ぶっちゃけ室外機は嫌われている。
出来ることなら、置きたくないと思われている。外観を損ねるアイテム第1位である。
作家でもあり、動く待ち合わせ場所としてもお馴染みの中沢健君は「室外機の存在価値が判らない」と言い放ったが、世間の大部分が同じような感覚であるのも事実だ。
「なぜあるのか判らない」のに、やたらでかい。
これが室外機の内包する最大の悲劇であり、世間からの共通認識なのである。
だから、室外機はよく隠される。
観葉植物に覆われたり、すっぽりと専用木製カバーで姿を隠されたり…
それすら出来ないビルや店舗の室外機は、建物と同じ色に塗られるのである。
こうなるともはや室外機本来の持つパーソナリティの欠片もない。
まさに全否定。
近年世の中は「個を重視した教育」とかなんとか言ってるくせに、全然「個を重視」なんてしてくれない。
結局はいつの世の中も権力に呑み込まれるのだ。
室外機ボディの、白やアイボリーの無垢さや、その中に詰まっているであろうメカメカしさの趣(おもむき)なんて誰も感じようとしないんだ。
ビルがこの色だから、君たちもこの色!
強権発動。
ま、そんな事を言っても仕方ない。
僕の中では、塗装された室外機を「イロモノ」と呼び、ひとつのジャンルとして楽しんでいる。
「お、レンガ色の室外機ですな」
「完全塗装で、なかなか良いイロモノですねぇ」
「ちょっとこいつを眺めながら焼酎でも飲みますか」
「そんな事もあろうかと用意してたんだよ!」
「これは米焼酎『鳥飼』じゃないですか」
「粋でしょう」
「粋だねぇ」
って。
ただ、残念なことに、いまだそんな室外機マニアに出会っていない。
エンドケイプ profile
職業:モノカキ
日本を代表する室外機フェチで37歳独身。
電子書籍・イラストから作詞まで浅くユルく網羅し、特技は雨に濡れない体質である事。
作詞した初音ミク公式楽曲「LOL -lots of laugh-」が大ヒット中。 blog「エンドケイプほぼオンライン」
http://ameblo.jp/endcape01/
「室外機マニア」
http://www.sonzai.net/