったから、ああいう格好すんのが楽しゅうて仕方なかったんよ。
山脇:ダボダボだった。
まちゃあき:そこでイメージ止まってるんやもんな。
山脇:そうだよ。
まちゃあき:B系になりたかったもんね、あの時。
山脇:懐かしいね。では、今日はありがとうございました。知らなかったこともたくさんあったし……立派な人だったね、っていう。
まちゃあき:いえいえ、色々な講釈たれて、すんません(笑)。
山脇:話してみるもんだ、と。
エグスプロージョン まちゃあき
ダンサー/振付師。1981年10月9日生まれ。山口県下関市出身。A型。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。ダンス番組『スーパーチャンプル』(日本テレビ系)で『チャンプルダンサーランキング』に初代殿堂入りを果たした元祖エンタメダンスユニット・エグスプロージョンのリーダー。エグスプロージョン×ひとりでできるもんから成るユニット・EDISONとしても活動。ライブダンサーとして、2012年、チーム結成10周年ツアーを成功させ、その後も毎年ツアーを行っている。2015年3月に公開した、『本能寺の変』などのYoutube動画『踊る授業シリーズ』が大ヒット。2016年11月30日には、アルバム『CD/E』でCDデビュー。MC、コント、芝居などダンス以外の出演や、森山直太朗をはじめとするアーティストや芸人への振付、ダンス講師なども行うマルチダンサー。2017年12月4日にZepp DiverCity Tokyo、12月6日に名古屋ダイヤモンドホール、12月8日にZepp Nambaにて、エグスプロージョン×ひとりでできるもん東名阪ツアー『EDISON PRESENTS EGU-SPLOSION×HITORIDE-DEKIRUMON Tour 2017 Winter Question?』開催。
山脇唯
1981年8月3日生まれ。俳優。ヨーロッパ企画退団後はフリーとして舞台を中心に活動。2013年より「すいているのに相席」に参加、“ユーモア女優“の称号をバッファロー吾郎A、せきしろ両氏より賜る。声の出演にNHK Eテレ「デザインあ」、NTTdocomo、Tokyo FM他ラジオCM等多数。ポンポコパーティクラブ代表。2018年1月29日に座・高円寺2で開催される『アイアム映画祭』で久々にメガホンを取ることに。
PANORAMA FAMILY
2006年頃結成。2009年1月、3MCから1MCへ。以降はゴメス1人のユニットとなる。 渋谷Organ.b第1火曜日mixx beautyを中心に、年間60本ペースで精力的にライブを行う。remix、客演、ビールケースの上から幕張メッセ(countdown japan fes 3年連続出演)まで、大中小規模なイベントに参戦する他、トラック、楽曲提供など活動は多岐に渡る。レぺゼン宮城県女川町スタイル。2014年から写真家として活動。SLIDELUCK TOKYOの第一回ファイナリストに選出される。雑誌STUDIO VOICEでとりあげられる。2016年3月写真集「fastplant」発売するも即SOLD。
12/4~12/17に個展『PARANOIA SLAPPYS』を行い、写真集が発売される。