渋谷の室外機は、ほとんどこんなである。
ペイントひとつないキレイな室外機を見つける方が難しいくらいだ。
このようにスプレーやシールでチーム名や、作者名を残すことを「タギングする」という。
ま、そんなタギングする奴らにとって室外機はいいターゲットだ。
室外機のオーナーにとってはただの落書きでも、タギングするほうにとってはストリートアートと名を変える訳だ。
これがアートなのか、汚物なのかは人それぞれだろう。
でも、何を言おうと無許可は無許可な訳で、
室外機にとっては果てしなく迷惑な話である。
HITACHIのロゴすら隠れてしまっている。
だが、しかし、
アートという名のもとで表現の自由を乞うならば、それを全否定できない自分がいる。
あれは忘れもしない小学校の図工の時間だ。
その日のテーマは「空想の植物を描きなさい」だった。
だから僕はグネグネと四方八方に曲がりくねった植物を描いた。
それが僕にとっての想像であり、また創造でもあった。
ところが、だ。
おばちゃんの先生はその絵を観て一言。
‐ふざけてるんじゃないわよ‐
そう言った。
ショックだった。
その日から僕のココロには屈折という闇が出現した。泥のように深く、飴のようにネバついた混沌とした闇だ。
表現にルールなんてあるものか、全ての感性は自由であるべきだ!
強くその信念を抱くようになった。
なんであの時、先生はその絵を「ふざけている」と指摘したのか今でも判らない。
と、ここまで書いてなんだが、
話が大きく脱線しているような気がしないでもない。
うん、ちょっと逸れたな。
もう、この話を冒頭のタギングに結びつける気もしなくなった。
どうしよう。
話題を変えよう。
よし、
アラレちゃんの話を今からする。
昔、ドクタースランプアラレちゃんでタコヤキマシーンが出てくる回があった。
鳥型のロボットで、口から材料入れるとウンコのようにタコヤキがお尻から出てくるのだ。
ハフハフしないと食べることができないような熱々のタコヤキだ。
そのタコヤキが本当に美味そうで、何度も読み返しては「タコヤキ食べたいなぁ」と独り言を呟いていた。
僕が今でもタコヤキが好きなのは、間違いなくアラレちゃんの影響だ。
アラレちゃんから学ぶことはたくさんあった。
少なくとも図工のおばちゃん先生よりも遥かにあった。
あ、少し話が繋がった。
エンドケイプ profile
職業:モノカキ
日本を代表する室外機フェチで37歳独身。
電子書籍・イラストから作詞まで浅くユルく網羅し、特技は雨に濡れない体質である事。
作詞した初音ミク公式楽曲「LOL -lots of laugh-」が大ヒット中。
blog「エンドケイプほぼオンライン」
http://ameblo.jp/endcape01/
「室外機マニア」
http://www.sonzai.net/