クレージーキャッツは幼い頃から私のアイドルだった
先日、いとうせいこう氏がプロデュースする『クレージーキャッツ・リスペクト・ライブ』なるイベントに、飛び入りで参加させてもらった。トリで出演した鈴木慶一氏のステージである。慶一氏のツイッターのダイレクト・メッセージに「何でもいいから手伝わせてほしい」と直訴したら、快諾してくれた。共演はスチャダラ・パー、SAKEROCK、高木 完+武内 亨+近田春夫、ポカスカジャン、といった面々。皆、古くからの友達だ。
『したまちコメディ映画祭』のクロージングとして開催されたイベントである。当初の予定では、谷啓さんがライブ終了後に登壇し、表彰を受けるはずだった。
谷さんとお会いするのは約20年振り。クレージーキャッツは幼い頃から私のアイドルだったから、恐ろしく緊張もしていたし、嬉しくもあった。それが、9日前にいきなりあの事故である。再会の夢は叶わなくなった。
石橋さんが亡くなり、ハナさんが亡くなり、安田さんが亡くなり、植木さんが亡くなり、とうとう谷さんまで逝ってしまった。遺っているのは犬塚さんと桜井さんだけだ。
ルーフトップなんかにこんなことを書いたところで、一体どれだけの人がピンと来てくれるのか判らない。世代的にはややズレるが、私にとってのクレージーキャッツは、オールド・ロック・ファンに於ける、ローリング・ストーンズのようなものだろうか。いや、グループとして現役であるストーンズに例えるより、ビートルズの方がイメージだ。60年代に一世を風靡し、メンバー揃っての活動はとっくの昔に終止符が打たれたにも拘わらず、ファン達は彼らの音楽を繰り返し聴き続けている。考えてみればビートルズも、今や2人しか残っていない。
私には、ジョンとジョージの死より、植木さんと谷さんの死の方が大事件だったが、もちろん、グループの優劣を言っているわけではない。
誰にとってのヒーローもこのようにして、例外なく、消えてゆくのだ。
1960年代に一世を風靡したコミック・バンド、クレージーキャッツ。卓越した音楽とギャグのハイブリッド感覚は今なお色褪せることなく世代を超えて愛され続けている。
8月に行なわれた『INU-KERA vol.14』での一幕。ゲストはKERA曰く「俺も犬山もずーっと昔からの戦友」という加藤賢崇氏。