先日、アーバンギャルドのツアーで大阪の心斎橋・アメ村などに訪れました。青春(灰色だったけど)時代を過ごした街に大人になってから訪れるのは何度でもテンションが上がりますね。
心斎橋筋にあった私が初めてBL本を買った本屋さんは改装中でしたが、小学生だった当時それ以来セックスは男性同士でするものだという認識を刷り込まれたことも思い出し、何とも感慨深いツアーとなりました。
セックスに対しての誤解は中学校に上がるまで続いていたのですが(性教育を学んでもさっぱり理解ができなかったあの頃)、同じ時期、巷ではテレクラというものがブームだったのかな? 流行っていたかは知りませんが、今で言うアナログ式の出会い系ですね、それを近所に住む知り合いの悪いお姉さんが教えてくれたことがありました。当時、フリーダイヤルでお金がかからないからいたずらで電話をする同級生や上級生の悪いお姉さんがいたのです。もちろん電話をするだけで実際出会ったりはしないのですが、バレエ教室に通っていた当時、バレエのお友達や上級生もそんな話をしていて、「えー、容子ちゃんテレクラかけたことないのー?」みたいな会話がなされていました。恐ろしいです。繰り返すようですが、友人たちも実際に会ったりすることは決してなく、ただ電話をするだけですからね! 友人たちの名誉のために!
まだ小学生だった私は純粋に「大人の男の人とお話するってどんな感じなんだろう?」と思いました。実際、父親や近所のおじさん、学校の先生くらいしか大人の男性と接する機会なんて小学生にはありませんから、「見知らぬ男性とたわいもない話をする(と、思っていた)」ことに私も同級生も興味津々でした。
悪いお姉さんはよく繋がるという電話番号を教えてくれました。友達と私はまず悪いお姉さんが電話をかけるのをドキドキしながら見守っていました。ちなみに、ケータイなんてまだ普及していなかったので友達の家電からかけていました、凄い時代ですね!
唐突に悪いお姉さんが電話を代わるから、と言って私たちに受話器を差し出してきました。えー! と戸惑いつつも受話器を取りました。
「もしもし?」
声の主はもちろん全く知りもしない男性でした。
こちら側は小学生のくせに18歳とか言ってみたり、今となっては話し方や声色で絶対小学生ってバレていただろうなと思いますが、精一杯想像上の女子高生を演じました。
何歳とか、どこに住んでるとか、すべてでたらめに答えるテキトーな会話が続いた頃、だんだんと小学生でも分かるようないやらしい内容になってきました。
穿いているパンティは何色? だとかそういった話でしたが、徐々にエスカレートする内容にしどろもどろになったところで悪いお姉さんが唐突に電話を代わり、「バーカ! エロおやじ! エロイことばっか考えてんじゃねーよ、このハゲ!」みたいな暴言を吐いて電話をガチャ切りしました。
悪いお姉さんはゲラゲラ笑っていましたが、私たちはなんだか怖くなって笑えませんでした。見知らぬ男性に(電話だから)耳元でいやらしいことを言われ、少なからずショックを受けましたのです。
悪いお姉さんはまたあそぼーね、と言ってその日は別れましたが、私たちはもう二度とするもんかと心の中で思っていました。
その夜、なんだか自分が穢れた気がしてたまらなくなって、お風呂で何十回も自分の体を洗ったのは言うまでもありません。