怒濤の辺境ツアーも一段落し、帰京したら妙に過ごし易い気候が暫く続いたわね。何が起きてもおかしくない昨今、夏も愛想を尽かして逝ってしまった...独り感傷と妄想に浸りながら最近はアイラが熱いわ。どうも、マリアンヌ東雲です。ワタクシの酒場へようこそ。何度も言うけど基本的にセルフサービスです、悪しからず。
では本日の肴(おてまみ)をご紹介。
支配人様、はじめまして。私は23歳独身、神田でOLをやってます。
私は高校時代に野球部のマネージャーをやっていて、部員のユニフォームを洗濯する仕事をしていたのが原因で匂いフェチになってしまいました。最初は汗の異様な匂いが苦手だったのですが、嗅覚が麻痺してしまったのか、匂わない汚れ物なんか汚れ物じゃない! と思うようになってしまったのです。
歴代の彼氏の下着を洗濯する前には必ず匂いを嗅いでしまうし、朝の満員電車で汗くさいおじさんたちにもみくちゃにされるのも嫌いになれません。
人の身体の匂いには大きく分けると酸っぱい系とカビ系の2種類があって、私は昔から鼻をつく強い酸味の匂いがたまらなく好きだったんです。高校時代から付き合ってる今の同い年の彼氏がまさにそうで、会社の野球チームで週末に必ず練習試合をしてくるので、日曜の夜に彼のユニフォームの匂いを嗅ぐのが至福の時でした。
そんな私に宗旨替えのピンチが訪れまして、会社のダンディーな上司(伊集院静みたいな感じです)からこの間食事に誘われて、お酒の勢いでついラブホへGO!してしまったんです。上司は加齢臭が絶妙にブレンドされたカビ系の体臭で、私がこれまでに嗅いだことのない、何とも味わい深い匂いでした。
その上司の匂い(と、紳士的な態度もあるのでしょうか?)が病み付きになってしまい、今の彼氏に申し訳ないと思いつつも身体の関係を続けています。そしては今は酸っぱい系の匂いに後ろ髪を引かれつつもだんだん苦手になってきている自分に気づいています。
マリアンヌ様、すべての価値基準を身体の匂いに置く私はヘンタイなのでしょうか? そしてこの先、どうすれば良いでしょうか。
P.S. キノコホテルの実演会の、あの何とも言えない匂いもたまらなく好きです。
貴女、なかなか文章が達者ね。
今の時期は満員電車なんかに乗ると凄まじいらしいじゃないの。そう云う意味ではOLやっていて良かったわネ。朝一番で、沢山の人間が不快さに顔をしかめる空間で英気を養えるだなんて勝ち組よ。さぞやお仕事も捗ることでしょう。自身のその嗜好には大いに感謝するべきだと思うわ。
匂いというのはなかなか侮れないもので、多少きつくても悪からず思って居る相手のそれなら満更悪くないもの。相手の匂いに蠱惑的なものを感じる=その相手とはセックスの上で適している(遺伝子的な相性)なんて云う俗説もあるくらいですもの。オヤジ達の加齢臭を浴びて腰が砕けるほどのレヴェルなのであれば、それは即ち貴女のストライク・ゾーンの広さ及び雌としての生命力、逞しさを物語っている訳。消臭殺菌に躍起になる現代日本人、しかも若者の中に貴女のようなプリミティヴな人間が居るのは非常に喜ばしい事ですがまあ、お友達には言えないって感じかしらね。
しかし現彼氏の酸っぱい匂いが苦手になって来たのは気になります。残念だけど潮時かも知れないわ。ダンディ上司とはどうせ不倫だろうけど。五感の中でも嗅覚と云うのは殊更正直なものよ。
ちなみにワタクシが好きなのはカビ系でも酸っぱい系でも無く燻し(いぶし)系かしら。ちょっとカドが取れた感じの草臥れた匂いね。最近、お気に入りの男の首筋に齧り付いたらヨモギの匂いがして中年ならではの雅を感じたものよ。ちなみに故・塩沢とき先生は生前仰っていたわ。臭ければ臭いほど燃える。臭い男しか愛せないって。貴女も道をお極めになってみたら。
本日はこれにてお開き。
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