ホッピーは大好きと言うより、もはや“基本”ですね(笑)。呑み屋でよく呑むのはビールなんですけど、その店にホッピーがあればまず頼みます。僕が幼稚園の頃から通っていた公文式の教室の隣りに焼鳥屋があって、そこにホッピーの張り紙があったんですよ。それが思春期の頃からずっと気になっていて、いつか大人になったら呑んでみようと思っていたんですよね。でも、僕が成人になった90年代の中頃はホッピーが低迷期で呑む機会がなくて、しばらく経ってから和民とか居酒屋のチェーン店でもホッピーを出すようになったんです。それで初めて呑んでみたら凄く美味しくて、低カロリー・低糖質・プリン体ゼロっていうのも凄くイイなと思ったんですよ。それが最初の出会いですね。
ホッピーがイイのは、単体でも充分美味しい上にアテ(肴)の邪魔をしないところ。あと、何しろリーズナブルで費用対効果が凄く高いんですよ。これは凄く個人的な意見ですけど、ホッピーに一番合うアテはハムカツとセロリの浅漬けじゃないかなと。その店のメニューにあれば必ず注文しますね。もちろん煮込みとかも相性がイイですけど、僕はその2品かな。
ホッピーを出す店の方に僕が言いたいのは、まず何よりもキンミヤ焼酎を置いて下さい、と。2ヶ月前から始まったこの連載を読んで、ライブハウスでホッピーが呑める状況を日本独自の文化として定着させるイイ展開だと感じたし、ホッピービバレッジさんもいよいよ勝負に出たなと思ったんですよ(笑)。その矢先に今回ご指名を頂いて、僕なりに美味しいホッピーが呑める状況を作りたいなと思って。それにはまず、ナカはキンミヤ焼酎であるのが必須条件なんですよね。それで今日は家からキンミヤ焼酎を持参して臨んだんです。昔はなかなか買えなかったんですけど、最近はドン・キホーテとかでも置いてますから、是非ご購入して頂きたいです。ホッピーとの相性は焼酎の中で間違いなく一番イイので。
今回僕が掛け合わせてみたのは、まずバカルディのホワイト・ラム。マイヤーズのラムも使ってみましたけど、同じラムでもダーク・ラムは合いませんでしたね。ホワイト・ラムはいつもジンジャー・エールを足したラム・バックとして呑むことが多いんですけど、それと色味も似てるし(笑)、ホッピーとは合う気がしたんですよね。その結果、甘くないジンジャー・エールを呑んでいる感じもしたし、とても自然な呑み口になりました。『真夜中のダンスホール』と命名したのは、クラブでDJや踊りに来たお客さんが喉を潤すような呑みやすいカクテルじゃないかと思ったので。
もう一品は、ズブロッカを使った『トラウマティック・ガール』。ズブロッカに入っているバイソングラスというハーブの効果で桜餅みたいな匂いがして、女性が好む味だと思います。そのクセになる感じがトラウマになるんじゃないかなと(笑)。他にも泡盛の残波や柚子小町というリキュール、電気ブランとかで試してみましたけど、どれも意外とイケましたね。ホッピーをライブハウスに根づかせるべく自分なりに貢献したいし、とにかく即戦力のあるカクテルを作りたかったんですよ。ドラフトを全員大学生と社会人で固めてみた、みたいな(笑)。
今日はホッピーの3代目社長である石渡美奈さんの『社長が変われば会社は変わる!』やホッピー酒場の特集が載っている『古典酒場』を持参して、僕が如何にホッピーを愛しているかを理解してもらえたかと思いますが(笑)、やっぱり凝り性なんでしょうね。せっかく酒を呑むのなら少しでも美味しく呑みたいので、情報収集には貪欲なんですよ。
ホッピーは、いろんなナカと組み合わせることで足し算にもなり掛け算にもなるマッシュアップ感が好きなんです。単体で我を押し通すのではなく、焼酎や泡盛とかを混ぜ合わせて初めて成立する佇まいが日本人の気質に合っている気もしますし。自分のことだけしか考えられない20代を過ぎ、楽しいことはみんなで共有したほうがイイと思える今の僕みたいな30代にはピッタリですね(笑)。考えてみれば、互いの力を合わせてひとつの事を成し遂げるのはバンドも野球も一緒だし、ホッピーはそういう深みのある呑みものだということを若い人たちにも知って欲しいですよね。
MOBYさんが考案した『真夜中のダンスホール』と『トラウマティック・ガール』はロフト・グループ5店舗で11月上旬より販売。自他共に認める食通が生み出した逸品を是非お試しあれ!
オカモト“MOBY”タクヤ:1976年7月6日生まれ、千葉県市川市出身。“ファンキー・マエストロ”の異名を持つScoobie Doのドラマー兼マネージャー。全国の美味い飲食店情報にかけてはバンド界屈指の知識量を誇る。千葉ロッテマリーンズとシカゴ・カブスのファンとしても有名。