興味のない人にとっては知ったこっちゃない情報ではあろうが、ケラ&ザ・シンセサイザーズが結成16年目にして、初のベスト・アルバムを、10月19日にリリースするのである。
ベスト・アルバムの在り方というのは多種多様だ。
中には、レコード会社が、本人達の意思とは無関係に、勝手に編んで勝手に発売するケースも少なくないようだ。かつて、RCサクセションのベスト盤が出た時に、故・忌野清志郎は「勝手に出しやがった」として「絶対買わないように!」とステージ上から観客を煽っていた姿を思い出す。もっとも「勝手に」とは言っても(道義的問題はさて置いて)契約上は、「勝手に」リリースしたところで問題なきよう計らわれていたハズだ。いくらなんでも、大手のレコード・メーカーが、万が一裁判沙汰にでもなった時にボロ負けするような暴挙に出るわけがない。
件のRCのベスト盤の売れ行きがどうだったのかは知らないが、ただ、清志郎の発言を聞き、多くのファンがこう思ったのではないか。
「当事者の意に反するベスト盤なんて、それは果たして、ベスト盤と言えるのか?」
そうした意味において、シンセサイザーズのベスト盤は、まごうことなきベスト盤である。
一応すべてのアルバムから選曲して、ヒストリー・アルバムとしても聴けるようにと選曲に当たったが、聴き返してみると、ファースト・アルバムは、様々な意味で今改めて聴くには忍びないクオリティだったので、そこからチョイスした3曲は、すべて新しく録音し直した。
さらに未CD化の曲を2曲(そのうちひとつは、初期のライブでレパートリーだった、ルースターズの「ケース・オブ・インサニティ」)と、ボーナス・トラックとして、FLOPPYの戸田がリミックスした「オンガク」の、全6曲がこのアルバムでしか聴くことのできないテイクとなっている。
騙されたと思って聴いてみてほしい。聴いたあとにやはり「騙された」と感じた方の為に先に謝っておく。
「ごみん。でもあれだね、わかってないねまるで」。