皆様は十年前の今頃、何をしていましたか?
と聞かれて、即座にそして鮮明に何処で何をしていたかと答えられる人は多分少ないんじゃないかと思います。
私は2008年の4月4日のことを今でも覚えています。
アーバンギャルドのインディーズ・デビューアルバム『少女は二度死ぬ』のレコ発で、主催イベントを渋谷チェルシーホテルで開催した日なのです。
大体のインディーズ・バンドは自主制作の全国流通すらしていないCDというものを、自分たちでライブハウスをブッキングし、共演者の方々にオファーをかけ、レコ発と銘打ったイベントでもってして初めて発売するという形が多いです。
アーバンギャルドもインディーズ・バンドとしての正しい道(?)を歩んでいるので、『少女は二度死ぬ』の発売はレコ発でした。
それが奇しくも十年前の4月4日。
それから十年後の4月4日がNewアルバム『少女フィクション』の発売日になるとは夢にも思いませんでした。
偶然の一致とは言え、最初に『少女フィクション』の発売日が4月4日になりそうだと聞いた時には「えっ、それって十年前の『二度死ぬ』のレコ発の日じゃない?」ということはもちろんよぎりましたが、もしかしたら記憶違いかもしれないと思い、明言は避けました(笑)。でも、当時の手帳などを見返すとやはり同じ日なのです。
引っ張り出してきた当時の日記をそのまま載せます。
「4月4日レコ発当日、午前中にテロルチョコ届く。あまり眠れず。天馬と藤井君が往復して会場へ荷物運び。谷地村リハ遅れる。もっと入念にリハがしたかった。オープンしてからすぐたくさんのお客さん。盛り上がった。18万売上げ。CD40枚も売れる。タクシーで天馬宅へ荷物運ぶ。天馬・藤井・谷地村と4人で打ち上げ朝まで。」
面白いのでその二日後の日記もそのまま載せます。
「4月6日ぐしゃ人間企画。池袋手刀。予想外に多いお客さんでビックリ。4日見てまた見たくて来たという人多数で嬉しかった。共演の相対性理論、水中、それは苦しいなどとても良いイベントだった。」
ね、面白いですよね。
当時、CDを会場に100枚分用意して「40枚も売れた! 凄い!!」ってはしゃいでいたのです。世界よ、これが日本のインディーズ・バンドだ。と言わんばかりの正しいインディーズ・バンドの歩みだと思いませんか?
そして翌々日のイベントの顔ぶれもご覧ください。何がすごいって彼らも十年経った今でもちゃんと活動しているということです。活動休止や解散を余儀なくされるバンドやグループが多い中、私たち自身もですが形を変えながらも「続ける」という選択をし続ける同期のバンドさんたちを、その活躍を妬み嫉みつつ、心から尊敬の念を抱いております。
そして応援してくれている皆様にも感謝しかなく、同じく現在のバンドメンバー・スタッフさんにもありがとうという気持ちで演奏しています。
十年という時間は長いです。「大人になると時間はあっという間」と言いますが、やはりどう振り返っても長いです。そんな長い時間の中で、ひとつも傷つかずに残るモノなんてないと思います。一度も風邪もひかず、小さなケガもせず、心を痛めてしまうこともなく生きている人もいないと思います。
今日くらいは、頑張り続けている自分自身に「それってすごいことなんだよ」って言ってあげても良いかなぁって思いました。もちろん、皆様のこの十年間にも。