秋も深まる中、やっとこさ原稿を書き上げてルーフトップの椎名編集長のところへ持っていった。タイトルと書き出しはこんなふうだった。「平和と安全を考える〜どこへ行くニッポン〜」「ますますキナ臭くなる日本〜平和憲法を捨てた安倍政権〜」……。
それを読んだ編集長に、「悠さん、最近のコラムは堅い話が多いですね。たまには、昨夜プラスワンで見た『熟女クイーンコンテスト』の記事みたいな柔らかいテーマで書いてくださいよ」と言われ、原稿を突き返された。確かにそれもそうだなと思い、タイトルと原稿の書き直しをしている。なんてことだ。
『第20回熟女クイーンコンテスト』のステージ。見目麗しい熟女が勢揃いだ
熟女クイーンコンテスト
「眠らない街」「暗闇と風俗」「東洋最大の歓楽街」の名を欲しいままにしてきた世界の新宿歌舞伎町もだんだんとその影が薄くなり、女性も家族も来られる健全な街に変貌しようとしている昨今、1年ぶりに高須基仁プロデュースの『熟女クイーンコンテスト』を観戦にロフトプラスワンまで足を運んだ。
マネーの虎、ミスター脱がせ屋、自ら悪徳プロデューサーを名乗る高須基仁は良くも悪くもプラスワンの顔で、エロなイベントを続ける一方、突如『終戦を忘れない』といった反戦イベントも敢行する。高須が20年近くもやり続けている『エロは地球を救う』『変態性欲ナイト』『熟女クイーンコンテスト』はプラスワンがまだ知名度も低かった頃から続くエロ・イベントだ。
あれから十数年が経ち、歌舞伎町=監視カメラ=警察支配といういつ営業停止になるかもしれない時代を経た結果、プラスワンからきわどいエロ・イベントはほとんど消えた。我々の認識は、「ヤクザはクリアーできても今は警察がうるさくて、もうとてもじゃないがあんな派手なエロ・イベントはできない。プラスワンはもう社会的に認知されている存在だから、お客さんに通報されたら一発で終わりだ」で一致している。
あの時代、プラスワンの過激なエロ・イベントを覗けた人はラッキーだ。随分昔だけど『全日本フェラチオ選手権』は営業停止寸前まで行ったが、どこかで私も「エロで警察から潰れされるのも仕方がないな」なんて思ったりしたが…しかし、高須基仁は負けていない。「俺のライフワークはエロと格闘技だ。俺はこれからも続けていくよ」とばかりに、この夜は素晴らしい美人熟女をたくさん連れてきてくれた。実に見事で華やかで、そしてどこか上品で、その辺のストリップ劇場よりもエロっぽいし、身近な存在にも感じられた。お客さんもマスコミもたくさん来た。久しぶりにステージで熟女のランジェリー姿を見て、わたしゃなぜか股間が熱くなってしまう失態をやらかしてしまった(笑)。
高須実行委員長自ら電マで熟女のアソコを…
社会的に発言を封じられた高須基仁
高須基仁のプラスワンへの造詣は深い。かつて一連のヘアヌード写真集を発行するにあたり、高須は大きなバッシングを受けた。そして社会やマスコミから無視され、発言の機会が何もなくなった。「プラスワンはこの俺にステージを用意してくれた。その恩義は忘れない」と高須は言う。
しかし、お騒がせ屋として恐れを知らぬ破天荒さは、何度もプラスワンを混乱させた。高須の一番の仕掛けは2001年5月の「フジテレビ VS ロフト」だ。野村沙知代やニューロティカを巻き込んでの闘いになった。わたしゃ、奴の煽りでフジテレビ包囲デモをしたり、株主総会に乱入したこともあった(笑)。
そして高須は、黒いアタッシュケースに現金を詰め込み、女優の前で穴を掘って頭を突っ込んで土下座して口説き落とし、大ヒット写真集を連発。男40にして自らエロの現場に転身し、女の裸、股蔵で飯を食い、彼が脱がせた女は芸能スキャンダルとして度々メディアに報道された。島田陽子、天地真理、西川峰子、藤田朋子、大西結花、高部知子……彼女たちの目の前で現金を積み、甘い言葉で口説いて脱がせ、女優たちを泣かせ、あらゆるトラブルを巻き起こす。
ところで、田代まさしが前々回出所した際に行なった出所会見イベントをご存知だろうか。2008年7月16日に阿佐ヶ谷ロフトAにて二度目の「謝罪記者会見」が行なわれ、多くのファンや報道陣が押し寄せたのだ。この記者会見上で高須は突如、田代まさしに怒鳴りつけ、「お前、呂律は回ってないし、まだラリってるんじゃねぇか? クスリやめていないだろ〜!?」と攻撃した。ちなみにこの場面はYouTubeにアップされ、何十万もヒットした。
映画監督の石井輝男は高須のことを「女郎屋の主人、女衒(ぜげん)」と呼び、写真家のアラーキーは「こんな悪い顔をした奴は他にいない」と言い、テリー伊藤は「あいつは日本の芸能界のアル・カポネだ。一番悪い奴」と切り捨てる。この言いたい放題の非難について高須は、「私はこんなふうに罵詈雑言を浴びせられるのを気持ちいいと感じてしまう男なのだ」と居直っている。私たちはこれからもこの男と付き合っていくに違いない。
エロ朗読に司会者も参戦
飲んではいけない飲みものの恐怖〜カロリーゼロに騙されるな〜
わたしゃいつも銭湯の風呂上がりには清涼飲料を飲む。コレステロールとか体重が気になるから、とにかくカロリーの低いものを選び飲んでいた。そんなある日、本屋でふと目にした『飲んではいけない飲みもの 飲んでもいい飲みもの』(渡辺雄二・著、大和書房・刊)は衝撃的だった。
カロリーや糖分を抑えたものは合成甘味料のアセスルファムK(砂糖の200倍)、天然甘味料ステビア(砂糖の600倍)が添加されているのだという。これらは自然界には存在しないものらしい。これを毎日水のように飲んでいるのは相当やばそうだ。
また、甘味料をたくさん使っているダイエットコーラを飲むよりも普通のコーラのほうがまだいいという。糖分やカロリー(エネルギー)の少ない製品を選んだとしても、食品添加物(香料、甘味料、着色料、保存料、酸味料)はほとんどの製品に入っている。糖質ゼロを謳うレッドブルもアサヒのスタイルフリー・ビールも午後の紅茶も、メタボ対策飲料もやばいらしい。しかもこの本の「飲んでいい飲みもの」は数少ない。お〜いお茶、緑茶、爽健美茶、ウーロン茶といったお茶系と、ボス無糖ブラック、明治おいしい牛乳、ドトールカフェオレ、野菜これ一本、カゴメのトマトジュース……いやはや、飲める飲料水を探すほうが難しい。ここにTPPでアメリカの遺伝子組み換え食品が入ってきたらどうなるのだろう。安全な食べ物は、もう自分で作るしかないのか。わたしゃもう先が見えているからいいけど、東京での放射能被爆食料も含めて、小さなお子さんのいる家庭は気をつけたほうがいいのかもしれない。
『飲んではいけない飲みもの〜』。あらゆるジャンルの飲みものを徹底調査した労作だ
なんか明るくない話を書いてしまった。秋は深まり、緑の大地が茶色に色づいてきた。読書の秋だ。紅葉の季節だ。この時期も好きだな。落ち葉を踏み締め、思索に耽る。風の中、たわわな柿の実。ふ〜っ。
「考えることに、手遅れはない。」(池田晶子・哲学者)