昨今の風俗は派遣型ばかりで、冒険心をくすぐるような味わい深さがめっきり消えてしまった。
その昔、[夜の広告代理店]に勤めていた頃、営業で毎日のように風俗店をまわっていた。
その頃の風俗店は派遣型だけではなく、マンションや、店舗でのプレイも多くて、何が許可店で、何が違法なのかグッチャグッチャのカオス状態。ほぼ野放しだったため、山手線から見える全てのマンションに必ずひとつは風俗店が入っていると断言できるくらいその数は増殖していた。
それだけ数が増えると訳の判らない店も多く、それは即ち訳の判らない人種も多い訳で、数十万未集金のまま姿を消すとか、ヤ○ザの前で2時間土下座とか、昨日まで営業していた相手が朝の新聞に出ていたりとか、なかなかスリリングで面倒くさい毎日だった。でも、決して面倒くさい人間ばかりではなく、古くからある老舗店は人情味あふれる場合も多かったりして、良くしてくれた人もたくさんいた。
さて、それを踏まえて、今月の1枚を観てみよう。
実に古典的な外観、寂びれているけど現役、どこを切り取っても申し分なく、ある意味ステレオタイプな風俗店である。
しかも店名とは別に補足的な意味合いでついた[ワクワクランド]というネーミングセンスが高得点。
‐ワクワクランド‐
とてつもなくボヤけた感じの意味合いがたまらない。
具体性一切なし、ヘルスでもサロンでもなくワクワクランドである。
そんな唯一無二のジャンルに、ほろ酔い性欲マックスのサラリーマンは弱いのだ。
「お、何だ? こんな所にワクワクランドか!入園しちゃおうかな」ってなる。
これがヘルスだと、露骨に風俗遊びになるから言い訳がたたない。でも、ワクワクランドだと「風俗じゃない、そこにワクワクランドがあるから」という言い訳が(自分の中で)成立するのである。
間違いなく男はそういう細かい部分を気にする生き物なのだ。
そして、そんな客の火照った熱を店の外に排気するのも室外機の役目である。
微妙に傾いたFUJITSUの室外機は何年間も出入りする客達を見守ってきたのだろう。って、取って付けたように室外機を持ち出したが、べ、別にこのコラムのテーマを忘れていた訳じゃないからねっ!
エンドケイプ profile
職業:モノカキ
日本を代表する室外機フェチで36歳独身。
電子書籍・イラストから作詞まで浅くユルく網羅し、特技は雨に濡れない体質である事。
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室外機マニア
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