今回もフワッとした始まり。こんにちは、清亜美です。
居酒屋での思い出を淡々と綴るこのコラム。前回に続き今回も書くのは『阿佐ヶ谷』での思い出。飲兵衛に優しい街、阿佐ヶ谷。スターロード商店街を歩く。多くの居酒屋が並ぶ中、なぜか惹かれたそののれん。すり硝子の向こうに、うっすらと人の姿が見える。ここに入ろう。
カウンターとテーブル、こぢんまりとした店内。カウンターに腰掛ける。今日は軽めに飲んで食べよう、とウコンハイとキャベツを頼んだ。美味しくて、体に優しい。個人的に居酒屋でのキャベツはマスト。シャキシャキのキャベツが美味しい。
ウコンハイ片手にボーッとしていると、背後から声を掛けられる。振り返ると、ワイン片手の綺麗なおばさま。おじさまと2人で飲みに来ていた。『体に穴が開いたら、ワインが噴き出る』というほどワインが好きで飲んでいる、という。その話を微笑みながら聞いているおじさま。親密そうだ。そこで聞いてみた。「ご夫婦ですか?」。流れる一瞬の沈黙。「……ではないんだけどね。ところで、お嬢さんは何のお仕事をしているの?」。変わる話題。突然の質問。泳ぐ目。自ら「アイドル」を名乗る勇気は未だない。「メディア関係的な」。曖昧に回答する。
その後も会話は盛り上がり、話題はおばさまの昔話へ。モテモテだったという話に、笑いながらツッコミを入れるおじさま。やはり仲が良い。さりげなく聞く。「昔からの知り合いなんですか?」。再び流れる一瞬の沈黙。「……そうねぇ、昔から、ウフフ」。やはり曖昧な回答。これ以上は踏み込むまい。
居酒屋コミュニケーションは繊細で曖昧。でも、この掴みどころのなさこそ居酒屋コミュニケーションの魅力だと思う。お互いの「本当」なんて知らなくて良い。一瞬の出会い。酔いが覚めれば、きっとお互いの顔も会話も忘れてしまう。居酒屋はまさに非日常の空間。そこに「真実」も「嘘」もない。ただただ楽しかったなら、それで良い。
清 亜美(きよし あみ)プロフィール
プロデューサー兼メンバーである清 竜人とその妻で構成される一夫多妻制アイドル『清 竜人25』の第3夫人。アイドルの固定概念を覆す全く新しいエンターテインメントとして話題に。メンバーの中では主にMCを担当。お酒(特にホッピー好き)、映画(特にスタローン好き)を愛す。自身のブログ『居酒屋1000円の旅』を随時更新中、日々街に繰り出してはせんべろを続けている。