乙女の大敵、乾燥。お肌、指先、唇、アンナ処もコンナ処もカサカサしがちよね。とは云え、心だけは渇いてはなりませぬ。いや、アンナ処もコンナ処も断じて渇いてはなりませぬ…。
はじめまして。ワタクシの名前はマリアンヌ東雲。人々からは支配人と呼ばれて居るけど。
夜な夜な新宿の某ライブハウスで飲んだくれて居たら、関係者の方より、そんなに暇ならば書きものでも如何ですか? とお声掛け頂いたのよ。連載と聞いてまず思い付いたのは、四十八手の講釈。あまりにもベタ過ぎるけれど…だってこれなら四年間続けられるじゃない? しかし、イメージが云々、と側近から却下されたわ。何なのよ、ワタクシのイメージって。アンタ言ってみなさいよ。って話よ。だから、暇つぶしに飲酒でもしながら、世の中の可哀想な人達の話に耳でも傾けてあげようかって事になった訳。支配人、初めての慈善事業よ。そんなワタクシの悩みは専ら二枚爪なんですけど。
あらあら、早速葉書が来ている。読んでみましょ。東京都のエマニュエル小湊さんから。やあね、うちの従業員じゃない。
「支配人、お早うございます。すっかり寒いこの季節、人肌が恋しく、毎晩一人では眠れない私。こんな私を温めてくれる素敵な男性との出逢いを求めて居ます。もうすぐクリスマス、と思うと焦ってしまいます。私はバンドでベースを弾いているのですが近頃全く集中出来ません。素敵な出逢いは、一体どこに転がっているのでしょうか?」
バッカじゃないの? この程度の悩みで仕事も手に付かないだなんてまさに愚の骨頂、ずばり時間の浪費ね。初めに申し上げておくけれど、バンドなんかやっている女は基本的にモテません。バンドマンはモテるのに、一体何故? それは、ワタクシが目下解明中のテーマ。かの有名な『キンゼイ・レポート』にも答えは見つからないわ。
ワタクシが思うに、見た目が可愛らしく、おっとりした女の子に多い傾向として、とにかくオツムが鈍く、注意力が全くないの。周りがなんとかしてくれる、って云う発想なのね、何事も。こう云う娘達はセックスに於いてもだいたいマグロです。日常、様々なものを見落として生きて居る。可愛いからそれでも世間は赦してくれるのです。
落ち着いて身の回りを見てご覧なさい。相手にするのも馬鹿馬鹿しい、価値の無い男達。今更新鮮さも感じない見知った人間関係。その中に磨けば光る原石を見つけるのです。今や、女が男を育てる時代。それが出来てこそ真の女であると言えましょう。顔が気に入らなければ整形させれば良い。ほら、流行って居るではないの、最近。とにかく待って居るだけでは一生何も起きなくてよ。まあそれより貴女がまずすべきことは楽器のメンテナンスをマメに行うことだと思いますが。気の流れに変化が起きる事でしょう。
じゃあ本日はこれにてお開き。ご機嫌よう。