私のロック再入門の苦行も、連載開始の頃に比べると、かなり達成されつつある様子だ。今号にはケラ&ザ・シンセサイザーズのインタビューも掲載され、ベスト・アルバムもリリースされ、若いバンドともそれなりに面識が広がり、演劇のお客さんにも「どうやらあいつはまだ懲りずに音楽活動も継続しているようだ」という認識が、少しずつではあるが浸透してきたように思える。入門としては充分なのではないか。入門さえできたなら、あとはステップ・アップしていける。っていっても、もはや、80年代のように、オリコン入りだの武道館公演だのなんて、なんのステイタスにもなるまいから、ひたすら、好きな音楽を続け、少しずつオーディエンスの数が増えていけばいいな、と、それぐらいのことだ。
そもそも「再入門」の必要性を感じたのは、演劇に現を抜かしていた自分が、今の日本のロック・シーンのことがよくわからなくなっちゃってるように思えたからなのだが、こうして、それなりにわかってしまってみると、別にわかる必要もなかったんじゃないかとも思うのだった。まぁ、わかったことを後悔はしていないけれど。
なんというか、ルールなんてないんだということを、改めて思い出しただけだった。たしかナゴムレコードをやり始めた頃にもそう感じたことを、すっかり忘れていたのだ。
流行なんてあっという間に移り変わる。その時にやりたいことをやる以外、なにがあるというのか。
ってインタビューの補足みたいになってしまった。ベスト・アルバム買っておくれ。ロフト2DAYS来ておくれ。INU-KERAもね。