さて、どう書き始めれば良いものか…。
つい2週間前までは、たかが800字やそこらの雑文を書くにあたり、こんなに悩むことなんかなかった。言うまでもない、この度東日本を襲った震災がすべてを一変してしまった。
「ひとつになろう、日本」みたいなことを私がここであらためて書いたところで、「そんなこたぁわかってら」と言われるに違いない。この文章を携帯メールで打っている今も、福島原発はいつどうなるかわからず、被災地はいつ復興できるかもわからず、官僚どもも何を言い出すかわからず、つまり何もわからない。
不満を書き連ねれば本誌一冊を埋め尽くすことだってできるぐらい理不尽なことだらけだが、今、私が先鞭をつけてどうなろう。かと言って「ロックがあれば大丈夫!」と一蹴できるほど、私はロックンローラーではない。なにしろ再入門中だ。
携帯のキーを押すのももどかしい。
結局のところ、フツーに、なるべくフツーに、いつも通り日常を送るべく努力するしかないのだ。昨日だったか、関西の人から「日本がこんなに大変な時に、関西は停電もなく物資も不足せず、びっくりするぐらい震災前と変わらないのが、申し訳なくて胸が痛い」という内容のツイートを頂いた。なに、気にする必要はないさ。ひとりひとりはきっと様々に思いを馳せている。告白すると、私だって、あの、関西を襲った大きな地震の時、ヘラヘラしながら「すげぇなあ」なんつってテレビのニュースを眺めていたのだ。
辛辣に聞こえるかもしれないが、国難だろうが星難だろうが、余力のある人とない人、ダメージを直撃してしまう人と距離をとれる人の差は、どうしたって出る。
今、私は芝居を書き、曲を作ろう。公演の幕をあけ、レコーディングをしよう。
もし、私がいつか、なんらかの不幸な事故で一瞬にして命を落とすことがあっても、すべての表現者が、ブレーキをかけることは望まない。