ゲストはサルゴリラの児玉智洋さん。2016年5月に『すいているのに相席4』(座・高円寺2)で共演したものの、実はお互いをあまり知らない2人。ゆっくり歩み寄る会話と写真、2つの妙をお楽しみください。対談×写真企画、第12回です。(撮影/PANORAMA FAMILY 文・構成/山脇唯)
むちゃくちゃ恥ずかしいやつですよ、いま見たら。
山脇:人見知りですか?
児玉:むちゃくちゃ人見知りですね、多分。あ、わかんない。皆さんの人見知り度がどれくらいあるのか、わからないですけど。
山脇:『すいているのに相席4』が終わってから全然お会いしてなくて……すみません、なんか。
児玉:いやいや、全然こちらこそ。
山脇:実は、こないだ無限大ホールに『ロード to M−1』を観にいきました。
児玉:ほんとですか。『ロード to M−1』みちゃったんですか。
山脇:はい。
児玉:僕ら、M-1出てないんですよ。
山脇:そう、それをアフタートークで聞いて。最初は「M-1も出るのか、精力的!」って思って。
児玉:いやいや……。サルゴリラを組んで1年ちょいで。最初の1年は色々やろう、って、漫才とかも色々やってたんですけど。で、もう……「できないな」と思って、漫才は、ほぼやめました。
山脇:漫才、面白かったですよ。ケーキの、誕生日の。
児玉:いえいえ全然全然。
山脇:声だして笑いました。
児玉:だって全然会ってないですよね。
山脇:会ってなかったですね。
児玉:あ、でもバッファロー吾郎A先生の誕生会で会いましたね。そのときも全然喋ってないですけど。
山脇:児玉さんは若々しいテーブルにいて、私はカウンターで。「児玉さん、いるなー」とは思ってて。
児玉:だから全然話したことないんですよ。
山脇:なので、今日は喋っていけたらいいなと。
児玉:皆さん、どういうことを喋るんですか?
山脇:好きな音楽とか……好きな音楽は何か、ありますか。
児玉:好きな音楽は……Hip Hop。
山脇:あら! まあ。
児玉:昔、一瞬だけやってたんです。
山脇:やってたっていうのは…?
児玉:DJを……あの、まず、ターンテーブルを買ったんですよ。やりたいなと思って。で、全然上手くならないんで……それでラップを。
山脇:それっていつ頃の話ですか?
児玉:大学生の時に、ほんとうに遊びで。真面目には、やってないんですけど。
山脇:あら、まあ。年齢的に、そういう世代ですかね?
児玉:そうなんですよ、そうです。高校生くらいの時に、日本語のラップ……BUDDHA BRANDさんとかを聴くようになって、それで好きになって。
山脇:どんなラップをしてたんですか?
児玉:むちゃくちゃ恥ずかしいやつですよ、いま見たら。
山脇:リリックを……書いてたんですか?
児玉:書いてましたよ。
山脇:それは、チームというか……グループで……?
児玉:今の相方の、赤羽と、あともう1人とで、メガザルロックスっていう。
山脇:え、かっこいいじゃないですか。えー。
児玉:ドラゴンクエストの、自爆するモンスターがいたんですよ。そこから、はい。もう本当に遊びで。
月も好きになっちゃって。最近そういう感じなんです。
山脇:今も好きですか、ヒップホップ。
児玉:好きです。今、流行ってますよね、フリースタイルダンジョンとか。
山脇:観ると、血が騒ぎますか?
児玉:泣いちゃう。泣いちゃうんですよ、僕。
山脇:え? なんで泣いちゃうんですか?
児玉:泣きません? 観てます?
山脇:いや、観てなくて。
児玉:観てください。泣けますよ、本当に。般若さんとか……すっごい泣いちゃって僕。
山脇:何に泣くんですか?
児玉:……熱さ……?
山脇:頑張りみたいな……?
児玉:熱いんですよ。単純にすごいですし、なんか、頭の回転とか。
山脇:へえ~。
児玉:あと、最近、お酒を覚えて。
山脇:ええ。ええ?
児玉:最近、ちょっと飲めるようになったんですよ。
山脇:去年、飲んでませんでしたっけ。
児玉:全然飲めたんですけど、弱かったんです、すごく。前にピースの又吉さんと一緒に住んでて、又吉さんも飲めなかったんですけど、飲めるようになって。それで2人ですごい飲むようになってきて。で、今、1人で大衆居酒屋とか行くようになって、もうホッピーとか、はまっちゃって。
山脇:歳とともに飲めなくなったとかは聞きますけど……今、飲めるように。
児玉:1人で家でも飲むんですよ。一人暮らしになって。で、酔っぱらわないと眠れないようになっちゃって。
山脇:あら。
児玉:みなさん、そういう時期あったと思うんですけど、それが僕、今なんです。38歳にして。で、音楽をすごい聴くようになって。
山脇:ああー。
児玉:音楽聴きながら飲むのが好きになっちゃって。それでもう、その時間が幸せで。
山脇:いいですねえ。
児玉:で……月が。僕のアパートから、ちょうど月が見えるんですよ。
山脇:はい。
児玉:月も好きになっちゃって。最近そういう感じなんです。
山脇:ほうー。
児玉:月を見て、音楽聴いて、お酒飲んで。
山脇:でも、それは悪いお酒じゃないですね。飲まなきゃやってられないってことではなく。
児玉:はい。酒癖は、悪くないです。
山脇:私、25、6歳のときに、悪い方の意味で飲まなきゃだめになって。
児玉:悪い方ってどういうことですか、酒で誤摩化すみたいなことですか?
山脇:「眠れない、そして1人だ」みたいになって、赤ワインを1本びしゃーって飲んで。泣いて誰かに電話して、みたいな。
児玉:……あるんですね、皆さんそういう……。
山脇:はい。
児玉:えー……音楽で泣くときはありますけどね、ちょっと酔っぱらっちゃって。悲しみの涙はあんまり……
山脇:感動の涙が多い?
児玉:そうですね。
「親に手紙を書こうかな」とか、そういうところまでちょっと、思うんです。
山脇:最近泣いちゃった音楽はなんですか?
児玉:あのー……基本的に何でも泣けるんですけど、酒飲んだら(笑)。竹原ピストルさんとか、最近すごい聴いてます。松本さんの映画『さや侍』の曲とか、すごいいいんですよ。あとは中島みゆきさんとか。普通に恋愛の歌でも泣きますし。
山脇:あら、そうなんですねえ。
児玉:恥ずかしいですけど。
山脇:いやいや。
児玉:そこでフリースタイルダンジョンとかも観ますし。深夜、号泣してます。
山脇:うぅえぅえって泣き方ですか? 嗚咽?
児玉:や、まあ、普通にこぼれてきて……
山脇:(笑)しっとりと。
児玉:すごいとこまでいくと、うぇって泣くときもあります。
児玉:なんか、「親に手紙を書こうかな」とか、そういうところまでちょっと、思うんです。
山脇:気持ちがあがってきて?
児玉:なんかすごい……はい。
山脇:地元愛とか感謝を歌うことが多いからですかね、ヒップホップって。……今わたし雑なこと言ってます?
児玉:いやいや。まあ。
山脇:そういう気持ちが湧いてきた、と。
児玉:親に感謝の気持ちとかって、言ったことあります?
山脇:あのー、結婚式で花嫁の手紙を読んだので、そのタイミングで。
児玉:あ、そうか! あそこ最高ですよね。
山脇:あれって他人の結婚式でも泣いちゃいますもんね。
児玉:そう。両親とも全然生きてるんですけど、生きてるうちに伝えたほうがいいかなあって、そんなことを考えるようになって。
めっちゃ優しいんですよ、本当に。優しい、父ちゃん。
山脇:お父様との関係はどんな感じですか?
児玉:えー……なんだろうな、うちの父ちゃん、若い頃に……僕が20歳くらいのときに、借金つくって逃げてるんですよ。
山脇:え?
児玉:3億くらいの借金を。そこから1年間逃亡してて、その日から、怖い人が毎日家にくるようになって。
山脇:え、「おりゃあ、返せよ、おりゃあ」みたいな人たちが?!
児玉:意外とそういう感じじゃないんです。ただ、ずっと家にいる感じ。意外と優しくて、ピザとかもおごってくれるんですよ。
山脇:えー!
児玉:毎日ピザ頼んでくれたりして。
山脇:それは、自分で払ってくれるんですか。
児玉:はい。
山脇:その金額が、どんどん足されていって膨らんだりとかは……
児玉:それはないです(笑)。ただ毎日いて。で、1年後に、伊東温泉の方で見つかって、そこから今、幸せにやってるんですけど。
山脇:はー……
児玉:だからちょっと、へんな感じはあると思う。俺とか……子どもに対して。
山脇:「すまんな」っていうような感じが……?
児玉:なんすかね、うちはあんまり”怖い父親”って感じはなくて。厳格とか、そういう感じではなくて、仲はいいと思います。
山脇:その、逃亡されてた1年で「父が許せん」とかはならなかったんですか。
児玉:全然なんなかったです。
山脇:心配の気持ちのほうが強かった?
児玉:そうですね、めっちゃ優しいんですよ、本当に。優しい、父ちゃん。
山脇:じゃあなおさら、感謝は伝えた方が良いですよ。
児玉:でも恥ずかしいじゃないですか。「そういうの気にしないで~」とか、そういうのは、すごく、伝えたいんですけど。
山脇:伝えた方が良いですよ。もしかしたらずっとこう、思いがあるかもしれないから。
児玉:酔っぱらったときは「手紙書かなきゃ」ってすごい思うんですけど、今、こういうときは「絶対無理だな」って。
山脇:いや、書いたらいいですよ。
児玉:「死んだらなー」と思うと書かなきゃ、とは……
山脇:そうそう、そうですよ。親孝行、したいときに、って言うじゃないですか。
PANORAMA FAMILY:まさに、うちがそうです。絶対、酔っぱらって書いて、早めに渡すのが良いと思います
児玉:そうです、ってのは……?
PANORAMA FAMILY:うち、親父がもう亡くなってて。「色々聞いときゃ良かった」っていっぱいありますよ
児玉:そうっすよねー……。
山脇:これからは、便せんとペンを用意してから、飲み始めて。
児玉:でも、一歩ずつ進んでいるんですよ。こないだ、酔っぱらった時に勢いでばーってiPhoneに打ったんです。だから、内容はあるんです。
山脇:じゃあもう出すだけだ!
児玉:あとは、紙に書いて……一歩ずつ、ちょっと進んでいこうかな、と。
山脇:ああ、それはいいことですよ、すごく。
児玉:本当にもう、恥ずかしいんですけど。
そんな人が、芸人を好きになるかっていうと、ならないでしょ。
山脇:聞いてもいいですかね。ご結婚の予定とかは?
児玉:僕がですか? ないです。すごい、したくなってきましたけど、できないんですよ。お金がないし。
山脇:前にザ・ギースの尾関さんが言ってましたよ、お金は関係ないって。
児玉:色んなタイプがいると思うんですけど、僕は、ないと出来ないタイプ。お金ないと迷惑かけちゃうから……
山脇:いやー、そんなことないと思いますよ、いまどき。
児玉:古いですか?
山脇:古いです。
児玉:だって、めっちゃくちゃないんですよ、ほんとうに。
山脇:めちゃくちゃある人と結婚すればいいんじゃないですか?
児玉:それはちょっと思うようになりました。お金持ちの人がいいなーって。
山脇:大手広告代理店で、部長クラスの女性とか。
児玉:どうやって出会うんですか。
山脇:そのへんにいますよ、きっと。
児玉:そんな人が、芸人を好きになるかっていうと、ならないでしょ。
山脇:赤坂でシャンパンを飲んでる人とか、いいんじゃないですか。
児玉:出会えないから、そこに、まず。
山脇:そうかー……。
児玉:結婚は……できないです。だからいつも、それが理由で、別れてました。
山脇:そう、ですかー……
児玉:26,7歳になると……
山脇:考え始めるから、相手も結婚を。
児玉:したがるじゃないですか。そうすると、いつまでもひっぱるのも申し訳ないなっていう。
山脇:いや、でも、それはね! だめですよ。
児玉:それは勝手ですか。
山脇:勝手ですよ。相手はすごくすごく好きかもしれないのに、勝手な考えで「時間を消費してごめん」みたいな感じで別れられるのは、たまったもんじゃないですよ。
児玉:すごい熱入ってますけど、なんかあったんですか、そういう経験。
山脇:そんなことはないですけど。そういうカップルを見るたびに、憤りが。
児玉:いますか、やっぱり。
山脇:俳優も多いんですよ。結婚を迫られてる気がする、って別れる、とか。30歳まで引っ張ったら申し訳ないから別れる、とかはすごい、あって。なんなんだ、と。
どっちかっていうと僕もそうなるって思うから、だからちょっと結婚はできないですね……
児玉:お子さんがいて、芸人やってる人ってすげえなって思うんです。俺はそれ絶対できないから。すぐやめそう、僕は。
山脇:え!
児玉:やっぱり子ども中心になると思うんですよ。「ちゃんと働いて食わせなきゃ」ってなるのが、怖いんですよ。
山脇:まあ、子どもは定期的にお金がかかるし、かかるお金も増えてくし……。でも尾関さんが「大丈夫だ」って言ってましたよ、なんとかなるって。お金じゃないよ、って。
児玉:そうなんですか。えー……僕は多分、無理です。
山脇:でも今って、お子さんのいる芸人さんって、けっこう多いですよね?
児玉:多いです、やっぱり。
山脇:皆さん、ちゃくちゃくと人生を歩んでるんだなあって思います。
児玉:でも結果、辞める人も、やっぱいるんですよ。
山脇:あ、そうなんだ、そうなんですね。
児玉:そういう人も見てきましたし。どっちかっていうと僕もそうなるって思うから、だからちょっと結婚はできないですね……。
山脇:それでかなあ……、あの、私の同世代で、結婚してない男の子たちがどんどん23、4歳の彼女をつくってて。「子どもとつきあいやがって」ってイライラしてたんですけど。
児玉:だから僕、わかりますもん、その人たちの気持ち。……すごい勝手ですけど、寂しいは寂しいんで、女の子と遊びたいんで。となると、23、4歳はまだ結婚も見えてないだろうし、いいかもしれない、ってなっちゃいます。
山脇:よくよく考えるとそうなんだろうな、って。まだそんなに「つきあったら結婚」とか考えてない年頃ってことですよね。もう少し年齢を重ねたら人生を考えだすから、その手前の世代が気楽だ、ってことなんだろうなって。
児玉:その通りかもしれないです、ねえ。……申し訳ないですけどね。
山脇:申し訳ないというのは?
児玉:そういう考えだから、女の子に関して。
山脇:そんなに背負わなくても良いのに、って思いますよ。
児玉:そうなんですね。
山脇:我が家も、相手がそこまで稼いでたわけじゃないんですけど、まあ一緒にやっていけばいいや、1人で生きてても1人分は稼ぐんだから一緒だな、って。お互いに1人分稼いでやっていけばいいかって結婚したので。
児玉:そういうの、素晴らしいですね。
山脇:いや、みんなそう考えてると思いますよ、女性は。
児玉:みんなそうですか? そうかなあ。
山脇:いまや、総共働き時代ですよ。
児玉:……結婚してみようかな。相談して良いですか。
山脇:ぜひ、相談してください。
児玉:まずは彼女を作らなきゃいけないすけど……。
『女の子が苦手』っていうのがあるかもしんないですね。
山脇:学生時代は、男子校ですか?
児玉:僕、中学から男子校なんで。むちゃくちゃ男子校。
山脇:じゃあ、受験して、中学から?
児玉:そうです、そうです。
山脇:頭良かったんですか?
児玉:いや、昔はお金持ちだったんで。その、事件前までは。
山脇:あの、お金持ちで、犬と猿と雉を飼ってたっていうのは……
児玉:そうです、本当に犬と猿と雉を飼ってました。クジャクもいましたし、屋上にゴルフの練習場みたいのがあって。
山脇:たまに電車乗ってると、ある家見えますよね。あれが!
児玉:ありました。昔は本当にお金持ちだったんです。高円寺にマンションを2つくらい持ってて。
山脇:高円寺のボン、だったんですね。
児玉:高円寺のボンです。
山脇:中学、高校と男子校だったことが、現在の自分に影響を与えてることってありますか?
児玉:ええ、なんだろう、『女の子が苦手』っていうのがあるかもしんないですね。
山脇:それは卒業して何年もたった今も、ぬぐえないものですか?
児玉:なに喋っていいかわかんないんですよ。昨日も、久しぶりに女の子と遊んだんですけど、一個もボケなかったです。
山脇:え?
児玉:どうやってボケんだっけ、どうやって笑わすんだっけな、ってすごい思うんです。むちゃくちゃつまんなかったと思います、多分。
山脇:え、じゃあ、何を喋ったんですか? かっこつけてたんですか?
児玉:ってわけじゃないんですけど、そう思われてたかもしれないです。
山脇:「この人かっこつけてるなあ」って? でも、別にボケなくていいじゃないですか、2人でいる時に。
児玉:勝手な勘違いかもしれないんですけどけど……芸人だし、むこうも芸人だって知ってるから、ちょっと「面白くしなきゃ」とは思っちゃうんですよ。
山脇:向こうもそれを期待してる所はあるかもしれない……
児玉:て、思っちゃうんです、僕は。
山脇:でも、仏頂面してたわけじゃないですよね。
児玉:あ、そういうわけじゃないですけど、普通に喋りますけど。一個も面白いことは言えなかったです。
山脇:それは、自分に厳しすぎるだけじゃないですか。面白かったかもしれないですよ。
児玉:いや、そうなのかな、でも……どうやって笑かすのかな、ってすごい思いました。
山脇:だって普段、百戦錬磨の人たちが蠢く世界でやってるのに、それに比べたら、その娘を笑わすなんて……ちょろっと何か、言っとけばいいのでは。
児玉:そうですね……
山脇:「ワイルドだろ~?」とかいえば笑うんじゃないですか。
児玉:そうか! そうですね、そういう流行の……流行のじゃねえ、だいぶ古いですよ、それは。
山脇:流行のが、思い浮かばなかった。でも、そういうのでもいいんですよ、きっと。
児玉:そういうのでいいんですかね……だから、女の子苦手っていうのは、あります。
めっちゃ冷静に「力で負けてるけど、ここ、こうやったら勝てそうだな」とか考えてるんですよ。
山脇:高校時代は、どんな高校生でした?
児玉:まあまあ、でも……その……なんだろう、あ、でも「リーダー」って呼ばれてました。
山脇:それは普通に、リーダーシップの、リーダー?
児玉:はい。今は全然違うんですけど。
山脇:部活動は?
児玉:中学まで野球やってて。本当に野球が嫌いすぎて。
山脇:嫌いになっちゃったんですか?
児玉:ほんと嫌いだったんですよ。小学校からずっとサッカーをやりたかったんですけど、みんな野球やるし。小学校も野球部だし、そのまんま、やんなきゃって感じで中学でも野球やってて。でもサッカーがすっとやりたかったんですよ。
山脇:ええ。
児玉:僕、センターだったんですけど、責任重大なんですよ、外野のセンターって。落としたり、後ろにやっちゃったり。
山脇:あんまりカバーしてもらえないし、責任が大きいし。
児玉:それが怖くて怖くて、すごく嫌で。
児玉:あの、格闘技とサッカー……。僕、格闘技はやったことなくて、サッカーはちょっとだけやってたんですけど、どっちも「本当にちゃんとやってたらプロになれてただろうな」って、なんか勝手に思うんですよ。
山脇:それは……誰かに言われたとかじゃなくて?
児玉:言われたとかじゃなくて。自意識過剰とかじゃなくて、マジで思うんですよ。変なんですけど。
山脇:え、なんでですか?
児玉:どっちも、始めると、めっちゃくちゃ気持ちが冷静になってくるんですよ。で、激しく動けるんです。俯瞰で観られるんですよ、自分を。
山脇:あ、それは大事な才能ですよね。
児玉:高校でやっとサッカーを始めるんですけど、ずっとやってた奴がめっちゃ下手に思えるんですよ。それで僕レギュラーになれて。弱い高校だったんで、そんな関係ないんですけど。
山脇:格闘技も?
児玉:格闘技も、そんな甘いもんじゃないのはわかってるんですけど。ずっとやってた人からしたら腹立つと思うんですけど。中学の時とか、休み時間に寝技の戦いみたいなのをするんですよ、男子校だから。で、アメフト部の超でっかい奴を倒せるんですよ。
山脇:ええー。
児玉:そういう奴と戦うときの方が、こう、ワクワク……「倒したい」みたいな。やりながら、めっちゃ冷静に「力で負けてるけど、ここ、こうやったら勝てそうだな」とか考えてるんですよ。サッカーもそんな感じ。
山脇:へええー。
児玉:不思議なんですよ。才能はないんだろうけど、なんか思ってるんですよ、ずっと。
山脇:それは今、なにかで生かせてるんですか?
児玉:全然生かせてない……(笑)。
山脇:そういう感覚には。
児玉:お笑いでは、なれない。お笑いでもそういう感覚になりたいなって思って、研究してるんですけど。……なんでサッカーではできるんだろう。
山脇:あ、でも『相席4』でサッカー選手の役、やってましたよね。前園の役。「サッカーしかやってきてないんですから」っていう。あれ、すごい上手でした。
児玉:ありがとうございます(笑)。でもそれは関係ないですよ。
山脇:高校で、サッカー部に入って。
児玉:はい。すっごい楽しかったです。
山脇:リーダーと呼ばれて。
児玉:それは、友達からなんですけど。なんで「リーダー」だったんだろう。
山脇:リーダー。
児玉:なんか呼ばれてましたね。
山脇:そこから、大人になって、芸人になって。性格は変化しましたか? そのまま?
児玉:自分でいうのもあれなんですけど、昔はめっちゃ正義感が強かったんですよ。あるとき、「なんで俺だけこんな損してるんだろう」って。損っていうか、なんでこんなに真面目なんだろう、もっと楽に生きよう、って思って。そこから、だめになった気がします。
山脇:いつ頃ですか、それは?
児玉:高校生くらい。
山脇:正義感が……なくなったんですか? それまでは「だめじゃないか!」って思ってた? 世の中の色んなことに。
児玉:そうですね。
山脇:みんなもっとちゃんとやれよ、って。
児玉:そこまでじゃないんですけど……そうでした、ね。
山脇:じゃあ、今、生きているのは、楽ですか。
児玉:……はい。全然。
山脇:楽になりましたか。
児玉:はい(笑)。
盛り上がるんでしょうけど、でも嫌、ってくらい、恥ずかしい。
山脇:芸人になろうってなったのは?
児玉:それは単純に、赤羽に誘われまして。NSCも一緒にいって。
山脇:すーってそっちに? 音楽の方は……?
児玉:いや、それは本当に、何かを目指してたとかじゃなくて、ラッパーの人に怒られるような感じで、本当に遊びでやってたんで。
山脇:音源とかは残ってないんですか?
児玉:残ってますよ、むちゃくちゃ恥ずかしいですよ。
山脇:聴くことはできますか?
児玉:え? 今ここでですか?
山脇:いや、ここではあれですけど、いつか、どこかで、とか。
児玉:絶対に嫌です。映像もありますけど、お笑いで出したら本当に盛り上がるんでしょうけど、でも嫌、ってくらい、恥ずかしい。
山脇:門外不出の、誰も見たことがない……
児玉:そうですね。
山脇:「ワー! ウォー!」とか言ってるんですか?
児玉:「かませー!」みたいな感じで言ってましたよ(笑)。
山脇:じゃあ怖い感じだったんですか? 逆に平和な感じのほう?
児玉:どっちだったんだろう、怖い感じを目指したんだけど、全然なれてない人たち、だった気がします。
山脇:今後、その一面を見せる予定はないですか?
児玉:え、映像を見せるってことですか?
山脇:それもあるし、また自分がやる、とか……
児玉:ラップをやる、ですか? それはないです、絶対。できないですよ。やっぱりすごいですよ、ラッパーの人たちは。
山脇:『僕らのトーク』という、即興のドラムとギターに合わせてアドリブで歌うイベントの映像をみたんです。児玉さん、よくあんな即興でできるなあ、と思ってたんですけど、ラップやってらしたんだったら、そりゃできるよな、って今、納得しました。
児玉:でも皆さんできてますよ。あそこにいったらもう。
山脇:やるしかない、みたいな?
児玉:めっちゃ怖いですけどね。でもラップよりは全然。ラップはあれでさらに韻を踏んで、ってことですもんねえ。すごいですよね、本当に。
山脇:いやいや、皆さんも、その場で歌えてすごいなあ、って。
児玉:でも即興のほうが、気は楽ですよね。めっちゃドキドキはしますけど「滑っても良いんだ」って思えるから。
山脇:観てるほうも、「ワー即興だ」って、ドキドキして楽しいです。
9期は、又吉さんからしたら”孫世代”って言われてるんです。
山脇:『僕らのトーク』でしずるの村上さんと一緒に歌ってましたけど、”9期は愛が強い”っていうのは、あるんですか?
児玉:あー、周りから「9期は仲良いね」ってめっちゃ言われます。単純に、残ってる人が多いんですよね、いまだに。
山脇:せきしろさんも「9期が好き」って仰ってますよね。
児玉:なんでですかね。
山脇:なんでだろう。
児玉:怖い人がいない、んだと思います。
山脇:いやな奴がいない?
児玉:かなあ。だから逆に、そういう縦社会みたいなのは、9期から崩れたと思います。タメ口がすっごい多いですもん。
山脇:どういうことですか?
児玉:9期、後輩タメ口OKにしてるんです。9期で話し合った訳じゃないし、なめられてるだけなのかわかんないんですけど……全然、僕らは良いんですけど。それで、僕らから下はわりと。
山脇:フランクに。あのNSCの『期』の上下関係の感じは。
児玉:9期から下は、なくなってきたと思います。僕も、又吉さんとかにタメ口で喋っちゃいますし。それは、僕がちょっと、入り込みすぎたんですけど……。9期は、又吉さんからしたら”孫世代”って言われてるんです。
山脇:あー、もう、何してもかわいい、かわいい世代。
児玉:僕らより上の人は、又吉さんに対して、礼儀をちゃんとしてるんですよ。だから6、7期の人が、僕らが又吉さんと話してるのみるとヒヤヒヤするってよく言います。
後輩と遊べないんですよね。
山脇:上下関係きついのは平気ですか。
児玉:いやです。
山脇:私もいやです。
児玉:ははは。そうですか。女子は、あんまりないんじゃないですか。
山脇:怖い先輩がいるところに行きたくないな、って常々思ってます。
児玉:僕もそうです。芸人も色んな軍団とかありますけど、怖い所には絶対入りたくないですもん……又吉さんグループでよかったなあって。
山脇:私も、どこにも属してなくてよかったなあって。上下関係が平気な人もいるじゃないですか。ずっと厳しいなかで大丈夫な人。
児玉:いますね。絶対無理です。
児玉:後輩と遊べないんですよね。
山脇:え。なんでですか。どうしていいかわかんない?
児玉:気を遣わせるのが嫌で。単純に金ないってのもあるんですけど、ご飯に誘えないっていうか。嫌だったら……って。僕が、誘われるのがすごく嫌なんで。
山脇:あらまあ。
児玉:ライブ終りは、とりあえずあんま楽屋に入らないようにするんです。誘われるの嫌だから。ひどいときは誰かと電話で喋ってるふりとかするときありますもん。そんくらい嫌だったんで。
山脇:今もですか?
児玉:でも直さなきゃな、と思って。なるべく、ちゃんとやんなきゃいけないな、とは思います。
山脇:そういうの、わりとできるタイプかと思ってました。
児玉:僕、そう思われるんですよ。その印象は嬉しいんですけど、期待はずれ感が……先輩からしたら「なんだコイツ、全然喋んないな」みたいな。
山脇:期待されるのが、苦手なんですかね。
児玉:そうなんですかね。なんなんすかね。仲良い人とは、すごい仲良いんですけどね。
山脇:もしかしたら、仲良い人と親しくする児玉さんをみて「自分とは仲良くしてくれないのに……」って、誰かを寂しがらせているかもしれませんよ。
児玉:そうなのかな……そんなことはないんじゃないですか、僕なんかに。
全員極楽状態、っていうんですか。幸せ状態なんですよ。
山脇:銭湯がお好きなんですか。
児玉:めちゃくちゃ好きです。
山脇:なんでそんなに好きなんですか?
児玉:なんででしょうね。なんつったらいいかな。僕、好きな女性のタイプ……タイプっていうか、「仕事が終わって、自分の駅について、家に帰るまでの女性」がすごい好きなんです。
山脇:タイプっていうか、その時間帯の、ひとが好き……?
児玉:コンビニで、家で食べるヨーグルトとか選んでる……荷が下りて、小さな幸せに向ってる、女性が、すごい好きなんです。朝、仕事に向ってる人たちは嫌いなんです。
山脇:はあ。
児玉:そういう人たちが多いんです、風呂って。そういう人たちの集まりっていうか。女性だけじゃなく、男性も。
山脇:なるほど。
児玉:全員極楽状態、っていうんですか。幸せ状態なんですよ。
山脇:1日の疲れをとる……
児玉:そういう空間なんです。そういう、全員幸せな空間、って思ってる。わかります?
山脇:そういわれると、なんとなく。じゃあ、自分がお風呂ですっきりするのが好きっていうよりは、空間が好き……?
児玉:もちろん、単純に身体もすっきりするし、っていうのもありますけど。あと、サウナが好きなんです、僕。
山脇:サウナ。はい。
児玉:サウナ、水風呂、サウナ、水風呂を繰り返すんですけど、何回目くらいかに、水風呂にこう入ってると、森の中のきれいな湖に動物たちと入ってる感覚になるんです。人それぞれあると思うんですけど、僕は、その感覚になるんです。身体的な部分でいうと、その状態になると最高です。ちょっと頭おかしいんですけど。
銭湯なんですけど、グッドデザイン賞とってて。美術館みたいな感じなんです。
山脇:でも、東京のサウナは別料金じゃないですか。
児玉:はい。
山脇:あ、そんなこともなげに。京都は別料金じゃなかったから、私は結構ショックで。
児玉:関西って、お風呂が真ん中にあるんですか? 東京って一番奥にお風呂があって、後ろに富士山の絵とか描いてあるじゃないですか。関西は、真ん中にあるケースが多いって聞いたんですけど。
山脇:真ん中のとこもありますし、サイドにお風呂がある銭湯もあります。で、京都だと入浴料でサウナも一緒に入れて。東京きたら「別料金かあ~」って。
児玉:確かに。でも全然、僕はサウナに入りますよ。ありがたいことに「お風呂が好き」って言ってたら、たまにいただけて。
山脇:風呂をですか?
児玉:券を。入浴券を。
山脇:『庭の湯』って行ったことあります?
児玉:行ったことないんですよ。練馬区でしたっけ。
山脇:そうです。豊島園駅の近く。
児玉:練馬だったら、久松湯って行ったことないですか。桜台の久松湯。
山脇:え、知らないです。いいんですか?
児玉:めっちゃおすすめですよ、むちゃくちゃキレイなんですよ。銭湯なんですけど、グッドデザイン賞とってて。美術館みたいな感じなんです。
山脇:えー何だそれは。すごい。
児玉:ほんと銭湯なんですけど、露天もあって、サウナもあって、プロジェクションマッピングが壁に流れてるんですよ。
山脇:え? 何の意味があるんですか、それは。
児玉:あ、でも激しいのとかじゃなく、癒されるような、水の流れの。
山脇:そういうのか……なんか言葉とか、メッセージ性の強いのではなく?
児玉:違います。ほんとうに、ぜひ行ってみてください。
好きなやつあったら2着買うとか、そういうのしてみたいです。
山脇:洋服ってどこで買いますか?
児玉:とにかくお金ないんで……
山脇:それずっと言いますねえ。
児玉:だってないんですもん。今、特にないんですよ。解散して、ゼロから……さらに一人暮らし始めたから。
山脇:でも、そんな……ひどくはないですよね。あ、違う、言い方が。
児玉:そんなひどくはないって、ひどいはひどいんですね。
山脇:いや、いつもちゃんとしてらっしゃいますよね、っていう意味です。
児玉:そうですか。だから、夏は楽です。白いTシャツとかいっぱい買って、ズボンも、夏はずっとこれ履いてます。
山脇:いいじゃないですか、あれこれ、めかしこんでる人よりは。
児玉:でも僕お金もってたらすっげえ買いますよ。
山脇:ほんとですか。いっぱいお金があったら、どんな格好します?
児玉:いまと同じような格好だと思うんですけど、好きなやつあったら2着買うとか、そういうのしてみたいです。憧れ。
山脇:芸人さんって、自分の服で出ないといけないことも多いですもんねえ。
児玉:そういうとこも大事なんで、やっぱ買わなきゃな、とは思いますけど、おっついてないです、まったく。
山脇:こういうのは着ないな、とかありますか? 深いVネックは着ないぞ、とか。
児玉:なんだろう……あ、髑髏はだめです。
山脇:ええ。
児玉:髑髏は、あれ、なんで着るんですかね。
山脇:強くなりたいんじゃないですかね。怖いから……?
児玉:わかんない。お洒落な方もいますけど、なんか僕はちょっと、ダサくみえちゃう。
山脇:髑髏で大丈夫なひとって、ほんとに大丈夫なひとですもんね。「髑髏を着てる」って思わせない、その人自身が前にこないと。
児玉:人が、そんくらいいかないと。
山脇:「あ、ドクロだ」て思いますもんね。
児玉:あ、髑髏いやですか?
山脇:そうですね、髑髏は「あっ」って思いますよ。
女子の服の方がいいなあ、楽しそうだなあ、と思います。
児玉:服に関していうと、女子になりたいなって思うんですよ。なりたいな、っていうか、女子の服の方がいいなーって。
山脇:逆です。男子の服の方がうらやましい。
児玉:なんでですか?
山脇:男性の方が、体型も込みで”格好”みたいな所もあると思うから、自分がいい体型だったと設定して、男の人の服の方がいいな、って。何もしなくていい、Tシャツだけでいくよ、みたいなのが、いいなあ、って。
児玉:楽そう、ってことですかね。
山脇:そうですね。ベッカムとかみると「いいな~」って思うんですよ。
児玉:ベッカムはだって、何着たっていいじゃないですか。ベッカムが、いいってことでしょ?
山脇:何もしなくても良いのが、いいな、って。
児玉:そんなこと言ったら、長澤まさみさんなら何着ててもいいって話ですよ。
山脇:そうか、そうですねえ。
山脇:女子だったらどういうのが好きなんですか?
児玉:ワンピースが着たいです。いや、着たいですって気持ちはないですけど、ワンピースってむっちゃ可愛いなっと思うんですよ。
山脇:まあ、楽ですけどねえ。
児玉:だから彼女いたときは、一緒に買い物するのとか、すごい好きでした。僕、選びたいし。
山脇:へー。それは別に、コントとかで女性の役をやりたいとかでは……
児玉:ないです。女子の服の方がいいなあ、楽しそうだなあ、と思います。
山脇:そうなんですね。
児玉:だから、巨乳の人とか、かわいそうだな、ってすごく思うんです。服がダサくなるなあ、て思っちゃうんですよ。
山脇:確かに、服のラインが変わっちゃうし、何を着ても「巨乳だな」っていう……
児玉:そうなんですよ、あれはかわいそう。ブラジャーもかわいそうだし。面白いですもん、巨乳の人のブラジャーって。
山脇:大きいから……迫力というか。
児玉:「ダサっ」って思っちゃって。
山脇:面積が大きい分、どうしても……大きさのあるものって、面白さもありますもんね。
児玉:そうなんですよ。
山脇:そんなことを思って生きてらっしゃるんですね。
児玉:服に関しては、ですよ。
山脇:服のこと聞いて、女性の服の話になったの初めてです。
あ、それもう絶対嫌です。
児玉:もっと言うと、ランジェリーもめっちゃ興味あるんですよ。着たい、とかは全然ないんですけど、僕、ランジェリーがダサいひとダメなんです。
山脇:え、ダサい、って、何をダサいと思うんですか?
児玉:あのね、一番嫌なのは、黒×ピンクのひと。
山脇:ドンキホーテっぽい色味っていうか。
児玉:あれは嫌なんです。ベタだわーって思って。
山脇:PEACH JOHNとかでも、一歩間違えるとそっちにいきますよね。
児玉:PEACH JOHN見るの、好きです。前の彼女が持ってたんで。単純にエロい気持ちもあるかもしれないですけど、すごい好きでした。
山脇:PJ のカタログでも、色々ありますよね。かわいいのと、濃ゆいのと。
児玉:そうですね、大きすぎても可愛くないし、ヒョウ柄とかも嫌ですし。だから自分が女子だったら、ランジェリーはすごくこだわるかもしれないです。
山脇:へえー。
児玉:ボクサーみたいの履く女子がいるじゃないですか。あれ、流行らないでほしいんです。女子からしたら、あれはおしゃれなんですか。
山脇:楽ですよ、安心感があって。
児玉:でも、やだ。
山脇:上下が違うのも……?
児玉:あ、それもう絶対嫌です。
山脇:信じられない。厳しい。
児玉:なんでそんな、上下が合わないときがくるんですか、単純に。
山脇:ブラジャーは上等な物ほど手洗いしないといけない、とか。ルーティーンが合わない、とか。
児玉:それはちょっと、もし彼女がそうだったら喧嘩になりますよ。「え、なんで?」って。
山脇:それこそ最近は別々で買うほうが多いですし。セットで買わない。
児玉:だめですよ、そんなの。え、バラバラの日あるんですか?
山脇:俄然バラバラですよ。
児玉:それはダメですよ。
山脇:だってもう揃いで買わないし、ブラのほうが寿命が長いんですよ。パンツを捨てていくとブラが残る。
児玉:……。
山脇:え、じゃあ捨てろってことですか、一緒に?
児玉:じゃあ、もし、ご結婚されてないとして、そういうことになるかもしれないじゃないですか。それでも平気ってことですか? 「やっばい、今日バラバラだ」とかも思わないってことですか? 全然?
山脇:バラバラってことで減点して「あいつだめだ」っていう人とは、その先もだめじゃないですか、だって。こういう人間なんだもの。
児玉:ああー。
山脇:でも、もし、好きな人が、児玉さんみたいに公言してたら考えますよね。片思いの相手が「バラバラは嫌だ」とか言ってるのが、飲み会で聞こえてきたりしたら、「ああ、そうなんだ」って多少は気にするかもしれないです。
山脇:上下バラバラの人と、そういう色っぽい状況になったときに、相手に「今日バラバラだから」って嫌がられるのは、どうなんですか。
児玉:あ、どうだろう、バラバラ拒否は経験したことないから、わかんないですけど……けっこうゲンナリします、僕は。
山脇:えー、そんなまで……
児玉:え……珍しいのかなあ……?
山脇:あんまり、この話を他の人に聞いたことがないから……連載を12回やってきて、初めての話題なので……今までの人にも聞いておけばよかったと思ってます。
児玉:はい。
山脇:でもそんな、ゲンナリまでします?
児玉:僕は、しちゃいますね。
山脇:それは考えものですね……。
今まで、熱い部分を出せなかったんですよ。でも出さなきゃいけないんだな、って。
山脇:じゃあ、最後に。今年の目標はありますか? 2017年も残り少なくなってきましたが。
児玉:なんだろ……やっぱり『親に手紙を書く』ができるように。
山脇:それは、ぜひ!
児玉:日々酔っぱらって、ちょっとずつ。
山脇:酔っぱらうようになって良かったですよね。一個そういう部分がでてきたっていうのは、いいこと。
児玉:あ、そうですね。今まで、熱い部分を出せなかったんですよ。でも出さなきゃいけないんだな、って。
山脇:低体温世代ですか?
児玉:ていたいおん?
山脇:あ、そんな言葉はないかもしれないけど、このへんって、熱くなれない、エモくなれない世代だな、って思ってて。ちょっと下の世代って、堂々とエモくて……けっこう熱いブログを書いたりするじゃないですか。
児玉:確かに。すごい思います、後輩に対して。
山脇:「あ、けっこう熱いこと言うんだあ」って。私もそうなんですけど、この世代はそういうのが、あんまりできない印象があって。
児玉:あー。だから、酔っぱらったときの感じを、普通の時に出せたらいいなってちょっと思います。熱くなれるように、頑張ります。
山脇:楽しみにしてます。
児玉 智洋(こだま ともひろ)
1979年11月14日生まれ。東京都出身。B型。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。NSC東京9期生。赤羽健一、松橋周太呂とのトリオ「ジューシーズ」は2006年に結成、2015年に解散。現在は赤羽健一と「サルゴリラ」として活動。2017年9月9日、10日に行われる、ピース又吉直樹が立ち上げた”絶景”をテーマにしたユニットコントライブ『さよなら、絶景雑技団』(よみうりホール)に出演する。
山脇唯
1981年8月3日生まれ。俳優。ヨーロッパ企画退団後はフリーとして舞台を中心に活動。2013年より「すいているのに相席」に参加、“ユーモア女優“の称号をバッファロー吾郎A、せきしろ両氏より賜る。声の出演にNHK Eテレ「デザインあ」他ラジオCM等多数。ポンポコパーティクラブ代表。2017年10月31日~11月4日、バッファロー吾郎Aコントセレクション『硝子細工の如く』(劇場MOMO)出演予定。