昨年20周年を迎え、それに伴うツアー、ベスト盤のリリース、またツアー。何かと動きが多い最近のフラカンからシングルが届けられた。それが何と! 現在公開中の映画、『誘拐ラプソデ−』の主題歌というタイアップ付き。『元少年の歌』、「大人」ではなく「元少年」という表現がいかにもフラカンらしい。そして歌詞には「元少年」なる言葉は一切出ず、堂々と「大人」と言いまくっている。こういうヒネクレた所もいかにもフラカンらしい。この手のミドルテンポの曲になると、Vo.鈴木圭介の声は素晴らしく優しい響きになる。「歌」を「歌う」という事の見本のようなボーカリストだなぁと思う。軽くポップなタイトルとは裏腹に、「元少年」の方々には深く刺さる曲なんじゃないだろうか。カップリング(って最近聞かなくなったなぁ…)は、メンバー全員40歳記念? の『40』。内容もそのまんまアラフォー讃歌。もう1曲は、名曲『深夜高速』のアコースティックバージョン。ゲストに盟友奥野真哉(PIANO)と、SOUND PRODUCERとして曽我部恵一を迎えての再録。オリジナルよりもテンションを落とし気味だが、元にある力強さはそのままに、オリジナルとはまた違った角度から染み込んでくる。ゲストチーム二人の手腕に拍手を送りたい。フラカンのライブは、好きなオモチャを持ってハシャギまわっている子供のように見える。確かに「大人」ではなく「元少年」という言葉が1番似合う…いや、まだまだ少年なんだろうなぁ。(新宿LOFT:水野 慎也)