リッケンバッカーの話のついでに自分が初期頭脳警察のラストアルバム『悪たれ小僧』の頃から使っているフェンダー・ストラトキャスターの話をしよう。
フェンダーと書いたが、このギターのヘッドになぜかフェンダーのロゴは付いていない。ストラトキャスターのロゴしか記されていないこのフェンダー・ストラトキャスター、そもそもあのドラマー、つのだ☆ひろが、「PANTA、横浜の知り合いの楽器屋に左用のストラトキャスターがあるよ。ケース付きで10万円、欲しい?」と話を持ちかけられ、一も二もなく「買う!」と即答。後日、待ち合わせた青山の店に、つのひろがケースを持って登場。「店主が、これジミヘンが使ってたらしいと言ってたよ」とそんな話を聞きながら、10万円を支払い、ジミヘンは右用を左用に張り替えて使っているはずだけど、ちゃんとした左用を使ってたこともあるのかなあ、などと首を傾げながらフェンダーのロゴの入っていない、そしてボディのピックガードに四角い謎のホールが開けられたストラトキャスターと対面したのだった。
その後、「戦慄のプレリュード」などを筆頭にこのストラトキャスターは大活躍、マイクスタンドに擦り付けるなどかなり荒っぽく使っていると、メンバーから、「これは貴重な年代物のストラトキャスターなんだから、そんな手荒に扱うなんて」と言われ、それからは大事に使うようにしている。そんなギター話をROLLYとしていると、かなり深く調べてくれて、ネックとボディの年代が違うらしいということはわかったのだが、詳しいことは謎のままだ。神田商会で一度レストアしたときに、せっかくホールが開けられているんだから、ここに七色トーンのスイッチを付けましょうと白土くんが提案してくれて今に至っている。世界の名器というより自分の大事なギター。
後日談だが、青山の店で自分から金を受け取ったつのひろが家に帰り、そのまま六本木へ遊びに行ったところ、空き巣に入られ、受け取った10万円も根こそぎ持っていかれたという話を聞いた。その後、つのひろと会うことがあるたびに「オレはPANTAにストラトキャスターをプレゼントしてあげた気分だよ」と顰笑の口癖となっているつのひろくんなのであった。