音を聴きながら何を書こうかと考える。締め切りは明日、書き出しの遅い自分にとっては結構ギリギリ。ゆったりとしたリズム、リバーブの効いたギター、優しい歌声…ヨシ、とりあえずコーヒーいれて一服しよう…ってのを何度か繰り返えす。急がなきゃなんだけど、この癒し感たっぷりのグルーブに逆らえなくなる。sleepy.abのキャリア初となるシングル『君と背景』は、時間に追われる事や日々の喧噪を、ほんの一時忘れさせてくれる魔力を持つ。先にも書いたように、ゆったりとしたリズムと、何より包み込むような絶妙なリバーブ感。すでに10年選手であるバンドのスキルがなければこの感じは出し得ない。優しい歌声に乗って耳にこびりつく詞。全体の包容力とは裏腹に、「単純な生活を簡単につないでく、不安をめくった先の未来をずっと君は選べない」という一遍に、少々ドキッとした三十路過ぎの自分。全編通して、特に三十路前後の人には感慨深い詞なんじゃないだろうか? かと言って重過ぎず、包容力とポップなメロディに絡んだ素晴らしい名曲に仕上がっている。カップリングの『街』も、奥行きのあるサウンドと深みのある詞でsleepy.abの魅力を存分に堪能出来る。今回のシングルは初回盤と通常盤がある。初回盤は地元札幌でのライブテイク3曲をプラスしたもの。通常盤は東京でのライブテイク3曲が入る。そして6/11にLOFTでのライブが決定。この素晴らしい音空間をライブでも是非味わって貰いたい。(新宿LOFT:水野 慎也)