Rooftop ルーフトップ

COLUMN

十二回「自分の住む世界」

第八十二回「自分の住む世界」

2019.07.04

 今日も一日鬱っぽく過ごしましたが、友達(可愛い)の一言で急上昇したので友達は必要だなぁ…としみじみ感じております。
 
 一体何が私自身の心の中を鬱にするのか、原因は長年わかっていないのですが、物心ついた頃から嘆いていたので私という人間はきっとそういう「思い悩む」ということが大好きなタイプなんだと思います。
 
 小学生の頃、フランスから帰国子女として転校してきた友達がおりまして(ひょっとしたら昔、コラムで書いたかもしれませんが)、その子が思えばいわゆる私の初めて出会った「メンヘラの友達」だったかもしれません。
 
 なぜその子を「メンヘラ」認定したのかと言うと、二人で夕刻、学校の帰り道に空を見上げながら「人って何のために生まれてきたのだろう…」「私たちって何億分、いや何兆分の確率で出会えたんだよね、それってさ、奇跡だよね…(遠い目)」とか真顔で語り合う仲だったからです。
 
 その子もとても生きづらそうで、当時、まだリスカの概念が少なかったのに小学生ながらにリストカットしていたし(かく言う私も自傷行為に勤しんでおりました)、クラスメイトからは「Aちゃんは嘘つきだからあんまり仲良くしないほうが良いよ」と忠告もされたし、どうやら両親が不仲だったようで、いろんな複合的な理由からそのように捻くれて育ってしまったんだろうなと今となっては思います。お互いに「傷」を見せ合ってはこの世界を恨んでいました。
 
 小学生や中学生くらいの時って、学校や家庭が世界のすべてになってしまうから、どちらかや両方が破綻してしまうとそれだけで自分自身の世界がなくなってしまうんですよね。大人になった今、決してそんなことはないって言えるのだけど、若さの怖いところは経験や世界が浅いがゆえに「それしかない」と思い込んでしまうところだと思います。
 逆の考え方もあります。狭すぎるがゆえに勘違いのまま謎の確信を持ち続け、それがいわゆる潜在意識への働きかけになり、妄想が具現化する場合もあります。私の人生なんかそれがかなり顕著なのではないかと思ってます。根拠のない自信のみで生きてきたなぁって思うことがたくさんあります。
 
 しかし、ふとした瞬間にその「根拠のない自信」が揺らぐことがあります。なぜならもともと根拠がないからです。物事にはすべて理由があるというのが通説なので、「根拠のない」ものに対して突然価値を失ってしまう時があるのです。大した実力や技術もないくせにやってきているような気になってしまうことが多々あります。
 運が良い、という言い方もできますね。運だけで事がいろいろ進んでいるのも否めないし、「運も実力のうち」という言葉もあるし、だけどその割に特にもの凄く大きい運ではない気もしたり、自分自身の軸がブレまくる時があります。
 
 そういう時、私を元気づけてくれる存在が今周りにいる「友達」であり「応援してくださるファンの皆様」なのです。と言うか、身近にいる人たちはみんなそうだと思ってます。
 よくわかんない人の言葉にいちいち傷ついている暇はないなってこのところ痛感します。だって自分の中でその人の存在がどれだけ大きいかが重要なわけで。よく知らない人に勝手にジャッジされる職業ですが、そういう人たちとは深い濃い関係には決してならないし、嫌な評価でも関心を持たれるだけマシかなぁと思います。数秒でもその人の人生に入り込めたなら。
 話がずれました、と、まぁもっと早くにそういうことに気づいていたら良かったと思いつつ、これが私の住んでいる世界なんだなと納得するしかなかったりします。
 
 だからもし、今人間関係などで悩んでいる十代や二十代前半の子がいたら聞いてほしい。絶対的にもう少し大人の年齢になったほうが世界が広がるし、絶対に楽しい。今あなたたちの住んでいる世界は自分の住む世界のほんの自分の部屋くらいの小さなスペースで、まだ外になんて出ていないと思う。
 少なくとも私自身は、小さな自分の部屋から外に出た今のほうが楽しい。もう少し早くいろんなことを始めていたらと毎日頭をよぎるけど、すべてはタイミングなのできっと何かがもう少し早くても今のように楽しくなかったかもしれないと思うようにしています。
 いつでも「今」が最良のタイミング。世界は広すぎて、眩暈がするけど、どこまで行けるか楽しみでなりません。
 
このアーティストの関連記事

Original 3rd Album
BLIND LOVE

Produced by 角松敏生
2019年7月3日(水)発売・ハイレゾ配信
2019年6月19日(水)通常デジタル配信
ユニバーサルミュージック UPCY-7592

amazonで購入

収録曲】
01. 不眠
02. バイブル
03. 新宿三丁目
04. 春の去勢不安
05. リフレイン
06. これは涙じゃない
07. THE TOKYO TASTE

Remake of Debut Album
Film noir ultime

2019年7月3日(水)発売・デジタル配信
CD:FABTONE FBAC-089 / 価格:2,500円+税
LP:FABTONE FBAL-001 / 価格:3,500円+税

amazonで購入

【収録曲】
01. 樹海の国のアリス
02. 暗くなるまで待って
03. 印象派
04. ブルークリスマス
05. フィルムノワール
06. 思春の森
07. FORGIVE ME(新曲)
08. Maybe Not Love(新曲)
09. 東京、午前4時(新曲)

LIVE INFOライブ情報

『BLIND LOVE』&『Film noir ultime』発売記念LIVE
BLACK OR WHITE
2019年7月4日(木)Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE[浜崎容子ソロ]
 
渋谷巴里祭2019
2019年7月10日(水)7th FLOOR[浜崎容子ソロ]
 
アーバンギャルド PRRESENTS 鬱フェス2019
2019年9月8日(日)TSUTAYA O-EAST
出演:アーバンギャルド / 大槻ケンヂ / R指定 / 頭脳警察 / SPANK HAPPY / Maison book girl / 眉村ちあき / じゅじゅ / 新しい学校のリーダーズ ほか
 
*その他のライブはオフィシャルサイトをご参照ください。
 

COLUMN LIST連載コラム一覧

  • 特派員日誌
  • PANTA(頭脳警察)乱破者控『青春無頼帖』
  • おじさんの眼
  • ロフトレーベルインフォメーション
  • イノマー<オナニーマシーン>の『自慰伝(序章)』
  • ISHIYA 異次元の常識
  • 鈴木邦男(文筆家・元一水会顧問)の右顧左眄
  • レズ風俗キャストゆうの 「寝る前に、すこし話そうよ」
  • 月刊牧村
  • 「LOFTと私」五辺宏明
  • 絵恋ちゃんの ああ えらそうに コラムが書きたい
  • おくはらしおり(阿佐ヶ谷ロフトA)のホントシオリ
  • 石丸元章「半径168センチの大問題」
  • THE BACK HORN 岡峰光舟の歴史のふし穴
  • 煩悩放出 〜せきしろの考えたこと〜
  •  朗読詩人 成宮アイコの「されど、望もう」
  • 今野亜美のスナック亜美
  • 山脇唯「2SEE MORE」
  • 大島薫の「マイセルフ、ユアセルフ。」
  • 能町みね子 新中野の森 アーティストプロジェクト
  • 能町みね子 中野の森BAND
  • アーバンギャルド浜崎容子のバラ色の人生
  • 戌井昭人の想い出の音楽番外地
  • さめざめの恋愛ドキュメンタリー
  • THE BACK HORN 岡峰光舟の ああ夢城
  • 吉田 豪の雑談天国(ニューエストモデル風)
  • ゲッターズ飯田のピンチをチャンスに変えるヒント
  • 最終少女ひかさ 但野正和の ローリングロンリーレビュー
  • 吉村智樹まちめぐ‼
  • いざゆかんとす関西版
  • エンドケイプの室外機マニア
  • 日高 央(ヒダカトオル)のモアベタ〜よ〜
  • ザッツ団地エンターテイメン棟
  • 劔樹人&森下くるみの「センチメンタル「非」交差点」
  • 三原重夫のビギナーズ・ドラム・レッスン
  • ポーラーサークル~未知なる漫画家オムニバス羽生生純×古泉智浩×タイム涼介×枡野浩一
  • the cabs 高橋國光「アブサロム、または、ぼくの失敗における」
  • “ふぇのたす”ちひろ's cooking studio
  • JOJO広重の『人生非常階段』〜今月のあなたの運勢〜
  • マリアンヌ東雲 悦楽酒場
  • 大谷雅恵 人生いつでも初体験
  • ジュリエットやまだのイケメンショッキング
  • ケラリーノ・サンドロヴィッチ ロック再入門
  • 岡留安則 “沖縄からの『書くミサイル』”「噂の真相」極東番外地編
  • 高須基仁 メディア論『裏目を読んで半目張る』
  • 田中 優 環境はエンタメだ!
  • 雨宮処凛 一生バンギャル宣言!
  • 大久保佳代子 ガールズトーーーク!!!!!
  • DO THE HOPPY!!!!!

RANKINGアクセスランキング

データを取得できませんでした

休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻