残された時間に音楽を楽しむことが大切で幸福なことなんだ
80年代に派手な活動をした後、90年代を目前にして、あるいは90年代の初頭に活動を終えたかに見えたミュージシャンやバンドが、3年ぐらい前から次々と再始動し始めているのはどうした現象なのだろう。
15年から20年近くの間ナリを潜めていながら、あるいは別のカタチで活動していながら、どうしてここに来て、突然申し合わせたように、また「あの続きをやろう」と腰を上げるのか?
彼らの多くは、当時20代であり、現在は40代である。空白の30代に一体何があったのか。おそらくは様々な試行錯誤があった。バンドの場合は解散した理由が尾を引いたまま30代を過ごした者も多かろう。そして、それぞれの事情を一通り消化しながら人生を歩み、改めてふと、またやってみるのも悪くないのではないかと考える。気がつけば40代になっていた…。
そんなサイクルを経て今を生きる同世代のミュージシャンがたくさんいるのではないか。そして、かつて自分達を活動休止やグループ解散に至らしめた、人間関係や金銭問題なんぞ、大したことではなかったように思えてくる。40代とはそんな時期だ。人間関係や金のことは、もはや割り切ることができる。そんな取るに足らないことより、残された時間、音楽を楽しむこと、ひたすらやりたい音楽をやれることのほうがずっと大切で幸福なことだ。そう考えるようになる。
以上はもちろん、ひとつのサンプルだ。サンプルであると同時に理想でもある。こんな風にして今また音楽を始めた人たちには、もう恐いものなぞ何もないだろうから。
今月はなにげに創刊34周年号ゆえ、貴重なアーカイヴを紹介。写真は1988年12月号の本誌。“ナゴム大特集”と題し、ケラが司会を務めた“ROOFTOP LIVE PARTY act.3”のライヴ告知を記事展開している。12月4日に新宿ロフトで行なわれたこのライヴ、I部には痛郎、ミンカ・パノピカ、オバンドが、II部にはミシン、たま、死ね死ね団がそれぞれ出演した。