卑屈さを感じたらとりあえず人に「君はドビュッシーとか聴く?」と振っておけば自分の心は保たれるのだ。
癒し。癒しとは何だろうかと考えた時に頭に浮かんだのは、そうドビュッシーである。
まずほとんどの人間がそうでは無いだろうか。
あのピアノの音、あとなんかメロディ、それとオシャレ。
癒しとは心の平穏。普段社会や人間関係に疲れた自分の拠り所である。
そういう時に何が必要か、それは
「こういうの知ってんだぜ」
という一種の上から目線である。
自分には金がない、けど僕はドビュッシー聴いてるから。
私には恋人がいない、だけどドビュッシー聴いてるわ。
ああ、パチンコで十万すった、けどドビュッシー聴いてるし。
このドビュッシーという絶妙な、ベートーベンだと有り余るメジャー感が、
ドビュッシーの知ってる人は知ってるしと言う、ちょうど良いインディーズ感がもう卑屈な自分を助けてくれる。
正直良さが完璧に分かってるかって言われたら、映画リリィシュシュの全てで聴いた時に「良いじゃん」と思った程度である。
でも良いの。それでも聴いてるから、なんか上の人とピリッとした時に
「ああ、こいつはドビュッシー聴いてないもんな」
と思えば心が晴れやかになる。
その時に心に流れてるのはもうブルーハーツでも良い。
なんか卑屈さを感じたらとりあえず人に
「君はドビュッシーとか聴く?」
と振っておけば自分の心は保たれるのだ。
それ以外は何も知らなくてももうあとはドビュッシーが何とかしてくれるのだ。
そう、癒しとはまさに自分の中にあるドビュッシーなのである。