杏野はるなの印象は会う前から変わらなかったが、会って話をしてみてもやはり変わらなかった。
それは自分自身を見事に記号化しているということ。
今時珍しいくらい自分を持って生きている。
彼女はレトロゲームのかなりガチなコレクターとして一般的に知られゲーム関連の連載もたくさんしてきているが、実は日本屈指の室外機マニアでもある。
特に三菱電機の霧ケ峰が好きで室外機だけを部屋に多数所有しているほどだ。
と、いうのは嘘だ。
だが、しかし彼女には室外機と似た何かを感じて仕方がない。
室外機は時代と共に進化はしているが、基本その外観はあまり大きな変化がない。四角い箱にファンが収まっている。
とてもシンプルな形でレトロな形状を今もなお持続している。時間に反してスタイルが変わらないというのは、車のタイヤや、傘なんかもそうだ。
何年経っても変わらない。
実際クオリティは時間と共に上がっているがパッと見でそれを感じさせない魅力。タイヤだって、今と昔じゃその性能は雲泥の差だし、傘だって見た目は同じだが構造上の進化は凄まじい。
最終的に辿り着いた形ならば、いつの時代だろうが変わる必要性がない。そんな魅力。
杏野はるなから感じるものは、それに似ている。
例えば外見もそうだ。
彼女は長年その見た目を変えていない。どんなに前の写真を見ても同じ型なのだ。中身だけバージョンアップしつつ、外見は変えない。いつ見ても杏野はるなは杏野はるなだ。
そういう部分にもシンパシーを感じてしまう。
これまで一切ギャル化もしないし、ゴスロリにもいかず、アダルトにもならなかった。
[杏野はるな]という記号のまま生きている。言い換えれば自身のブランド化だ。
これって出来るようで出来ない事だ。
多くのタレントが「自分らしさ」を売りにしていても年単位で観察していると初期設定を忘れ大概おかしな方向へ逸れるものだ。持続は難しいのだ。
さて、
1988年は杏野はるなの産まれた年だ。
その年に発売されたファミコンウォーズを14歳の僕は毎日のようにやり続けていた。
本当に全然関係ない話をするが海兵隊が歌う「ファミコンウォーズが出るぞ」のコマーシャルは実に秀逸だった。ゲーム内容の詳細も出さずに見事に商品を売っている。広告戦略のお手本みたいなCMだと思う。
そんな1988年は、オゾン層保護法公布を受けて、エアコンの冷媒ガスとしても使われてきたフロンガスの規制が開始された年でもある。
これによって転換を進めてきたオゾン層を破壊しない代替フロンも温室効果があるため2020年には全廃の予定だ。
室外機はこのように中身のバージョンをどんどん変えていっている。
でもきっと10年後の室外機も見た目は今と変わらないはずだ。杏野はるな同様に。
杏野はるな profile
世界最強のレトロゲームアイドルである。
ゲーム好きを名乗るアイドルは数多くいるが、知識、ゲームへの愛情ではライバルすら存在しない程の実力を持つ。
海外での知名度が非常に高く、ヨーロッパのゲーム雑誌にも連載を持つ。
EGG CORE OFFICIAL SITE
http://www.eggcore.jp/
エンドケイプ profile
職業:モノカキ
日本を代表する室外機フェチで37歳独身。
電子書籍・イラストから作詞まで浅くユルく網羅し、特技は雨に濡れない体質である事。
作詞した初音ミク公式楽曲「LOL -lots of laugh-」が大ヒット中。
Twitter
https://twitter.com/endcape
blog「エンドケイプほぼオンライン」
http://ameblo.jp/endcape01/
「室外機マニア」
http://www.sonzai.net/