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トップレビュー桃井はるこ / へんじがない、ただのしつれんのようだ。

桃井はるこ / へんじがない、ただのしつれんのようだ。

2010.06.01   MUSIC | CD

AKCA-1001 3,000yen (tax in) / IN STORES NOW

桃井はるこが『Mail Me』でメジャーデビューして今年で10周年を迎えた。デビュー前から秋葉原で路上ライブ活動を行うなど、現在のアキバ系カルチャーの草分け的な存在だが、今やアキバ系の枠では収まりきらない才能を開花させている。アニソンの国内最大イベント「アニメロサマーライブ」の常連アーティストでもあり、アニソン好きの間での人気・知名度は言わずもがなだが、もっと幅広い層のリスナーに聴かれるべき存在ナンバーワンだと思う。彼女自身もヘヴィなアイドルオタクである故、アイドル歌謡の持つ雑食性を知り尽くしている桃井の楽曲は様々なジャンルを取り込んだミクスチャーミュージックだが、その完成度は非常に高い。ヘヴィメタからグランジ、時にはプログレまでが租借され、ロックにも造詣が深いことを窺わせる。古今東西の優れた音楽家はその時代を代表するアイドル(小泉今日子、木村カエラなど)をプロデュースするものだが、桃井はるこは音楽家として自分自身をプロデュースしてしまう所が他にはないすごさなのだ。本作『へんじがない、ただのしつれんのようだ。』は、昨年、自身が設立したレーベル「AKIHABALOVE RECORDS」から出したアルバムで、現段階で彼女のベストといえる傑作。恋愛の素晴らしさ、苦しさ切なさを、ハードロックからエレクトロニカ、TEX-MEXから電波ソングにまで乗せた多彩な楽曲が、1つのストーリーとしてアルバムに収められている作品だ。もっと多くの人に聴いて欲しい。(加藤梅造)

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