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09回 ロフトプラスワン20周年記念「ロフトフェス」開催

第209回 ロフトプラスワン20周年記念「ロフトフェス」開催

2015.12.01

起業から44年もの時が経った

 なんとも、今年でトークライブハウス「ロフトプラスワン」がオープンして20周年なんだそうだ。凄いな。この空間は私が50歳になった時に行き場がなくなり、一念発起して始めた全く新しいライブハウスだ。あれから20年。わたしゃ27歳で起業と言うか、脱サラしてロフトを始めて44年にもなるのだ。そして私も70歳になった。天を仰ぎ見るくらいの感無量である。
 しかし、私はどうも「なんとか記念」という行事が好きになれない。かつてロフト何十周年記念なんていう企画が何回も行なわれたが、私はそういった催しには興味がなく、直接関わってあれこれしたことがほとんどない。偉そうに楽屋訪問なんてこともしないで、ただただ一聴衆として客席から静かに見るのみである。
 それでも現場サイドは盛り上がっており、「〜記念なので出演して欲しい」と演者に言うとなんとも口説きやすいし、出演者側も参加しやすい環境となり、それが大きな広がりになるという。
 そんな記念事業の企画をプラスワンが1年かけてやってきて、その集大成がクラブチッタのイベントなのだそうだ。スタッフサイドとしては音楽とトークのジョイントで楽しみと感動を届け、次につながるきっかけになれば成功である。記念と言うよりもどこか中毒のようなものだから、店サイドとしてはこういう事業をやめられないのかな? これも潰れずにトーク空間を長く続けられている秘訣なのかもしれない。
 さらに来年は「新宿ロフト40周年」なのである。ロフト音楽班、新宿ロフトのスタッフが今から精力的に動いていて、これまでロフトに関わってくれた人たちやロック関係者がいろいろと協力し始めている。さて、どんなイベント構成になるのか楽しみだ。
 
 
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今年の「ロフトフェス」2日目、
2年連続で出場してくれた我らがニューロティカ

クラブチッタのイベントは…

 かくして、ロフトスタッフは11月14日、15日の2日間、川崎のクラブチッタで『LOFT MUSIC & CULTURE FESTIVAL 2015』と題するイベントを敢行した。クラブチッタはスタンディングで1,300人収容の小屋である。
 音楽中心の2日目はロフトで動員力のあるバンドや、KERAさんの有頂天と大槻ケンヂの競演、神聖かまってちゃんの登場なんていう目新しい企画(この両者のファンが融合するって凄いな)もあったので動員的には安心していたのだが、トーク中心である1日目のブッキングには相当な不安があった。
 確かにこの日登場のメンツはロフトプラスワン(キャパ150人=全椅子席)を即ソールドアウトにできるイベントを組み合わせたものだが、約10時間の長丁場でもあり、トークで1,000人近くの観客を集められるのかが焦点となった。スタッフの精力的なブッキングもあり、サブカル好きなら誰もが一度は見たいというエンタメ系の凄い企画が並んだ。
 チケットは当日券が大きく伸びて、800人の椅子席になんと立ち見まで出る結果になったのは嬉しい。トークライブで1,000人近くの観客を集められるのは凄い、まさに「トークライブ」の時代に入ったと言えそうだ。これからどんどん「トークライブハウス」が全国に出来てくれることを祈りたい。その空間は情報発信基地であり、日本のサブカルシーンを支えることになるのだと思う。
 なお、1日目のトークライブ(メインステージ)の題目と出演者は下記の通り。
 
■「サブカル有識者会議スペシャル」
吉田豪×杉作J太郎×掟ポルシェ×久田将義×蛭子能収×玉袋筋太郎
■「オメ☆コボシ featuring 熟女キャッツアイ」
岩井志麻子×徳光正行×GUEST:西原理恵子×中瀬ゆかり
■「340祭番外編」
構成・司会:鈴木美潮×出演:高取ヒデアキ×谷本貴義
■「俺たちデトックス女子会出張編 in ロフトフェス」
久保ミツロウと能町みね子
■「西原理恵子の人生画力対決ライブ<vs 蛭子能収 with しりあがり寿>」
〜本当の底辺の絵を見せてあげる決戦!!〜
対戦:西原理恵子×蛭子能収×しりあがり寿/司会:八巻和弘
 
 
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進行の杉作J太郎、吉田豪の両氏と共に
「ロフトフェス」の開催宣言で乾杯させてもらった

あの自殺未遂バンド、山崎春美の復活は何を意味するのか?

 ステージが血で染まり、手首を切ったり自殺未遂をして看護婦の服装をした香山リカがドクターストップをかけたり、救急車が呼ばれたりと数々の伝説を残した1980年代初期のニューウェイブ・バンド、TACOとその前身であるガセネタの復活ライブを見に行った。
 会場である新宿ロフトは超満員、若い子も多い。「えっ、山崎春美のイベントが満員?」と、ちょっと驚いた。30数年前、私はこのバンドを何度か見たが、あの時代の過激なハードコアバンドがよくやっていたようなパーフォマンスとノイズ音楽としか思わず、人を感動させる音楽とは遠い存在として見ていた気がする。
 だが、今回の『SHINDACO〜死んだ子の齢だけは数えておかねばならない』というタイトルはなんて意味深でアバンギャルドなんだ。ゲストには遠藤ミチロウ、戸川純、香山リカ、大熊ワタルらが参加している。ライブ前のインタビューで春美は「身の毛もよだつように暗くて、気の触れたような残酷劇がやりたい」と語っていたが、自らを傷つけたりする阿鼻叫喚なイベントにはならなかった。演奏はノイズ主体ながらしっかりとポップで、心地よく聴けるノイズ・バンドなのだ。私は思わず足踏みをして踊っていた。「うっ、山崎春美のこれからの音楽展開は面白そうだ」と、この小悪魔的天才を見直すきっかけにもなったライブだった。
 山崎春美の意識は「とんでもなく理不尽な理由から世界中で今もヒトが死んでいる。殺されたり放射能を浴びたり自殺してるのが、僕のせいでもあり得る、とかじゃなくて、そういう現実そのものは、今も昔も同じなんだ。ただ決定的に違うのは、今のほうが絶対的に、それこそ絶望的に『悪い』『たちが悪い』『論外、埒外』『話にならん』ってことだ」と、なんだかよく解らんことに集中しているように見える。
 山崎春美はもう相当な歳だ。だからして過去の生活をすべて投げ打ってロック業界に挑戦し始めた春美の躍動する影を見て、私もいろいろ触発されたのが嬉しくもある。
 
 いつもの散歩する緑道でカラ松の林に埋もれた山茶花を見つけた風の一日。
 
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新宿ロフトでTACOとガセネタを復活させた山崎春美。
老いてなお血気盛ん、鬼気迫るステージを堪能させてもらった
 

復活!! 今月の米子

 私が家出した時、寂しくなって酔っぱらって新宿のケンネルで10万円で買ったアメショーも10歳になったお爺さんである。
 
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《12月のラインナップ》
【12月3日】高英起(ジャーナリスト、デイリーNKジャパン編集長)
【12月10日】鈴木邦男(「一水会」最高顧問)&塩見孝也(活動家)
【12月17日】山本直樹(漫画家)

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