海に一番近い駅「下灘」
3月21日 旧友と飲む
春になると人恋しくなるな。桜の花が散ってしまうと、東京の郊外、武蔵野の街かどには色とりどりの花が飾られ、明るい色のワンピースを着た女性たちは陽光を浴び、キラキラと眩しい。
「わりと近くに住みながら、長いこと会っていませんね。お互いに歳を取ってしまったし、次に会うのはどちらかの葬式……なんてのはあまりにも寂しいので、さりとて用はないのですが食事でもして一杯飲みませんか」
こんなメールを「ああ言えば上祐」と名言を残した元日刊ゲンダイの二木啓考さんに送ってみた。すぐに「望むところです」という返事が届いた。
ちょっと昔の話だが、私の親友の一人だったN氏に1年ぶりの電話をしてみたら、本人はすでに死去、葬儀も墓も一切なかったことに愕然とした。そんな死に方こそN氏のテーマだったから本人はそれでいいのだろうが、私を含め、残された友人たちは彼への思いをどこに持って行けばいいのかわからず、なんとも悲しかった経験がある。
3月22日 上西小百合議員とロフトラジオを再開
元・大阪維新の会、上西小百合議員のマネージャーが「タブーのないロフトラジオでどうしても話したいことがある」と連絡をしてきたので、急遽、1日限りの復活をした。生放送、視聴者は3,000人を超えた。でも、安倍さんも役人も森友学園も嘘ばかりだし、私は今やそんな政治に興味がなくなっていたので衝撃はなかったな。野党が全く魅力的じゃないから、極右で威勢のいい安倍さんが汚職をしてどんないい加減なことをしていたって、内閣支持率が落ちないんだよ。北朝鮮も援護射撃をしているし。これが日本の現状。
3月23日 新宿ロフトのスピーカー交換
もう20年以上も使っている新宿ロフトのTOWAのラッパ。PA顧問の西方氏が推薦するCODA(ドイツ特注)の音響テストをしてみる。う〜ん、確かに良い音だが、何でも綺麗で素敵に聴こえる。これでは下手な演奏者でも良く思えてしまう、なんかインチキくさい、と不平を垂れた。ロックにはもっとワイルドなサウンドが重要だと思うが。しかし専門家からは「今はこのくらいのスピーカーが主流です」と言われてしまった。
3月24日 阿佐ヶ谷ザムザにて月蝕歌劇団公演を観る
月蝕歌劇団「寺山修司-過激なる疾走-」(作・演出/高取英)を観る。
圧倒的な2時間。この夜、時間が逆戻りをしてしまった。なんてことだ。芝居がはねて、物販で買った高取さんの台本を握りしめ、昭和の匂いがプンプンする阿佐ヶ谷の裏通りを歩きながら、なぜか涙が止まらなくなっていた。小さなジャズバーではコルトレーンの「マイ・フェイバリット・シングス」。チャーリー・パーカーをリクエストして台本を読み返す。
素晴らしい演出だった。ほとんど名も知らない若き女優たちの晴れ姿が目に焼き付いて離れない。この感動と興奮を誰かに話したいと思った。だが、そんなことを話せる友人の多くはもう死んでしまった。ひとりぼっちを意識する。70歳、もう終焉に近づきつつある。ありがとう、高取さん、そして月蝕歌劇団の若き人たち。濃密な時間を過ごした。
3月30日 また、旅に(岡山〜松山〜徳島〜淡路島〜大阪〜東京)
深夜、新宿で社員と飲んでいたらなんだか家に帰りたくなくなり、区役所前のカプセルホテルに泊まった。なんとも遠くに行きたい気分。無目的のまま早朝の新幹線に乗って、西に向かう。大阪からこだまに乗り換えたら、なんとエヴァンゲリヲン新幹線だった(笑)。
岡山の湯郷温泉(美作三湯)。寂びれた古い旅館で一人ぽつねんと酒を飲み、わびしく本を読んでいたら、急に四国に行きたくなった。もう15年以上も前、49日をかけて88ヶ所の寺を一気に巡る「歩き通し打ち」を完遂した。あの辛かった日々を思い出したくなった。
漱石や子規が愛した道後温泉。この建物も老化が進んで、近年建て替えられるそうだ。
翌朝、瀬戸大橋を渡って愛媛に。自称おいらの愛人(元ロフト社員/佐々木理恵)が道後温泉でゲストハウスをやっているのでメールを出してみたら、今日は満室だから私のスタッフ部屋に泊まれと言う。「酔っ払ってあんたを襲わない自信が無い」と理由をつけて松山にホテルをとった。実は、今の軟弱な私には一泊2,000円の部屋に泊まる覚悟がなかった。
次の日、彼女は車でいろいろな場所を案内してくれた。あの有名な「海に一番近い駅・下灘」で見た夕日はどこまでも私の心の中に残った。道後から徳島へ移動。ここはお遍路の出発点、”一番寺”があるところだが、閑散とした徳島の街はなんだか侘しく、たまらなく寂しかったな。
徳島からバスで鳴門海峡、淡路島を通り大阪に到着。そういえば、今日はロフトプラスワンウエスト3周年の日だ。偶然にビックリ。大阪に泊まりたかったけど、この日は東京で約束があり、帰らねばならなかった。せめて店長を呼び出し、お好み焼き屋で酒を飲んた。
稀代の名城、松山城
アニメフリークが乗りたがっているエヴァンゲリヲン特別列車だ。
偶然にも乗り合わせた。
4月7日 森田童子ナイト@ネイキッドロフト
このイベントには私もゲストで出演をした。ひょっとしたら森田童子から何かしらのメッセージがあるのでは……と淡い期待があったが、やはり何もなかった。でもこの夜に参加したファンはものすごく得をしたと思う。主催連中の繰り出す未公開映像と楽曲、月蝕歌劇団の高取英さんの演出、すばらしい一夜だった。長い間、森田童子ファングループを運営してきた主催者に感謝。
4月18日 上野、東京文化会館で矢野顕子、上原ひろみのコンサート
ライブ後、そのまま帰る気がしなくて、新宿ションベン横丁で音楽ライターの吉留と飲む。感動的な体験したあとの酒は美味しいよ。アッコちゃんがあんなにジャズボーカルに磨きがかかっているとは感激。若き天才ピアニスト、上原ひろみはなんとも充実しきっていた。
4月13日 2年振りの定例飲み会
くっちゃべって酒を飲む会。みんな歳を食って退職をしているが、たくましく生きている。そこに、なんとオウム事件の麻原彰晃の娘、アーチャリーが参加していた。時代は流れる、彼女も30歳だ。「父は極めて普通で気が小さな人でした。あの事件は信者の暴走で、忖度で生まれたんです」と言っていたな。真偽のほどはわからない。
ここで夕日を見た