商品である前に作品である。この信条は死ぬまで変わるまい。
今更ながら、HMV渋谷の閉店は、あーもう駄目なんかなあ音楽産業、と思わせるに足る事件だったのではないか。
以下は本日ロフトプラスワンで開催した犬山イヌコとのトーク・ライブで賢明なお客さんのひとりが言ったことだが、一方でAKB48が50万枚のCDを売り上げたところで、握手券やインストア・ライブ観たさに払ったお金のオマケにCDがついてくるようなものなのだとしたら、「作品」としての「音楽ソフト」の未来には、何ら明るい展望は持てない。
参ったな。こんなにつまらないことになるとは。シンセサイザーズは来月、本腰を入れたレコーディングに入り、年末には新作をリリース予定である。店がなくなろうが、売れなかろうが、出すもんは出すのだけれど、販売を取り巻く状況がこれじゃあハズミもつかないじゃないか。
なんて言っていても始まらないのだな。状況の好転を待っているようなトシでもない。100人でも200人でも、いや、10人でも20人でも、聴いてくれようとする人がいるうちは、絶望せずにやり続けよう。
かつて、ナゴム時代にも、売れない作品は悲しいぐらいに売れなかったし、UKエジソンという、旧ロフトの近所にあったクソレコード屋からは「まったく売れないナゴムレコード」という嫌味をわざわざ書き込んだ段ボールに入った、大量の返品レコードが、着払いで送られてきたものだ。
商品である前に作品である。ずっとそう思ってきた。この信条は死ぬまで変わるまい。
本文中でケラが言及している、ロフトプラスワンで行なわれたトーク・ライブ『INU-KERA VOL.13』(6月27日)。ゲストはNYLON100℃ 35th SESSION『2番目、或いは3番目』に出演したマギー。