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トップレビュー9mm Parabellum Bullet / Revolutionary

9mm Parabellum Bullet / Revolutionary

2010.05.01   MUSIC | CD

TOCT-26959 2,500yen(tax in) / IN STORES NOW

約1年半ぶりとなる9mm Parabellum Bulletの3rd.アルバム『Revolutionary』は、初のセルフ・プロデュース作品。M-1の『Lovecall From The World』は、1分にも満たない今世紀最大のドラマを聴かせ、いつものように絶叫するベースの中村。たった4行の歌詞。こんな短い曲の中で、よくこれだけイメージを掻き立てる曲を作ったもんだと感心をしていたら、まさか元ネタが…だったとは。こんなに格好良く決めている彼らなのに、どこか素っ頓狂なところがいつも好感が持てる。という曲で、幕を開けた『Revolutionary』。M-2の『Cold Edge』は、『Cold Edge e.p.』から。このアルバムの中では唯一中村が作曲を手がけている。M-4『3031』では、ドラムのかみじょうが作曲を手がけ、これまでとは違った雰囲気の曲だ。ギターは同じメロディーをループし、途中ではメタルのような速弾きをし、かと思えば、いきなりパッと開けた雰囲気で少しだけ明るさを持ったギターフレーズになったりと、目まぐるしい展開をする曲。楽曲の構成としては、次にどうなるか全く検討がつかない、そして、彼らの頭の中がどんなになっているんだろうと、より興味を沸かせる1曲。『Black Market Blues』は、個人的に大名曲。『命ノゼンマイ』は映画『彼岸島』の主題歌にもなった曲であり、映画と同じくおどろおどろしい雰囲気を持ち、『Finder』は、どこか昭和歌謡を匂わせ、少し間の抜けた感じを。また、ここまでやるかと思うほどに転調を繰り返す。インタビュー中に中村が、「この曲は変な曲担当です」と言っていたが、これまでの9mmから滲み出ていた昭和歌謡感とはまた違った曲となっている。最後の『The Revolutionary』は、“世界を変えるのさ おれたちの思いどおりに”というフレーズが印象的。これまでの作品で、ここまでストレートな言葉を使っている曲もなかなかないだろう。という全10曲。

 個人的に9mmの聴きたい部分、いや、それ以上のものが全部詰め込まれていたという感じがして、きっと2010年の大晦日を迎えるまでに何度聴くか想像がつかないほどの大名盤だと思う。
 そして少し余談として…。『VAMPIRE』を聴いた時も思ったが、9mmの詞世界をイメージしても、どうしてもモノクロの世界しか浮かんでこない。例えば、『光の雨が降る夜に』の“イルミネイション”や『キャンドルの灯を』の“キャンドルの火を〜”という言葉があっても、色を持ったのはイルミネイションやキャンドルだけで、その周りは全てモノクロなのだ。まさに、今回のジャケのように、何もかもが枯れ果てた大地に不自然なまでに生命力を帯びた木のような雰囲気なのだ。この、思いがけない場所で生命力を宿した木のように、これまでもこれからもしっかりとした根を張って活動していくのだろう。(Rooftop:やまだともこ)
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